高速新料金:迷走劇ではなく「新しい政治」論って | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

高速新料金:迷走劇ではなく「新しい政治」論って

秘書です。
今日、衆議院内閣委員会で午後1時から、2時間10分のロングラン質問に中川秀直が立ちます。
ところで、昨日、迷走劇の言い逃れから突如でてき「新しい政治」論。一体何?


■鳩山首相、指導力欠如またも露呈=高速新料金、政権の迷走拡大
(2010/04/23-00:36時事通信)
 高速道路の新料金制度案に関し、鳩山由紀夫首相は22日、民主党との間で確認したはずの「見直し」方針をわずか1日で撤回した。政策決定への党側の「介入」に猛反発した前原誠司国土交通相の巻き返しに押し切られた格好だ。米軍普天間飛行場移設問題や郵政改革での迷走に続き、国民生活にかかわる重要政策をめぐり生じた今回の混乱は、首相の指導力欠如の深刻さを浮き彫りにした
 「ぶれているとかという話ではなく、新しい政治をつくり上げていこうというメッセージだ」。首相は22日夜、記者団にこう語り、新料金案を現時点では見直さないと方針転換したことへの理解を求めた。
 しかし、迷走に拍車を掛けた原因が、首相自身の発言の軽さにあることは否めない。21日の政府・民主党首脳会議で、小沢一郎幹事長から見直しを促された首相は、政府内で再検討する意向を表明。22日朝も記者団に「政府が引き取って見直そうとなった」と明言していた。
 首相が方針を変えた背景には、小沢氏と距離を置く前原氏の「仕掛け」があった。
 22日午前の国交省政務三役会議で、前原氏は首脳会議で新料金案の再検討が決まったことに関し、「1党の意見で修正するのはおかしい」と主張。(1)新料金制度は現時点では見直さない(2)関連法案の審議の推移によっては修正もあり得る-とのペーパーを取りまとめ、首相官邸で首相と直談判して了解を取り付けた
 新料金案は、小沢氏が昨年末の予算要望で料金割引に充てる財源の一部を道路建設にも回せるよう求めたのが発端だ。前原氏としては「『小沢氏の意向を踏まえてつくったスキームなのにどうして』との思いがある」(民主党中堅)。国会審議を経ての修正に含みを残した前原氏の姿勢には、仮に見直すにしても小沢氏の言いなりになるわけではないとの反発心がのぞいた。
 一方の小沢氏は22日、鹿児島市での集会で、前原氏がまとめた新料金案を「(国交省から)結果として出てきたのは、無料どころか値上げだ。皆さんにうそをつくことになっちゃう」と切り捨てた。


突如出てきた「新しい政治」とは?


■高速料金見直し、首相「国会で」…調整不足認める
4月22日22時49分配信 読売新聞
 鳩山首相は22日夜、前原国土交通相が6月から導入すると発表した高速道路の新たな料金制度に与党から反発が出ている問題について「国会の場で真剣に議論していただき、もし見直すことが必要であればその結論を見いだしていく」と述べ、国会の審議を踏まえて新料金制度を修正する方針を表明した。
 首相官邸で記者団に語った。首相が、担当閣僚の決定を党の求めに応じて見直す方針を示したことで、鳩山政権が掲げる「政策決定の内閣一元化」は根幹から揺らぐ事態となった
 首相は「必ずしも党と政府ですべての考え方が一致していなかった側面はある」と政府・与党間の調整不足を認めた。同時に「国民の意見、党の考え方に基づいて大いに審議をし、変えていくというのは、新しい政治の姿としてあってしかるべきだ」とも強調した。
 新料金制度をめぐっては、民主党の小沢幹事長が21日に首相に見直しを求めた。これに反発した前原国交相は、22日に首相と面会して「現時点において見直しは行わない」として新料金制度の撤回にはただちに応じない考えを伝えたが、国会の求めに応じた見直しであれば容認する考えを示していた。
 こうした前原氏の姿勢に対し、小沢氏は22日夜、鹿児島市で開かれた党鹿児島県連のパーティーでのあいさつで「(無料化を)約束して選挙で戦った。結果として出てきたのが、無料化どころか、値上げだ。これでは説明がつかず、みなさんにウソをついたことになってしまう」と述べ、新制度の見直しの必要性を強調。前原国交相を念頭に「役所を説得できないところに、こういう結果が出ている」と批判した。



この迷走劇から出てきた「新しい政治」論の注目点は以下の点です。


(1)小沢幹事長の前原大臣批判の「役所を説得できないところに、こういう結果が出ている」という部分。

問題は党側の意向に即した道路建設方針に起因するマニフェスト違反に対する国民の反発であるはずなのに、それが大臣が役所を説得できない結果とされているようにみえます。もしも、大臣と役所が一体ならば、国民はマニフェスト違反と思わなかったのでしょうか?

大臣が役所を説得できないとは、どういう事象をもっておっしゃっているのでしょうか。もしかして、前原大臣に不満を持つ役所の人が民主党に根回しして、それが原因で民主党内が反発していることを暗示しているのでしょうか。大臣のリーダーシップをけん制するために与党の有力議員に泣きついて大臣をけん制することこそ「官主導」の極意です(もしもそうだとすると、民主党に「政治主導法案」を提出する資格があるのでしょうか?)

つまり、「新しい政治」は、官主導への回帰現象につながるリスクがあるということです。



(2)鳩山首相発言の「国民の意見、党の考え方に基づいて大いに審議をし、変えていくというのは、新しい政治の姿としてあってしかるべきだ」の部分。

国家公務員法改正案提出前は「修正協議に応じるつもりは全くない」(4月6日記者団に。委員会審議の過程で中川秀直の指摘を受けて「撤回」)といっていた。

いつのまにか、新しい政治論で、国会提出前の政府・民主党の調整はなくて当たり前、国会の修正はあって当たり前に。

この矛盾はどう整合性をとりうるのか。とれるんですね。鳩山首相のいう、国会で審議する「党の考え方」というのが、野党ではなく、与党だということ。それならば整合性がとれる。

国会で野党のいうことは聞かないが、与党のいうことは聞く(きっと、「国民の意見」の部分に野党も含むと答えるのでしょうが)。

国会は国権の最高機関です。ここの権力を握る与党が、政府とは異なる判断することを容認したのが「新しい政治」論です。


そうすると何が起きるか?

大臣主導で何かの法案を国会提出したとしましょう。官僚機構には不満がある。官僚機構は与党に泣きつく。与党は国会で修正する。

こうして、「政府・与党二元体制」という名の「新しい官僚主導体制」ができるわけです。

つまり、官邸とは別の、「新しい権力」ができるわけです。

政府機構と党組織の二重権力があり、党組織が優位に立つことが「新しい政治」になっていくのではないでしょうか。

もしも、この仮説を否定するならば、あらゆる法案について、委員会レベルで与野党協議で法案修正をしなければおかしい。

国家公務員法改正案の与野党協議はいつはじまるのでしょう?

「新しい政治」の意味を考える上で、とても重要な事案になってきました。



なお、昨晩の枝野大臣のニュースZEROでの「新しい政治論」の発言の動画はこちらから↓
http://news24.jp/articles/2010/04/23/04157952.html#