郵政改悪:菅総理は「虚偽答弁」にのっかりますか | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

郵政改悪:菅総理は「虚偽答弁」にのっかりますか

秘書です。
多くの副大臣が留任となりました。
郵政改悪の「個人的試算」をお出になった大塚副大臣も、留任。



■【正論】慶応大学教授・竹中平蔵 郵政「改悪」で国民負担年2兆円
2010.6.9 03:03 産経新聞

 菅直人総理のもと、新しい内閣の政策運営が注目される。そのなかで、前政権末期に衆院で強行採決された郵政法案の取り扱いがどうなるか、一つの焦点である。郵政法案は、郵政ファミリーの利権を擁護する一方で、極めて大きな国民負担を課すものだ。にもかかわらず、政府の説明責任が果たされないままに、わずか1日の審議で強行採決された

 ≪“小沢的手法”の象徴だ≫

 これは選挙のみを優先し、数の圧力で民主主義を否定するという2点において、“小沢的手法”そのものである。菅総理は小沢氏の影響力排除を目指すというが、本当なのか。

 そもそも政策は、何を目的にして行われるのかが明確でなければならない。2005年には衆院だけで109時間の審議をして、民営化を決めた。そこには、「民間でできることは民間で」という行革的視点、「将来予想される収支悪化を防ぐ」という経営的視点、「公的金融を縮小し経済を活性化する」という金融改革の視点、を踏まえた3つの目的があった。

 これらを、郵便のユニバーサル・サービスを維持する、雇用を守る、といった制約条件を満たしながら実現するための制度設計が行われたのである。そのうえで、民営化の完成までに10年という経過期間が設定された。

しかし今回の見直し(以下では明確に改悪と言おう)は、以上3つの点のどこに問題が生じたから行うのか、一向に分からない。民営化初年度から郵政の収益は改善し、納税を行える体質になった。郵便局の閉鎖は、国が経営してきた時代よりもむしろ減少し、地方のネットワークは維持されていた。民営化のプロセスは10年の長期で評価されるもので、少なくとも順調な滑り出しだったといえよう。この点について参議院予算委員会で野党議員が出した質問に、担当大臣は一切答えなかった。

 見直しの意義が不明なまま、恐らく選挙の票目当てで今回のような修正を行うとして、いったいどのようなコストが国民経済にもたらされるのか。この点に関する説明も一切行われていない。筆者は、今回の改悪によって中期的に年間約2兆円の国民負担が生じることを指摘したい。2兆円という金額は、2003年にりそな銀行に資本注入した金額とほぼ同額だ

 ≪コスト削減は期待できず≫

 りそなは1回限りの負担だったが、郵政には毎年2兆円の実質負担が発生することになる。

 2005年の民営化決定にあたって、当時の政府は「骨格経営試算」なるものを作成し、国会にも提出した。それによると、民営化によって金融面の「信用リスク・ビジネス」など新規業務を展開すれば、そうでない場合に比べて約1兆円の利益が得られることが示されている。しかし、実質国有企業ではこうしたリスクを取ることは不可能になる。今回の措置で年間1兆円の利益が失われることになる。また、約10万人を正規雇用に振りかえる措置によって、3千億円程度の負担増が見込まれる。これを合わせると、年間1兆3千億円の国民負担増だ。

 さらに、現状でも日本の郵便料金はアメリカの2倍強の水準である。合理化が遅れ生産性が低いために高料金となっている。民営化によるガバナンス強化でコストを削減することが期待されたが、期待利益はこの先も実現されないだろう。郵便の総収入から判断して、国民は年間約7千億円の高いコストを払い続けることになる。


≪理解できない政府の答弁≫

 以上を合計すると年間2兆円。これが郵政改悪による国民の実質負担である。金利の逆ザヤなどが生じれば、負担は一層広がる。こうした説明がない強行採決は、民主主義の否定にほかならない。

 さらに言えばこの過程で、政府側からは「理解できない」答弁が相次いだ。まず、大塚耕平副大臣から事実に反する答弁がなされた。2005年の民営化決定時の審議では、法案を提出した政府が「試算」を出したことは先に述べたが、これを踏まえ野党は同様の試算提出を求めた。

 これが出されれば、国民負担が生じるのかそうでないのかが明確になる。しかし副大臣は、2005年の時もそうした試算は出されなかったと答弁したのである。このような虚偽答弁がなされ、かつ強行採決されたことは、国会運営の観点から前代未聞と言わねばならない

 政策である以上、常に賛成・反対はある。しかし、多数決で決するにあたって、互いに理解できる言葉で議論しておくことが民主主義の大前提である。しかし今回の国会審議では、賛成・反対を言う前にそもそも理解できない事柄があまりに多い。

 原口一博総務大臣は、今回の改悪を「民営化を進めるために必要」と答弁している。しかし元大蔵省次官を経営トップに据え、政府が株を持ち続けることの、どこが民営化なのだろうか

 菅新内閣は、「小沢的民主」の体質を本気で払拭(ふっしょく)する気があるのか。答えは数日中に出される。(たけなか へいぞう)



「虚偽答弁」せざるをえないからかそ、わずか6時間で強行採決したのでしょう。
菅総理はこの「虚偽答弁」にのっかるのか、否か。