閉塞感が自己実現的に発生してませんか | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

閉塞感が自己実現的に発生してませんか

秘書です。昨日のボスの勉強会で、「草食系男子」といわれるが、親の世代よりも豊かになれない社会、チャレンジしても成功する見込みのない社会をつくったのは大人ではないか、という意見がでていたそうです。


ボスはそんな閉塞感と戦い続けているのですが、ところで、

物価上昇率について政府・日銀が1-2%程度の目標を共有すべきとのボスの考え方は、日本国内ではインフレ依存の「悪魔的手法」というレッテルがはられて定着しています。

しかし、下記の記事をみてください。ボスを批判する日本の多数派のみなさんは、是非、イギリスのイングランド銀行総裁に向かって「それは悪魔的手法だからやめたほうがいい」とアドバイスしてみてください。なぜだ?と聞かれたらどう答えます?「日本のように長期のデフレを実現できる」とでも答えるのでしょうか?




■英中銀、2年後のインフレ率は目標下回る約1.2%と予想=インフレ報告
2010年 02月 11日 01:27 JST

 [ロンドン 10日 ロイター] イングランド銀行(英中央銀行)は10日発表した四半期インフレ報告で、金利が金融市場の予想通りに第3・四半期から上昇し始めた場合、2年後のインフレ率は目標の2%を下回るとの見通しを示した
 インフレ報告のチャートによると、金利が市場の予想通りに上昇すれば、2012年初めのCPI上昇率は1.2%前後となる見通し。
 この見通しは、2010年第3・四半期の金利が平均0.6%で、第4・四半期に1.0%、2011年第1・四半期に1.3%、第2・四半期に1.7%、第3・四半期には2.1%に上昇するとの金融市場の予測に基づいている。
 報告の中で中銀は「回復の力強さは非常に不確かだ」と指摘。景気は非常に緩やかにしか回復せず、国内総生産(GDP)が危機前の水準に戻るのは2011年半ばになると予想した。2年後のGDP伸び率見通しは3.5%前後とした。
 また、GDP伸び率やインフレ率に関する今回の見通しは11月に発表した見通しとほぼ変わらないとした。
 中銀は前週、資産買い入れプログラムの規模を2000億ポンドに据え置くとともに、政策金利も過去最低の0.5%に維持し、金融緩和政策を継続。中銀は、政策金利が0.5%に据え置かれたとしても、2年後のインフレ率は目標を下回ると予想している。
 キング英中銀総裁は記者団に対し「追加的な買い入れが必要になるとの判断を下すには、あまりにも時期尚早だ」と指摘。「このため、金融政策委員会は選択肢を残しておく。中期的にインフレ目標を達成するうえで必要に迫られた場合、追加的な買い入れが実施されることになる」と述べた。
 中銀の見通しは、向こう4年間に財政赤字を半減させるとした労働党政権が前年12月に発表した予算編成方針に基づいている。ただ今年5月6日には総選挙が予定されており、アナリストの間からは、どちらの陣営が勝ったとしてもより厳しい財政緊縮が導入されるとの見方が出ている。
 キング総裁は、財政赤字を確実に縮小する計画の必要性については政治的な合意が醸成されているとし、英国の「AAA」格付けが今にも引き下げられるとのうわさを否定した。
 中銀の四半期インフレ報告発表を受け、緩和的な金融政策が年内は維持されるとの見方が高まり、また追加的な金融緩和の可能性も払しょくされなかったため、外国為替市場ではポンドが下落した。



「増税」につっこむ財政、「デフレ」を放置する金融政策。この戦前日本の「陸軍はソ連を仮想敵とし、海軍はアメリカを仮想敵とする」かのごとき国策の合成の誤謬のしわよせは、また、国民生活にきます。

失業、倒産、新卒者の就職難。そこからくる家庭内の不幸な事件・・・

この「悪魔のサイクル」の責任は誰がとるのでしょう?結局誰もとらないで、しわ寄せをうける人の自己責任にするのでしょう。

自分自身は安全な場所にいて、政策の結果責任はとらないで、結果生じる不幸は、不幸な目にあった人の自己責任にする。

しかし、民主党政権はこのマクロ政策の根幹については全くみようとしない。マクロ政策の根幹は、財務省出身者と日銀出身者に丸投げしている。これでは増税と利上げに自然に向かいますよね。自然に向かうから、だれも責任をとらない・・・


下記の記事をみると、アメリカでは「危機時の金融政策を平時に戻す出口戦略」ということが語られはじめたようです。そうすると、デフレにもかかわらず、日本国内でも米国に追随して「出口戦略」をいう人がでてくるでしょう。

そうすると、デフレ下にもかかわらず、「90年代スウェーデン型財政政策(増税)+金融出口戦略(金融引き締め)」のキャンペーンがはじまるかもしれません。それが流行となり、空気となり、それに逆らうものは「悪魔の手法」のレッテルをはられる・・・

それをおそれて、マスコミと専門家と経済人と政治家が沈黙して、どうして国の閉塞感が打破できるのでしょうか。若者を「草食系」と揶揄する前に、自分自身の鏡の姿が草食系になっていないか、みんなで確認しようではありませんか。






■米FRB出口戦略、流動性吸収手段を試し利上げは後の見込み=バーナンキ議長議会証言
2010年 02月 11日 03:31 JST
 [ワシントン 10日 ロイター] バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は10日米議会下院金融委員会での証言原稿で、危機時の金融政策を平時に戻す出口戦略について、FRBはまず準備預金吸収手段を試し、利上げは後になる可能性があるとの見解を示した。
 この日に予定されていた議会証言は大雪のため延期されたが、証言原稿は予定通り公表された。
 それによるとバーナンキ議長は「米経済は現時点では非常に緩和的な金融政策による支援を必要としているものの、FRBはある時点で金融状態を引き締めなければならない」と指摘した。
 出口戦略について、リバースレポ取引やターム物預金ファシリティーなどの流動性吸収手段を、市場が準備できるようにまず小規模でテストする可能性があるとの見通しを示した。
 金融引き締めの時期が一段と近づけば準備預金の吸収を加速するとし、FRBのバランスシート縮小により政策当局者は短期金利をコントロールしやすくなると述べた。その上で、FRBはいずれ準備預金への付利引き上げを実施する可能性があるとした。
 FRBは景気支援策の一環としてモーゲージ担保証券(MBS)買い取りプログラムを開始。同プログラムが終了する3月末までに総額1兆4500億ドルの買い入れを実施する。
 バーナンキ議長は「少なくとも引き締め政策が浸透し、経済の回復が明らかに持続的になるまでは」FRBは買い入れた証券の売却は行わないとした。
 景気回復が進み一段の金融引き締めが必要となった時は、証券を売却する可能性があるとしながらも、売却は段階的に行い、市場に対して事前に十分な通知を行うとの立場を示した。

またFRBは、公定歩合であるディスカウントレートの引き上げや、緊急融資の期間の縮小などを通して、これまで導入した数々の緊急融資対策を危機前の通常の状態に戻すとし、ディスカウント・レートと、政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートとの差について、「若干拡大させる」ことをFRBは「近いうちに」検討する見込みとした。
 2007年夏に金融危機に見舞われる前は、公定歩合はFF金利より1ポイント高く設定されていた。現在は公定歩合は0.5%、FF金利の誘導目標は0─0.25%に設定されている。
 また、連銀貸し出しに関する変更は、貸し出しを通常の状態に戻すための措置であり、金融政策の見通しの変更や金融引き締めに向けた動きとして受け止めるべきではないと強調。FRBの政策見通しについては、1月26─27日の連邦公開市場委員会(FOMC)時点と「ほぼ同じ」とした。
 同議長はまた、FRBのバランスシートが膨れ上がっているためFF金利のコントロールは困難になる可能性があると指摘。移行期間中はFRBはFF金利に代わる短期金利を用いて政策スタンスを示す可能性があるとして「FRBは当面、準備預金への付利を預金量目標と組み合わせて利用し、政策スタンスの指針とする可能性がある」とした。



最後に、安達誠司さんの『脱デフレの歴史分析』(2006年、藤原書店)より。



「日本の場合、1921年以降、金融政策は、ほぼ一貫して「引き締め気味」に運営されていた可能性が高いことがわかる。すなわち、大正期以降の日本経済の「行き詰まり」の原因についての一つの有力な仮説としては、金融政策の失敗が経済全体に閉塞感をもたらしたのではないかと考えられるのである。その意味では、濱口民正党の登場以前に既に、金融政策運営の失敗によって、閉塞感が自己実現的に発生していたと考えられるのである」(211-212ページ)




そして、今日の日本。草食系男子が生まれる環境は閉塞感がつくり、その閉塞感(潜在成長率0%台で、親の世代よりも豊かになることが絶望的な社会)を自己実現的に生んだのは・・・?