政策選挙:その結果は?
秘書です。
原英史さんらの政策選挙プロジェクトの結果がでたようです。
(図表は本体をご確認ください)
■「政策選挙プロジェクト」の結果概要
国民はどんな政策を求めていたか?
2010年08月08日(日) 原 英史 永田町ディープスロート
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/990
本物の選挙で、有権者は、さまざまな政策テーマに関する政党の主張を見渡し、政党イメージ(信頼できそうか、クリーンかどうかなど)なども勘案して、総合判断で「政党」を選ぶ。
どの政策テーマに重きを置くか、あるいは、政策より政党イメージで判断するかなど、個々の有権者次第だ。このため、「A党に投票したが、A党がマニフェストで掲げたすべての政策に賛成しているわけではない」ということが当たり前に生ずる。
これに対し、「政策選挙」は、一言で言えば、「政策」ごとの民意をはっきりさせようという企画だ。具体的には、
(1) 「消費税を増税する?」「ムダをどう削減する?」「普天間問題をどう解決する?」といった争点を14項目並べて、まず、自分が大事だと思う政策テーマを選んでもらい、
(2) 次に、各自選んだ政策テーマごとに、主要7党がマニフェスト(ないし公約、アジェンダ)で記載した「政策」の内容を、政党名を伏せて並べた投票フォームを示し、最も適切と思う「政策」を選んでもらう、
という仕組みにした。
(注)今回のプロジェクトでの「主要7党」とは、衆参あわせて10議席以上確保している政党及び政権に参加している国民新党。
政党名を伏せたのは、政党イメージなどに左右されず、「政策」の内容だけで判断してもらうためだ。従来、政党イメージ中心で政党を選択してきた方にとっては、新鮮な"選挙"だったのではないかと思う。
集計結果からも、本物の選挙結果では見えてこない、興味深いデータが浮かび上がってきた。
(詳細なデータは、近日中に上記サイト上で公開予定だ。)
なお、今回、投票を集めるに当たっては、不特定多数のインターネットユーザに自由に参加いただくことを基本とした。
マスメディアや組織・団体を通じた広報は行っておらず、7月27日に告知目的を兼ねた公開討論会(司会:長谷川幸洋・東京新聞論説委員)を開催した以外は、主にツイッターを媒体に、知り合いからさらにその知り合いへと口コミで広げていく手法によった。
サイト訪問者数5578、投票を有効に終えた件数728、一週間にしてはかなりの反響があったが、ツイッターの伝播力は想像以上だった。
主催者と一面識もない方々にも、ツイッター上で本プロジェクトを広めていただいたようであり、この場を借りて御礼申し上げたい。
ただ、短期間でこうした手法をとった結果、投票者の属性に偏りが生じた面もあった。例えば、特定政党の国会議員のツイッターや関連サイトで紹介された結果、その政党の支持層が明らかに通常の分布以上の比率を占めたと考えられる例などが生じた(自己申告ベースの投票者属性によると、投票総数中みんなの党支持者42.3%、国民新党支持者5.1%など)。
このため、単に投票総数をみて、「この政策テーマについて、みんなの党の政策への投票が最多」といった分析をしても、あまり意味がない。
以下では、今回の集計で相当数のサンプルを得ることができた「民主党支持層」「自民党支持層」「みんなの党政党層」「無党派層」の4グループを中心に、データ分析の一端をご紹介したい。
(1)政党別の分析
まず、今回の結果で如実に浮び上がるのは、「民主党支持層は、民主党の政策を支持しているわけではない」ことだ。
第一に、どの政策が重要と考えるかという「関心度」のデータをとると、民主党支持層の場合、上位に並ぶのは「ムダ削減」(73.2%)、「年金制度改革」(67.1%)など。一方で、民主党の看板政策だった「子ども手当」(30.5%)や「高速道路無料化」(23.2%)は「関心度」が下位にとどまった。
第二に、それぞれの政策テーマについて、「A党の支持層がA党の掲げた政策を支持」した比率(「支持政党=政策一致率」)を算出すると、全政策テーマの合計値で、民主党は18.6%と極めて低い。
さらに政策テーマごとにみても、「政治主導」(0.0%)、「派遣労働」(0.0%)、「郵政改革」(4.0%)、「普天間基地」(5.4%)、「天下り、公務員人件費」(5.9%)など、支持層の中でもほとんど支持されていない項目が目立つ。
< 政党支持と政策支持 (網掛けが「支持政党=政策一致率」) >
(略)
これと対照的に、「政策」が支持されていることが数字で表れているのがみんなの党だ。
みんなの党支持層の「関心度」の高い政策は、「天下り、公務員人件費」(69.7%)など同党の看板政策と重なり、かつ、「支持政党=政策一致率」も高い(42.7%)。
また、無党派層や他党支持層からも一定の「政策支持」を得ていることが特徴的だ。
中間に位置するのが自民党(「支持政党=政策一致率」24.6%)。
ただ、政策テーマごとに見ると、「子ども手当」(全面見直しを明記。63.3%)、「公共事業」(良質な建設産業保護を明記。35.7%)など、マニフェストで、民主党政権との差異を明確に示した項目では、高い「政策支持」を得ている。
「関心度」の最も高い項目が「普天間基地」(70.9%)であることをあわせ考えても、「自民党支持層は、"民主党政権との違いの明らかな自民党"を期待」しており、その期待に自民党がまだ十分応えきれていない、ということではないか。
(2)政策テーマ別の分析
a)「消費税」
次に政策テーマ別に、まず、消費税について取り上げてみよう。
無党派層のデータを見ると、消費税に関して最も支持の高かったのはみんなの党(24.8%)。これだけを捉えると、「無党派層は、菅総理の消費税増税路線に反発して、みんなの党に流れた」というストーリーを思い浮かべるかもしれない。
しかし、各党のマニフェストで示された政策内容をグルーピングして整理してみると、違った断面が見えてくる。
消費税増税に関する各党のスタンスは、増税に"積極的"、"留保"、"反対"の3グループに分類できる。
(1)"積極的": 自民「当面10%」、公明「消費税を含む税制抜本改革」、民主「消費税を含む税制抜本改革に関する協議を超党派で開始」
(2)"留保": みんな「増税の前に国会議員や官僚が身を切るべき」
(3)"反対": 社民「引上げはしない」、共産「増税反対」
(注)各党の「政策」は、前出のとおり、あくまで各党のマニフェストで記載された内容に従っており、菅総理が選挙中に「10%」と発言したこと、みんなの党が選挙中の説明で「増税不要」のニュアンスを強めたことは反映していない。また、国民新党は「消費税」について記載なし。
これら3グループに分けてデータ整理すると次表のとおり。
< 消費税増税について >
(略)
ここからは、「無党派層が、増税路線に反発し、増税反対を支持した」との見方は疑わしいことが見て取れる。
選挙後に政府筋から「今回の選挙結果は、消費税増税の否定を意味するわけではない」という発言がしばしば聞かれるが、ファクトしては、これは間違っていないと考えるべきだろう。
b)「政治主導」
次に、参院選後に菅内閣が「国家戦略室の縮小」を表明し、ごたごたの続く「政治主導」については、以下のように分類できる。
(1)政治主導を"強化": みんな「国家戦略局設置、ポリティカルアポインティ100人」、社民「官僚主導・縦割り・中央集権型から政治主導・分権型へ」
(2)"行き過ぎ是正": 公明「情実人事阻止」、共産「官僚=国民の敵という図式に反対」
(3)"中間": 民主「国家戦略室設置を既に実現」(現状維持)、自民「国家戦略スタッフの発足、幹部人事の恣意的乱用の禁止」("強化"と"行き過ぎ是正"の両面)
(注)国民新党は「政治主導」について記載なし。
< 政治主導について >
(略)
ここでは、自民党支持層で"行き過ぎ是正"への支持がやや高いものの、概ね、"政治主導の強化"が求められていることが分かる。
c)「公務員制度改革」
公務員制度改革では、天下りに関しては、各党とも「天下り根絶」を謳っており、大きな差異はない。差異がみられるのは、公務員人件費削減に関してだ。
(1)"給与カット、人員削減"まで踏み込む: みんな「給与2割・ボーナス3割カット、10万人削減」
(2)給与カットなどの具体策には踏み込まず、単に"人件費削減": 民主「人件費2割削減」、自民「人件費2割削減」、公明「人件費抑制」
(3)"人件費削減に反対": 社民「人件費のスケープゴート化反対」、共産「むやみな数の削減は有害」
(注)国民新党は「公務員制度改革」について記載なし。
< 公務員制度改革について >
(略)
ここでは、民主党支持層を除けば、"給与カット、人員削減"に踏み込むみんなの党の政策が極めて高い支持を集めている。
d)子ども手当
支持政党によって、求める政策の内容が大きく異なるのが、子ども手当だ。
(1)少なくとも現行の"1.3万円は維持": 民主「1.3万円から上積み」、社民「1.3万円を本格実施」、公明「今後は、手当の更なる拡充より保育サービスなど」
(2)"全面見直し": 自民「目的・効果も不明なので、全面見直し」、みんな「地域主権の観点から抜本的に見直し」
(注)共産「子ども手当を口実にした増税に反対」は、子ども手当自体に対する立場は不明なため、ここでは外した。また、国民新党は「子ども手当」について記載なし。
< 子ども手当について >
(略)
e)郵政改革、派遣労働規制
最後に、最も明快に「国民が求める政策」が示されたのが、「郵政改革」と「派遣労働規制」の問題だ。
それぞれ、国民新党と社民党の強い要望に、民主党(政府)が引きずられた政策テーマ。先の国会で提出した「政府法案」が次期臨時国会でも争点となる見通しだが、いずれのテーマでも、「政府法案」に対する国民の支持は極めて低い。
民主党支持層でさえ、郵政改革の政府法案への支持は12.0%、派遣労働規制の政府法案への支持は5.6%にとどまっている。
仮に、こうした法案が、単に国会の数合わせの論理で成立するようなことになれば、「国民の求める政策」は全く実現されていないことになる。
< 郵政改革について >
(1)"郵政公営化": 共産「公的事業体として再生」
(2)"政府法案路線"(株式会社形態を前提として、政府の株式保有など): 民主「政府法案を最優先課題として成立」、社民「政府法案の早期成立」、国民新「郵貯・かんぽ資金で大型国家プロジェクト」
(3)"郵政民営化": 自民・公明「郵政民営化を推進」、みんな「郵政民営化を推進、株式売却凍結法案を廃止」
< 派遣労働規制について >
(1)政府法案以上に"派遣規制強化": 共産「政府法案には抜け道があり不十分」
(2)"政府法案路線"(製造業派遣を規制): 民主「既に法案を提出」、社民「政府法案を確実に成立」
(3)"派遣規制反対": みんな「働き方を自由を損ない、雇用を奪うので反対」、自民「労働者派遣制度の活用」
(注)公明党は「製造業派遣のあり方はさらに検討」、国民新党は「正規雇用への転換を奨励」と記載するだけで、少なくともマニフェスト上は、政府法案に対する立場が明らかでないため、ここでは外した。
以上では、まだ全ての政策テーマについて分析しきれていない。
詳細データを近日中にサイト上で公開するので、ご自由に分析・活用いただきたい。
今後の政策決定に多少なりとも参考になれば幸いだ。
詳細な分析結果が期待されます!秋以降の与野党協議にも重要な参照基準になる、かも。
原英史さんらの政策選挙プロジェクトの結果がでたようです。
(図表は本体をご確認ください)
■「政策選挙プロジェクト」の結果概要
国民はどんな政策を求めていたか?
2010年08月08日(日) 原 英史 永田町ディープスロート
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/990
本物の選挙で、有権者は、さまざまな政策テーマに関する政党の主張を見渡し、政党イメージ(信頼できそうか、クリーンかどうかなど)なども勘案して、総合判断で「政党」を選ぶ。
どの政策テーマに重きを置くか、あるいは、政策より政党イメージで判断するかなど、個々の有権者次第だ。このため、「A党に投票したが、A党がマニフェストで掲げたすべての政策に賛成しているわけではない」ということが当たり前に生ずる。
これに対し、「政策選挙」は、一言で言えば、「政策」ごとの民意をはっきりさせようという企画だ。具体的には、
(1) 「消費税を増税する?」「ムダをどう削減する?」「普天間問題をどう解決する?」といった争点を14項目並べて、まず、自分が大事だと思う政策テーマを選んでもらい、
(2) 次に、各自選んだ政策テーマごとに、主要7党がマニフェスト(ないし公約、アジェンダ)で記載した「政策」の内容を、政党名を伏せて並べた投票フォームを示し、最も適切と思う「政策」を選んでもらう、
という仕組みにした。
(注)今回のプロジェクトでの「主要7党」とは、衆参あわせて10議席以上確保している政党及び政権に参加している国民新党。
政党名を伏せたのは、政党イメージなどに左右されず、「政策」の内容だけで判断してもらうためだ。従来、政党イメージ中心で政党を選択してきた方にとっては、新鮮な"選挙"だったのではないかと思う。
集計結果からも、本物の選挙結果では見えてこない、興味深いデータが浮かび上がってきた。
(詳細なデータは、近日中に上記サイト上で公開予定だ。)
なお、今回、投票を集めるに当たっては、不特定多数のインターネットユーザに自由に参加いただくことを基本とした。
マスメディアや組織・団体を通じた広報は行っておらず、7月27日に告知目的を兼ねた公開討論会(司会:長谷川幸洋・東京新聞論説委員)を開催した以外は、主にツイッターを媒体に、知り合いからさらにその知り合いへと口コミで広げていく手法によった。
サイト訪問者数5578、投票を有効に終えた件数728、一週間にしてはかなりの反響があったが、ツイッターの伝播力は想像以上だった。
主催者と一面識もない方々にも、ツイッター上で本プロジェクトを広めていただいたようであり、この場を借りて御礼申し上げたい。
ただ、短期間でこうした手法をとった結果、投票者の属性に偏りが生じた面もあった。例えば、特定政党の国会議員のツイッターや関連サイトで紹介された結果、その政党の支持層が明らかに通常の分布以上の比率を占めたと考えられる例などが生じた(自己申告ベースの投票者属性によると、投票総数中みんなの党支持者42.3%、国民新党支持者5.1%など)。
このため、単に投票総数をみて、「この政策テーマについて、みんなの党の政策への投票が最多」といった分析をしても、あまり意味がない。
以下では、今回の集計で相当数のサンプルを得ることができた「民主党支持層」「自民党支持層」「みんなの党政党層」「無党派層」の4グループを中心に、データ分析の一端をご紹介したい。
(1)政党別の分析
まず、今回の結果で如実に浮び上がるのは、「民主党支持層は、民主党の政策を支持しているわけではない」ことだ。
第一に、どの政策が重要と考えるかという「関心度」のデータをとると、民主党支持層の場合、上位に並ぶのは「ムダ削減」(73.2%)、「年金制度改革」(67.1%)など。一方で、民主党の看板政策だった「子ども手当」(30.5%)や「高速道路無料化」(23.2%)は「関心度」が下位にとどまった。
第二に、それぞれの政策テーマについて、「A党の支持層がA党の掲げた政策を支持」した比率(「支持政党=政策一致率」)を算出すると、全政策テーマの合計値で、民主党は18.6%と極めて低い。
さらに政策テーマごとにみても、「政治主導」(0.0%)、「派遣労働」(0.0%)、「郵政改革」(4.0%)、「普天間基地」(5.4%)、「天下り、公務員人件費」(5.9%)など、支持層の中でもほとんど支持されていない項目が目立つ。
< 政党支持と政策支持 (網掛けが「支持政党=政策一致率」) >
(略)
これと対照的に、「政策」が支持されていることが数字で表れているのがみんなの党だ。
みんなの党支持層の「関心度」の高い政策は、「天下り、公務員人件費」(69.7%)など同党の看板政策と重なり、かつ、「支持政党=政策一致率」も高い(42.7%)。
また、無党派層や他党支持層からも一定の「政策支持」を得ていることが特徴的だ。
中間に位置するのが自民党(「支持政党=政策一致率」24.6%)。
ただ、政策テーマごとに見ると、「子ども手当」(全面見直しを明記。63.3%)、「公共事業」(良質な建設産業保護を明記。35.7%)など、マニフェストで、民主党政権との差異を明確に示した項目では、高い「政策支持」を得ている。
「関心度」の最も高い項目が「普天間基地」(70.9%)であることをあわせ考えても、「自民党支持層は、"民主党政権との違いの明らかな自民党"を期待」しており、その期待に自民党がまだ十分応えきれていない、ということではないか。
(2)政策テーマ別の分析
a)「消費税」
次に政策テーマ別に、まず、消費税について取り上げてみよう。
無党派層のデータを見ると、消費税に関して最も支持の高かったのはみんなの党(24.8%)。これだけを捉えると、「無党派層は、菅総理の消費税増税路線に反発して、みんなの党に流れた」というストーリーを思い浮かべるかもしれない。
しかし、各党のマニフェストで示された政策内容をグルーピングして整理してみると、違った断面が見えてくる。
消費税増税に関する各党のスタンスは、増税に"積極的"、"留保"、"反対"の3グループに分類できる。
(1)"積極的": 自民「当面10%」、公明「消費税を含む税制抜本改革」、民主「消費税を含む税制抜本改革に関する協議を超党派で開始」
(2)"留保": みんな「増税の前に国会議員や官僚が身を切るべき」
(3)"反対": 社民「引上げはしない」、共産「増税反対」
(注)各党の「政策」は、前出のとおり、あくまで各党のマニフェストで記載された内容に従っており、菅総理が選挙中に「10%」と発言したこと、みんなの党が選挙中の説明で「増税不要」のニュアンスを強めたことは反映していない。また、国民新党は「消費税」について記載なし。
これら3グループに分けてデータ整理すると次表のとおり。
< 消費税増税について >
(略)
ここからは、「無党派層が、増税路線に反発し、増税反対を支持した」との見方は疑わしいことが見て取れる。
選挙後に政府筋から「今回の選挙結果は、消費税増税の否定を意味するわけではない」という発言がしばしば聞かれるが、ファクトしては、これは間違っていないと考えるべきだろう。
b)「政治主導」
次に、参院選後に菅内閣が「国家戦略室の縮小」を表明し、ごたごたの続く「政治主導」については、以下のように分類できる。
(1)政治主導を"強化": みんな「国家戦略局設置、ポリティカルアポインティ100人」、社民「官僚主導・縦割り・中央集権型から政治主導・分権型へ」
(2)"行き過ぎ是正": 公明「情実人事阻止」、共産「官僚=国民の敵という図式に反対」
(3)"中間": 民主「国家戦略室設置を既に実現」(現状維持)、自民「国家戦略スタッフの発足、幹部人事の恣意的乱用の禁止」("強化"と"行き過ぎ是正"の両面)
(注)国民新党は「政治主導」について記載なし。
< 政治主導について >
(略)
ここでは、自民党支持層で"行き過ぎ是正"への支持がやや高いものの、概ね、"政治主導の強化"が求められていることが分かる。
c)「公務員制度改革」
公務員制度改革では、天下りに関しては、各党とも「天下り根絶」を謳っており、大きな差異はない。差異がみられるのは、公務員人件費削減に関してだ。
(1)"給与カット、人員削減"まで踏み込む: みんな「給与2割・ボーナス3割カット、10万人削減」
(2)給与カットなどの具体策には踏み込まず、単に"人件費削減": 民主「人件費2割削減」、自民「人件費2割削減」、公明「人件費抑制」
(3)"人件費削減に反対": 社民「人件費のスケープゴート化反対」、共産「むやみな数の削減は有害」
(注)国民新党は「公務員制度改革」について記載なし。
< 公務員制度改革について >
(略)
ここでは、民主党支持層を除けば、"給与カット、人員削減"に踏み込むみんなの党の政策が極めて高い支持を集めている。
d)子ども手当
支持政党によって、求める政策の内容が大きく異なるのが、子ども手当だ。
(1)少なくとも現行の"1.3万円は維持": 民主「1.3万円から上積み」、社民「1.3万円を本格実施」、公明「今後は、手当の更なる拡充より保育サービスなど」
(2)"全面見直し": 自民「目的・効果も不明なので、全面見直し」、みんな「地域主権の観点から抜本的に見直し」
(注)共産「子ども手当を口実にした増税に反対」は、子ども手当自体に対する立場は不明なため、ここでは外した。また、国民新党は「子ども手当」について記載なし。
< 子ども手当について >
(略)
e)郵政改革、派遣労働規制
最後に、最も明快に「国民が求める政策」が示されたのが、「郵政改革」と「派遣労働規制」の問題だ。
それぞれ、国民新党と社民党の強い要望に、民主党(政府)が引きずられた政策テーマ。先の国会で提出した「政府法案」が次期臨時国会でも争点となる見通しだが、いずれのテーマでも、「政府法案」に対する国民の支持は極めて低い。
民主党支持層でさえ、郵政改革の政府法案への支持は12.0%、派遣労働規制の政府法案への支持は5.6%にとどまっている。
仮に、こうした法案が、単に国会の数合わせの論理で成立するようなことになれば、「国民の求める政策」は全く実現されていないことになる。
< 郵政改革について >
(1)"郵政公営化": 共産「公的事業体として再生」
(2)"政府法案路線"(株式会社形態を前提として、政府の株式保有など): 民主「政府法案を最優先課題として成立」、社民「政府法案の早期成立」、国民新「郵貯・かんぽ資金で大型国家プロジェクト」
(3)"郵政民営化": 自民・公明「郵政民営化を推進」、みんな「郵政民営化を推進、株式売却凍結法案を廃止」
< 派遣労働規制について >
(1)政府法案以上に"派遣規制強化": 共産「政府法案には抜け道があり不十分」
(2)"政府法案路線"(製造業派遣を規制): 民主「既に法案を提出」、社民「政府法案を確実に成立」
(3)"派遣規制反対": みんな「働き方を自由を損ない、雇用を奪うので反対」、自民「労働者派遣制度の活用」
(注)公明党は「製造業派遣のあり方はさらに検討」、国民新党は「正規雇用への転換を奨励」と記載するだけで、少なくともマニフェスト上は、政府法案に対する立場が明らかでないため、ここでは外した。
以上では、まだ全ての政策テーマについて分析しきれていない。
詳細データを近日中にサイト上で公開するので、ご自由に分析・活用いただきたい。
今後の政策決定に多少なりとも参考になれば幸いだ。
詳細な分析結果が期待されます!秋以降の与野党協議にも重要な参照基準になる、かも。