ギリシャ論争:ギリシャ危機の原因と結果を入れ違えて増税の根拠にするのはいけません | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

ギリシャ論争:ギリシャ危機の原因と結果を入れ違えて増税の根拠にするのはいけません

秘書です。
ギリシャの真の問題は何でしょう?
ちなみに、
①ギリシャでは古代ギリシャのアゴラの伝統があって、今でも夜を徹して市民が政治議論しているそうです。総理が思いつきで税率を言ったら、そんな政権はすぐに倒されるでしょうね。
②しかし、古代ギリシャと現代の間にはトルコの支配があり、この中で政府を信頼しない国民気質ができたのではないか、といわれているようです。納税意識もここに関連していて、お金持ちが税金を払わない。そこが問題みたいですね。


■遊説録:まじない経済学--みんなの党・渡辺喜美代表
2010年6月25日 毎日新聞
 (24日)
 よく菅(直人首相)さんがギリシャの話をしている。ギリシャが財政破綻(はたん)したのだから消費税を上げるんだと聞こえる。でも、ギリシャの消費税率は破綻時21%。消費税を上げたら財政が破綻しないなんてうそっぱちだ。でたらめなおまじない経済学にだまされてはいけない。(横浜市での街頭演説で)


うそはついちゃいけない。とくに、うそで増税をしてはいけない。


■「非世襲」強調、増税論議に挑む=菅直人首相(民主党代表)【党首奮戦記】
(2010/06/25-05:24)時事通信
・・・政策面で力を入れるのが財政再建だ。財政破綻(はたん)の危機に直面したギリシャの例を持ち出し、「誰が一番被害を受けるか。ギリシャで最初にやられたのは、年金と給料のカットなんです」と、消費増税が避けて通れないことを訴える。
 内閣支持率は菅政権発足でV字回復し、参院選に勝利すれば政権基盤も安定する。「他の国では、最低4年、5年は歯を食いしばって政権を維持し、やらなければならないことを前進させている」と、長期政権への意欲をのぞかせた。



これは違う。年金と公務員給与はギリシャの危機の原因であって結果ではない。問題をすりかえている。

ギリシャを教訓としたやらなければいけないこと、民主党の支持母体の官公労の給料を引き下げることでしょう。天下りの根絶でしょう。あなたが長期政権になってできるんですか。できないとすれば、長期政権下こそがギリシャ化の道ではないのですか。



■「経済成長なしの増税」では財政再建はできない
勝間和代(経済評論家)×高橋洋一(嘉悦大学教授)vol.2
5月31日 現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/628?page=2

・・・

大盤振る舞いのギリシャの年金
勝間:いま問題になっているギリシャでも、名目成長率や実質成長率の問題っていうのはあったんでしょうか。

高橋:ギリシャについていえば、成長率が低いとかそういう話しではない。もともと公務員の給料が高いとか、あと、年金がひどい

勝間:年金がひどいっていうのは。

高橋:年金の財政を見るときに、出生率がどうなるかっていうのが重要なんです。それと自分が働いてたときの何割くらいもらえるか。このふたつの要素でだいたい年金の財政って分かるんですよ。出生率が高ければ、結構余計にもらえるんです。出生率が低くなると、実は自分の働いてた分をもらえない。

 どんどん下がるわけです。逆にいえば出生率が低くても、もらうのも少なければ、それはそれで安定するんです。それが年金の特色なんだけど、ギリシャはそれで見ると出生率は日本並みに低い。

勝間:低いのに大盤振る舞いして年金は高い。

高橋:日本は、大ざっぱにいうと自分が働いてたときの給料の4割くらいをもらう。厚生省は5割っていってるのでマスコミはすぐ5割だというんだけど、あれはいちばん高いところで計算している。ザッと均してみると3~4割なんですよ。これは先進国の中でかなり低いほうです。

勝間:抑えめになっているわけですね。

高橋:でもそれは出生率とあっているから、それはそれで年金財政だけ見ると結構バランスはしてる。ギリシャも出生率はものすごく低いんだけど、実はほぼ全額もらうんです

勝間:そんなのもつわけないですよね。

高橋:日本並みの出生率だから、実は今の年金を半額くらいにしないと実はもうもちませんよ

勝間:財政破綻は間違いない。

高橋:間違いありません。

勝間:ギリシャはなぜ出生率が低いのですか?

高橋:これがよく分からない。これは不思議なんですよ。実はギリシャ人ってすごく女性が好きなんだね(笑)。

勝間:はい、そういう話ですね(笑)。

高橋:男女関係も積極的なんですよ。にもかかわらず出生率が低いっていうのは謎なんです。私もいくら研究してもこれだけは分かんなかった。

・・・

勝間:ギリシャというのは、G7や日本と並べて制度でも比較にならない。それがユーロの一員なのですごい国かも知れないと勘違いした。

高橋:そうそう、それが大間違いです。前回も言いましたが200年のうち半分は破綻しているような国です。ユーロに入るときにだって裏口入学ですからね。だからほんといえば、裏口入学した人は退学でしょ。

勝間:ユーロから離脱させるべきだと。

高橋:裏口入学したんだから、すいません退学してくださいだと思うよね。そしたらどうなるかっていうと、ギリシャは独自の通貨を持つ。するとギリシャだけが通貨安にドーンとなるわけです。

勝間:通貨安になってインフレになる。

高橋:通貨安になることで、ひとつの調節ができる。もちろん大変ですが、その後、金融政策と、財政をもうちょっと真面目に、税金取るとか、年金をカットするとか、公務員の給料をカットする。

 一方で独自の金融政策ができるようになるから、国内のショックを和らげることはできる。通貨安っていうのを使ってね、そういうふうにしたほうが、たぶんギリシャの調整は簡単にできるでしょう。

勝間:ギリシャを切り離せば、ユーロも全然関係ないっていうことになりますね。

高橋:少なくとも日本から見たら、ユーロは輸出しているけれどもギリシャはあまり輸出してないから、それでどうってことないですよ。ただ、これはたぶん政治問題があるから。ギリシャを入れた人ってたぶんユーロの中にいるわけですよね、その人たちのメンツ問題があるから、ほんとにやるのは難しいと思います。

勝間:現実にはそうはいかないから、ユーロのレートも落ちてきています。

高橋:裏口入学した人にゲタをはかせなくちゃいけないのは、他の人にはいい迷惑でしょ。だからユーロは絶対にたいへんになると思いますよ。

勝間:実際に景気も下がってますよね。

高橋:まあギリシャを援助しなきゃいけないわ、景気は下がるわで、泣きっ面に蜂でしょう。

・・・

勝間:いずれにせよギリシャと日本の財政事情は違う

高橋:さっきいった年金は日本のほうが低いんから、出生率がバーンって上がれば、それはそれでいまの給与水準だったら年金はすぐ簡単に解決する。公務員の話でいけば、給与については日本はそんなに高くないかもしれない。ただし、やっぱり公務員がたくさん多いのはダメだっていうことですよ。

 それと特殊法人がたくさんいるとやっぱり経済活動としてはまずい。いま逆に、民営化路線が全部ひっくり返っちゃっている。郵政なんかも典型なんだけどね、ああいうのをひっくり返すと実はギリシャみたいになっても不思議じゃないなっていうことはいえる

勝間:だんだん公務員が増えて、歳出が増えてきて。

高橋:あと国営企業増えてきて。郵政なんて民営化っていってるんだけど、あれ英語で絶対に民営化=プライバティゼイションとはいえません。正確にああいうのをいいうときには、ステート・オウンド・エンタプライズ=政府所有企業というんだけど、間違いなく郵政はそうなっちゃった

 前はプライバティゼイションだったんだけど、いまはもういえない。世界的基準でもし郵政を見ればあれは民営化になってない。政府所有企業になっちゃってるからそういう意味では逆行っていう形になりますね

勝間:残念ながら、別に日本が破綻しようとしたときにドイツが助けてくれるわけでもないから、これは困るわけですよね、将来。

高橋:日本がもし破綻したらどうなるかっていうと、それはIMFが来るだけですよ。失業率がボーンって上がって、企業倒産がガーンって上がって、もうたいへんになりますよ。

勝間:そのリスクってどのくらいあるんですか、現状のシナリオで。

高橋:この200年間で日本の財政が破綻していたのは戦争があった一時期しかなかった。普通であればない。ただし、いまの日本をみると政策手段として金融政策を全然使ってない。海外から見たら不思議ですよ。だから使えば普通にできるだろっていうふうに思うのが普通でしょ。


■高橋洋一の民主党ウォッチ
官僚製マニフェストに踊る 民主と自民の「似た者同士」
2010/6/24 17:04
http://www.j-cast.com/2010/06/24069508.html?p=all
参院選が公示され、公式に選挙モードになった。となれば、マスコミ各紙は、各党の政策比較をするものだが、今回はさぞかし大変だろう。民主党と自民党だけをとっても、夫婦別姓や外国人地方参政権などでは違いは明確であるが、国民生活に関係が深い経済政策ではほとんど同じになっている。

これを、民主主義が成熟してきて政策の差異がなくなってきたと理解することは間違いだ。民主党も自民党もそれぞれ政策の「家元」がいて、その家元の示すものを出しているだけだ。その家元とは霞ヶ関官僚である。

いきなり「4番」の増税持ち出す
第一に消費税10%であるが、自民党が公約として先に出した。それは、谷垣禎一自民党総裁の意向が大きい。いうまでもなく、谷垣総裁は消費税引き上げ論者で自民党総裁になった人だが、その基本は財務大臣の時に形成された。財務大臣を辞めても、財務大臣時代と同じように財政再建を言い続けたというより、他の政策を知らなかっただけだ。おそらく民主党は消費税引き上げをいわないと思い込んだのだろう。

しかし、やはり財務大臣を2010年1月から経験した菅直人総理も、急に消費税の話をし始めた。かつて「鼻血も出ないほどムダをなくしてから」と言っていたことなど、すっかり忘れ去って増税路線まっしぐらだ。民主党マニフェストには書かなかったが、菅総理は記者会見で10%への引き上げをぶち上げ、自民党にクリンチした。

実は、増税へのプロセスは、世界各国とも似ている。つまり、1番バッターで名目成長率を上げること(税増収)、2番バッターで埋蔵金を含む資産を可能な限り売却すること、3番バッターで公務員給与を含む歳出をカットすること、最後に4番バッターで増税をするという「打順」が大切だ。ところが、財務省の路線は、1~3番はもうできないといい、一気に4番に行くのだ。特に、埋蔵金を含む資産の売却は、霞ヶ関官僚の天下り先の資金源であるので、「家元」が財務省官僚であると、増税の前提条件にされない。

第2に成長戦略だ。09年の民主党は成長戦略がないと批判された。菅総理は新成長戦略を打ち出したが、それが麻生政権の時と瓜二つだった。民主党の新成長戦略の「グリーン・イノベーション」「ライフ・イノベーション」「クール・ジャパン」は、自民党麻生政権での「低炭素革命」「健康長寿」「魅力発揮」をカタカナに直しただけだ。なぜ同じになるかというと、これらは経産省らの官僚が家元になっているからだ。

ただし、(1)デフレ脱却、(2)名目成長率、(3)郵政民営化、(4)道州制などの違いもある。民主党では、(1)のデフレ脱却でインフレ目標が盛り込まれなかった。民主党内のデフレ議連が強く求めたが、現在の執行部では、こうした世界標準の考え方は受け入れられない。このため民主党の示す名目成長率は3%で、世界の先進国中で最低部類だ。筆者は、これまで名目4%成長は黄金律と表現し、増税なき財政再建のためにも必須条件であるといってきた。

民主は天下り「解禁」した
6月22日に内閣府から公表された経済試算では、大雑把に言えば、財政再建について名目2%なら消費税15%、名目3%なら消費税10%が必要になる。ということは、名目4%なら消費税5%ということで、やはり増税はいらない。自民党は、名目4%とインフレ目標があるので評価できるが、名目4%成長なら増税はいらないはずだ。しかし、消費税10%への引き上げを主張しており、ややチクハグな印象だ。
(3)郵政民営化、(4)道州制では、民主党の大きな政府指向がでている。民主党は、郵政民営化逆行の再国有化であり、さらに地域主権というが、実は一括交付金というカネづるは手放さないので、中央集権的な大きな政府指向だ。

いずれにしても、民主党と自民党で政策が似てきたのではなく、それぞれ家元が霞ヶ関官僚で同じになったのだ。この意味で、民主も自民も脱官僚になりきれないことがポイントだ。

6月22日に閣議決定された「退職管理基本方針」は民主党の脱・「脱官僚」をよく表している。「天下り法人への出向」という名目にすれば天下りとは扱わず、そのポストも公募対象にしない、と決めた。7月の役所の定例異動で、「天下り法人への出向」という名の天下りが大量になされるはずだ。この時期に閣議を行ったのは、7月人事を優先する官僚側に菅政権が屈して、以前であれば「裏下り(省庁OBらによる事実上の天下りあっせん慣行)」とかいって批判していたものを政府公認で「天下り」を解禁したわけだ。これが、民主党の現状だ


誠実で正直な論戦に期待しましょう!