郵政改悪:「上手くいって民業圧迫、失敗すれば国民負担」法案が閣議決定 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

郵政改悪:「上手くいって民業圧迫、失敗すれば国民負担」法案が閣議決定

秘書です。
せっかくいい天気のGWの狭間に、
とってもGREAT WORRY(深憂)な、
「郵政改悪法案」閣議決定です。

鳩山政権は、郵政事業への政府関与を強め、かつ、金融事業を肥大化させようとしています。

「民主党政権の本質」が現れた政策だと思います。

1.官中心の活力なき国家

郵政民営化でサービスが低下した、地域経済が疲弊したといいますが、因果関係がはっきりしません。

サービス低下の代名詞としてあげる「高齢者向けの貯金取り扱い代行」は本来やってよいサービスなのでしょうか?不祥事は起きていないのでしょうか?

地域経済が疲弊したのは、世界レベルでの経済競争に対応するための改革が中途半端だったのであり、郵政とは関係ありません。

郵政の金融保険事業に事実上の政府保証をつけ取り扱い金額を倍増させれば、これまで「民間銀行に預けていた預金や、民間生保の生命保険」をやめて「郵政グループ」へという流れが生じる可能性が極めて高くなります。これを「民業圧迫」といいます。

事業仕分け第二弾では、URなどの民業圧迫を指摘しながら、一方で、銀行や生命保険の民業は圧迫し、民間雇用を奪おうとしています。このダブル・スタンダードはいったい何でしょう?

政府は「郵便事業のユニバーサルサービスを守るため」といいますが、民業を圧迫しても良いという理由にはなりません。
  
郵政改悪でやろうとしていることは、URに例えるならば、「URを肥大化させ、民間の不動産業を圧迫して得た利益を天下り職員の人件費に当てようとしている」ようなこと。

この流れが広がれば、日本の経済社会は社会主義化します。社会主義が破綻したことは歴史が証明しています。

民主党は、「官から民」の流れを逆行させ、民間活力を奪い、官中心の国を作ろうとしています。
  

2.見通しなき政策立案
    
郵政肥大化に伴う長期の事業計画や、収支計画も発表していません。

官営化するのに収支の試算もしないとはどういうことでしょうか。

民間会社だから、というのなら、即時、株式を売却すべきでしょう。無期限で100%政府保有会社にしておきながら、民間会社だから収支の試算は出さないなんて、通用しません。

小泉改革では、民営化を進めなければ郵政事業が行き詰まり、国民負担が増大するという見通しのもと、民営化後の経営試算を提示して決定しています。

鳩山政権は、郵政で集めたお金を地域に回すといっていますが、官僚OBをトップとするお役所体質の中でそのようなことが効率的にできるのでしょうか?失敗しても、官僚OBの責任が問われることはないでしょう。最後は国民負担に直結します。

かんぽ、ゆうちょで集めた資金の大半が国債で運用されるとすれば、その程度の運用利回りでどうして郵便事業からかんぽの宿まで維持できるのでしょうか?金融自由化でそんなやりくりは持続不可能だから、それぞれが自立してサービスを維持しようとしたのでしょう?
  
さらに、郵政が肥大化し、国債にまわせるおカネが多くなれば、ムダを省いて財政再建しようとする意欲がそがれます。
   
まさに、郵政肥大化は

「成功したら民業圧迫、失敗したら国民負担」
(4月6日の衆議院財務金融委員会での小泉進次郎議員の質問より)
  
となる可能性が極めて高い。

4.民意無視

2005年、小泉元総理は郵政民営化の是非を国民に問い、民営化を進めました。

昨年の総選挙で、民主党は郵政の見直しはマニフェストに書いてありましたが、こんな官業肥大化とはびっくりです。だから、各種世論調査で、国民は民主党の郵政肥大化に反対しています。
  
  「上手くいって民業圧迫、失敗すれば国民負担」法案、

選挙の後に、突然、後出しジャンケンのように出してくるのは、フェアではありません。

2005年の民意をアナウンスなしに、信認なしに決定的に覆すわけで、やはり、衆参同日選挙をしないとおかしいのでは?