給与法改正・内閣人事局への機能移管問題はどうしました? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

給与法改正・内閣人事局への機能移管問題はどうしました?

秘書です。

公務員制度改革案についてです。今日はとりあえず、2つのポイント。

①給与法改正はどうしました?
②内閣人事局に人事院、総務省、財務省からの機能移管はどうしました?

この2つだけみても、改革案では、GHQすら手をつけられなかった官僚の人事体系の「根幹」は維持されているようですね。そのほか、たくさんポイントがありますが、内閣委員会でのボスの質問をお楽しみに。


■次官から部長を同格=政治主導で「降格」容易に-公務員法改正案
(2月15日-20:13時事通信)
 鳩山由紀夫首相は15日、国家公務員法改正案の柱である幹部職員の降格規定について、仙谷由人国家戦略担当相や原口一博総務相らと首相官邸で協議し、事務次官と局長級、部長級を同格とみなし、通常の人事で異動できるよう改めることで一致した。19日に閣議決定し、国会に提出する。要件が厳し過ぎるとの原口氏の異論を受けた政府部内の再調整の結果、「政治主導」で降格人事を容易にする方向へ修正することで決着した。
 協議後、仙谷氏は記者団に「(次官・局長級から部長級まで)降格なしと、(昇任でも降任でもない通常の)『転任』で全部できるようにしようと、こういう話だ」と語った。
 同改正案は当初、事務次官と局長級を同格とみなすと規定。さらに、(1)勤務実績が劣る(2)当該ポストで他の者の方が優れた業績を上げると見込める(3)転任させる適当な官職がない-の3条件をすべて満たす場合、次官・局長級から部長級に「降任」させることができると定めた。これに対し、原口氏は「本当に(降格)できる条文になっているのか」と見直しを主張。12日に予定していた閣議決定が先送りされた経緯がある。
 この日の協議の結果、次官、局長級から部長級もすべて同格と位置付けるとし、これらの3条件を含む降格規定を削除することになった。これを受け、幹部の人選に用いるため、首相が作成する省庁横断の幹部候補者名簿についても、当初は次官・局長級と部長級の2種類とする方針だったが、一つに統一する。 
 現行法では、次官、局長、部長などポストに応じて基本給が定められている。ただ、今回の改正案は、職制上同格とみなすだけで、これらを変更する規定はない。このため、改正後に次官が局長、局長が部長になる場合、法律上は「転任」にすぎないが、基本給は下がることになり、待遇面では事実上の「降格」となる。このため、官僚からの反発も予想される。

■<公務員制度>次官~部長「同格」に 政府方針
2月15日21時6分配信 毎日新聞

 鳩山由紀夫首相は15日、閣議決定を先送りしていた国家公務員法等改正案での幹部職員の降格規定に関し、次官級、局長級、部長級を同格とみなすよう修正し、中央官庁全体で約600人いる部長級以上の幹部を柔軟に配置転換できるようにする方針を固めた。原案の「降格」との概念をなくして「転任」とし通常の人事で次官級から部長級への格下げや、逆の抜てきが実施できるようにする。19日にも閣議決定する。

 鳩山首相が15日、官邸で仙谷由人国家戦略担当相、原口一博総務相ら関係閣僚と協議して決めた。その後首相は記者団に「やる気のある人は抜てきし、やる気のない人には厳しい、というメッセージ。年齢にかかわらず(人事の)自由度を高め、次官を終えた後も役所で仕事してもらう人も出てくる」と語った。入省35~36年の次官級から入省29~30年の部長級人事を一括し、年次が逆転した配置もありうると指摘した。

 原案では次官・局長級の部長級への降格には「特例降任」制度を用いるとされた。ただ、(1)勤務実績が劣る(2)他の人の方が優れた実績を上げられる(3)転任させる役職がない--をすべて満たさねば降格できなかった。麻生政権の改正案と同じ内容に原口氏が「本当に降任できるのか」と疑問を呈していた。

 修正案は、次官級と局長級を「同一の職制上の段階」とみなす原案の規定を部長級に拡大する、というもの。次官・局長級と部長級でそれぞれ用意するはずだった名簿も一つに統合し、政権の意向に沿う官僚を重要なポストに起用しやすくする。松井孝治官房副長官らが野党時代から提唱していたものだ。

 ただ、麻生政権の法案にあった人事院改革には踏み込まず、官邸主導の人事管理を優先する基本方針は変わらない。官僚からは「政治家の好き嫌いで恣意(しい)的な人事になる」「公務員の身分保障に反する」などの指摘も出ている。仙谷氏も「やたら振り回すのは危ない。乱用防止と同時に適材適所ができるかどうか」と課題を挙げた。【小山由宇】




以下の記事もご参考に。




■「国家公務員法改正案」閣議決定見送りの真相 あまりに次元が低い政権内抗争
(2月15日 現代ビジネス・ニュースの深層 高橋 洋一)

2月12日、国家公務員法改正案が閣議決定される予定であったが、閣内の意見調整がつかず、見送りにされた。

 鳩山政権にとって、脱官僚依存は公約スローガンの筆頭格であったが、その具体策である法案のつまづきは、政権内のどたばたぶりを示している。

 報道によれば、原口一博総務相が幹部降格の規定が実際に発動できるかどうか明確でないとの理由で異論を唱えた。

 その意見自体はある意味でまともであるが、原口総務相の真意は別のところにあると、私はみている。

 というのは、これは閣議前に言っておけば済む程度の話だからだ。法案を閣議決定する場合、事前に各府省協議が行われるが、そのときに規定ぶりに異論があるならその旨を事務方に伝えておけばいい。

 実際、9日の総務省政務三役会議で、原口総務相は、法案を担当する国家公務員制度改革推進本部事務局次長でもある階猛総務省政務官に「原口は激怒していると伝えてくれ。紙を書いた担当者を呼んで説明してもらいたい」と指示している。

 その政務三役会議で、原口総務相は、「官民人材交流センター」が看板掛け替えで存続することや「事務次官」も事実上残ることに否定的な見解を示していた。

 政治家が表の会議で発言するときには表向きの建前とともに、別の本音もある。原口総務相の今回の発言は、鳩山政権内での主導争いがあると思う。

政権の二枚看板が「反小沢」に
 いうまでもなく、鳩山政権には「小沢陰関数」といわれる権力の二重構造がある。「陰関数」とは、表の関係ではなく、裏で支配的な関係があることを示す言葉だ。

 鳩山政権は、自分自身の偽装献金問題とともに小沢問題で支持率が急落している。今国会でも、これらの政治とカネの問題でしばしば苦境にたっている。

 そこで、急遽、鳩山政権唯一のヒットである事業仕分けを仕切った枝野幸男元政調会長を行政刷新担当相に任命した。

 それまで枝野氏については首相補佐官にするなどといった人事話がくすぶっていたが、内閣支持率低下にこらえきれなくなって決断したのだろう。

 枝野行政刷新相は、表立って小沢氏とバトルを演じたことはないが、反小沢であることは周知の事実だ。

 国家公務員法改正を担当する仙谷由人国家戦略担当相も反小沢の代表格である。鳩山政権の二枚看板である国家戦略と行政刷新の二つのポストが反小沢になった。


こうなると閣内バランスから、最近小沢氏に急接近し親小沢になった原口総務相の出番になる。原口総務相は次官廃止について仙谷国家戦略相と一致しているという。

 しかし、次官廃止について、かつて仙谷国家戦略相がぶち上げたが、その後官僚の抵抗にあって立ち消えになっている。それをあえて公言するのは仙谷国家戦略相への当てつけでしかない。

 しかも、法案の問題点があらかじめ明らかなものについて、閣内未調整なら閣議案件にせずに延期すればいいのに、わざわざ閣議案件にしておいて対外的にわかる形で反対してみせたのは、政治的な意味があると言わざるをえない。

 今回の閣議決定見送りは、公務員制度改革という名を借りた閣内の親小沢と反小沢の政治対立なのである。

 では制度改革の中身、そのものはどうなのか。公務員制度改革は一般には何が争点なのかわかりにくいが、霞ヶ関をどう扱うかという政治の要所だ。

 国家公務員法改正案には、幹部人事の一元管理、幹部降格、内閣人事局、民間人材登用・再就職適性化センター、再就職等監視・適性化委員会などが盛り込まれていた。

 今回問題になった幹部降格の規定どころか、そのほかの規定まで、麻生政権時代の2009年に国会に提出されて衆院解散によって廃案になったものとそっくりだ。

 両者の違いは、内閣人事局の設計に関し、自公政権では総務省・人事院からの機能移管することとなっていたが現政権の案では行わないことになる点と、「センター」の業務が自公政権では天下りあっせんを行うが現政権では行わないとなっている点ぐらいだ


民主党が給与法改正に踏み込めない理由
 私は、麻生政権より前に、天下りあっせん禁止などの公務員制度改革に加わっていたが、麻生政権になって改革がかなり後退した覚えがある。そのときよりさらに後退した今回の改革案をみて、低い次元での鳩山政権内の抗争だと思った。

 今回の案では、総務省・人事院からの機能移管なしは、明らかに後退だ。前週このコラムで紹介したように、5代以上連続した天下り指定席でも9割は府省の天下りあっせんがなかったというくらいなのである。

 「センター」の業務に天下りあっせんは問題外なのだ(なお、コラムで調査の杜撰さを指摘した後、総務省は再調査することを表明した)。

 今回の案の中で、仙谷国家戦略相は、事務次官を局長と同一の職制上のクラスと見なすことで、事務次官は事実上なくなると説明する。しかし、給与法を改正せずに事務次官の給与(年収2300万円)のほうが局長のそれ(年収1700万円)より高いことを温存している

 これで事務次官がなくなるとの説明はまやかしだ。給与法改正が出てくると、幹部だけでなく公務員全体まで話が及ぶので、公務員労組の応援を受けている民主党は消極的だ

 一方、原口総務相も、自分の判断で総務省の人事関係部局を官邸の内閣人事局に移管できるのにやろうとしない。それを言い出すと、労組応援の牙城である人事院の移管まで議論が波及するから言えないのだろう。

 どちらも、総務省・人事院の機能移管や給与法改正という公務員制度改革のキモを見事に外している

 たとえ政権内抗争だとしても、こうしたスイートスポットまで議論されるなら国民にとって大歓迎である。しかし、その見込みは薄いのが現状だ。