増税決戦:ついに「大きな政府」本流政治がはじまる!? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

増税決戦:ついに「大きな政府」本流政治がはじまる!?

秘書です。
ついに、霞が関、官公労の期待を一身に受ける「大きな政府」本流政治がはじまりそうです。
たぶん、増税を正直に前面に打ち出してくることでしょう。
専門家も、メディアも、労働界も、「ギリシャ化させない」「スウェーデンをめざせ」の大合唱をはじめることでしょう。
この重大な日本政治の路線転換を、争点化してもう一つの道を提示するのか、争点化しないで増税翼賛体制をつくるのか、それにより、野党の陣容も変わってくるのかもしれません。



■鳩山首相退陣:「菅氏に期待」の霞が関
毎日新聞 2010年6月3日 東京朝刊
 鳩山首相の辞任を受けて、霞が関の各省庁では次期首相について、菅直人副総理兼財務相の就任を期待したり、予測する声が多い。首相交代による経済財政運営への影響を懸念する財務省では、菅副総理が消費税の増税など財政健全化に意欲を見せていることから、「政治的に難しい消費税増税を主導できるのは菅副総理しかいない」(同省幹部)と期待を寄せる。経済産業省の幹部も「菅副総理が最有力」と指摘した上で、「(1月初めまで)国家戦略担当相として経済成長戦略を主導してきており、悪い人選ではない」と語った。総務省でも、「今後の国会質疑などを考えると、政策が分かっている閣内から次期総理を出す以外ない。菅副総理になるのではないか」(同省幹部)との声が聞かれた。
 ただし菅副総理は「脱官僚依存」を掲げた鳩山内閣の主要閣僚で、政務三役主導の政策決定を自ら率先して行ってきただけに、今後については「もっと官僚を使いこなしてほしい」(財務省幹部)との注文が出ている。


「脱官僚依存」の看板は政権発足前にはずしていますから。財務相として財務官僚と対立したなんてなことは聞いたことがありません。

国家公務員法改正案審議で問題となった、損保協会への「裏下り」が疑わしい事案についても、財務相として何か関心をお持ちになって、何かされていると聞いたことはありません。

事業仕分けの名目で行われてきた、独立行政法人国立印刷局の保有資産の霞が関への埋め戻し、独立行政法人から財務省の一機関に復活させ、局長級ポスト復活、「全印刷」労組の国家公務員身分復活という、「事業仕分け路線」も容認されているのでしょう。

それより、菅さんは「デフレ下では増税してもサービス業の賃金に回せば経済は成長する」という経済財政思想をお持ちのようです。すでに内閣府に指示したといわれる試算も、国家戦略室にあがっているとか、いないとか。

内需依存企業のみなさま!この試算にご注目ください。外需依存企業はいいのでしょうが、内需依存企業はそうはいかないでしょう。死活問題になるかもしれません。この試算は「総理の個人的な試算」ですませるわけにはいかないと思います。



■菅財務相、財政再建路線の旗振り役に-鳩山退陣表明で後継に浮上
6月3日(ブルームバーグ):鳩山由紀夫首相の退陣表明を受け有力後継候補と目される菅直人副総理兼財務相は、今年1月の財務相就任以来、財政再建路線へ大きくかじを切ってきた。ギリシャの財政危機など欧州のソブリンリスクの高まりを契機に、日本の巨額な公的債務残高と財政赤字への対応が喫緊の課題になってきたからだ。

  就任直後の1月の会見では「少なくとも増税から入っていくのではなく、今までの財政の在り方を徹底的に洗い出すというところから入っていくべきだ」と述べ、消費税増税よりも国の予算見直しを通じた無駄の排除を最優先する考えを示した。だが、今や消費税議論の開始を指示するなど財政健全化路線の旗振り役と目されている。

  財政規律重視を印象づけたのが、来年度予算編成方針に関する5月11日の発言。財務相は「新規国債発行を今年度の44兆3000億円を超えないよう全力を挙げて努力する必要がある」と表明。これに対し、鳩山首相は「当然、政府として決めている話ではない」と一線を画した。

  内閣府の委員を務める小峰隆夫法政大学大学院教授は菅氏が後継首相となった場合、財政健全化問題は「鳩山さんよりは進むと思う」と予想。「今、財務大臣をやってよく理解している」として、「相当そこは問題意識を持っている」と指摘する。

  シティグループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは「財務大臣就任当時は、みんな景気刺激的寄りと思っていた。しかし、それから財政再建も重要だということでそちらの方に傾いてきている感がある」と指摘。「その一因としてはグローバル・ソブリンリスクというのが、今年初めから言われてきたというのがある」とみている。

  菅財務相は鳩山氏とともに1996年9月に民主党を立ち上げ、初代代表に就任した同党の重鎮。昨年9月の鳩山内閣発足時には副総理兼国家戦略相に就いたが、藤井裕久前財務相が今年1月に体調不調を理由に降板したのを受けて財務相に就任した。

 消費税論議の封印解く

  就任後の軌跡を振り返ると、将来の消費税増税も見据えて消費税議論の封印を解いたことが、その方向性を端的に示している。財務相は3月に政府税制調査会の下に専門家委員会を置き、消費税を含む税制全体の見直しに着手した。

  鳩山内閣では任期中の4年間、消費税増税はしない方針を掲げていたが、菅氏は初会合後の会見で「当然、消費税についても議論していただく」と言い切り、リーダーシップを見せつけた。

 転機は格下げとカナダG7

  財務相の考えに大きな転換をもたらしたとみられるのが、2月にカナダ・イカルウィットで開かれたG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)と、その直前の1月に発表された米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による日本国債の格付け見通しの下方修正だ。

  S&Pは、日本の経済政策の柔軟性が縮小しており、財政力・デフレ圧力を食い止める対策が取られなければ、格下げになる可能性があると警告、日本のソブリン格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。

  格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスのシニアバイスプレジデント、トーマス・バーン氏は今年1月、日本国債の格付けに関連して、市場の信認を確かなものとするような信頼性のある財政政策が必要と指摘した。

  同省の政務三役の1人は、菅財務相が財政赤字などを強く懸念するようになったのはG7や20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議に出席してからだと明かす。消費税論議を指示したのはイカルウィットG7から帰国直後だった。

  菅財務相の経済アドバイザーとして2月に内閣府参与に就任した大阪大学の小野善康教授は、菅氏について「物事を完全に理解し、それが正しいと分かればきちんと意見を変える。そういう政治家はあまりいない」と語る。

中期財政フレームと新成長戦略

  鳩山内閣は6月中に財政規律を確保するため、「中期財政フレーム」や「財政運営戦略」、それに「新成長戦略」を取りまとめることにしていた。鳩山首相の退陣表明によって、こうした重要な財政・経済政策が予定通りにまとまるかどうかに不透明感も出てきた。

  仙谷由人国家戦略相は1日の会見で、作業は「極めて順調」として月内に取りまとめる方針に変わりがないとの考えを示したが、消費税などの税制や歳出などの主要な政策を具体的にどう盛り込めるのか、政局不安定の下では定かではない。

  民主・社民・国民新の3党連立政権が崩れた上に、7月には参院選を控えている。選挙結果によっては、政策の実現を担保する法案が成立しない可能性も否定できず、中期財政フレームなどの内容を反映させた財政健全化法案の行方も見通せない状況にある。

  バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは今後について、菅首相の下で政策面で近い仙谷国家戦略相が有力ポストに就いた場合には、「財政再建路線が内閣の総意として確定する」とし、消費税増税がより現実味を帯びると予想している。一方で、積極財政派の国民新党との連立が障壁になるとし、「財政再建の方向性が共有されるかが、新内閣の重要な課題」とも指摘する。

  菅氏は1946年山口県宇部市出身の63歳。70年に東京工業大学を卒業後、3回の落選を経験し、80年の衆院選で初当選。社会民主連合に所属した後、94年には新党さきがけに入党。96年に自民・社民・さきがけの3党連立政権下の橋本龍太郎内閣で厚生相に就任し、薬害エイズ問題を追及して一躍脚光を浴びた。民主党代表は2回勤めている。東京都第18区選出で当選10回。


さて、民主党新首相が「増税」を前面に掲げてきたら、野党はどうします?