民主党政調復活:「法案事前審査・党議拘束・政調会長代理」に注目 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

民主党政調復活:「法案事前審査・党議拘束・政調会長代理」に注目

秘書です。
民主党政調会が復活するそうです。
かつての自民党のような「政府・与党二元体制」になるかどうかが最大のポイントです。


■樽床氏、国対委員長に 党・内閣、「菅体制」固まる
2010年6月6日 東京新聞


 菅直人新首相(63)は五日、民主党役員・閣僚人事の陣容を固め、代表選の対立候補だった樽床伸二衆院環境委員長(50)を党国対委員長に充てる考えを表明した。閣僚人事では、国家戦略担当相に荒井聡首相補佐官(64)の起用が内定した。菅氏が復活させる方針を表明した党政策調査会の会長を兼任させる方向で検討している。 

 菅氏は同日夜、樽床氏のほか、官房長官に仙谷由人国家戦略担当相(64)、党幹事長に枝野幸男行政刷新担当相(46)を充てることを表明した。首相官邸で記者団に語った。

 菅氏は、党役員・閣僚人事について「内閣の一体性、全員が参加できる党という考え方で進めた」と述べた。党代表選で小沢一郎幹事長に近い若手・中堅議員が支援した樽床氏を起用することで、参院選に向けて挙党態勢をつくる狙いがある。

 小沢氏に批判的な仙谷、枝野両氏らの登用が党内で「小沢外し」と受け取られていることに関しては「そんなことはまったく考えていない」と述べた。

 党役員人事では、選対委員長に安住淳衆院安全保障委員長(48)、幹事長代理に細野豪志副幹事長(38)が内定した。また、海江田万里選対委員長代理(61)を党役員か閣僚で処遇する方向で調整している。

 荒井氏は当初、行政刷新担当相が有力視されていたが、菅氏の側近として中長期的な政策づくりを担う国家戦略相の方が適任と判断した。再任辞退の意向を示した赤松広隆農相は退任させる方針。北沢俊美防衛相(72)ら鳩山内閣の閣僚十一人を再任する方向だ。

 菅氏は七日の両院議員総会で党役員人事を正式に発表し、八日に新内閣を発足させる。



政調会長を閣僚と兼任させるということは、政調会長は国会開会中はほぼ国会審議と政府内の会合に拘束されますから、日常の党内調整は、政調会長代理が実権を持つことになるでしょう。どなたが政調会長代理になるかが、注目です。

党政調を復活させた場合、法案の事前審査をするのでしょうか。する場合には、ここに強力な拒否権が発生します。そしてこれが「官僚主導」復活の第一歩。

つまり、菅総理が何か新しい政策イニシアチブを発揮しようとしたとするでしょう。一部の霞が関勢力はこれをおもしろくないと思ったとします。すると、この一部の霞が関勢力は与党(いまでいえば民主党)の実力者と親しい議員(族議員)に泣きつきます。そうすると、ばんばん与党から政府を牽制する発言がでてきます。この政府・与党二元体制こそ官僚主導の胆です(くわしくは、飯尾潤先生の『日本の統治構造-官僚内閣制から議院内閣制へ-』中公新書の78-104ページの第3章「政府・与党二元体制」をご覧ください)。


自民党政権時代、この政府・与党二元体制こそが官僚主導につながるということで、官僚のロビイング活動を禁止しようとしました。ところがこれに猛烈に反対したのが当時野党だった民主党です。

政調が廃止されていた鳩山政権時代には目立ちませんでしたが、今後は、政調が政府・与党二元体制の拠点になるかが注目されます。

いままでは、小沢幹事長一人が党側を代表していました。これからは、政府側にいかないすべての議員が政府・与党二元体制の潜在的拒否権保有者になります(新人議員のみなさん、拒否権こそ政治力ですよ!)。霞が関からみた場合のロビイングポイントとなります。

その意味で、政調会会長代理のガバナンスが注目されます。

復活する民主党政調は法案の事前審査機能を持つのでしょうか。


法案事前審査機能を持たないとすると、党議拘束はどの段階でするのでしょうか。

委員会審議レベルでは、党議拘束がない?

ここは国対委員長の采配が注目されるところです。

法案の事前審査もない、党議拘束もない、だけど強行採決要員としてやらされる・・・

これはおかしいと、そろそろ民主党新人議員のみなさんも気付くはず。

委員会レベルで与野党修正協議をすることこそ、一人ひとりの発言権強化になるんですけどね。

強行採決要員になることではありません。

与野党協議こそ民主党議員の発言権強化につながります。

この意味で、国対委員長、政調会長代理がどのような法案事前審査、党議拘束、委員会与野党協議をやっていくのかに注目です。