日本における第3の道:市場主義改革の必要性?福祉改革の必要性? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

日本における第3の道:市場主義改革の必要性?福祉改革の必要性?

秘書です。
日本における第3の道。
是非、政権構想を提示していただきたいですね。



■ブレア氏「いつでも助言する」=菅首相に海外から援軍
8月27日21時43分配信 時事通信

 菅直人首相は27日夜、英国のブレア元首相と電話で会談し、政権運営の在り方をめぐって意見交換した。ブレア氏は「自分の首相の経験から、変革が困難なことは実感したが、絶対に変革は必要だ」と首相を激励した。
 電話会談は、「菅首相に助言したい」とのブレア氏の申し出で行われた。首相は、ブレア氏が市場原理主義とは一線を画す「第三の道」を提唱したことに触れ、「自分も『第三の道』を唱え、国内経済において『雇用』(創出が重要)と主張している」と説明した。
 また、ブレア氏の「何かあれば助言する」との言葉に、首相は「その際は連絡させていただく」と応じた。首相は野党時代から、英国の議院内閣制度に強い関心を持ち、ブレア氏とも親交がある。民主党代表選で小沢一郎前幹事長との対決が過熱する中、力強い「援軍」を得た形だ。


ブレア元首相の「第3の道」路線のブレーンのアンソニー・ギデンズ氏は、渡辺聡子氏との共著『日本の新たな第3の道』(ダイヤモンド社、2009年)の中で以下のように指摘しています。

「今日本に求められていることは、市場主義改革と福祉改革を同時に推進することである。日本はイギリスのようなレッセ・フェール(自由放任主義)的な市場経済も経験していないし、そうかといって完璧な福祉国家も経験していない。日本には自由競争を制限するさまざまなシステムが存在し、市場原理が機能していない領域が多い。さらに、欧米諸国に比べると公的な福祉制度の整備も遅れている。」

「すなわち、日本では、市場主義改革の必要性も福祉改革の必要性も、欧米よりずっと大きいのである。言い換えれば、自由市場主義と福祉国家主義の弊害を乗り越え、両者をより高い段階で統合するという「第3の道」が、欧米とはまったく異なる文脈において日本では重要な意味を持つことになる。」


これは2009年の著書です。ということは小泉政権後です。小泉政権後のギデンズ氏の「日本はイギリスのようなレッセ・フェール(自由放任主義)的な市場経済も経験していない」という認識を共有できますか?

そして、「完璧な福祉国家も経験していない」という指摘、だからこそ、世論調査でいつも上位に社会保障の充実の要望がくるのでしょう。その期待を受けて民主党政権ができたのでしょう。民主党政権は年金改革政権だと思ったら、年金改革を先送りしていますね。

つまり、民主党の第3の道は「市場改革の必要性は認めない」「福祉改革は先送りする」という、ギデンズが日本に期待する第3の道とは似ても似つかぬ第3の道に進んでいるのではないですか。民主党政権がだんだん昔の自民党政権以下にみえはじめているのはそのためではないですか。

雇用のために増税するというなら、是非、明言してください。

国際標準では、雇用のために増税するのは、古いタイプの社会民主主義に分類されるかもしれません。なぜそれが第3の道なのか理解が難しいかもしれませんね。

最大のなぞは、市民派の菅総理の第3の道に、国際標準の第3の道のキー概念の市民社会がないことです。国家が市民社会の優位に立っていることです。これが旧式の社会民主主義ではない、というのはかなり説明が難しいですね。