マニフェスト形成過程の公開と参加こそがキー | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

マニフェスト形成過程の公開と参加こそがキー

秘書です。

今日の読売新聞の「地球を読む」に、マニフェスト政治推進に大きな役割を果たされてきた佐々木毅先生が、「マニフェスト政治」「「そのまま実現」は空想論」「再調整し説明責任果たせ」と書いておられます。

マニフェスト政治が定着していない日本でこのような表現を用いると、マニフェストの対極にある「願望のリスト」を容認することにつながるのではないでしょうか。

佐々木先生は、マニフェストは「少数のインサイダーだけが政策を仕切ることができなくなった時代に対する処方箋でもある」としています。

しかし、現状はどうでしょうか。

民主党政権では「少数のインサイダーだけが政策を仕切る」政治が続いているのではないでしょうか。

なぜ、そうなっているのかをこそ、マニフェスト政治を推進してきた専門家のみなさんが解説し、改革案を提示しなければならないのではないでしょうか。

そうでないと、所詮は、マニフェストは自民党政権を終わらせるという一過性の目的であり、その目的は達成した・・・ということにもなりかねません。

文の最後のほうに、「実際にはマニフェストを作成するためのまともな条件整備ができていないのが現状である」と書いてあります。

こここそがもっとも大切なところだと思います。もっと、具体的に党プロセスの改革を提案していただくことが、マニフェスト政治推進派のみなさんに求められているのではないでしょうか。

たとえば、民主党のマニフェストが英国労働党のように、地方組織からつみあげて議論されていたらどうなっていたでしょうか。

マニフェストの見直しには、地方組織からつみあげた議論をしたことでしょう。全党的議論を積み上げていれば、そんなに簡単に見直しができるはずがない(また、そんなに簡単に見直しが必要な政策が公約になるはずもない)。

密室でわずかな人でマニフェストがつくられるから、密室でわずかな人がマニフェストを見直すことができてしまうのではないでしょうか。

マニフェストの再調整は、全党的議論ですべきであり、説明責任とはまず何よりも全党組織、党員に対するものであることを明確にしないと、「選挙のときは夢のようなマニフェスト、政権とったら全部見直し」ということになるのではないでしょうか。

現状のままでは、マニフェストの見直しがあまりにも軽すぎるのではないでしょうか。

見直しが軽すぎると、次の選挙のマニフェストも、「政権とったら見直しする」を前提とした夢のマニフェストになるでしょう。選挙に勝つために、それが合理的だからです。

それを防止するためには、マニフェスト形成過程の公開と参加こそ、21世紀の民主主義と政党の生命線であり、政党不信解消の処方箋なのではないでしょうか。

政党が信頼を回復するには「公開と参加」という「新しい公共性」の要素を備えなければなりません。

佐々木毅先生、21世紀臨調のご活躍に期待しております。