平成15年の議員辞職勧告決議のときを思い出そう(中川語録) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

平成15年の議員辞職勧告決議のときを思い出そう(中川語録)

産経新聞の主張に「小沢氏の形式犯罪論」「虚偽記載は重大な犯罪だ」と書かれている。

確かに、平成15年に坂井隆憲元衆院議員は、国会議員として1億円の虚偽記載で逮捕されているが、小沢氏の場合は、7億円の虚偽記載なのである。

下記の当時の議院運営委員会における議員辞職勧告決議案の内容と趣旨説明と賛成討論の会議録をみていただければ、虚偽記載が軽い問題ではないことを民主党のみなさんにも思い出して頂けるのではないかと思う。

1月22日記 中川秀直


(参考1)議員辞職勧告決議
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/ketsugian/g15613001.htm
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/ketsugian/g15613001.htm

「議員坂井隆憲君の議員辞職勧告に関する決議案」(第一五六回国会、決議第一号)


 本院は、議員坂井隆憲君の議員辞職を勧告する。


  右決議する。

理 由 
 清潔にして公正な政治は議会制民主主義の根幹をなすものである。選挙という国民の厳粛な信託に基づき構成された本院の任務は重大であり、議員もまた姿勢を正して行動すべきことは言をまたいところである。

 しかるに議員坂井隆憲君が人材派遣会社から五年間で一億二千万円を超える多額の政治献金を受け取りながら、政治資金収支報告書に虚偽の記載をして、いわゆるヤミ献金として処理していたとされることは、政治資金そのものに対する国民の疑念を増幅させ、「政治とカネの問題」が焦点となっている中にあって、国民の政治不信を一段と増大させた。

 にもかかわらず坂井隆憲君が、自らの政治資金をめぐる同君自身にかかわる疑惑について、自ら真実を明らかにしようという真摯な姿勢を全く示さず、議院運営委員会での逮捕許諾請求に対する身上弁明もおこなわず、院外での言い訳に終始した挙句に、あろうことか自ら事実を隠蔽しようとしたその姿勢は、国会議員が国民から負託された重責を考えると誠に遺憾である。坂井隆憲君は、国民の政治不信の大きさ、今日の事態の重大さを理解するならば、当然、自らの疑惑の真相を明らかにしたうえで、議員としての身の処し方について思い至ってしかるべきである。

 よって、本院は、坂井隆憲君が今こそ、その責任を自覚して議員を辞し、国民に陳謝し、自らの政治的・道義的責任を明らかにするよう勧告する。

 これが本決議案を提出する理由である。

(2)平成15年3月25日衆議院議院運営委員会会議録
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm

①提案趣旨説明

○長浜議員
 民主党・無所属クラブの長浜博行です。

 私は、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合並びに民主党・無所属クラブを代表して、本院議員坂井隆憲君の議員辞職勧告決議案について、提案の趣旨を説明いたします。最初に、決議案の本文を朗読いたします。なお、あわせて、その理由を申し述べます。
議員坂井隆憲君の議員辞職勧告に関する決議案
 本院は、議員坂井隆憲君の議員辞職を勧告する。
 右決議する。

 以下、その理由を申し述べます。

 今、我が国を取り巻く内外の情勢は殊のほか厳しく、連日報道される戦火の中のイラク情勢や、拉致問題の解決の糸口すら見えない北朝鮮問題、国内にあっては深刻化するデフレ経済と企業の倒産、失業者の増大など、政治的にも経済的にも重要な課題が山積しています。このような中で噴出した坂井隆憲議員の政治資金をめぐる疑惑は、国民の政治不信を一段と増幅させました。
 本院は、昨年、いわゆる外務省問題など一連の疑惑で逮捕された鈴木宗男君に対して、本院として初めて議員辞職勧告決議案を可決いたしました。相次ぐ政治と金にまつわる疑惑によって失われた国民の政治への信頼を回復するため、あしき政官業癒着型政治の一掃に全力を挙げて取り組んでまいったわけであります。
 しかし、遺憾ながら、その鈴木宗男君が依然として議員であり続けているため、国民の政治への信頼回復はいまだ途上にあります。

 こうした中、また新たに、議員坂井隆憲君の政治資金をめぐる疑惑が明らかになりました。同君と秘書らが五年間にわたって一億二千万、一部報道によりますと一億六千万という報道もありますが、度を超える政治献金を受けながら、その多くを政治資金収支報告書に記載せず、虚偽の報告を行っていたこと。

  なお、当該政策秘書は、昨日、政治資金規正法違反、虚偽記載罪で東京地検特捜部より起訴されたことは、皆様御承知のとおりであります。
 本委員会で同君に対する逮捕許諾請求に関する質疑が行われた際、法務省は、同君がやみ献金問題に主体的に関与していたこと、証拠隠滅を図ったことなどを指摘いたしました。このことが事実であるか否か、坂井君本人の弁明があってしかるべきでありましたが、坂井君は出席しませんでした。本来ならば、みずから進んで議員辞職すべきところ、肝心な疑惑に関して何ら反省の意も表さず、事実を明らかにしようとしていないことは、到底看過できない事態であります。
 よって、本院は、坂井隆憲君が今こそ、遅きに失した感はありますが、その責任を自覚して議員を辞し、国民に陳謝し、みずからの政治的道義的責任を明らかにすることを勧告します。

 これが、本決議案を提出する理由であります。

 加えて申し上げますと、同君が現在も議員の職に居座り続けていることは、鈴木宗男君の件とともに、我が国の議会政治の本質が問われ、政治的、経済的な閉塞状況打破に大きな期待を寄せている国民を真っ向から裏切る事態となります。国民の血税から議員歳費等が支払われ続けていることをどのように国民の皆様方に説明すべきなのでしょうか。このことを強く申し上げておきます。

 また、最高裁で有罪判決が確定するまで議員の座にあった中村喜四郎君も、世論の厳しい批判を受けました。彼らのありようは、政治家の出処進退のあり方がいかに重要であるかを端的に示しています。
 二十一世紀は希望の世紀になると国民は大きな期待を寄せていました。しかしながら、国際情勢は複雑怪奇、我が国もその渦中に巻き込まれております。世界は大きな揺籃期を迎えています。我が国の経済情勢は依然として厳しく、企業の倒産件数は、昨年四月からことし三月までの一年間で二万件を超えるとされ、失業率は依然として五・五%という深刻な状況が続いています。倒産やリストラで職を失った国民の怨嗟の声が日々強まっています。

 このような厳しい現実の中で、国会議員の疑惑が年中行事のように取り上げられているようでは、今や、小手先の対応で国民の信頼を回復することは到底できません。大島農林水産大臣の秘書が関係したとされる一連の疑惑も、いまだ解明されておりません。

 政治への信頼回復の一つの手段として、私ども野党四会派は共同で、昨年の通常国会に、公共事業受注企業からの一定期間の政治献金禁止、あるいは企業・団体献金を受けることができる政党支部の制限などを内容とした政治資金規正法改正案を提出いたしました。しかし、今日に至るも、与党は全くこの法案の審議に応ずる姿勢を見せていません。小泉総理の過日の参議院予算委員会での答弁を聞きますと、政治資金問題について極めて積極的な発言をされております。この点、与党の対応はまことに奇異なものと感ずるのは私だけでしょうか。

 ところで、坂井隆憲君は過日、自由民主党から離党を認められず、除名されました。与党内からは、昨今例のない早さで坂井君の議員としてのけじめを求める声も出ています。本院としての事実解明の努力を全くせずに、このことをもって坂井君の問題に幕引きをしようとするのであれば、本末転倒であります。
 除名したからといって済む話でないことも強調しておきます。中村喜四郎君も鈴木宗男君も、逮捕前は自由民主党に所属しておりました。思えば、問題発覚後、電光石火のごとく権威ある良識の府の議長職を投げ捨て、飛ぶ鳥あとを濁すがごとく院を去った井上裕君も、党籍離脱前は自由民主党所属でありました。政治と金の問題は、戦後ほぼ一貫して日本国の政権政党の地位にある自由民主党にとって大変大きな問題であると、一国会議員として、そして国民の一人としてあえて申し上げておきます。
 また、与党の皆さんが坂井君に対して議員としてのけじめをつけることを本当に求めるならば、我々に同調して本決議案に賛成していただくことは当然としても、本件を初め、るる申し上げた疑惑の数々に対する事実関係の解明にも積極的に努めるべきであります。臭い物にふたは許されません。

 なお、坂井隆憲君は、本院の厚生労働委員長という要職を秘書の逮捕直前まで務めていました。坂井君への疑惑は、公平にして国民の信頼と尊敬を集めるべき本院と厚生労働委員会の品位を傷つけ、さらには我が国の労働行政全般への国民の不信を招くものであり、その責任は重大であることも申し添えておきます。

 さて、私どもは、坂井君への資金を提供したとされる関係者の予算委員会等での参考人質疑を求めています。しかしながら、この件はいまだ実現に至っておらず、坂井君の不正献金疑惑は全く解明されておりません。真相は依然としてやぶの中であります。

 先ほども申し述べましたが、与党の皆さんは、この件について率先垂範御協力をいただけるものと確信しております。後刻速やかに関係委員会での参考人質疑が行われるよう、御配慮いただきたいと思います。坂井君自身は既に逮捕されており、真相の解明は司直の手にゆだねられておりますが、三権分立の考え方を持ち出すまでもなく、本院は国権の最高機関としての自浄能力を問われており、国民は一刻も早い真相解明を国会の使命として求めております。
 以上のとおり、我々は、本院議員坂井隆憲君がみずから速やかに議員の職を辞することを勧告する決議を提案するものであります。
 最後になりますが、本決議案が本会議に上程されれば、本院史上二度目となり、二年連続という異常な事態になります。私自身、一昨年来、議院運営委員会理事として仕事をさせていただいておりますが、極めて遺憾かつざんきにたえない事態であることをあえて申し上げ、議員各位の御賛同をお願いし、提案理由の説明を終わります。

②賛成討論

○藤村委員
  民主党・無所属クラブを代表して、本院議員坂井隆憲君の議員辞職勧告決議案について、賛成の立場から討論を行います。

 本勧告決議案は、国会決議をもって議員の身分を奪うというものではないにしろ、選挙で選ばれた代議士にとっては致命的とも言える決議になることは容易に想像ができ、大変重いものであると受けとめております。この勧告決議案が、昨年の鈴木宗男議員に引き続いて、一年も経ずして今回また審議しなければならないことは、まことに残念であり、遺憾であります。
 今回、坂井議員は、みずからの秘書が逮捕され、みずからも逮捕許諾請求が行われても、なお何らみずからの意思を国会に対して明らかにすることなく、結果として逮捕となりました。世間の通念からすれば、弁明しないことは、すなわちみずからの罪を認めているのではないかと憶測されても仕方がない。そうであれば、この際、みずから議員の職を辞するものと考え、我々としてはしばらく静観をしておりましたが、ここへ来ても、何らみずから進んで辞職や、あるいは弁明すらありません。
 司法当局が公正かつ厳格な捜査により逮捕が妥当と判断され、国会でも、慎重審査の結果、逮捕許諾が司法権の乱用ではないとの判断で全会一致で許諾になったことを考えれば、本決議案については、当然のこととして賛成するものでございます。

○都築委員
 自由党の都築譲です。

 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました坂井隆憲君に対する議員辞職勧告決議案に賛成の討論を行います。

 年々歳々花相似たり、歳々年々人また同じからずと風雅な古詩に歌われる季節でありますが、毎年毎年、金権腐敗の花が咲き、毎年毎年、その主役たる政治家が違うというのは、まことに悲しく、恥ずかしい限りです。年中行事のように、元自民党の議員の逮捕許諾や議員辞職勧告決議案を議論することには、正直申し上げて、うんざりいたします。それを糾弾するに、同じような理由や理屈を繰り返すことに、むなしさを覚えるものであります。

 まして、この決議案が全会一致で可決されても、本人は議員辞職をしない意向であると伝え聞きますと、むなしさは一層深くなり、それなら、いっそのこと、坂井君、君、議員辞職するなかれ、いかに与党の情けは薄くとも、野党の追及は厳しくとも、議員辞職するなかれ、親は裏金つくれと君に教えしか、虚偽報告せよと五十五までを育てしかと、皮肉の一つも言いたくなるのであります。
 国会議員の身分保障が厳重なのは、国民の代表として、国民の声を、国民の気持ちを国権の最高機関である国会の場で発言し、国民の自由を、人権を、生命、身体、財産を、すなわち、国民の生活を守るという重い責任を負うているからであります。業者から裏金をせしめ、公の書類に虚偽の報告をすることが、国民のだれの声、どんな気持ちを代弁しているのでしょうか。捜査当局の示した容疑の概要や、新聞などの報道の信用度を慎重に考えても、国民の九九%は坂井君の所業を法的に許しがたいものと見ていると私は考えます。

 それとも、坂井君、君は、みずから身を賭して、金権政治、腐敗政治、利権政治、利益誘導政治、背信の政治のおぞましい実態を国民の目の前にすべてぶちまけて、自分が落ちてしまった修羅の政治の仕組みを打ち壊そうとしているのでしょうか。それならば、君を除く衆議院議員の全員が一致して辞職勧告をしても、敢然としてそれを拒否し、政官業癒着の腐敗政治の根絶のために、堂々と、みずからの犯した悪事、あるいは伝え聞く仲間や同類政治家の悪事をすべて暴露し、公表し、反駁し、汚名をすすがれるのがよいでしょう。

 その気概も気迫もないのなら、私たちの勧めに従って潔く議員を辞職し、政治への信頼をわずかなりとも回復し、人間としての良心、羞恥心のいささかなりともを示すべきであると申し上げ、私の意見表明を終わります。