円高・株安:緩和に踏み切る理屈が見いだせない?? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

円高・株安:緩和に踏み切る理屈が見いだせない??

秘書です。
うごいたアメリカ+うごかぬ日本→円高・株安?


■11日午前の東京株式市場 平均株価、およそ半月ぶりに9,300円台前半まで落ち込む
FNNニュース

11日午前の東京市場は、アメリカ景気の先行き不安などから、円高株安が進み、平均株価は、およそ半月ぶりに9,300円台前半まで落ち込んだ。
10日のアメリカでの事実上の追加金融緩和策決定を受け、東京外国為替市場では、日米の金利差などを背景に、対ドルでの円買いが進み、1ドル = 85円台前半まで円高が進んだ。
東京株式市場では、アメリカ景気への不透明感に、円高進行への警戒感が加わり、輸出関連銘柄を中心に幅広く売られ、平均株価は、下げ幅が200円を超え、9,300円台前半にまで落ち込む展開となった。
午前の平均株価の終値は、10日に比べて217円90銭安い、9,333円15銭だった。
(08/11 11:51)

10日、うごいた米国。10日、日本では?

■追加金融緩和、動かぬ日銀 円高加速の恐れ
2010.8.11 09:37 産経新聞

日銀が10日開いた金融政策決定会合で、景気の下ぶれリスクとして円高を指摘したにもかかわらず追加金融緩和を打ち出さなかったのは、企業収益が上向いていて、緩和に踏み切る理屈が見いだせないためだ。しかし米国では追加緩和観測が高まっており、このままでは円高が加速する恐れもある。この結果、企業業績が打撃を受ければデフレが長期化しかねず、日銀は機動的な対応を迫られる。

 「会合では円高について時間を割いて議論した。企業マインドにも影響を与える大事な点検ポイントだ」。白川総裁は会合後の会見で、円高の影響を重視していることを強調した。

 日銀は昨年12月、ドバイ・ショックを背景に円高が進んださい、臨時決定会合まで開き追加緩和を決めた。今回緩和を見送ったのは、状況が当時と違うとの認識があるからだ。

 白川総裁によると「今は企業収益も好転しており、先進国の経済も上向いている」。追加緩和の選択肢である国債の買い増しについても、「長期金利がこれ以上ないほど低迷し、実行は難しい」(アナリスト)との指摘がある。

 ただ、経済の減速懸念が高まる米国では、10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場から有価証券を買い増すなどの追加緩和策が打ち出される観測が広がっている。実施されれば米国の金利が下がり日本の金利が相対的に高くなるため、さらに円が買われ、円高が進む可能性がある。

 とくに輸出依存の製造業では「影響が出始めるのではないかと思っている」(日産自動車の志賀俊之最高執行責任者)。トヨタ自動車や東芝、ソニーは想定為替レートを1ドル=90円としているが「85円より円高に想定している企業はない。これ以上、円高が進めばリスク要因だ」(日銀幹部)と警戒を強める。

業績悪化は設備投資にも悪影響を及ぼす。コストが相対的に安くなる海外への生産拠点移転が加速すれば、「国内の雇用を減少させる」(アナリスト)。

 今後、日銀には政府や与野党、市場から追加緩和を求める圧力が高まるのは必至だ。円売り・ドル買いの為替介入を求める声も上がり始めたが、「ドル安の進行は米国の景気にプラス効果をもたらす」(大和総研の亀岡裕次チーフ為替ストラテジスト)ため、米政府が協調介入に応じる見込みは薄く、効果は限定的とみられる。日銀は「デフレ脱却をねばり強く目指す」(白川総裁)というが、一層難しい対応を迫られる。


「デフレ脱却をねばり強く目指す」?どうやって?
「緩和に踏み切る理屈が見いだせない」?
雇用はどうですか。たしか、いまの日銀法の規定で読み込めるという解釈でしょう?
違うというなら日銀法で目的規定に雇用の最大化をいれたらどうでしょう。
緩和のいい理屈になるじゃないですか。
毎年毎年、新卒者の新しい社会人人生がはじまっています。
ねばり強くって、次の新卒者の就職に間に合うんでしょうか?
その人たちが正規雇用につけるのか、つけないのか。その人にとっては人生の大問題ですよ。
ねばり強くとかいっている場合ではないでしょう。
大きな問題じゃないですか。心は痛みませんか。
米国の連銀の目的規定にはしっかり雇用の最大化がはいっています。
中央銀行の目的規定には雇用はそぐわない、とはいえないでしょう?


■ゼロ金利解除直前の「政策決定会合」議事録から読み解く日銀「失敗の歴史」
10年を超えるデフレからなぜ学ばないのか
2010年08月02日(月) 高橋 洋一

7月30日に臨時国会が始まったが、期間はわずかに8月6日まで。みんなの党と公明党から提出された国会議員歳費日割法案もまともに処理されず、新たに当選した参院議員に7月分歳費の一部を自主返納させる暫定的な法整備にとどめる方針だ。

 菅政権で初めての予算委員会も衆参わずか2日。ヘタにボロ出せば、9月の代表選への道もなくなるので、はやくも「逃げ菅」という作戦なのだろう。国会議員には夏休み返上で働いてほしいが、どうもそういかないらしい。

 何より心配なのは経済政策だ。そこで、10年前を振り返ってみたい。日本銀行は10年経つと政策決定会合の議事0録を公開している。ちょうど7月30日、2000年1月~6月の分が公開されたのである。

 なぜ今10年前を振り返るのか。日本ではここ10年以上デフレが続いて、日銀はデフレターゲットをしているのではないかとさえみえるからである。

 米国型コア指数の消費者物価(除く食品・エネルギー)は、ここ10年間、ほぼ▲1.0%~0%の間に収まっている。統計的にみると、インフレ目標(1~3%)の国より安定的だ。水準がマイナスということを除けば、優れた物価のコントロールである。しかも、打ち出す金融政策のタイミングは絶妙であり、その結果、「デフレターゲット」になっているようにみえる。(図は本文をご確認ください)


これらの金融政策の始まりは、2000年8月のゼロ金利解除だ。外部からみれば明らかな失政だが、日銀ではこれを失敗とみていないのだろう。その後も、デフレ脱却するための強力な金融緩和策をとらず、デフレを脱却しそうになると金融引締をしてきた。

 実は、日銀の政策決定会合というと凄い会議のようだが、中身が薄い。竹中平蔵元経済財政担当相は、「中身がなく時間のムダつかいになりそう」と言っていた。今回の資料を見ても、日銀の使命である物価については、70枚以上の図表にのうち3つしかない。滑った転んだの一般経済談義をしているのだ。

 2000年1月~6月の政策決定会合の記録を見ると、毎回3つの案が出されている。速水優議長案、中原伸之委員案、篠塚英子委員案だ。それぞれ、現状維持(ゼロ金利)、インフレ目標付き量的緩和、ゼロ金利解除であった。結果として、すべての会合で、議長案が採択されている。さらに付け加えると、00年8月にゼロ金利を解除した。しかし、翌2001年3月に量的緩和をとらざるを得なかった。

クルーグマンが予言した日銀の失敗
 ゼロ金利解除の時、私はプリンストン大学にいたが、同僚だったクルーグマン教授から「これは絶対失敗する」とのメールを受けた。そして彼の予言通り、日銀の失敗だった。この事実は、中原委員だけが正しい提案をし続け、その他は間違っていたことを意味している。

 さて00年1月~6月の各会合では、ゼロ金利解除に前のめりの発言が目立った。2000年1月17日、植田和男委員は、ゼロ金利解除について「失敗すれば全員クビという感じもあるし、逆にまずは混乱なしに解除できれば本行のクレディビリティーはかなり上昇すると思われる。」と述べた。しかし実際に失敗はしたものの、どの政策委員も責任は問われず、クビにもなっていない。

 すべての会合で間違い続けた篠塚委員は、デフレの意味がわかっていなかった。
デフレ(DEFLATION)とは物価の持続的な下落であり、不況(DEPRESSION)とは違う。2000年6月28日、篠塚委員は、ストックフォルムのリクスバンクでのコンファレンスに参加したことについて、「どのように具体的にデフレ懸念を説明するかについては、何かはっきりした指標を提示しないと海外の人には理解してもらえないと改めて感じた。現在それを示すとするならば、・・・実質GDPの成長が明らかでデフレ懸念から脱却する方向になること、・・・を明言することでないかと思っている。」と述べた。

 しかしリスクバンクも採用しているインフレ目標なら、世界の人にわかってもらえたはずだ。

 そして肝心の速水議長は、金利について、名目と実質の違いがまったくわかっていなかった。

 6月28日、速水議長は、「債権サイドと債務サイドの需給関係を調整していくのか金利であるから金利がゼロではりついているのでは、正常な市場にはならない。・・・金融政策としては半分死んでいたと言ってもいいと思う。・・・正常に戻せる時にはやく正常に戻したい。」と発言した。すかさず、中原委員が「今の日本は名目ゼロであるが実質金利は勿論プラスである・・」と応じたが、速水議長の誤解が直ることがなかった。中原委員を除き議長らの誤解、無知が誤った金融政策をもたらした。

日銀は物価の安定を消費者物価上昇率0~2%と理解しているようだが、いまもそれをまったく無視した金融政策を行っている。こうした状況に、浜田宏一エール大学教授は、かつての教え子である白川方明日銀総裁を叱ったが、無視されたという。

インフレ目標でぶつかる「親小沢」と「反小沢」
 白川総裁が、中原氏のように変身するのは期待できない。

 そこでみんなの党は、参院選で公約したとおり、金融政策の目標を政府が決められるように日銀法を改正することを秋の臨時国会で提出するかまえだ。

 マニフェストでインフレ目標は言及していない民主党も揺れている。実は、陰で小沢一郎氏がいるとささやかれている党内有志によるデフレ脱却議連(会長・松原仁衆院議員)は、連合の古賀伸明会長を招いたり、マニフェストに盛り込むように提言をまとめていたのだ。結局、仙谷由人官房長官の一声で実現できなった。しかし、デフレ脱却議連は、7月30日にインフレ目標導入を柱とする提言を野田佳彦財務相に提出したのである。

 先の参院選で、菅総理の消費税増税10%発言が民主党の敗因とされ、菅総理は消費税を先送りしようとしている。一方、自民党はマニフェストに書いた消費増税10%をとりさげるつもりはない。しかし、マニフェストに書いてあったインフレ目標について、谷垣禎一自民党総裁や石破茂政調会長は否定的になっている。

 この際、菅総理としては、インフレ目標に乗りたい気分かもしれない。ところが、デフレ脱却議連に小沢色を感じる仙谷官房長官が簡単に、インフレ目標を容認するとも思えない。9月中旬の代表選を睨んで、インフレ目標は、仙谷官房長官らの非小沢グループと小沢グループとの政局の争点になるかもしれない

 それにしても2000年当時に、世界で標準的なインフレ目標1~3%が導入されていれば、2001年8月のゼロ金利解除はできなかったはずだ。しっかりした目標がないまま、議長、委員の誤解や無知によって、間違った金融政策が実施された。それが歴史の教訓である。

 ビスマルクの「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉があるが、歴史どころか経験にすら学ぶことのできない日銀は愚者にも劣る。


メンツにこだわって過去の政策の失敗を認めない。
すると、過ちが繰り返される。
犠牲になるのはいつも・・・