財政運営戦略:「デフレ長期継続・低成長・歳出削減なし」の増税水増しプランです | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

財政運営戦略:「デフレ長期継続・低成長・歳出削減なし」の増税水増しプランです

秘書です。

党首討論していますね。

あいかわらず、菅総理は自分の得意なところに話題をもっていって話題をそらすのが得意ですね。
いまでいえば、ハブ空港(2005年は諫早湾。民主党はあれだけ諫早湾のこといっておいて、いまどうしてるんでしたっけ??)。

問題は、谷垣総裁がいったように、消費税増税の財源で何をするのか、そのときによっていっていることが違うこと。これを全部たしたら10%じゃすまないでしょう。

そこで、今日閣議決定した「財政運営戦略」をみてみましょう。


1.デフレを克服への意欲が感じられない

デフレは経済が死に至る病。デフレ下では財政再建は不可能です。

財政運営戦略では、歳出の大枠は3年間据え置きとしつつ「政府は、日本銀行と一体となってデフレを終結させる」としています。

デフレを脱するのは、成長戦略シナリオで2012年から、慎重シナリオでは2013年から。

デフレーターが1%台を上回るのは成長戦略シナリオで2015年、

慎重シナリオでは2023年度でも達成できません


これはデフレ脱却の意思がないといわざるをえない。デフレを長引かせて結果として増税の必要幅を大きく見せる試算をしています。

デフレ脱却について日銀に対して腰がひけている。いや、デフレ脱却への日銀の消極姿勢は、増税幅を大きくするためにはウェルカムなのかもしれませんね。

こういうのを、国民不在というのでしょう。

そういえば、菅政権になってから、「強い財政」とはいうけど「国民生活第一」といわなくなっちゃいましたね。


2.成長戦略シナリオをベースとするべき


強い経済なくして強い財政なし!  


今回の試算では必要な収支改善金額は以下のとおり。
()は消費税換算

                2015年度    2020年度
慎重シナリオ          5.2兆円     22兆円
                (約2.1%)     (約8.8%)
成長戦略シナリオ        なし       13.9兆円
                           (約5.5%)

です。2015年度には約5兆円、2020年度に約8兆円の差が出てきます。
収支改善を消費税増税で行おうとすれば、

消費税率1%あたり2.5兆円で計算すれば、慎重シナリオは成長戦略シナリオに
くらべて2-3%も増税幅が大きくなります。

強い経済のために成長戦略を作ったのに経済成長は、「慎重な経済見通しを前提とすることが基本」としています。

つまり、増税幅が大きくなる試算をベースとしているのです。

成長戦略に本気なら、成長戦略シナリオを基本とすべきですが。

やっぱり、強い財政が優先課題?


3.公務員天国を前提にするのか? 

試算における歳出の前提は

「社会保障歳出は高齢化要因で増加、それ以外の一般歳出は物価上昇率並

としています。あれれ?歳出削減放棄じゃないですか。試算は、

公務員人件費削減放棄!
200兆円の総予算のうち20兆円削減の放棄!


OECD諸国の財政再建を研究したハーバード大学のアレシナ教授によれば、

「財政再建の成功の条件のひとつは、歳出削減において、公務員人件費の削減と社会保障改革」

です。

政府の試算では、公務員人件費の削減すら前提にしていないのでしょうか?
民主党の人件費の公約は?
これでは財政再建は成功しません。
この試算の前提は、歳出削減を行わない、公務員天国です。

これから、2020年度には消費税を14%程度にしなければならないという大キャンペーンがはじまることでしょう。

あたかも、この財政運営戦略を支持する人が、責任ある人、賢い人という空気ができてくるんでしょうね。

しかし!

そのような人たちのプロパガンダこそ無責任で、

「デフレ長期継続・低成長・歳出削減なし」

路線を推進する人たちです。彼らの増税路線で、たしかに「デフレ長期継続・低成長・歳出削減なし」の日本が実現することでしょう。

メディアのみなさん!
増税こそ景気回復を本当に信じていますか?
政府広報以外に広告収入がない経済になりはしませんか?
税金から給料をもらう人は増税が正解です。
しかし、民間はどうなりますか?
1億総公務員になりますか?

誰がどういう増税支持キャンペーンをはるのか、しっかり記録をとっておきましょう!
将来の増税政策の失敗を、米国・中国・欧州・・・他国経済に押し付けさせることを許してはいけません。しっかりと、必ずプロパガンダの責任をとってもらいましょう!

いずれにしても、財政運営戦略は、

「歳出削減を行わない公務員天国、低成長の黄昏国家」シナリオ 

をベースにしたものだということに注意しましょう。