新自由主義?:インフレターゲットや日銀法改正論は | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

新自由主義?:インフレターゲットや日銀法改正論は

秘書です。
自ら新自由主義者を自ら名乗る人はいません。
守旧派、抵抗勢力のように、敵側の人が特定の人々に張り付けるレッテルですね。



■日銀は臨時会合見送り、情勢見極め続ける構え-市場変動次第で対応も
8月20日(ブルームバーグ):日本銀行が円高阻止に向けて追加緩和に踏み切るとの思惑が強まる中、日銀は為替市場の動向とその影響を見極める姿勢を続けている。金融市場で急激な変動が起きない限り、政策判断も9月に開かれる通常の金融政策決定会合まで持ち越す構えで、臨時会合の開催を期待する向きには肩透かしとなる可能性もある。複数の関係者への取材で明らかになった。

  16日発表された4-6月の実質国内総生産(GDP)1次速報値は前期比年率0.4%増と事前予想を大きく下回った。しかし関係者の1人は、在庫の減少など不可解な点があるため9月に公表される2次速報値を点検する必要があるとして、1次速報値によって日銀の経済、物価見通しが大きく変わる可能性には否定的な見解を示した。

  ただ、別の関係者は、為替相場など金融資本市場で急激な変動が起き、景気への悪影響が懸念されるような場合は、臨時会合を開いて対応する準備があることに加え、今後の為替相場の推移次第では経済、物価見通しの下方修正を迫られる可能性もあるため、その影響について9月以降の決定会合で精査し、必要なら対応する考えを示した。

  日銀は今月10日の決定会合で現状維持を決定。白川方明総裁は同日の記者会見で、円高は短期的に景気の「下押し要因」になるとしながらも、昨年12月と比べて「グローバル経済、金融環境、企業収益といった面で変化がある」と言明。その上で、足元の円高の影響を「バランスよく見ていく」と述べ、当面情勢を見極める姿勢を示した。

        足元の情勢は昨年12月とは異なる

  しかし、同日夜開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加の緩和措置が講じられたことから、1ドル=84円台まで円高が進行。株価も急落したことから、12日夕に「こうした動きやその国内経済に与える影響について注意深くみていく」とする総裁談話を発表。その後、菅直人首相と白川総裁の会談が来週週明けにも設定されるとの報道が相次いだことで、一気に追加緩和観測が強まった。

  首相との会談をめぐる報道で緩和期待が高まった背景には、日銀が昨年12月、会談が行われる1日前に臨時会合を開き、金融緩和に踏み切った経緯がある。しかし、複数の関係者は19日、ブルームバーグへの取材に対し、あらためて足元の情勢は昨年12月とは異なると強調。また、首相との会談のたびに追加緩和を行うわけではないと述べた。

  津村啓介内閣府政務官は16日、GDPが大きく減速したことを受けて「景気が既に踊り場入りしていると言えるかもしれない」と述べた。直嶋正行経産相は19日午後、菅首相と官邸で会談した後、記者団に対し、日本の産業界は1ドル=90円を想定しており、現状はそれより5円程度の円高状況にあるとの認識を示した。

        日銀の独立性が問われるリスクも

  東海東京証券の斎藤満チーフエコノミストは「政府・日銀内部でも為替や景気認識が分かれているようだ」と指摘。「円の実質実効相場でみれば2005年並みの水準で、必ずしも円高ではない」という。日銀が公表している実質実効為替相場(数値が多いほど円高)は足元で100強と、史上最高値を付けた1995年の150を大きく下回っている。

  GDPについても、消費が減って在庫が増えるべきところが逆に減っているなど「やや不自然な弱さがみられる」という。斎藤氏はその上で「円高も、それに伴う景気の踊り場懸念も、日銀に臨時異例の対応を求めるほどの緊急性が政府・日銀に共有されているわけではない。十分な議論と説明をした上で動かないと、日銀は政治からの独立性を問われるリスクがある」と指摘する。

  一方、足元のドル安・円高に象徴されるように、米国経済の先行きなど景気の下振れ懸念が強まっているのも事実。白川総裁は10日の会見で、上下のリスクはおおむねバランスしているとの見解を示したが、三菱UFJ証券の長谷川治美シニア債券ストラテジストは「どうやら、その判断は修正を迫られてきた」と指摘。日銀は「下振れリスクの対応を視野にした追加緩和を検討する時期に入った」と指摘する。

           9月会合で追加緩和も

  日銀は10月28日の金融政策決定会合で、経済・物価情勢の展望(展望リポート)を策定し、2011年度と12年度の見通しを示す。11年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比はプラス0.1%の見通し(政策委員の中央値)だが、同年8月に行われる基準年改定で実績値を含めて下方修正される可能性があることに加え、足元の円高が続けば、見通しは再びマイナスに転じる可能性もある。

  このため為替の動向を含め今後の情勢次第では、早ければ9月にも追加緩和があるとの見方は根強い。長谷川氏は「仮に円高・株安が小休止し、来週初の『菅-白川会談』前後の緩和が見送られても、9月6、7日会合で追加緩和に踏み切る可能性が高い」とみている。


この夏、新自由主義批判をするみなさんのバイブル的存在である、カール・ポラニーの『新訳・大転換』を読みました。

フレッド・ブロックという人が「紹介」で以下のように述べています(p.xxxi.)

「ポラニーの主張の第二の次元は、経済における国家の役割をめぐるものである。たとえ経済が自己調整的であるとしても、国家はインフレーションとデフレーションという双子の危機を避けるために、貨幣の供給と信用の供給を調整する役割を継続的に果たさねばならない。」

→小泉政権期とそれ以後、デフレーションという危機から脱却するために、貨幣の供給と信用の供給を調整する役割を継続的に果たせ、と日銀に言い続けてきたのは、新自由主義批判の対象となってきた勢力(中川秀直、竹中平蔵元大臣、高橋洋一さんら)です。つまり新自由主義とレッテルをはられた人こそ、中央銀行を含む国家の役割を重視していたのであり、デフレ解消などできないといっていた新自由主義批判勢力こそ、国家の役割を過少評価して自己調整的市場に身をゆだねよ、といっていたわけですね。


→日銀法を改正して雇用の最大化を目的規定に入れようという中川秀直の主張が新自由主義ですか。自己調整的市場に身をゆだねて、デフレを放置して日銀法改正に反対する人が新自由主義ですか。


「現実の市場社会に置いては、市場を統御するために国家が積極的な役割を演ずることが必要であり、そのような国家の役割には政治的な意思決定が必要となる。」

→2001年の9.11事件以後、最も補正予算編成に最も熱心な一人で、2001年度予算では国債発行枠30兆円にこだわる必要はない、といっていたのは誰でしょう?竹中経済財政政策担当大臣ですよ。民主党政権のこれからのマクロ経済運営はどうでしょう。最近よく新聞で目にする「注視する」という当局のは言葉は、「基本的には自己調整的市場に委ねる」ということですね。


→上げ潮派の理論武装に協力してくれたクライン教授は、ケインズについての古典的名著を書いています。上げ潮派を新自由主義と批判する方は、クライン教授に知恵をもとめたことが間違いだったといいたいかもしれませんが、新自由主義というレッテルが間違えているのです。

「国家は失業中の労働者に対する救済資金の提供、将来の労働者の教育・訓練、また国内外の移住の奨励などによって、労働者に対する需要をうまく調整しなければならない。」

→小泉政権期に、労働者への訓練バウチャー支給に最も熱心だったのは誰でしょう。竹中経済財政政策担当大臣です。


また、ジョセフ・スティグリッツは「序文」(p.xiii.)で、「労働市場がなぜ自己調整的市場の信奉者の説くような具合に機能しないのかを説得的に説明している」ものとして、「インサイダー・アウトサイダー理論」を例示しています。訳注によれば「一般に、現在雇用されている労働者すなわちインサイダーに対する解雇費用は高く、解雇が難しいうえに、インサイダーはさまざまな手段でその既得権益を守ろうとするために、低賃金で働いてもよいとするアウトサイダー(外部労働者)の雇用が抑制され、実質賃金が高止まりすると考える理論。」なんだそうです。

→この「インサイダー・アウトサイダー理論」は、若者の非正規雇用化をずばり示していますね。では、この理論でいうところのアウトサイダーのための労働改革をしようとしたのは誰ですか。中川秀直はオランダをモデルに正規・非正規の壁のない雇用体系をつくるべきといっています。そしてインサイダーのための政策を推進しようとしているのは誰ですか。正社員の終身雇用の既得権益を護持しようとする
民主党の政策こそが若者の正規雇用を奪っているのではないか、という観点からみてはいかがでしょうか。