「大山鳴動、次官一人」で身分保障体系の根幹護持か? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

「大山鳴動、次官一人」で身分保障体系の根幹護持か?

秘書です。まさか、事務次官一人の「降格」可能性をもって「政治主導」?



■<公務員法改正案>首相要求で幹部異動 次官降格も容易に
2月4日2時30分配信 毎日新聞

 政府が今国会で提出する国家公務員法等改正案の素案が3日分かった。「内閣の重要政策を実現するため」に首相が各閣僚に部長級以上の幹部の異動を要求できる規定を設けるなど、首相官邸の意向を幹部人事に直接反映できる仕組みを明文化する。また、事務次官を局長級と同格とみなし、降格を容易にする。いずれも政治主導・官邸主導で政策立案を推進するため、官僚の人事異動を柔軟に行えるようにする措置で、衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた「新たな幹部人事制度」の輪郭が示された。

 素案では「首相または官房長官は、内閣の重要政策を実現するために適切な人材を登用する必要があると判断する時する措置で、衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた「新たな幹部人事制度」の輪郭が示された。

 素案では「首相または官房長官は、内閣の重要政策を実現するために適切な人材を登用する必要があると判断する時は、任命権者(閣僚など)に幹部職員の任免の協議を求めることができる」と明記。また、任命権者側には幹部の任免の際、「あらかじめ首相及び官房長官に協議する」ことを求めている。

 現在、局長級以上の人事では、正副官房長官で構成する「閣議人事検討会議」の了承を経る手続きがあるが、同会議には法的根拠がないため、「幹部職員人事の内閣一元管理」として明文化する。

 一元管理の事務を担う内閣人事局長は官房副長官を充てる。政務の副長官が担当する見通しだ。幹部職員の公募は「首相が一元的に実施する」とした。官民人材交流センターは廃止し、「民間人材登用・再就職適正化センター」を設置し、その下に「再就職等監視・適正化委員会」を置いて天下りを監視。

 次官級は、局長級と「同一の職制上の段階に属するとみなす」と規定。降格を「勤務実績がよくない場合」などに限る国家公務員法規定に該当しないようにする。麻生政権が昨年の通常国会で提出した改正案(廃案)に盛り込まれた、局長級を降格できる「特別降任」の規定は盛り込んでいない。 【小山由宇】

 ◇国家公務員法改正案(素案の要旨)

 ■内閣の人事管理機能の強化

 1、幹部職員人事の内閣一元管理 首相は幹部職員、各任命権者が推薦した者と、公募に応募した者の能力を審査▽合格者で幹部候補者名簿を作成▽幹部は名簿から任用▽首相、官房長官は、内閣の重要政策実現に適切な人材登用が必要と判断する時は、任命権者に幹部の任免の協議を求めることができる▽任命権者は任免の際、あらかじめ首相及び官房長官と協議▽公募は首相が一元的に実施。

 2、幹部職員人事の弾力化 事務次官及び局長に準ずる官職は、同一の職制上の段階に属するとみなす

 3、内閣官房に内閣人事局を置き、局長は官房副長官から首相が指名

 ■国家公務員の退職管理の一層の適正化

 1、民間人材登用・再就職適正化センター 内閣府に置き、組織改廃で離職した職員の再就職、官民人事交流を支援▽センター長は首相が指名する閣僚

 2、再就職等監視・適正化委員会 センターに第三者機関として置く▽委員長と委員4名は衆参両院の同意を得て首相が任命



「特別降任」の規定がない、次官を局長クラスにするだけ、もしもこれがほんとなら、「大山鳴動、次官1人」ということでしょうか。記事だけではよくわからないですが。

次官を局長級にすることの見返りとして、山県有朋以来の、そして戦後はスト権制限の代償措置として生き残っている「一般職としての幹部公務員の身分保障」は温存させるようにもみえます。

もしもそうなら、たとえ、首相や官房長官が各閣僚と、ある局長に異動をもとめる「協議」したとしても、局長の身分保障が残っているため、首相や官房長官はその局長が同格のポストを用意しない限り、異動は実現しないのではないでしょうか。

そして、民間人をどうやって幹部に抜擢できるのでしょう。あるポストの局長をはずさないと民間人の抜擢はできません。でもはずした人の局長級のポストがどこかにあいていないとその人は外せません。それがいまの身分保障体系です。どうも民主党政権はこの身分保障体系の根幹には手を入れないようですね。

事務次官ポスト一つを明け渡すことで、山県有朋以来の身分保障体系の根幹の護持を図るというのであれば、これぞまさに「政治主導」の名のもとの「大山鳴動鼠一匹」。

しかし、新聞記事だけからだとよくわかりません。

本当の政治主導になるのかどうか、ボスが所属する内閣委員会で徹底審議をしましょう!

判断の比較材料は、下記の、ボスを含む自民党有志議員による「幹部公務員法要綱案」です。みなさん、この自民党有志の要綱案と、今後出てくる政府提出法案を比較検討ください!!





幹部公務員法案要綱(案)

第一 総則
 一 目的
  この法律は、行政の運営を担う国家公務員のうち幹部職員について適用すべき各般の基準を定めることを目的とすること。

 二 定義
  この法律において、「幹部職」とは、内閣府設置法第五十条及び国家行政組織法第六条に規定する長官、同法第十八条第一項に規定する事務次官若しくは同法第二十一条第一項に規定する局長若しくは部長の官職又はこれらの官職に準ずる官職であって政令で定めるものをいうこと。

 三 人事管理の原則
  1 幹部職を占める職員(以下「幹部職員」という。)の任用、給与その他の人事管理は、内閣による行政の遂行を最大限に効果的に行うことを目的として、人事評価(任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価をいう。以下同じ。)を基礎としつつ、内閣との一体性の確保にも配慮して、弾力的に行われなければならないこと。
  2 幹部職員の人事管理に際し、幹部職員の採用年次、合格した採用試験の種類及び幹部候補育成課程(国家公務員法第六十一条の十二に規定する幹部候補育成課程をいう。)の対象者であったか否かにとらわれてはならないこと。

第二 任用
 一 任命権者
  1 幹部職員の任命権は、法律に別段の定めのある場合を除いては、内閣、各大臣(内閣総理大臣及び各省大臣をいう。以下同じ。)、会計検査院長及び人事院総裁並びに宮内庁長官及び各外局の長に属するものとすること。これらの機関の長の有する任命権は、その部内の機関に属する官職に限られ、内閣の有する任命権は、その直属する機関(内閣府を除く。)に属する官職に限られること。ただし、外局の長(国家行政組織法第七条第五項に規定する実施庁以外の庁にあっては、外局の幹部職)に対する任命権は、各大臣に属すること。
  2 この法律及び政令に規定する要件を備えない者は、これを任命し、雇用し、昇任させ若しくは転任させてはならず、又はいかなる官職にも配置してはならないこと。

 二 適格性審査及び幹部候補者名簿
  1 内閣総理大臣は、次に掲げる者について、政令で定めるところにより、幹部職(自衛隊法第三十条の二第一項第六号に規定する幹部職を含む。以下1において同じ。)に属する官職(同条第一項第二号に規定する自衛官以外の隊員が占める職を含む。)に係る標準職務遂行能力(国家公務員法第三十四条第一項第五号に規定する標準職務遂行能力をいい、自衛隊法第三十条の二第一項第五号に規定する標準職務遂行能力を含む。)を有するか否かを判定するための審査(以下「適格性審査」という。)を行うものとすること。
   ① 幹部職員
   ② 幹部職員以外の者であって、幹部職の職責を担うにふさわしい能力を有すると見込まれる者として任命権者が内閣総理大臣に推薦した者
   ③ 第二の五による幹部職員の公募に応募した者
   ④ 適格性審査を受けることを内閣総理大臣に申し出た者であって、幹部職の職務の遂行に欠くことのできない最小限度の要件として政令で定めるものを満たす者
  2 内閣総理大臣は、適格性審査に合格した者について、政令で定めるところにより、氏名その他政令で定める事項を記載した名簿(以下「幹部候補者名簿」という。)を作成するものとすること。
  3 内閣総理大臣は、任命権者の求めがある場合には、政令で定めるところにより、当該任命権者に対し、幹部候補者名簿を提示するものとすること。
  4 内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、定期的に、及び任命権者の求めがある場合その他必要があると認める場合には随時、適格性審査を行い、幹部候補者名簿を更新するものとすること。
  5 内閣総理大臣は、1から4までの権限を内閣官房長官に委任すること。

 三 幹部候補者名簿に記載されている者の中からの任用
  1 選考による職員の採用であって、幹部職への任命に該当するものは、任命権者が、幹部候補者名簿に記載されている者であって、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる者の中から、内閣との一体性の確保にも配慮して、行うものとすること。
  2 職員の昇任及び転任であって、幹部職への任命に該当するものは、任命権者が、幹部候補者名簿に記載されている者であって、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる者の中から、内閣との一体性の確保にも配慮して、行うものとすること。
  3 任命権者は、幹部候補者名簿に記載されている職員の新・降任(仮称)であって、幹部職への任命に該当するものを行う場合には、内閣との一体性の確保にも配慮して、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる幹部職に任命するものとすること。

 四 内閣総理大臣及び内閣官房長官との協議に基づく任用等
  1 任命権者は、職員の選考による採用、昇任、転任及び降任であって幹部職への任命に該当するもの、幹部職員の幹部職以外の官職への昇任、転任及び降任並びに幹部職員の退職(政令で定めるものに限る。2において同じ。)及び免職を行う場合には、政令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議した上で、当該協議に基づいて行うものとすること。
  2 内閣総理大臣又は内閣官房長官は、幹部職員について適切な人事管理を確保するために必要があると認めるときは、任命権者に対し、幹部職員の昇任、転任、降任、退職又は免職(以下2において「昇任等」という。)について協議を求めることができること。この場合において、協議が調ったときは、任命権者は、当該協議に基づいて昇任等を行うものとすること。

 五 幹部職員の公募
  1 幹部職員の公募は、内閣総理大臣が、2の通知を受けたとき、又は3の協議が調ったときに、当該通知又は当該協議に係る幹部職について、政令で定めるところにより行うものとすること。
  2 任命権者は、幹部職に欠員を生じた場合又は欠員を生ずると相当程度見込まれる場合において、当該幹部職について幹部職員の公募を行うことが適当であると認めるときは、内閣総理大臣に対し、その旨を通知するものとすること。
  3 内閣総理大臣は、2に定めるもののほか、幹部職に欠員を生じた場合又は欠員を生ずると相当程度見込まれる場合において、当該幹部職について幹部職員の公募を行うことが適当であると認めるときは、任命権者と協議することができること。

 六 公募を行った幹部職への任命
  1 職員以外の者のみを募集の対象とする幹部職員の公募を行った幹部職への任命は、当該幹部職員の公募に応募した者の中から第二の三の1に基づき行うものとすること。ただし、当該幹部職員の公募に応募した者の中に幹部候補者名簿に記載されるべき者がいないとき、又は第二の三の1に規定する適性を有すると認められる者がいないときは、当該幹部職員の公募に応募した者以外の者の中から第二の三の規定に基づき行うものとすること。
  2 職員である者のみを募集の対象とする幹部職員の公募を行った幹部職への任命は、当該幹部職員の公募に応募した者の中から第二の三の2及び3の規定に基づき行うものとすること。ただし、当該幹部職員の公募に応募した者の中に幹部候補者名簿に記載されるべき者がいないとき、又は第二の三の2及び3に規定する適性を有すると認められる者がいないときは、当該幹部職員の公募に応募した者以外の者の中から第二の三の規定に基づき行うものとすること。
  3 職員以外の者及び職員である者の双方を募集の対象とする幹部職員の公募を行った幹部職への任命は、第二の三の規定にかかわらず、任命権者が、幹部候補者名簿に記載されている者であって、当該幹部職員の公募に応募した者であり、かつ、職員以外の者及び職員である者に対する共通の選考により、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとすること。ただし、当該幹部職員の公募に応募した者の中に幹部候補者名簿に記載されるべき者がいないとき、又は当該適性を有すると認められる者がいないときは、当該幹部職員の公募に応募した者以外の者の中から第二の三の規定に基づき行うものとすること。
  4 3に規定する共通の選考は、幹部職員の公募に応募した者の専門性並びに多様な経験及び実績を適切に評価することができるようなものでなければならないこと。

 七 幹部職の職務明細書
  1 任命権者は、政令で定めるところにより、幹部職に属する官職について職務明細書(採用、昇任、転任及び降任の基礎並びに職員の人事評価の基礎となるべき資料として、職務の具体的な内容並びに当該官職に求められる能力及び経験が記載された文書をいう。2において同じ。)を作成しなければならないこと。
  2 1の場合において、任命権者は、あらかじめ、職務明細書の記載の内容につき、内閣総理大臣に協議しなければならないこと。

 八 人事に関する情報の管理
  1 内閣府、各省その他の機関は、政令で定めるところにより、当該機関の幹部職員の人事記録の写しを、内閣総理大臣に送付しなければならないこと。
  2 内閣総理大臣は、1により送付された人事記録の写しに関して必要があると認めるときは、内閣府、各省その他の機関に対し、幹部職員の人事に関する情報の提供を求めることができること。
  3 内閣総理大臣は、1により送付された人事記録の写しに記載されている事項及び2により提供された情報に基づき、政令で定めるところにより、幹部職員の人事に関する情報を管理するための台帳を作成し、これを保管するものとすること。

 九 特殊性を有する幹部職等の特例
  1 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣法制局及び内閣府を除く。以下1において「内閣の直属機関」という。)、人事院、検察庁及び会計検査院の官職(当該官職が内閣の直属機関に属するものであって、その任命権者が内閣の委任を受けて任命権を行う者であるものを除く。)については、第二の二から六まで及び七の2の規定は適用せず、第二の八の1中「、政令」とあるのは「、当該機関の職員が適格性審査を受ける場合その他の必要がある場合として政令で定める場合に限り、政令」とすること。
  2 警察庁の官職については、第二の二、三、四の2、五、六及び七の2の規定は適用せず、第二の四の1及び八の1の規定の適用については、第二の四の1中「に協議した上で、当該協議に基づいて行う」とあるのは「(任命権者が警察庁長官である場合にあっては、国家公安委員会を通じて内閣総理大臣及び内閣官房長官)に通知するものとする。この場合において、内閣総理大臣及び内閣官房長官は、任命権者(任命権者が警察庁長官である場合にあっては、国家公安委員会を通じて任命権者)に対し、当該幹部職に係る標準職務遂行能力を有しているか否かの観点から意見を述べることができる」と、第二の八の1中「、政令」とあるのは「、当該機関の職員が適格性審査を受ける場合その他の必要がある場合として政令で定める場合に限り、政令」とすること。
  3 内閣法制局、宮内庁、外局として置かれる委員会(政令で定めるものを除く。)及び国家行政組織法第七条第五項に規定する実施庁の幹部職(これらの機関の長を除く。)については、第二の四の2及び五の3の規定は適用せず、第二の四の1並びに五の1及び2の規定の適用については、第二の四の1中「内閣総理大臣」とあるのは「任命権者の属する機関に係る事項についての内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣を通じて内閣総理大臣」と、第二の五の1中「とき、又は3の協議が調ったときに」とあるのは「ときに」と、「又は当該協議に係る」とあるのは「に係る」と、第二の五の2中「内閣総理大臣」とあるのは「任命権者の属する機関に係る事項についての内閣法にいう主任の大臣を通じて内閣総理大臣」とすること。

第三 分限(降任、休職及び免職)等
 一 内閣による行政の遂行を最大限に効果的に行うための降任等(「新・降任(仮称)」等)
  1 任命権者は、内閣による行政の遂行を最大限に効果的に行う上で必要と判断するときは、第二の三及び四の定めるところに従って、幹部職員を、その意に反して、新・降任(仮称)(幹部職員を、管理職のうち最上位の官職として政令で定めるものを限度として、その幹部職員が現に任命されている官職より下位の職制上の段階に属する官職に任命することをいう。)することができること。
  2 任命権者は、内閣による行政の遂行を最大限に効果的に行う上で必要と判断するときは、政令で定めるところにより、幹部職員を、その意に反して、新・降給(仮称)することができること。


 二 分限
  1 幹部職員は、法律又は政令に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはないこと。
  2 幹部職員が、次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、政令で定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができること。
   ① 人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合
   ② 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
   ③ その他その官職に必要な適格性を欠く場合
   ④ 官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合
  3 幹部職員が、次に掲げる場合のいずれかに該当する場合又は政令で定めるその他の場合においては、その意に反して、これを休職することができること。
   ① 心身の故障のため、長期の休養を要する場合
   ② 刑事事件に関し起訴された場合
  4 1から3までの規定は、幹部職員が条件附採用期間中の場合には適用しないこと。

第四 準用
  国家公務員法の所要の規定を準用すること。

第五 附則
 一 施行期日
  この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。

 二 幹部職員の給与及び退職手当
  幹部職員の給与及び退職手当については、次に掲げる原則に従って、別に法律で定めること。
 一 任命権者が、行政遂行を最大限に効果的に行う観点から、弾力的に運用することのできる制度とすること。
 二 検討に際し、民間における給与及び退職手当の制度を参考とすること。

 三 国家公務員法の一部改正
  特別職を列挙する規定に第一の二の幹部職を追加すること。

 四 関係法律の整備
  二及び三のほか、この法律の施行に伴う関係法律の整備については、別に法律で定めること。