菅ノミクス:「味噌汁の味がする第三の道」とギデンズの第3の道 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

菅ノミクス:「味噌汁の味がする第三の道」とギデンズの第3の道

秘書です。

「第3の道」を提唱したアンソニー・ギデンズは、2009年11月刊行の『日本の新たな「第三の道」』(ダイヤモンド社)の共著本を出しています。

その中で、ギデンズは、以下のように指摘しています。


「今日本に求められていることは、市場主義改革と福祉改革を同時に推進することである。日本はイギリスのようなレッセ・フェール(自由放任主義)的な市場改革も経験していないし、そうかといって完璧な福祉国家も経験していない。日本には自由競争を制限するさまざまなシステムが存在し、市場原理が機能していない領域が多い。さらに、欧米諸国に比べると公的な福祉制度の整備も遅れている。

すなわち日本では、市場主義改革の必要性も福祉改革の必要性も、欧米よりもずっと大きいのである。言い換えれば、自由市場主義と福祉国家主義の弊害を乗り越え、両者をより高い段階で統合するという「第三の道」が、欧米とは全く異なる文脈において日本では重要な意味を持つことになる。」

                                   (同書ivページより)


昨年の段階で、ギデンズ氏は日本のことを「行きすぎた市場原理主義」だなんて認定していません。そんなことは経験していない、といっています。

市場主義改革の必要性を第2の道として否定する菅ノミクスは、ギデンズの第3の道とは似て非なるものです。

つまり、「味噌汁の味がする第三の道」は市場主義改革の必要性を認識するギデンズの第3の道とは関係なく、ケインズ主義の古いタイプの社会民主主義なんじゃないでしょうか?