日銀とデフレ | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

日銀とデフレ

秘書です。

日銀は17、18日開催の金融政策決定会合を開きます。

日銀とデフレについて、おさらいしておきましょう。



■〔焦点〕日銀はソブリン・リスクなどの影響見極め、緩和環境の継続確認へ
2010年 02月 12日 16:42 JST

 [東京 12日 ロイター] 日銀は17、18日開催の金融政策決定会合で、足元の景気状況を点検するが、日本経済については1月に行った「経済・物価の展望」(展望リポート)の中間評価にほぼ沿った動きとみているようだ。また、ソブリン・リスクなど国際金融面での様々な動きなどが日本経済に与える影響を点検するとみられる。足元で追加策が必要との声はほとんど聞かれないが、市場が急変して実体経済の下振れリスクが高まったと判断すれば、さらなる対応も辞さないとみられる。政策金利は無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を0.1%前後に維持することで、極めて緩和的な金融環境を継続していく見通しだ。
 <トヨタのリコール問題、生産への影響を懸念する声も>
 展望リポートの中間評価では「2010年度半ばごろまでは、持ち直しのペースは緩やかなものにとどまる可能性が高い」との見通しを示したが、足元の景気は、それにほぼ沿っていると日銀ではみている。景気の二番底リスクは小さくなったものの「場合によっては踊り場的な状況になる可能性」(5日の国会答弁で山口広秀副総裁)もあると慎重にみている。リスクについても、上振れ要因と下振れ要因が徐々にバランスしつつあるものの、まだ下振れリスクの方がやや大きいとの見方も日銀内にはある。
 最近の海外要因では、中国の金融引き締めについて、短期的なマイナス効果はあるものの、景気の堅調さを維持するために好ましい動きとみているようだ。オバマ米国大統領の新金融規制案、ギリシャの財政赤字問題などの影響については、今後の推移を見守りつつ、日銀内で議論を深めていくことになりそうだ。
 トヨタのリコール問題については、あくまで個社の問題であり、他社による生産代替が可能との見方がある一方、中部経済や他産業への影響、減速傾向がやや強まるとみられる4─6月期以後の生産への影響、中長期的な日本製品への信頼性への影響などを懸念する声もある。
 デフレについては、政府の「デフレ宣言」やマスコミ報道などにより、短期的なインフレ期待がやや下振れたものの、日銀が重視する中長期的な期待は下振れていないと判断しているようだ。今後も、短期的な下振れが中長期に波及する可能性については注視していく。
 <国債買い切りオペ増額、より慎重に>
 需給ギャップや物価の下落幅も徐々に縮小するなど、デフレ緩和の方向にあるため、日銀では追加策が必要とは判断しておらず、0.1%の低金利を粘り強く維持していく方針だ。
 ただ、ドバイショックなどのように金融市場の安定が損なわれ、それにより実体経済の下振れが懸念されるような事態になれば「迅速・果断に行動する」(1月29日の講演で白川方明総裁)ことになりそうだ。
 下振れリスクが高まった場合には、あらゆるオプションを排除せず、その影響を見極めた上で、柔軟に判断するとみられる。期間3カ月、供給額10兆円でスタートした新型オペの期間延長や供給額引き上げなどで対応する可能性もありそうだ。
  
 一方、長期国債買い入れオペについては、市場調節手段の1つと位置づけ、今後、必要なら増額もありうるとの判断だが、足元での増額は必要ないとの声が多い。今後の増額についても、ギリシャなどの財政悪化懸念に世界的な注目が集まる中、慎重のようだ。過去の増額では、財政ファイナンス・マネタイゼーションへの疑念が市場で浮上することは無かったが、そうした状況がいつまで維持できるかについても警戒感が強まっている。
 (ロイターニュース 児玉 成夫記者:編集 田巻 一彦)



まず、昨年12月の日銀総裁のデフレファイターとしての決意を確認しておきましょう。



■日銀決定会合:物価下落許容せず…デフレ対策、言葉頼み?
 2009年12月18日 20時33分 毎日新聞
 日銀は18日の金融政策決定会合で、消費者物価の下落を「許容しない」と表明した。デフレ脱却まで金融緩和を続ける姿勢を示すことで、より長めの金利を抑える「時間軸効果」への期待を込めたものだが、物価に関する表現の変更で追加の金融緩和効果をひねり出す「苦肉の策」とも言え、円高・デフレ対策の手詰まり感もうかがわれる。【清水憲司】
 決定会合では、物価安定の水準に関する表記を、従来の「前年比0~2%程度」から「2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度を中心と考える」に変更。日銀が物価下落を容認していないことを明確にし、デフレとの対決姿勢をアピールすることで、一段の金融緩和効果を図る狙いがあり、白川方明総裁は記者会見で「広い意味での時間軸的な効果と呼ぶなら、その効果はある」と述べた。
 従来の表記だと「小幅下落も許容範囲。日銀はデフレ容認」とも読め、一部の早期引き締め観測につながっていた。このため日銀は「誤解を解いた方がいい」(白川総裁)と判断。同時に、「物価安定に関する日銀の考え方が浸透すれば、金利形成(低下)に相応の影響がある」との期待感も込めた。
 一方で白川総裁は「先行きの政策運営への何らかの約束ではない」と述べ、過去に導入した「時間軸効果」との違いを強調。従来は物価が安定的に上昇に転じるまで超低金利政策の継続を約束していたが、00年代初頭の世界的な金利低下が米国の住宅バブルなどにつながったとの反省を踏まえ、「物価だけ見ていると、経済の不均衡を見失う」と警告することも忘れなかった。
 物価が上昇に転じなくても金融引き締めに転じる余地を残した形で、「中途半端な感じは否めない」(クレディスイス証券の白川浩道氏)と厳しい見方もある。白川総裁も会見で「(今回の措置だけで)デフレから脱却できるとは思っていない」と述べた。
 1日に10兆円規模の資金供給策を打ち出したのに続き、立て続けの「緩和措置」でデフレ対策での政府との共闘をアピールする日銀だが、期待する中長期の金利低下が直ちに需要不足の改善につながるとは言えない。政府・日銀ともに一段の円高やデフレへの抜本策を提示できたとは言えない。



「言葉頼み」。そして、物価だけではない、と。そもそも本当にデフレは悪いと思っているのか。そして、デフレを克服する手段があると思っているのか。



■日銀総裁:デフレ脱却へ「体質改善を」
2010年1月29日 20時53分 毎日新聞
 日銀の白川方明総裁は29日、東京都内で講演し、デフレについて「将来の成長に対する期待が低下していることが原因」との認識を示した。また、デフレ脱却には企業など供給側による、需要を生み出すための「体質改善」が必要だと指摘。日銀による資金供給だけでは解決しないとの考えを強調した。【清水憲司】



体質改善論。日銀による資金供給だけでは解決しない。昨年12月の「日銀が物価下落を容認していないことを明確にし、デフレとの対決姿勢をアピール」は何だったんでしょう?



■日銀:量的緩和だけではデフレ脱却不十分…中村審議委員
2010年2月4日 21時59分 毎日新聞
 日銀の中村清次審議委員は4日、福岡市で講演し、「(日銀が)資金供給を増やすなどの施策だけでは、デフレから脱却できるとは考えにくい」と述べ、金融政策とともに政府の成長戦略や企業の生産性向上が不可欠との考えを示した。
 中村審議委員は、デフレ脱却には「さまざまなイノベーションや地道な努力で、所得増加への期待を高めていくことが肝要だ」と指摘。01~06年の量的緩和政策については「銀行の貸し出しは増えず、直接的なデフレ脱却効果は小さかった」と評した
 また「デフレという言葉がやや安易に使われている」との認識も表明し、消費拡大のため機能の選別などで値下げが進むことは、デフレと切り離して議論すべきだとの見解を示した。【清水憲司、桐山友一】



01-06年の量的緩和政策について、しっかり総括しないからこういう議論がでてくるんでしょうね。「①量的緩和が遅すぎたんじゃないか、②量的緩和が中途半端だったんじゃないか。③量的緩和の解除がはやすぎたんじゃないか」。そういうことは考えたことがあるんでしょうか



そして、またでてきましたね、「良いデフレ」「悪いデフレ」論。これは物価下落容認論につながっていくのでは?




■日銀:速水氏、量的緩和圧力かわす…99年9月の政策会合
2010年1月28日 21時10分 毎日新聞
 日銀は28日、99年7~12月の金融政策決定会合の議事録を公表した。急激な円高を背景に、政府による金融緩和圧力が強まっていた9月21日の会合では、速水優総裁が「実質的な効果が期待できない政策に安易に踏み切れば、日銀の信頼性を損なう」と述べ、圧力をかわし、追加緩和を見送ったことが明らかになった。(肩書は当時)
 日銀は99年2月にゼロ金利を導入。一方、米国の経常赤字拡大などで円相場は7月の1ドル=120円台から9月には103円台に急伸していた。景気腰折れを懸念した宮沢喜一蔵相は16日に速水総裁と会談し、円高対応での協調を求めて暗に追加緩和を要請。市場は緩和を織り込んでいた。会合でも谷垣禎一・大蔵政務次官は「オフレコ的に申し上げる」と前置きした上で「最近の動向は理屈を越えた感がある。あえてアタックして、いろいろな施策を取らないといけない」と緩和の決断を促した。
 しかし政策委員の多くは「風圧に屈したことになり、独立性や主体性を問われかねない」(後藤康夫審議委員)などと反発。議長の速水総裁はゼロ金利政策を「究極の金融緩和」と位置付け、「中央銀行として責任の持てる緩和措置はこれ以上は考え難い」と総括。賛成多数で追加緩和の見送りを決めた。
 政府の風圧をかわし独立性アピールに成功した日銀だったが、量的緩和を予想していた市場では、落胆から円高が進む場面もあった。結局、日銀は翌10月に資金供給手段の多様化など金融緩和策の徹底を迫られた。
 日銀は昨年12月にも、円高や政府の緩和圧力を背景に追加緩和に踏み切ったが、一段の緩和余地は限られ、政府の成長戦略も力強さに欠ける。市場からは「企業の海外シフトで99年以上に景気の本格回復やデフレ脱却は難しい状況だが、政府・日銀は決め手を見いだせないままだ」(クレディ・スイス証券の白川浩道氏)と厳しい目線も向けられている。【清水憲司】



日銀の独立性・主体性を政策の目標にするから、物価下落につながっていくんですかね。日銀は一体、何を使命にしているのでしょう。独立性・主体性という特権や名誉は一体何のために?