衆院内閣委員会答弁・11の「精査」ポイントメモ | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

衆院内閣委員会答弁・11の「精査」ポイントメモ

秘書です。

衆院内閣委員会答弁の、現段階の、答弁「精査」のポイントのメモです。



(1)マクロ経済運営の成長率目標と中期財政フレームの関係について

菅大臣が成長戦略の「目標」は「見通し」とはいえない。成長戦略の成長率目標は「機械的に中期財政フレームに一致するとはいえない」と。

これは、財政を考える時は「堅めの成長率」を前提とする→名目成長率は成長戦略目標の名目3%を下回る→増税・・・ということでしょうか。

せっかく、近年の世界では名目成長率4%をこえると名目成長率が長期金利が上回る傾向がある、という経済財政一体改革の根本認識を示したのですが、ここは残念!


(2)政府と日銀のデフレ原因論に関する生産性向上の重要性の認識の差について

ボスが委員会質問で引用した菅大臣と白川日銀総裁の認識の差のポイントは下記の通り。

「今まさにデフレという状況が生まれておりますが、私たちが考えている実は経済政策、あるいは成長戦略もそうですが、・・・まず需要をつくることが重要ではないかと。」(〇九年一二月一六日成長戦略策定会議・検討チームでの菅財務相発言)

「デフレは経済の体温が低下した状態。・・生産性の向上に地道に取り組むことによって成長期待を高めていくことが大事だ。」「将来にわたって所得が増えていくという期待が生まれてきて初めて本格的に支出が増えていく。生産性の向上ということが多分、日本経済が直面している最も大きな問題だ」(二月一八日白川日銀総裁会見)

白川総裁はデフレ克服のために生産性を上げるべきだといい、菅大臣はデフレなのに生産性向上だけではだめだという。菅大臣は日銀も需要の重要性は指摘している、といいますが、日銀は政府・企業部門が生産性向上の努力をしないで需要政策に協力するのでしょうか。ここがポイントです。菅大臣はいつも、小泉・竹中改革は生産性向上だけだったといいますが、補正予算もしっかりやっていた年もあることはお忘れなく。問題は政府・企業部門が生産性向上の努力をしているときに、日銀は何をしていたか、ということです。

菅大臣は、小泉政権期に福井日銀総裁が選ばれたときに、表に出ないかたちで合意していたことが守られなかったことがあったようですが、という趣旨のことをいっていました。そうなんです。だから、「アコード」の提案をしたんですが、福井総裁のときに苦い経験のことを知っていても、なお、アコードに反対なんですね。

菅大臣はいいました。日銀とは共通の目標をもっている。しかし、「期限」はどうなのでしょう。期限のない目標は「願望」にすぎないでしょう。100年後に実現しても「目標は達成された」というのでしょう。目標を共有しているとは、「期限」をさだめて実現するというコミットメントです。「0-2%が望ましい」というのは実現すべき期限もない「願望」でしょう?わたしが望んでいるのだから、そうなるに違いない、ならないほうがおかしい、という論理なのでしょうか?それにあわせて、政府も「期限」を設けて実現に責任をもたないということでしょう。政府も日銀も「願望」だけを述べ続けて、他方で増税をするというのか。(しかも、増税して経済が悪くなっても、海外要因が原因といいはることでしょう)

(3)独立行政法人国立印刷局の不要資産問題

独立行政法人国立印刷局の不要資産について、霞が関への埋め戻し、塩漬けはしないという決意表明はありました。決意やよし。しかし、気になる言葉もいくつかありましたね。

防衛庁の土地との関係?→市ヶ谷センターについて。代議士もいっていましたが、こんな理由は前政権時代に聞いたことありません。周辺の高層マンションは何なのでしょう(そして官邸裏のビジネスホテル、高層ビジネスタワーは何なのでしょう)

再開発中の事業?→むかしから、ずーっと同じ。大手町でしょう。これは民間に渡すべきでは。一体いつまで国で持つのでしょう?

自治体が活用を望んでいる?→久我山運動場。これも一体いつまで?

いいかたちで売れる展望の中で売れるものは売る?
成長戦略で売るよりも貸したほうがよければ貸す?

これらをつなげてよむと、「売却しない」理由のオンパレードにみえます。
不要資産を塩漬けしたまま増税なんて絶対に通りません。
このあたりの精査が重要です。

(4)独立行政法人が国からのおカネをためこんでいる場合は原則返させる

特別民間法人、民間法人については、国費でどれだけ国債を保有しているかは把握していないとのkとで、事業仕分け第二弾でセレクトしていくということ。しかし、法律で規定しないと逃げ切られてしまうのでは?

この他、福田内閣時代の独立行政法人通則法案にはあった独立行政法人のファミリー法人への天下り規制条項を鳩山内閣の法案では骨抜きされている点については、ファミリー企業への天下りはやめさせるとのこと。だったら、法案修正してもよさそうですね。事業仕分けに頼るのではなく、法律できっちりやりましょうよ。自民党は福田内閣時代の内容を修正案でだすのが筋!一元的な評価についても同様です。

(5)独立行政法人国立印刷局はどこへいく?

枝野大臣は第二次事業仕分けで、独立行政法人国立印刷局をどうするつもりでしょうか?ボスの質問にもあったように、いままでの枝野大臣の発言では、「財務省印刷局復活・局長ポスト増設」・「全印刷労組員の国家公務員身分回復・給料アップ」に向かっているようにしか思えませんでした。今朝の枝野大臣発言で「ガバナンスは小さくする」「独法のいいところは継続していく」ということを両立させるのであって、全印刷労組員の国家公務員身分復活はない、といったように受け止められます。しかし、これも「運用で」というのではまずいでしょう。大臣によって、対応が変わる危険性があります。
ここはじっくりと精査しなければなりません。

(6)天下り根絶について

天下り・裏下りの解釈について、「法令解釈担当」の枝野大臣は「法令上」と「運用上」の解釈の違いがあることをしめしました。そのうえで、運用上の話を強調。おしかったな。法令解釈で答弁いただきたかった。霞が関のみなさんがいかに枝野大臣の法令解釈担当としての発言を怖がっていたか、嫌がっていたかは、事務所で電話のとりつぎをしているだけでも、よーくわかりました(はずしてほしがっていたように感じました)。しかし、ボスは断固として枝野大臣の答弁を求めた。枝野大臣は今回は「運用上」の話をされた。法令上と運用上の分離。これをやるとですね、他の大臣が「運用上」天下りを容認する可能性が極めて高い。法令上の解釈を一番きつくしておかないと、やりたい放題が待ってますよ。


(7)政策金融機関の天下りポストについて

そして、政策金融機関人事に歴代の同一官庁出身者が占めることについては、そういうことが「生じないことを目標に」対応していくと。つまり、事務次官経験者の指定席ポストは認めないということだと思います。しかし、これも「運用上」という限定の中で「生じないことを目標」とする。言葉は勇ましいのですが、実は非常に慎重な表現をされています。ここは今後の人事において大変に重要なポイントです。今日の枝野大臣のここの部分の発言は、是非、今後の天下り人事の際の参照として永久保存版にしておいてください。

(8)給与法見直しについて

枝野大臣は給与法見直しについて、民間ならばある程度の年齢で給与が下がっていくのが当たり前であり、民間がどうしていくのかという意識でいることを強調。つまり、官公労のみなさんをふくめて、年功賃金を見直すということですね。増税前に絶対にやらなければならない。しかし、給与法改正を年内にもやるよう求めたボスに対して、4年間で2割削減、と即時断行の要請にはのらず。

公務員制度改革については「できるだけ早く」「時期については・・・」とのこと。しかし、増税の前にやらねばならないでしょう。

(9)裏下りへの刑事罰導入

枝野大臣は、まずはこの法律を改正し、さらに強力なものが必要なのか運用をみて判断と。
出頭や立ち入り検査についての権限が新設の委員会に与えられていることを強調していましたが・・・

(10)国家戦略局問題

国家戦略担当大臣が廃止されるわけではなさそうです。古川副大臣は「国家戦略担当大臣は総理直属との考え」と答弁されたように記憶します。だったら、法案化したほうがいい。「運用でなんとか」なんて、初代にしか通用しません。条文への修正案を出して、与野党合意しましょう!

(11)官公労天下りバンク

今度の政府法案には、官公労天下りバンクになるであろう組織の新設があります。この問題について、ボスは野党時代の長妻さんと同じ表現で質問。枝野大臣は「公務員もハローワークにいってもらうのが原則」といいました。しかし、分限処分は別であると。この例外がほとんどのケースになって、ハローワークにいく公務員がいなくなるのが現実では?



法律改正のときに、運用で、というのはいかがなものか。
明治維新のときも、戦後改革のときも、「ここは制度ではなく運用でなんとかしよう」と考えていた人は大勢いたでしょう。
でも、その「運用」のポイントを知っている元老がいなくなったときに世の中はどうなったか?
「そんなことは法律にどこにも書いていない」ということで運用の方針は拒否される。

法律改正で改革続行!


与野党協議について、枝野大臣は、国会のことではあるが、という但し書き付きでしたが、政府提出法案が幅広い支持で成立することを望むという趣旨のことを最後におっしゃっていたように思います。

大臣もそうおっしゃってます。

そもそも公務員制度改革は与野党合意で進めるべきもの。

衆院内閣委員会で、与野党合意で改革を進めていこう!

これこそ、日本政治の閉塞打破の第一歩では?