1%程度の物価目標認識一致、それでは・・・ | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

1%程度の物価目標認識一致、それでは・・・

秘書です。

今朝の読売新聞で、アジア開発銀行の黒田東彦総裁が、

「欧米よりも早く2009年4~6月期からプラス成長になっているが、問題なのは世界でほとんど唯一、デフレであることだ。日本銀行に早期脱却の方策を考えてもらいたい」

と述べておられます。さて、日銀はどんなデフレ早期脱却の方策を考えているのでしょうか?



■UPDATE1: 政府・日銀は1%程度の物価目標について認識が一致=菅財務相
2010年 02月 16日 12:45 JST
 [東京 16日 ロイター] 菅直人副総理兼財務・経済財政担当相は16日の衆院予算委員会で、政府と日銀がめざすべき物価水準の目標について、1%程度という認識で一致していると語った。先行きの政策運営について「デフレ克服が大きな課題」とし、「日銀にも協力してもらい、デフレ状況を脱却し、財政・日本経済を成長路線に戻したい」と語った。山本幸三委員(自民)の質問に答えた。
 菅財務相は、日銀の金融政策運営について「目標達成の手段については日銀の独立性を認めていくべき」としながら、「政策の方向性と目的は、政府と日銀が共通の目標を持って進めることが望ましい」との認識をあらためて示した。
 山本委員は、デフレ脱却に向けて日銀が1─3%のインフレターゲットを採用すべきと主張。これに対して菅財務相は、日銀が「中長期的な物価安定の理解」で、前年比1%程度の消費者物価指数を中長期的に安定的な水準にあげていることに言及し、「(政府も)その程度を政策的な目標にすべきと考えている」と指摘。1%程度の消費者物価水準が「ほぼ(政府と日銀の)目標として認識が一致していると思う」と続けた。
 (ロイターニュース 伊藤純夫記者)


いいですね!菅大臣は最近増税議論に積極的ですが、デフレ下で増税しても景気悪化ー税収減で、財政再建は失敗するでしょう。

増税派のみなさん!まず、デフレ脱却です!

さあ、政府・日銀が共有している目標値は「1%程度」。菅大臣、いつまでに実現しますか?

では、日銀の「覚悟」は?





■白川日銀総裁:資金供給量だけで効果判断する議論納得せず (Update2)
2月16日(ブルームバーグ):日本銀行の白川方明総裁は16日午前、衆院予算委員会で、資金供給量の規模だけで経済刺激効果を判断する議論について「私自身は必ずしも納得していない」と述べた。自民党の山本幸三氏の質問に答えた。
白川総裁は主要中央銀行のバランスシートについて、2008年9月のリーマン・ブラザーズ破たん前は対名目国内総生産(GDP)比で日銀が20%、米国が6%、欧州が16%に対し、昨年12月は日銀が26%、米国が16%、欧州が21%だと指摘。その上で「日銀のバランスシートは主要国で一番大きい」と述べた。
また、資金供給量だけで政策効果を判断する議論について「かつてはそういう議論が一部にあったが、今回の経験で随分変わった」と言明。「バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長もバランスシートの大きさが経済刺激効果を示すものではないと繰り返し言っている。かつてそのような主張を行った有名なエコノミストも反省していると言っている人が随分いる」と述べた。
白川総裁はまた、デフレを脱却するために「日銀は真剣に取り組んでいるが、なかなか時間がかかる。日銀だけでやれることではないが、日銀にやれることは愚直に粘り強くやっていく」と語った。


愚直にやっていただける「日銀にやれること」とは一体何で、いつまでに1%程度の物価上昇率が実現するのでしょうか?


■かつての量的緩和、物価押し上げ効果は限定的=日銀総裁
2月 16日 12:41 JST
 [東京 16日 ロイター] 白川方明日銀総裁は16日、衆議院予算委員会で、2001年から06年までの間、日銀が採用した量的緩和政策について、金融システムの安定維持には大きな効果があったが、物価押し上げの効果は非常に限定的だったと指摘した。
 また金融市場が再度混乱するような場合には、日銀は果断に行動するとの考えを繰り返した。山本幸三委員(自民)の質問に答えた。
 白川総裁は5年間の量的緩和の経験について「金融システムの安定維持には大きな効果があったと評価している。内外のデフレの歴史を振り返ると、ほとんどが金融システムが不安定化したときに、デフレの怖さが顕在化している」としたが「人々の支出活動を刺激し、その結果、物価が上がっていくということになると、この効果は非常に限定的だった」と指摘した。
 日銀のバランスシートの拡大が欧米の中央銀行に比べて小さいことについては、欧米の市場の機能が大幅に低下し、中央銀行がその役割を担ったこと、日本の金融機関が相対的に健全性を確保したこと、などを反映したものとの従来の説明を繰り返した。
 また「量を潤沢に供給する用意はあるが、量だけで(緩和度合いを)判断するということについては必ずしも納得していない」と述べた。
 実質金利については、日本と欧米の長期金利と物価上昇率を比較したうえで、日本だけが高いということはないと指摘した。
 金融政策については「金利は下げるところまで下げて、かつ、現在の低い金利情勢、極めて緩和的な金融情勢を粘り強く続けていくことを明確にしている」と強調した。
 (ロイターニュース 児玉 成夫)



この記事を読解すると、

①日銀は「量を潤沢に供給する用意はある」が、そのように果断に行動するのは「金融市場が再度混乱するような場合」です。

②日銀がいま考えているのは「現在の低い金利情勢、極めて緩和的な金融情勢を粘り強く続けていく」という現状維持です。

ということでしょうか。これは冒頭の黒田アジア開銀総裁の期待、菅財務大臣の期待にこたえるものなのでしょうか。違うのでしょうか。




■〔情報BOX〕日銀政策委員の景気や金融政策に関する最近の発言
2010年 02月 16日 10:00 JST
 [東京 16日 ロイター] 1月25、26日の金融政策決定会合以降の日銀政策委員の景気および金融政策に関する主な発言は以下の通り。17、18日開催の金融政策決定会合で日銀は、足元の景気状況を点検するが、日本経済については1月に行った「経済・物価の展望」(展望リポート)の中間評価にほぼ沿った動きとみているようだ。また、ソブリン・リスクなど国際金融面での様々な動きなどが日本経済に与える影響も点検するとみられる。足元で追加策が必要との声はほとんど聞かれないが、市場が急変して実体経済の下振れリスクが高まったと判断すれば、さらなる対応も辞さないとみられる。
 ◎山口広秀副総裁(2月8日、衆院予算委員会での答弁)「今年度から来年度にかけての日本経済の成長パスは一応持ち直しを続けるとみているが、この夏まではかなり厳しい状況になる」「GDP成長率は、そう大きな伸びは期待できず、場合によっては踊り場的な状況になる可能性もある」

 ◎山口広秀副総裁(2月5日、衆院予算委員会での答弁)「(銀行券ルールについて)日銀内部のルールというだけでなく、そのような考え方を明確化して市場の安定化を促す上で大事」「(国債買い入れが)財政面に対する日銀によるファイナンスとの誤解を呼び起こせば、市場にかく乱的な影響を及ぼす可能性が高い」

 ◎中村清次日銀審議委員(2月4日、福岡市で講演と会見)「現在の金融政策運営方針の基本は(中略)極めて緩和的な金融環境を維持していくこと」「政策運営に当たっては、先行きの政策の選択肢について、予め特定の手段を念頭に置いたり、逆に排除することなく、常に経済・金融環境の状況変化に対応して、最も適切な金融政策を行なわなければならない」「量的緩和政策では(中略)直接的なデフレ脱却策としての効果は小さかったように思う」「流動性の供給を増やすなどの施策だけでは、わが国がデフレから脱却できるとは考え難い」「2010年度半ば頃までにかけて、内外の各種の政策効果が弱まるにつれて、一時的に踊り場を迎える局面も想定されるが、成長トレンド自体が腰折れする事態は考え難い」「(ギリシャなどでの金利上昇について)わが国も足許の財政状況をみる限り、決して『対岸の火事』として安穏としてはいられない」「財政リスクプレミアムが高騰という形になると、大変なことになる。こういうことは今年とか、すぐ起こるとは思わないが、マーケットより先に取り組んでいかないと大変なことになる

 ◎白川方明日銀総裁(1月29日、都内で講演)「(長期国債買い入れ額について)資金を潤沢に供給するうえで今の金額が最適」「(金融政策について)特定の政策をあらかじめ排除したり、これは最初からやるというような決め打ちはしない」「(為替レートについて)為替市場において安定的に形成されることが大事」「(デフレの根本原因は)需要の不足」

 ◎白川方明日銀総裁(1月27日、参議院予算委員会での答弁)「過去の歴史をみると、デフレがスパイラルになったケースは、ほとんどが金融システムが不安定化し、金融恐慌という形になったときにデフレスパイラルに陥る。日銀、中央銀行の一番大事な役割は、そうした事態にならないように、金融システムが動揺しないように、その時には潤沢に流動性を供給するということ」「デフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題」

 ◎白川方明日銀総裁(1月26日、決定会合後の記者会見)「物価情勢を判断する際には、制度変更に伴う一時的要因を除いて、基調的な物価動向を捉えていくことが必要」「一時的に景気の回復スピードが若干弱まることは十分に予測しているが、回復基調が途切れることはないとみている」「各委員の議論を聞いて、全体としては概ね上下のリスクはバランスしていると受け止めた」「(新型オペと長中期の物価安定の理解の明確化などの効果について)第1点は、日銀の物価に対する考え方と金融政策運営の姿勢についての理解がより広まった(中略)第2点は、そうした理解の広がりを背景に短期金融市場でやや長めの金利が低下した(中略)第3に、昨年11 月末にかけての円高あるいは株価下落、さらに一連の連日のデフレ論議の高まりを背景とする企業マインドの悪化傾向に対して、とりあえず歯止めがかかった」



日銀は「流動性の供給を増やすなどの施策だけでは、わが国がデフレから脱却できるとは考え難い」と考えているようです。では日銀は、誰が何をしたらデフレの脱却ができるのでしょう?政府・日銀で意思疎通しているのでしょうか。

日銀は、○○をする用意があるが、そのためには政府には○○をしていただき、企業にも○○をしていただきたい、というのが意思疎通だと思うのですが、何をしてほしい、とお考えでしょうか?