郵政改悪:社説やコラムでも批判されています | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

郵政改悪:社説やコラムでも批判されています

秘書です。
社説やコラムも郵政改悪を批判しています。


■郵政改革法案 非効率な官製金融が膨張する(3月25日付・読売社説)
(2010年3月25日01時38分 読売新聞)
 資金の流れを「官から民へ」と変える郵政改革の狙いに、逆行するといわざるを得ない。

 政府が発表した郵政改革法案の最終案は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険に対する国の関与を残しながら、業務を拡大する内容となった。

 圧倒的な規模と信用力を持つ官製メガ金融が強化されれば、民間の金融機関や生保は預金や契約を奪われて、痛手を受けよう。

 官業による民業圧迫は、官の無駄を徹底的になくすとする民主党の方針とも矛盾する。利便性向上の裏で、郵政ファミリーの肥大化を図る改悪は避けるべきだ。

 日本郵政グループは、現在の5社体制を3社に集約して、郵便事業を行う親会社の下に、ゆうちょ銀とかんぽ生命の2社を置く体制となる。

 5分社化による縦割りや連携の悪さは、ある程度改善されよう。基本的な金融サービスも、全国の郵便局で行う。配達の人に貯金を頼めないなど、民営化の不便が解消することは歓迎したい。

 問題は、金融2社の拡大路線にある。政府の親会社への出資比率と、親会社の金融2社に対する出資比率は、ともに3分の1超とした。完全民営化で郵政グループから独立するはずだったゆうちょ、かんぽは官業であり続ける。

 そのうえ、貯金の限度額は1000万円を2000万円に、保険の加入限度額は1300万円を2500万円に引き上げる。

国の後ろ盾という信用力を持ちつつ、限度額を増やして集金力を強めれば、特に地方の信用金庫や信用組合など、中小金融機関への影響は大きいだろう

 ゆうちょは資金の約8割を国債で運用し、かんぽを合わせると200兆円を上回る。

この巨額資金を国債購入で塩漬けにすれば、郵貯が特殊法人の生き残りに使われた時代と変わらない。さりとて、審査能力は乏しく融資の急拡大は非現実的だ。

 政府関与を残すのなら、限度額を逆に下げ、少額決済など公益的な業務に絞り込むべきだろう。

 過疎地などで全国一律サービスを維持する費用は、日本郵政に対する減税など、国民負担でまかなわれる。日本郵政は効率化と無駄削減を徹底する責務がある。

 それなのに、郵政で働く20万人の非正規雇用者のうち10万人を給与の高い正規雇用とするのはどうか。人件費がかさみ、以前の国鉄のような水ぶくれの赤字体質になる。経営効率を監視する第三者機関などが必要となろう


「以前の国鉄のような水ぶくれの赤字体質」になって、国民への負担押し付けでしょう!


■民の活力奪い郵政を肥大させる誤り (3月25日付・日経新聞社説)

 270兆円の資産を抱える巨大な「官製金融」がさらに膨らみ、民間の活力を阻害しないか心配だ。

 亀井静香郵政・金融担当相と原口一博総務相は郵便貯金の1人当たり預入限度額を現在の2倍の2000万円、簡易保険の加入限度額を2倍弱の2500万円に上げる点で合意した。一連の郵政改革法案は4月中に国会に提出される運びだ。

 日本郵政の経営体制は、郵便事業、郵便局も営む親会社と、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の2子会社の3社に再編する。親会社に政府が3分の1超を出資し、金融2社には親会社が3分の1超を出資する。

 民間の銀行や信用金庫の預金は元本1000万円と利子しか保護されない。政府の後ろ盾があるゆうちょ銀の場合、2000万円まで安心と誰もが考えよう。預金者は便利かもしれないが、お金の流れをゆがませ結果的に経済にマイナスだ。

 金融システム全体のなかで郵貯をどう位置付けるかの視点が欠けている。何より「暗黙の政府保証」を背負う郵貯や簡保が、民間資金を吸い上げる懸念がある。経営基盤の弱い信金や信用組合など中小金融機関からの資金流出が加速しかねない。

 ゆうちょ、かんぽの金融2社の完全民営化を撤回する一方で、業務は大幅に自由化される。住宅ローンやがん保険の販売を想定している。

 業務の制約をなくすのは、政府が全国一律の郵便・金融サービスを郵政会社に義務付け、郵政グループの非正規社員のうち約10万人を正社員に切り替えることの「見返り」だ

 預金や保険の残高を伸ばし、経費増を吸収させるもくろみである。郵政グループ内の取引の消費税を免除し、負担を軽減する構想さえある。

 官業を優遇し民間との競争条件が不平等になるのは、国内の問題にとどまらない。米欧は足並みをそろえ懸念を日本側に伝えている。不公正な扱いを世界貿易機関(WTO)などの場に訴えられる可能性さえある。業務を自由化するなら、少なくとも金融2社への政府の出資をゼロにしなくてはなるまい。

 「官から民へ」と資金の流れを変える改革が中断すれば経済の活力も鈍る。政府関与が続く限り郵政が「政府の財布」として使われ、不採算の融資や国債の購入を強いられることになりかねない。それは財政規律をさらに緩ませるリスクをはらむ。

小政党を率いる亀井氏が特定郵便局に有利な制度変更に走る構図である。鳩山由紀夫首相は法案修正の可能性に触れたが、その決意はあるのか。見識と実行が問われる。

WTOで違反と判断されて、世界の失笑をかうまで、手をこまねいて郵政改悪を放置するのか?
国民の力で郵政改悪を阻止するのか?
国民の「決意」「見識」「実行」も問われています!

最後に、ウォールストリートジャーナルのコラムより。


■【コラム】日本の郵政改革の後退 HEARD ON THE STREET
2010年 3月 25日 9:28 JST

 「借り手にも貸し手にもなるな」(シェークスピアの戯曲『ハムレット』)。自分自身から借りられる場合を除いて。
 日本政府は24日、ゆうちょ銀行とかんぽ生保への3分の1以上の出資を維持する計画を発表した。政府が両社の経営決定を阻止できる十分な出資比率だ。

 預入限度額と生保加入限度額は倍増され、両社の安い資金へのアクセスが高まることになる。実質的に政府の後ろ盾があるという安心感から、機会があれば、国民は今までよりも両社に資金を預けようとするだろう。

 これらの企業を抱える日本郵政は日本国債の最大の保有者で、発行済み国債の約3分の1を保有している。言い換えれば、政府はこれまで以上の資本を使えるようになる一方で、最大の貸し手をしっかりと支配下に置き続けることになる。

 これはもちろん、郵政改革の後退だ。昨年新政権が誕生するまではゆうちょ銀行とかんぽ生保―資産額では世界最大規模―は民営化に向かっていた。国家の巨額の債務を減らすための資金調達が狙いだった。

 民営化されれば、低利回りの国債購入という負担から逃れ、3兆3000億ドルの資金の一部を日本経済の他の分野に投資したり融資したりすることができただろう。しかし、両社とも、あまり役立たない公共事業や国家に関連した企業への融資会社であり続けることになる。

 国営郵政事業に金融面で依存することは過去には意味があった。個々人の貯蓄を重要な産業やインフラストラクチャー・プロジェクトに回すことができたのだ。しかし、最近では天下り官僚の楽な仕事を確保する以上の意味のないプロジェクトへの融資機関となっている。

 今回の変更で政府の金融面での不安は緩和される。しかし、これも増大する定年世代が保険を現金化し、貯蓄を取り崩し始めるまでだ。

 日本は間違いなく、最終的に致命的な代償を求められる瞬間を迎えることになる。


とても、さめた目ですね。