★国会焦点に浮上=「八ッ場ダムは中止で胆沢ダムは建設」の「客観的な要件」 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

★国会焦点に浮上=「八ッ場ダムは中止で胆沢ダムは建設」の「客観的な要件」

秘書です。胆沢ダムについて学習しましょう!

■胆沢ダムの建設続行=首相
(1月20日-13:38時事通信)
 鳩山由紀夫首相は20日午前の参院代表質問で、小沢一郎民主党幹事長の地元で建設中の胆沢ダム(岩手県奥州市)について「既に本体工事に着手しているなど、一定の客観的な要件を満たす事業は継続して進める。胆沢ダムは本体工事が進んでいるので建設を続行した」と述べた。自民党の尾辻秀久参院議員会長に対する答弁。 
 胆沢ダムをめぐっては、関連工事を受注した中堅ゼネコンが、小沢氏の資金管理団体の土地購入に絡む事件で東京地検特捜部の捜索を受けている。



キーワードは「客観的な要件」。客観的な要件は、他のダムと比較可能でなければなりません。一番の指標は費用対効果でしょう。


まず、胆沢ダムの費用対効果
http://www.thr.mlit.go.jp/bumon/b00097/k00360/h13jhyouka/19_1_hp_siryou/siryou19_1_hosoku.pdf
費用対効果=1.68(河川分) 1.71(治水分)


次に、八ッ場ダムの費用対効果
http://www.ktr.mlit.go.jp/kyoku/office2/jigyohyoka/pdf/h20/03siryo/siryo1-2.pdf
費用対効果=3.4



「客観的な要件」が費用対効果ならば、八ッ場ダムこそ続行すべきでは?鳩山民主党政権としての「客観的な要件」とは何でしょう。もちろん、それは政治献金ではないはず。

総理が「客観的な要件」とおっしゃった以上、「八ッ場ダムは中止で胆沢ダムは建設」の「客観的な要件」があるはず。これは今後の国会の大きな焦点です。

前原大臣は、ご自身のブログに2006年8月25日に胆沢ダムを視察したときの話を下記のように記しています。
http://www.maehara21.com/blog/straight.php?itemid=924


「ダムを考える」

去る8月25日、岩手県にある胆沢(いさわ)ダムの建設現場を視察した。今までダムの視察には、建設現場、建設予定場所も含めて何度、訪れたことだろう。熊本の川辺川ダムは数度、大阪の紀伊丹生川ダム、鳥取の中部ダム、富山県・黒部川の出し平ダムなど、かなり多い。今までは、ダム建設や連携排砂に批判的な観点から視察を行ってきたが、今回の胆沢ダムは、視察の観点が異なる。そもそも、このダムの建設に大きな反対の動きはない。

ダムに対する私の基本的な考えは「緑のダム」、つまり山の保水能力を高め、山全体がダムの役割をする環境に変えていき、出来るだけ人工的なダムは作るべきではないというものだ。私が「次の内閣」の社会資本整備担当のとき、「公共事業基本法」「緑のダム法」をまとめ、国会に提出した。これは田中康夫・前長野知事の脱ダム・緑のダム宣言より前である。ただ、すべてのダムが悪いわけではない。例えば、ナイル川上流のアスワンハイダムがなければ、エジプトの首都・カイロは一年のうち数ヶ月は水に浸かるだろう。要は、本当に必要なダムの条件は何なのかを、十分見極めることが肝要だ。

胆沢ダムの工事事務所々長は、大学時代の軟式野球部の仲間、溝口宏樹氏だ。私のポジションは外野と投手だったが、彼はエース投手で、私は外野を守ることが多かった。胆沢ダムは、形式がロックフィルダム、つまりコンクリートで固めたダムではなく、水を通しにくい粘土質の土からなるコア、コアが流されないように両側には砂利層で保護しているフィルター、そしてコアやフィルターを支えるために頑丈な岩石を積み上げて出来ているロックの3層から成り立つ。ちなみに、日本初のロックフィルダムは胆沢ダムが出来れば水没する石淵ダムで、胆沢ダムは石淵ダムの約10倍の貯水量が期待されている。完成予定は平成25年で、総工費は約2440億円の見込みである。ダム建設の目的は、治水(洪水対策)、利水(灌漑用水)、利水(水道用水)、発電、胆沢川の流量維持の五つだ。

このダムの必要性は、治水よりも利水にその本質があるように感じた。奥州市(旧・水沢市)の扇状地(典型的な河岸段丘になっている)には水田が多く、渇水期においても農業用水を確保した上で、飲み水、川の流量を確保することが重要となる。むしろ2440億円もつぎ込む以上、この地域の農業を活性化させ、巨額の投資に見合う農業振興を、国・県を挙げて更に行わなければならない。

国土交通省は、ともすれば洪水対策を前面に出して、ダム建設の必要性を説く場合が多い。先ほど述べたように、ダムは全くいらないというつもりはない。しかし、地球の気候変動の影響もあって、局地的な大雨が短時間で降ることが多くなってきた。ダムによってすべての洪水を防ぐことは、もはや無理だ。昔は「100年に一度」だと思われた大雨が、より頻繁に降ったり、想定していた最大雨量をも超える長雨、大雨が大いにありうる。従って、予算の枠があるからと言って、ダムを作り続けることはナンセンスで、川は溢れるという前提で洪水対策、街づくり(特に地下街対策)を行わなければならない。これは、人間の本能を呼び覚ます取り組みでもある。

むやみやたらにダムを作ることには反対する。すべてのダム計画を一旦、凍結して、本当に必要なダムかどうかを2年ぐらいかけて検討すべきだ。これが、私が担当者のときにまとめた「緑のダム法案」の根本でもある。

鳥取県の片山善博知事は、私が最も尊敬する知事の一人だが、片山知事が中部ダムを白紙撤回したのは、情報公開条例をタテに「ダムと河川改修で、同じ治水効果を生むためにどちらのコストが高いのかを、もう一度、計算し直した」ことに起因する。

必要な公共事業は行わなければならない。しかし、無駄な公共事業は徹底的に排除しなければならない。財政赤字をこれ以上拡大しないための取り組みを、政治が真摯に行うと共に、教育や社会保障といった人への投資をより充実させるべきである。



これらについて、政府はどう考えているのでしょう。

加藤修一参院議員の質問主意書が、ズバリこのことを質問しておられました。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/173/syuh/s173077.htm


第173回国会(臨時会)質問主意書 質問第七七号
「八ッ場ダム問題と費用対効果等に関する質問主意書」
  平成二十一年十一月三十日
七 「八ッ場ダム」と「胆沢ダム」の費用対効果について
 関東地方整備局事業評価監視委員会の「八ッ場ダム」の費用対効果は三・四と評価されているのに対し、「胆沢ダム」は一・七と評価されている。
 ところで前原誠司・現国土交通大臣は、二〇〇六年八月二十五日に岩手県の「胆沢ダム」を視察した際の感想を、自身のホームページ上の「前原誠司の「直球勝負」(9)ダムを考える」で、「そもそも、このダムの建設に大きな反対の動きはない。・・(略)・・このダムの必要性は、治水よりも利水にその本質があるように感じた。・・(略)・・ダムは全くいらないというつもりはない。しかし、地球の気候変動の影響もあって、局地的な大雨が短時間で降ることが多くなってきた。ダムによってすべての洪水を防ぐことは、もはや無理だ。昔は「百年に一度」だと思われた大雨が、より頻繁に降ったり、想定していた最大雨量をも超える長雨、大雨が大いにありうる。従って、予算の枠があるからと言って、ダムを作り続けることはナンセンスで、川は溢れるという前提で洪水対策、街づくり(特に地下街対策)を行わなければならない。これは、人間の本能を呼び覚ます取り組みでもある。」と述べている。
 「このダムの必要性は、治水よりも利水にその本質があるように感じた。」とあるが、費用対効果を検証した上でのことなのか、いかなる定量的判断に基づいて発言しているのか、見解を示されたい。
 また、費用対効果の低いダムを作り続ける必要はない。しかし、「川は溢れるという前提で洪水対策、街づくり(特に地下街対策)を行わなければならない。これは、人間の本能を呼び覚ます取り組みでもある。」と述べているが、国民の安全と財産を守るべき国土交通大臣に就任した今でも、この認識は変わらないのか、見解を明らかにされたい。


この問いに対する回答は下記の通り。


第173回国会(臨時会)「答弁書」 答弁書第七七号 平成二十一年十二月八日
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/173/touh/t173077.htm
七について
 御指摘の「感想」については、前原国土交通大臣が大臣就任以前に、政治家個人としての見解を述べたものと承知しており、政府としてお答えする立場にない。


答えていませんね。八ッ場ダムと胆沢ダムの費用対効果のことは、これは答弁する義務があるんじゃないでしょうか。今後の国会論戦で、当然議論になるでしょう。費用対効果以外にどんな基準があるのでしょうか。総理がいう「客観的な要件」を明確にしていきましょう。

自民党も、視察団を現地に派遣します。

八ッ場ダムはダメで胆沢ダムの建設続行の「客観的な要件」がどこにあるのか。今後もしっかり確認していきましょう!



■自民 胆沢ダム視察へ
(1月20日 11:53 時事通信)
 自民党の石破茂政調会長は20日午前の記者会見で、岩手県奥州市の胆(い)沢(さわ)ダムに三ツ矢憲生・国土交通部会長を団長とする調査団を今月26日に派遣すると発表した。民主党の小沢一郎幹事長の政治資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件を解明するには、工事発注の際に小沢氏側の関与が指摘されている同ダムの視察が不可欠と判断した。