今週の鉄道ニュース | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

今週の鉄道ニュース

志士の目鉄道研究会です。
「諸般の事情」でお届けが遅れましたが、今週も、列島各地の熱い鉄道ニュースをお届けします!
まずは、今週列島各地の鉄道は平成22年2月22日の「2」並びのキップ販売で盛り上がりました。
おなじみの、ひたちなか海浜鉄道からの話題です。


■2並び「キハ222」と黒猫「おさむ」…ひたちなか海浜鉄道
(2010年2月24日 読売新聞)

 ひたちなか市を走る第3セクター、ひたちなか海浜鉄道は、「2」が並ぶ(平成22年2月)22日、同社が所有する車両「キハ222」を記念運行させるなど、数字の2にちなんだ様々なイベントを開催した。
 この日の発行日が押印された1日乗り放題の切符を222枚発売したほか、2と猫の鳴き声「ニャン」をかけて同鉄道・那珂湊駅に住み着いた黒猫「おさむ」と、車両がデザインされたストラップなど限定グッズを22セット販売した。
 本社所在地が同市釈迦町22番地2号など、2と縁が多いことから実施。イベント主役に抜てきされた「おさむ」は、駅員から「ここまで2がそろう鉄道はほかにはないよな」と声をかけられても、知らん顔で駅構内をかけずり回っていた。

キハ222と「ニャン」をかけちゃいましたか。さすが、ひたちなか海浜鉄道、ひねりが3回転半はいってます!

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この国鉄色気動車をみると、糸魚川駅を思い出すのですが、ついに・・・

■「キハ52」廃止へ…27・28日に撮影会
(2010年2月27日 読売新聞)
 国内で唯一、JR大糸線の糸魚川―南小谷駅間で運行されている気動車「キハ52」全3両が、ダイヤ改正に伴って3月12日に廃止される。
 これを受け、新潟県の糸魚川駅構内の赤レンガ車庫で、きょう27日から2日間、「キハ52」と車庫の撮影会が開かれる。
 JR西日本によると、3両は旧国鉄時代の1965、66年に製造され、92年に大糸線に導入された。運転台が前後両方にあり、1両編成でも走れるが、近年には駆動装置や車体の老朽化が進み、部品の確保も難しいという。
 3両のうち1両は同社の岡山支社で保存され、残り2両は廃車となる予定。3月13日からは、JR発足後の92年以降に製造された新型の「キハ120」に切り替わる。
 「キハ52」は、鉄道ファンらに人気が高く、自然の中を走る姿を撮影しようと、多くの人がカメラを手に沿線を訪れている。ただ、線路内に立ち入ったり、駅のホームから身を乗り出したりするケースもあることから、JR西日本は、線路内には立ち入らないよう呼びかけている。
 糸魚川市の米田徹市長は「市にとってキハ52は、昨年認定された世界ジオパークとともに貴重な観光資源の一つ。現役引退後もイベント列車としての運行など、観光面での活用をJR西日本に要望したい」と話している
 赤レンガ車庫での撮影会は27、28日とも午前10時半から午後1時半までで、車庫の列車出入り口に3両を並べ、2両には「糸魚川ジオパーク号」と書かれたヘッドマークが取り付けられる。
 3月12日には、糸魚川駅発の3両連結による最終列車が午後8時1分に発車するのに合わせ、見送りの式典が同7時45分から同駅で行われる。

廃車は惜しいですね。糸魚川市長さん、がんばってください!

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この写真にある車両は全部この3月で見おさめです!

■さらば「キハ52」ファンが名残惜しむ
(2010年2月27日22時32分 読売新聞)
 新潟県糸魚川市の糸魚川駅で27日、3月のダイヤ改正で現役を退くJR大糸線の気動車「キハ52」3両の撮影会が行われ、大勢の鉄道ファンが名残を惜しんだ。
 3両は国鉄時代の1965~66年に製造され、92年から大糸線を走行。独特のツートンカラーなど車体のデザインに根強い人気がある。
 この日は、特製のヘッドマークが取り付けられ、大正時代に建てられた赤レンガ車庫前に勢ぞろい。ファンらが盛んにシャッターを切った。撮影会は28日も行われる。

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糸魚川といえば、線路幅610ミリのかわいらしいSLが走っていましたが。

ところで、「動態保存」といえばこんな試みが実現しています。


■電気機関車「テキ6」 大正風情で保存展示…福井
(2010年2月26日 読売新聞)
 福井県勝山市などが保存に向けて協議を進めていた、国内最古級の電気機関車「テキ6形6号」(えちぜん鉄道保有)が、同市遅羽町比島のえちぜん鉄道勝山駅で保存、展示されることが決まった。
 同市が県と進めている同駅周辺の整備事業の一環で、大正時代に建てられた駅舎も改修して残すことに。市は「多くの鉄道ファンにも足を運んでもらえるきっかけになれば」としている。
 この電気機関車は1920年製で、「テキ6」の愛称で呼ばれる。昨年、同市内で開かれた催しで展示するために同駅に運ばれた後、2番線で保管されたままになっていた。
 同市都市政策課によると、市は同鉄道からテキ6を譲り受け、同駅に隣接する形で建設する展示施設で保存。テキ6は現在も動くことから、施設には線路を敷設して、約10メートルの区間を運転できるようにする
 また、14年に建てられた木造平屋の駅舎(約350平方メートル)は、耐震補強を施し、吹き抜けにするなどの改修を進める。駅舎内には、大正から昭和にかけての同駅周辺の様子を撮影した写真や、鉄道グッズなどを展示する場所を設けるという。
 整備事業ではこのほか、同駅前にロータリーを設け、バスやタクシーの乗降場も整備する。総事業費は約5億円で、完成は2012年度の予定。同市は「テキ6も駅舎も、織物産業で栄えた勝山を支えてくれた貴重な歴史的遺産。大正時代の情緒漂う空間を作り、駅の利用促進を図りたい」としている。

市が動態保存。いいですね。この線路は本線とつながっているのでしょうか。ファンとしては、この10メートルの線路がえちぜん鉄道の本線につながっていて、だけど、線路は古枕木で遮れれていて、本線乗り入れは不可能なんだけど、いつの日か本線に戻れる日がくる、なんていうと、ロマンと妄想をかきたてられてしまいますね。イギリスの鉄道博物館の線路は本線とつながっているそうです。

■駅も車両もレトロに改装 日光線、乗客増狙う
(02/24 08:47北海道新聞)
 栃木県のJR日光線(宇都宮―日光)で、レトロをイメージした駅舎や車両、駅員の制服のリニューアルが進められている。乗客増を狙ったJR東日本のプロジェクトで、明治から大正にかけての建物が多い日光に合わせた。世界遺産にも登録された観光地へ「懐かしの鉄道でぜひ」と呼び掛けている。
 日光には2008年の1年間に約1127万人が訪れたが、JR日光駅の1日当たり平均乗車人数は00年度が1154人だったのに、08年度は962人と年々減少傾向にある。
 JR東日本は07年に乗客数をV字回復させるプロジェクトを開始。レトロをイメージさせる色として、赤みを帯びた茶のクラシック・ルビー・ブラウンを選び、沿線施設の改装を始めた。
 車両はクリーム色とのツートンカラーに。駅舎も建て替えた。宇都宮駅では駅名標を変え、ホームやベンチ、自動販売機まで塗り替える凝りようだ。
 日光駅員の制服には黄色のラインが入り、円筒形の帽子をかぶる独自のスタイルを採用した。駅舎は大正時代の建物。西沢操駅長は「駅舎と制服の雰囲気が合うと、お客さんにも評判は上々で、今後も取り組みを続けたい」と意気込む。

いいですね!コスチュームは大事です。あとは、駅構内アナウンスはいかがでしょう?
やっぱり、昔の発車ベル音の復活と、列車到着時の、駅長さんの駅名を告げる構内アナウンス!
たとえば、
上野駅の「うぃの~~、うぃの~~」というアナウンス。
越後長岡駅の「な~ごか~、な~ごか~」というアナウンス。
あの独特のイントネーション、今でも忘れません。それぞれの駅に名物駅長さんの音があったはず。
あれも、鉄道文化です!

そして、いま現在も新しい鉄道文化が生まれようとしています。

■のと鉄道で行く 婚活能登の旅
(2010年2月22日 読売新聞)
 「すてきな出会いを見つけよう」を合言葉に、「のと鉄道で行く 能登まいもんパーティーin和倉温泉・加賀屋」(いしかわ子育て支援財団、加賀屋、のと鉄道共催)が3月21日に開催される。
 参加者たちはのと鉄道に乗って、七尾―穴水間の車窓からの景色を見ながら、地元産カキや能登ワインに舌鼓を打った後、七尾市和倉町の旅館「加賀屋」で、「能登まいもんパーティー」を楽しむ。パーティーでは、能登の5市町が協力し、能登スイーツや、地酒利き比べなどを行う。
 対象は25~45歳の男女。募集人数は男女各40人。参加費4000円。申し込み締め切りは3月12日。
 問い合わせは、同財団((電)076・255・1508)。

独身のみなさま!婚活列車にのりまっし!

■がんばれ前橋工  センバツ応援電車
(2010年2月27日 読売新聞)
特製ヘッドマークが取り付けられた電車(26日、前橋市の上毛電鉄大胡駅の電車庫で)
 上毛電鉄は28日から、3月21日開幕の第82回選抜高校野球大会に出場する県立前橋工業高校を応援する電車の運行を始める。車両の前後に、選手たちの写真入りの特製ヘッドマークが取り付けられ=写真=、車内の広告スペースには、一般から募集する応援メッセージが張られる。
 2007年夏から、沿線の学校が甲子園に出場した時に運行しており、今回が4回目。最後の試合がある日まで、中央前橋―西桐生駅間を1日7往復する。
 26日、大胡駅の車庫でヘッドマークを取り付けた運転士の信沢真美さん(29)は「応援メッセージで車内をいっぱいにして、選手たちを勇気づけたい」と笑顔で話していた。
 応援メッセージの用紙は、中央前橋駅に用意されている。問い合わせは、同社(027・231・3597)へ。

センバツでは、いろいろな団体臨時列車が甲子園に向かうと思います。旧型車両の登場のチャンス。鉄道ファンとしても目が離せません。

■秘境駅ツアー:GW中、電車で巡る日帰りツアー 参加者募集--JR飯田線 /長野
2月27日 毎日新聞
 ◇ローカル線の魅力味わって 駅周辺にほとんど民家なく、車道もなし
 険しい山に囲まれて人家もほとんどない場所にあるJR飯田線の「秘境駅」を電車で巡るツアーを、JR東海が企画して参加者を募集している。ツアーは5月のゴールデンウイーク中の日帰り日程。天竜川の険しい渓谷をぬうように走る車窓からの風景に加えて、人里離れて孤立した自然環境を逆手に取った「秘境」散策が売り物だ。同社は「鉄道でしか行けない秘境駅を訪ねて、ローカル線ならではの魅力を味わってほしい」とPRしている。【仲村隆】
 ツアーで訪れる秘境駅は、千代(ちよ)=飯田市▽金野(きんの)=同▽田本(たもと)=泰阜村▽為栗(してぐり)=天竜村▽中井侍(なかいざむらい)=同▽小和田(こわだ)=浜松市天竜区。いずれの駅も各駅停車しか停車せず、1日の平均乗降客は数人以下。駅の周囲に民家がほとんどなく、車道もないため、駅を訪れる手段は鉄道だけという駅が大半を占める。
 静岡県境にある小和田駅は、駅名が皇太子妃雅子さまの旧姓「小和田(おわだ)」と同じ表記ということから、「恋成就駅」としてご成婚の1993年に多くの人が訪れた。ほかの駅名にもそれぞれ逸話があるという。
 ツアーは4月29日~5月5日の期間中に、毎日実施される。「魅惑の飯田線 秘境号」のヘッドマークを付けた専用電車が、六つの秘境駅がある豊橋駅(愛知県豊橋市)から天竜峡駅(飯田市)の間を、約9時間半かけて往復する。6駅には通常よりも停車時間を延長して、10~20分は駅周辺を散策できるという。参加者にはツアーの乗車記念証明書のほか、昼食と夕食に地元の食材を使った「秘境駅オリジナル弁当」が配られる。
 ツアーを企画した同社の飯田駅では「秘境駅はローカル線だからこそ残っているもの。駅前には何もなく、あるのは自然だけという『何もない魅力』を味わってもらおうという初めての企画」と話しており、今後も秘境駅を売り込んでいく考えだ。

「何もない魅力」・・・ぐっときます

■手書き切符に熱いファン 篠ノ井線冠着駅
2010年02月27日朝日新聞
 塩尻・篠ノ井間を結ぶJR篠ノ井線。筑北村坂井の冠着(かむり・き)駅は、同線の駅では唯一、駅員が手作業で乗車券を発券している駅だ。1日の平均乗車人数46人の山あいにある駅。自動発券機のほか、首都圏ではIC乗車券など機械化が進む中、昔ながらの切符を求めて、県内外から鉄道ファンが足を運んでいる。(田中正一)
 同駅の切符売り場内の窓口横には、厚手の切符が詰められた乗車券箱が残っている。当時のようには使われていないが、時刻表や回数券などがぶら下がっている。
 同駅には、常備券と補充券と呼ばれる切符がある。
 常備券は、発着駅名が印刷されているもので、松本・長野区間の乗車券を販売。新幹線(長野―東京)、あずさ(松本―新宿)の自由席特急券と東京都区内の乗車券もある。
 補充券は、「冠着」と印刷されたものと、発着駅名のないものがある。篠ノ井線の松本・長野区間以外の駅で降りる場合や特急券やグリーン券、寝台券などの料金や行き先の駅名などを記入して発券する。東京・大阪間など冠着駅以外の発着駅などJRなら全国どの区間にも対応できるという。回数券や定期券も発券。定期券は、行き先をスタンプで押し、ボールペンで氏名を書くという、これも昔ながらの発券方法だ。
 「手作りの切符と勘違いして買い求めに来る人もいました」。5年前から村の臨時職員として駅業務に携わる元JR社員の西沢高貴さん(65)は苦笑する。
 「機械で発券した切符は味気ない」「昔ながらの手書きの切符で旅をしたい」。北海道から九州まで鉄道ファンが週末を中心に同駅を訪れる。3万円分の常備券と補充券をまとめ買いしたり、発券依頼が駅に郵送で届いたりする。また、「インターネット上で西沢さんの発券した切符を見た」とやって来たり、「無人駅になる」とのうわさを心配して訪ねたりするファンもいたという。
 そんなファンに、西沢さんも応える。時刻表や距離数に応じた運賃が書かれている冊子を手に発券に取りかかる。指定席やグリーン券の場合は、管理駅の明科駅に連絡を取りながらの作業になる。西沢さんは「遠くからこの駅の切符を求めて訪ねてくれるなんて感激です」と話している。

マニアはいろんなものをもとめていきます!
そして、鉄道は街ににぎわいを復活させます。


■「セントラム」新設3電停乗降客1日平均1386人
(2010年2月26日 読売新聞)
 富山市は25日、市中心部を走る路面電車環状線「セントラム」の利用状況を市議会特別委員会で報告した。
 新設した3電停の乗降客が1日平均1386人(12月24日~1月31日)と、開業前に予測した1320人を上回った。
 土日祝日の乗降客が平日の約2倍となっていることから、通勤より買い物目的の利用が多いとみられる。広瀬隆正副市長は「中心市街地の活性化に寄与しているのではないか」と述べた。
 3電停の1日平均は、平日が1068人に対し、年末年始と土日祝日が1894人。内訳は、大和百貨店が近いグランドプラザ前が1024人と最多で、大手モール185人、国際会議場前177人だった。

全国の自治体関係者のみなさま、是非、この復活路面電車の「にぎわい効果」にご注目ください。いまや路面電車復活は「世界的趨勢」です。次はイタリアの復活路面電車の話題です。

■52年ぶりの市電
2010年2月26日 朝日新聞
■半分フランス
 2月14日バレンタインデーの日、フィレンツェで市電が営業運転を開始することになった。新しいもの好きの筆者である。それもボクが住むシエナからフィレンツェまでは僅か60キロメートルだ。初日に行って乗ってやろうと密かに計画をたてた。
 フィレンツェ市電の歴史について触れておこう。
 実はこの街にとって、市電は初めてではない。19世紀末には前身となる馬車鉄道が開通。続いて市電に置き換えられた。しかし、第二次大戦で路線が破壊されてしまったあと、手っ取り早い復興手段としてバスが選ばれた。そして1958年を最後に市電は消滅してしまう。
 復活のきっかけとなったのは、近年広がりを見せた周辺のベッドタウン開発だった。それをきっかけに、市中心部に流入する自家用車やバスによる慢性的渋滞や排気ガス公害が年々深刻となったのだ。
 そこで2000年代に入るとフィレンツェ市は、新しい公共交通機関として、郊外と市街地を結ぶ市電を3路線建設する計画を決めた。
 ところがそのうち1本である「2号線」と呼ばれるルートが、大聖堂の真横を通過することに対して、「景観を損なう」「市電の連続的な振動が、大聖堂の劣化を進める」といった反対論が巻き起こった。
 議論は2008年の住民投票まで発展し、結果として大聖堂脇を通る計画は白紙に戻された。この経緯はイタリア全国に報道されるニュースとなった。
 今回まず開通したのは問題となった2号線とは別の「1号線」といわれる路線である。フィレンツェの中央駅であるサンタマリア・ノヴェッラ駅と西郊の住宅地スカンディッチ地域を結ぶ7.4kmだ。23分かけて14の停留所を通る。
 市電を運営するため設立された新会社『ジェスト』社は、従来バスを運行していたフィレンツェ交通営団が49%を出資しているが、残りの51%はフランスのパリ交通営団の関連会社であるRATPdev社だ。
 市電の運営に関してノウハウをもつRATPdevは、すでに南アフリカやブラジル、インド、米国の会社などともジョイントベンチャーを行なっている。
 つまりフィレンツェの市電は半分フランスというわけだ。こうした地方交通機関における国外資本の注入が今後欧州で活発になる兆しのひとつといえる
■情報収集にひと苦労
 さて、初日に乗ろうと意気込み、前日に目覚まし時計を早めにセットして寝たボクであったが、当日思わぬ事態が待ち構えていた。
 開通を報じるテレビを観ると、当日無料ということもあって車両は超満員。ホームも人で溢れかえっていた。
 だが、まもなくもうひとつの理由が判明した。当日、イタリア各都市のバス・市電運転士が加盟する労働組合が時限ストライキを実施したのである。
 「なにもそんな日に」と思うが、全国統一なのだから仕方がないのだろう。
 さすがのボクも、その日は乗りに行く気合が萎えた。
 そこで4日後の18日、ふたたびフィレンツェを目指すことにした。
 ところで市電のメリットのひとつとして、クルマを郊外の駐車場に置いて、気軽に街にアクセスできることがある。
 思い出したのは以前フランスのモンペリエで乗った市電だ。郊外の停留所の真横に市電利用者用の公共駐車場が設置されていた。
 フィレンツェ中心街の公共駐車場はいつも混んでいて料金も高い。市電のおかげでようやく、それらから解放できるというわけか。
 ボクは前日に、フィレンツェ市の観光案内所に電話をかけ、停留所のそばの駐車場の在り処を調べておくことにした。ところが案内所は午後6時で終わり。仕方がないので当日再びかけると、電話をたらい回されている間に、ぶつっと切れてしまった。イタリアではよくあることだが、さすがにそれを3回繰り返されたあとには、こちらも泣けてきて諦めた。
 次はフィレンツェ交通営団のフリーダイヤルがあったので、そちらにかけてみることにした。
 若い女性が出たので「沿線に駐車場ありますか?」と聞いてみた。結果といえば、さんざん待たされた挙句、「わかりません」の一言とともに、ガチャンと切られてしまった。
 ここはイタリアなんだ、と唱えたが、もしその場でわからなくても「のちほど調べてメールでお答えします」と言ってくれる日本の自動車メーカー系博物館の真心対応を思い出して、またまた泣けてきた。
 このあたりからやけくそになって、スカンディッチ市役所の代表番号に電話をかけてみた。「お待ちください」という声のあとに、別の女性が出てきた。
 そして「うちの市役所は停留所の真隣で、周囲には以前から無料の駐車場がいっぱいあるわよ」と教えてくれた。
 最後に、なんと「土木課」に繋がっていたことが判明した。
 なぜこの質問が土木課に回されたのかわからなかったが、ボクはその肝っ玉母さん風声の女性に礼を言って電話を切った。市電開通で盛り上がるのはいいが、既存周辺インフラとの連携まで頭が回らないとところが惜しい。
■おじさんたちは子供になった
 教えてもらった駐車場に実際にクルマを停めて、すぐ脇の停留所に向かう。
 ホームに立っていた老紳士に念のため聞くと、「今日もタダだよ」と教えてくれた。まるまる一週間無料で乗れるとのこと。太っ腹企画である。
 市電は待つこと5~6分でやってきた。パンフレット上の平均運行間隔は「2分」なのだが、このくらいの差は許してあげよう。
 沿線に住んでいて、すでに何度か乗ったという先ほどの紳士は、降り際に「時間が正確だし、ステップもない。バスよりも断然便利だよ」とボクに言い残して、途中の停留所で降りていった。
 車両はイタリアのアンサルド・ブレダ製『シリウス』というモデルで、定員は276人である。駅名を告げる自動の車内アナウンスが少々素人っぽい声なのも、お愛嬌だ。
 やがて車両はアルノ川に差し掛かった。
 いつもはクルマを運転していて見られない川を、初めて車窓からゆっくりと見られたのには思いがけず感激した。
 ふと前方を見ると、運転席と客室を仕切るガラスに、おじさんが何人も貼り付いている。おじさんたちの姿は、まさに子供だった。見られながら操縦する運転士も、どこか楽しげだ。花の都で半世紀ぶりの市電は、今動き始めた。

これは、大矢アキオさんという「歌うようにイタリアを語り、イタリアのクルマを熱く伝えるコラムニスト」さんの文です。さすが、文がぐっときますねえ。
全国で市街中心部の衰退が問題になっておりますが、中心市街地活性化のリーサルウェポン=「市電」はいかがですか?
富山市の成功事例もありますし。
財源?ヒントは、鉄道は環境に優しい!ここではないでしょうか。
それでは、今週のある日、青空の下を元気に走る広電の写真をみて、お別れしましょう!


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