公務員制度改革対案:民間目線でポイントをいうならば | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

公務員制度改革対案:民間目線でポイントをいうならば

秘書です。
事務所のテレビでは、衆院本会議での公務員制度改革法案(政府提出・自民+みんな提出)についての審議の生中継がいまおわりました。

いっしょにみていた経済卿さんにいわれました。

「民間の感覚だと、公務員改革の意義がいまひとつよくわからない。伝わっていませんよ。そこがつたわらないと、政府法案と野党法案の違いもわからない」

どこがわからない?

「民間だと社長がやれ、といえば社員はやる、それだけでしょ?」

「ようは、公務員給与にキャップをはめて、あとは自由にやれといえばいいんじゃない?」

なるほど。ここから議論に入りましょう。

ここに「政府」という名の会社があるとしましょう。


(1)「政府」は「社長がやれといっても動かない会社」です

いまの政府は「社長がやれといっても動かない会社」です。多くの民間経営者が政府機関にたずさわるとき「俺は霞が関に友人が多い、彼らは俺がいえばいうことを聞く」「やるべきことは分かっている。リーダーが指示すればいい」といいます。しかし、そういうみなさんは、霞が関に来て唖然とします。会社の論理は通用しません。そのカラクリは以下のようなものです。

①「政府」は人事権が各部に存在する会社です。営業部の人事権は営業部に所属しています。企画部の人事権は企画部にあります。そして、それぞれの部単位で、新規学卒者を採用して、こいつは営業部の人間だ、企画部の人間だ、として一生涯のゼッケンを背負わせて、子会社出向など退職後の第二、第三の人生を保証しています。そんな中、社長が営業部の縮小をいってきました。例えば、営業部の社員は社長のいうことを聞きますか?

②では、どうやって、社長のいうことを撤回させるのか。この会社は年中無休で株主総会をやっています(=与党の政調会(今は民主党は廃止されていますが)、それと国会も!)。営業部は株主に泣きつきます。「社長はこんなひどいことをいっています。なんとかしてください」。毎日株主総会をやっていますから、当然、社長は株主総会で糾弾されます。

③いまの「政府」は、毎日の株主総会が禁止されてしまったようです。それだけ、社長と各部の社員の利益が一体だということですね。

(2)「政府」は「給与引き下げができない会社」です。

①「政府」はせめて、一律の給与引き下げにより、会社を存続させるか?いいえ、できません。普通の会社なら、一律ボーナスカットなどでしのぐでしょう。しかし、「政府」という会社にはそれができないのです。「政府」の社員は、スト権が制約されているということで、その代償措置として、身分・給与保証がされているからです。ですから、赤字会社にもかかわらず、給料もさがらない、ボーナスももらえる、ということになっています。

②普通、こんな会社は倒産です。でも、「政府」は倒産しません。強制的な料金引き上げにより、自分たちの給与を確保できるからです。

(3)「政府」は幹部も一般社員と同じ扱いです。

①「政府」の役員は、一般社員と同じ扱いを受けています。社長の方針に逆らおうが何しようが、一般社員と同じように、身分と給与が保証されます。幹部も、会社経営に失敗しても共同責任の対象になりません。

②普通の会社なら役人になるとき、いったん、一般職とは別の体系になりますよね。「政府」では事務次官まで、一般職員と同じ扱いです。

③俺たちが会社を動かしている、というみなさんが、新卒社員と同じ保護のもとにある。結果責任は絶対に問われることはありません。

④ここでは、たとえ、メディアに「学者に企画部長務まるわけないじゃない。バカらしくてやってられないよ」「いまの社長なんてどうせすぐひきずりおろされるよ」と酒をのみながら話をして情報リークしても、株主総会の総会屋?にメモを書いても、左遷されることもありません。


こんななかで、社長がどうやってリーダーシップを発揮できるでしょう?

そんな観点から、政府案と自民・みんな案を比較してみてください!