郵政改悪:民主党は規模縮小を望んでいたはずですが | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

郵政改悪:民主党は規模縮小を望んでいたはずですが



■郵政改革で首相「官の肥大化論は杞憂」
3月31日19時14分配信 産経新聞
 鳩山由紀夫首相は31日、政府の郵政改革案が「官の肥大化」を招くと指摘されていることについて「杞憂(きゆう)にすぎない。(ゆうちょ銀が)地域の金融機関と共存共栄できる状況を作り上げていくことは十分に可能だ」と反論した。首相官邸で記者団の質問に答えた。首相は「郵貯、簡保は10年間で100兆円ほど資金量が減り、大変厳しい状況だ。何らかの公的な役割を持たせた形にしたい」とも語った。
 また国民新党代表の亀井静香郵政改革・金融相は同日、都内で記者団に、ゆうちょ銀の預入限度額引き上げに異論を唱えた仙谷由人国家戦略担当相について「(仙谷氏が推進した限度額引き下げは)5年前の話だ。民主党は180度変わった。仙谷氏は1周遅れ、2周遅れだ」と批判した。


質問:

①「何らかの公的な役割を持たせた形にしたい」=「官の肥大化」になりますよね?

(更問:「新しい公共」論では民が公共を担うといいながら、郵政については、民間企業は公共性を持つことができないと考える理由如何)

②「郵貯、簡保は10年間で100兆円ほど資金量が減り、大変厳しい状況だ」というのは、まさに、5年前に民主党が理想としていたことであり、歓迎すべきことではないですか?


上記と質問②のご参考まで、5年前に民主党代表だった岡田外相の意見を。
どうみても、規模縮小はいいことじゃないですか?規模縮小→民営化すればいいじゃないですか?

http://www.katsuya.net/report/koizumiseiji/4-2.html

すなわち、350兆円という郵貯・簡保マネー、とりわけ郵貯マネーは従来、財政投融資に直入で流れ込んできた。その後、財投改革の中で、国が直接保証しない財投機関債を特殊法人が発行することを可能としたにもかかわらず、その財投機関債は極めて限定的にしか発行されていなかった。そして、政府が発行する財投債、あるいは国債そのものの購入に郵貯・簡保マネーが利用されている。これをどうにかすることこそが問題の本質であると指摘した。

私が言おうとしたのは、郵政公社自身が大量の財投債を含む国債を購入している、ここを改めることは政府の判断で可能であり、その出口を絞ることで郵貯・簡保マネーの大幅な縮小につながるということである



私は、総理は全く質問に答えていないとしたうえで、郵政民営化と言うが、民営化した株式会社が350兆円を自分で運用する能力がどこにあるのか、350兆円のボリュームを減らさないと話が始まらない、その具体案を示すべきと再度質問した。


いま改めて、このときのやり取りを思い返すと興味深い。私の問題意識は、民営化の具体論で議論すべきで、実現不可能な民営化あるいはリスクの高すぎる民営化であってはならないということと、そのためにも、まず350兆円の郵貯・簡保マネーの規模を縮小すべきであるということだった。350兆円の規模縮小は、財投制度の仕組みが変わった以上、政府の意思で出来ることであるとの認識に立っての質問だった。



次に、郵貯・簡保については、将来的には民営化が本筋と考えていると改めて明言したうえで、将来展望なき民営化は350兆円の国民資産をリスクにさらすとともに、日本経済にも大きな混乱をもたらしかねないと指摘。もう少し丁寧に民営化を模索することが必要だと述べ、具体的に次の3点について明確化を求めた。

第1に、個人金融資産の約25%を占める350兆円の郵貯・簡保資金の運用が民営化されたときに、この国民資産を安全・有利に運用できる能力をいかにして短期間に高めるのか。

第2に、郵政公社が保有する150兆円を超える国債を民営化法人が自由に売却したときに、国債市場は大丈夫なのか。

第3に、220兆円の巨大銀行、120兆円の巨大保険会社の誕生で、金融市場の健全な競争環境は維持されるのか。



この時点で私は、郵貯・簡保は可能であれば民営化が望ましいと考えていた本来民営化が筋であるとあえて述べたのは、私の正直な気持ちである。しかし、350兆円という巨大な資金、その原資は国民の小口貯金と簡易保険である。段階を踏んでリスクを減らしながら、民営化を実現しなければならない。そのためにも、次の3点が重要だと考えていた。

第1に、350兆円の郵貯・簡保資金は、政府が財投債を郵政公社に買わせることが問題。これを制限すれば、郵便局が無制限に民間資金を集めることは出来なくなり、規模縮小につながる。政府が財投債を郵政公社に買わせないことは、郵政の民営化論とは関係なく小泉総理の意思で実現できることであり、直ちに実行すべきだということ。

第2に、郵貯・簡保の民営化は方向としては正しい。しかし、巨大すぎるままの民営化ではリスクが大きすぎ、まず預入限度額引き下げなどで規模縮小に着手すべきである。民営化されたときの地方の金融機関への影響などの問題も解決されなければならない。そもそも、いままで全く経験のない貸付などが、民営化された郵政公社に果たして可能なのか。実現可能なビジネスモデルの提示が必要だということ。

第3に、郵便事業については、国の関与は残すべきだが、他方で国の関与の残った郵便局が民間の事業分野にどんどん進出することとなると、かえって非効率となる。したがって、官業肥大にならないような仕組みが必要だということ。