中川秀直「政党再編」発言ニュース | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

中川秀直「政党再編」発言ニュース

秘書です。今年のキーワードとして「政党再編」をご記憶ください。

■ 自民・中川氏、「政党再編」可能性ある
(11月11日23:41MBSニュース)

 自民党の中川元幹事長は、今年は政党のあり方が変わる「政党再編」が起こる可能性があるとして、自らもこうした再編に積極的にかかわる考えを示しました。

 「今年は場合によっては政党再編が起こってくるかもしれない。政党再編というのは、まさに全国民を巻き込んだ大きな話である」(自民党 中川秀直元幹事長)

 中川氏は、鳩山総理や民主党の小沢幹事長は自らの党が選挙に勝つことのみを目的にしていると批判。そして、今年は政党の枠組みや、そのあり方が大きく変化する「政党再編」が起こる可能性があるとして、自らはその火付け役として、「みんなの党」の渡辺喜美代表や民主党の関係者とも積極的に接触する考えを示しました。

 「今のような小沢体制が行き詰まって、やっていけないと思っている民主党の方々がおられれば、そういう人たちと行動を共にするというのは当然起こりうるわけですから」(自民党 舛添要一前厚労相)

 一方、新党結成に意欲を見せている舛添前厚労大臣は、中川氏の発言について、「政策レベルで努力していくという 意味なら正しい」と評価し、改めて民主党議員も巻き込んだ 政界再編の可能性を示唆しました。 

■“参院選前にも政党再編か”
1月11日 21時0分 NHKニュース
自民党の中川秀直元幹事長は、広島県海田町であいさつし、民主党も自民党も新しい時代や社会の姿を示す使命を果たせていないと指摘し、夏の参議院選挙の前にも、政党の再編が起こる可能性があるという認識を示しました。
この中で中川元幹事長は「政党の最大の使命は、国民に新しい時代や社会の姿、枠組みなど、日本が目指すべき次の『坂の上の雲』を示すことだが、民主党も自民党も、それを果たしえていない」と述べました。そのうえで中川氏は「『坂の上の雲』を共有するものや、国民が結集したときに、新しい政党再編ができるのではないか。その序幕が参議院選挙の前にもあるのではないか」と述べ、夏の参議院選挙の前にも、政党の再編が起こる可能性があるという認識を示しました。このあと中川氏は、記者団に対して「政党再編を望む人が想像する以上に多いと痛感しており、新しい時代を作れるよう最善の努力をしたい。自民党の舛添前厚生労働大臣や、みんなの党う認識を示しました。このあと中川氏は、記者団に対して「政党再編を望む人が想像する以上に多いと痛感しており、新しい時代を作れるよう最善の努力をしたい。自民党の舛添前厚生労働大臣や、みんなの党の渡辺代表とお会いすることもあると思う」と述べ、みずからも役割を果たしたいという考えを示しました。

■自民・中川氏が再編に意欲、舛添氏は慎重
(2010年1月11日21時51分 読売新聞)
 自民党の中川秀直・元幹事長は11日、広島県海田町で開いた自らの後援会会合で講演し、「民主党政権も自民党も国民への使命を果たしていない。『政党再編』の序幕が参院選前に始まるのではないか」と述べ、政界再編に意欲を示した。
 中川氏は会合後、記者団に「私自身、呼びかけをいろいろな人にするつもりだ」と述べ、自民党の舛添要一・前厚生労働相、みんなの党の渡辺代表、改革派の首長らと協議していくとした。
 また、中川氏は、「政府が次官制度の廃止を含む抜本的な公務員制度改革法案を出すなら、私は積極的に賛成する」との考えを示した。
 一方、舛添氏は11日夜、都内でのシンポジウムで「自民党の中で一生懸命やり、党改革に努力していきたい。新党を作るなどとは言っていない」と述べ、この日は慎重な発言に終始した。

■自民・中川秀直氏「参院選前に政党再編も」
(1月11日 20:17日経新聞)
 自民党の中川秀直元幹事長は11日、地元の広島県海田町の会合であいさつし、今年夏の参院選前にも政党の再編が起きる可能性があるとの認識を示した。「政党は新しい社会の姿、枠組みを示すことが必要だが、民主、自民両党は示し得ておらず、国民への使命を果たしていない」と指摘。その上で「目指すべき日本の次の『坂の上の雲』を共有する者が結集し、国民も結集した時に政党再編が起きる。序幕は参院選前に始まるのではないか」と述べた。

■民主・自民の「新旧分離」で政界刷新(1)/渡辺喜美(衆議院議員)、中川秀直(衆議院議員)
(Voice1月 9日(土) 20時 9分配信)

中川・渡辺「民の利益を収奪する国家社会主義を許すな」

◇民の利益を剥奪する「郵政官営化復活」◇

 中川 鳩山政権ができたことによって、「何が必要な政策か」ということが、かえってよく見えてきたような気がします。

 たとえば、小泉さんは「官から民へ」「小さな政府」ということをいいました。これは役人の領域はなるべく小さくして、民間で分かち合い、助け合って、自助共助によって「新しい公共」を担っていこうという発想でした。
 日本はこれから少子高齢化によって人口が逆ピラミッド形になっていくのですから、社会保障費は必然的に増えていきます。その政策経費をきちんと確保するためにも、行政経費は削らなければいけないのです。言い換えれば、小泉さんのめざしたものは「小さな政府と大きな社会保障」といえるでしょう。
 しかし、それを実現する前にデフレで足をすくわれてしまった。これには日銀の金融政策の問題もあったでしょう。また、霞が関の既得権を守るための抵抗に立ち向かうのに時間を取られてしまった部分もありました。
 ところが鳩山政権はまったく逆で、「民から官へ」の政権という感じがします。


 渡辺 「みんなの党」は政権交代までは一緒にやりましょうということで、首班指名では鳩山由紀夫と書きました。ところが、鳩山政権のこの数カ月の実績は、まさに「大いなる失望」でした。
 民主党の路線は、「1940年体制」の大復活だと感じます。つまり、戦後レジームを作った官僚主導、中央集権、統制型システムが公然と行なわれています。口では「脱官僚」といいながら、実際には官僚の掌で踊らされているのです。なぜかといえば、総理官邸があまりにも希薄で、司令塔の体を成していないからです。官僚主導から政治主導への転換のためには、まさしく官邸主導が求められるわけですが、鳩山政権を見ていると官邸以外から、たとえば国家戦略局に待ったをかける声が聞こえてくる。官邸よりもっと偉い「党の権力」を行使する人がいて、総書記ないしは、国家主席化している。
 こういう政治環境をいちばん好むのが霞が関です。いちばん偉い人に裏から手を回して、ビートー(拒否権)を行使してもらえばいい。官僚からすれば、官邸主導なんてやられたら、いままでの各省縄張りの利権構造が壊されてしまうわけですから。

 中川 「郵政民営化の見直し」も、あの社長人事があまりに明々白々に示したように、財務・旧郵政官僚の天下りポストを確保するためですよ。しかも、この方向性でいけば、最終的には国民の税金負担で尻拭いせざるをえなくなるでしょう。
 かつて郵貯や簡保を国営でやっていたころ、郵便事業には国費を出していないなどといわれていました。しかしそれはまやかしだった。財政投融資の仕組みのなかで、郵貯から大蔵省の資金運用部へ回り、資金運用部から特殊法人にお金が融資されていましたが、その金利は、市中の金利よりも高い金利だったのです。特殊法人には税金から補助金が毎年3兆円くらい付けられていましたが、じつはそのうちの1兆円分くらいが、金利として郵貯に戻される仕組みでした。つまり、その1兆円の金利は、国民の税金で「ミルク補給」していたことになります。
 鳩山政権が示している「郵政官営化復活」の方向へ歩めば、再びこれと同じような図式が繰り返されることになるでしょう。しかも、せっかくサービスもよくなってきていたのに、それも逆行しかねない。国民からすれば、まさに踏んだり蹴ったりです。
 ここはわれわれ自民党も国会に出て、反対討論をすべきだと私は何度も主張しましたが、郵政の造反組が出るのを恐れたのか、年末の臨時国会では、わが党は審議拒否ということになってしまった。造反なんて恐れる必要はなく、自民党の議員のなかからそんなことで離党するという方が出てくるなら、離党していただいても構わなかったと思うのですが(笑)。最低の国会になってしまいました。


 渡辺 郵政民営化の見直しは、ご指摘のとおり、再び巨大な財政投融資会社をつくるような話です。郵政民営化がなぜ必要だったかといえば、まさにその仕組みがジリ貧だったからであって、これを逆流させたら当然、いまのご指摘のように、その尻拭いは国民に回されます。しかも、コストを国民に負担させつつ新たな金融サービスを行なったら、現状の日本のようなオーバーバンキング状態のなかでは、まったくの民業圧迫です。いずれにせよ、民の利益を剥奪する構造になってしまうのです。
 斎藤次郎さんが社長になったのはシンボリックな話です。財務省OBは、日銀総裁という最高峰の天下りポストが剥奪されてしまった。それで総資産が110兆円の日銀より、その3倍近くの300兆円ある日本郵政を天下りポストにしようという魂胆です。今後、国債運用に依存しないようにするといっていますが、実際はますます国債を「郵政」に押し付け、国債買い取り機関化させる方向に動くのでしょう。


◇重税国家にしようという魂胆が見え見え◇

 中川 公務員制度改革に関しても、選挙前にいっていたのとはすべて逆のことをやっている。裏ルートも表ルートも含め、次々と天下りを容認しています。それに、中央省庁幹部人事を一元的に管理する「内閣人事局」を実現できるでしょうか。民主党の支持母体である官公労は、公務員人件費給与体系の改革につながると思って警戒していますが、しかし、人事権に手を付けないで政治主導なんて、まったく無理な話です。

 渡辺 鳩山内閣でいちばん威勢のいい省庁は財務省です。そしてじつは、財務省が公務員制度の司令塔になっています。給与を「レバレッジ」として使いながら、人事院の級別定数管理や総務省の定員管理を牛耳っています。人員定数や給与水準こそ、人事と組織の基本インフラです。こういうものを裏で「ステルス支配」しているのが財務省ですから、公務員制度改革は当然、先に送られる運命にある。
 事業仕分けは一見華々しく、パフォーマンスとしては面白かったですが、結果として1.7兆円しか出てこなかった。仕分け事業の数も全体で3000のうちの447と、2割も行っていません。真の政治主導をやろうと思ったら、まずどういう事業を仕分けるかを内閣で決めないといけないはずです。そういう手続きがまったくなく、財務省が全部お膳立てをして出してきた。
 また、日本の国家財政の問題は、グロスの借金も多いけれども、やたら資産が大きく、その半分以上が金融資産であることです。しかし、そういうストックの話もあまり出てきませんでした。せいぜい天下り法人の基金が1兆円程度あぶり出されただけで、肝心なところにメスが入っていません。財務省が上手に操っている、この政権の本質を見る思いがします。

 中川 同感です。民主党は選挙勝利至上主義になってしまって、もはや権力維持のために政治主導の魂を売り渡してしまったのだと思うのです。売り渡した相手が財務省です。その結果、天下りも容認する。デフレも容認する。郵政は官営化する。
 これでは世界の潮流から、もう2周遅れになってしまいます。また新たな「失われた10年」だと英国のマスコミは指摘していますが、このままではまったくそのとおりになってしまうと思います。
 事業仕分けも、たしかに情報公開はいいことです。あの程度のことは、自民党でも党税調などでいくらでもやってきたことですが、それを公開することで国民に新鮮な印象を与えたでしょう。しかし、30兆円ほどにも上る公務員の人件費は対象にされなかった。つまり行政経費には手を付けないで、政策経費のわずか400事業を対象に仕分けをしたわけです。これでは当然、「科学技術だって必要じゃないか、スパコンだって必要じゃないか」という話に誘導されます。そうなれば、「削れないなら増税するしかない」という流れしかなくなる。「重税国家」にしていこうという魂胆が見え見えです。
 もう一点いえば、地方交付金を調整する地財折衝も年末までにどこまでできたのかはっきりしない状況です。民主党は景気対策として、地方に一括交付金を出すといっていますが、じつは一括交付金なんて、地方分権でも何でもありません。財源を渡すわけではないのですから。それどころか、地方では政策経費も自由裁量になりますから、自治労等々の既得権を守る方向で、地方公務員の人件費に消えていく危険性だってあるのです。
 魂を渡してしまったものだから、自公政権ではとても考えられなかったほど、タガが外れています。


 渡辺 そうですね。労組というしがらみを抱え、財務省に操られているわけですから、これからどんどん国有化が進むでしょう。まさに「国家社会主義路線」です。郵政だけではなく、JALもしかり。高速道路を無料化したら道路公団も国有化です。
 天下り根絶と称して定年を65歳まで延長しつつ、しかも給与法の抜本改正をやらないわけだから、給与は上がりつづける。窓際局長みたいな人がたくさん出てきて、その人たちのために仕事をつくらなくてはならなくなる。独立行政法人などもどんどん再国有化していくのでしょう。民間では考えられない。「官から官」の肥大化です。
 おそらくそのときに使われる理屈が、デフレの大不況だから、政府の介入が増えて当然ということでしょう。埋蔵金は埋め戻しです。

◇「霞が関はウェルカム、国民は不幸」の傷物総理◇

 中川 いまGDPが、18年前、1991年のレベルまで落ちて、小泉改革のはるか以前の経済規模に戻ってしまった。格差を生んだのは改革ではなくてデフレなのに、日銀には、デフレに対する危機感や認識がまったくない。外国の中央銀行は物価の安定だけではなく、雇用の確保も目的に置いていますが、日本はそれが入ってない。それで日銀は、CPや社債買い取りをやめてしまった。マネーの供給量も、アメリカは220%ぐらい増やしているのに、日本は去年1年で5%ぐらいしか増やしていない。企業支援をやめる一方で、「10兆円、低金利で3カ月間貸します」みたいなことをやる。
 そして政府は、「中小企業等金融円滑化法案」(モラトリアム法案)を強行採決する。まだしも徳政令ではなくて訓示規定に終わりましたが、しかし、日銀も政府もその政策は全然整合性が取れていない。


 渡辺 司令塔がありませんから、デフレ対策も、まったくちぐはぐです。補正予算もパフォーマンスで削ったり増やしたりでは、意味がよくわかりません。デフレ脱却のカギを握るのは日本銀行の金融政策ですが、今回の対策もアリバイづくりと市場からも見透かされています。長期国債の買い取りを10兆円規模でやるというのだったら、効き目はありますが。
 じつは、「みんなの党」は日本銀行法の改正法案を提出しようとしていました。政府と日銀がアコード(協約)を締結することとし、そのうえで政府が日銀に中小企業のローン債権を20兆円ぐらい買い取り要請ができるようにしようという内容でした。こういうことをやれば有効需要が創出されて、40兆円あるデフレギャップのスイートスポットに当たるのです。そのようなマクロ戦略と成長戦略がなければ、将来不安が続き、企業が設備投資などするわけがありません。

 中川 マクロ経済について政府に質問趣意書を出したのですが、返ってきた答弁書は本当に情けない内容でした。
 まず、「穏やかなデフレ状況」だという認識については、「日本銀行とのあいだで基本的な認識に大きな差はない」とし、経済成長率などの経済の展望については「今後検討してまいりたい」。しかし、展望なくして予算編成ができるのでしょうか。
 また現在、日銀は日本の潜在成長率を0%台半ばまで下げ、つまり経済の実力のほうを下げてGDPギャップを少なく取り繕おうとしているわけですが、それをどう思うのか質問してみたら、「日本銀行の推計方法等の詳細が公表されていないこと等から、一概にお答えすることは困難」と答えてきました。潜在成長率は、まさに経済の実力をどう見るかということです。そんなものも答えられずに、どうやってマクロ政策が立案できるのでしょう。
 さらに、「来年には、複数年度を視野に入れた中期財政フレームを策定し、中長期的な財政再建の道筋を示してまいりたい」。「来年」でなく、「いま」つくらなければ、市場は不安で、外国の投資も皆引き揚げてしまいます。


 渡辺 経済財政諮問会議があったときは、日銀総裁が必ず出席していましたから、総理と日銀総裁が会議後に話をする機会があった。ところが、諮問会議はいま廃止していますから、総理と日銀総裁が話し合う場面が非常に少なくなっています。だから、日銀はもう自分の庭先をきれいにすることしか考えないし、財務省は自分の権限拡大ばかり考えて、結局泣きを見るのは国民という構図です。

 中川 いまの民主党政権では、いずれにしても日本の未来はまったく切り開けませんね。「明治維新に匹敵する改革だ」などといっていましたが、これでは「第3の開国」など夢のまた夢の「逆革命」「逆改革」です。

 渡辺 「友愛」とは、霞が関官僚との友愛路線と見えます。霞が関官僚を頂点とする身分制を温存する方針を、鳩山政権ははっきり打ち出したのです。この身分制とは、公務員試験区分と入省年次によって身分保障され、中央官庁が地方自治体を支配し、官が民を統制するシステムです。しかも鳩山総理は、12億円といわれる巨額の「子ども手当」をもらっている。一般論ですが、脛に傷がある人が総理になると、その傷口を広げるかどうかは、役人のさじ加減一つになる。犯罪捜査も脱税調査も、行なうのは霞が関ですから。傷物総理は、霞が関にはウェルカムですが、国民には非常に不幸です。

◇政治が先頭に立って活力ある社会をつくれ◇

 中川 とはいえ、国民の皆さんの多くは、政権交代前の自民党に戻るのも嫌なんです。うんざりされているといってもいいかもしれません。はっきりいって、自民党は変わらなければいけないし、未来をめざす政治集団として、民主党を超える新しい未来を示していかなければいけません。
 今回の経済危機はまさに1940年代に匹敵するぐらいの「大転換」です。あのときには社会主義やファシズムが台頭しました。しかし、第2次世界大戦という悲惨な戦争や厳しい冷戦を経て、人々の英知でもって市場経済社会が生き残ったわけです。
 しかしいま、市場も縮小し、経済も縮小し、デフレ状況に陥っている。もはや戦後日本がつくりあげてきた組織中心型の社会は機能しません。多種多様の人が、新しい出会いのなかでコラボレーションをしていくような社会、個人が個人としてもっとお互いにつながる情報コミュニケーション社会になっていくでしょう。

 グローバリゼーションに背を向けるなら、それはもう確実に衰退する国になっていきます。透明性を確保し、新しい出会いをつくり、新たな開国的な政策を打ち出し、わくわくするようなことをみんなでやっていく。そうでないと、もはや乗り切れません。
 若者たちに自信や希望を与えるように、医療や教育にも力を注ぐ。環境から医療や製薬、農業、さらにロボットまで、新たな産業の切り札はいっぱいある。また、隣の中国市場は、20年で20倍ぐらいに増えているわけです。急成長する新興国の巨大な市場に戦略を定めてやっていく。政治が先頭に立って方向を指し示し、活力ある社会をつくっていくことが大事です。
 そのためにも政治は民営化を進め、規制を撤廃し、行政改革を行なわなければならないのです。そして明確なる次なる社会の姿を示すことも大切です。その方向こそ「小さな政府と大きな社会保障」だと私は考えます。小さな政府とは、要するに無駄なことをせず、さらに地方に権限も財源も人間も移していくことです。しかも行政経費は思い切って抑え、その代わりに政策経費は増やしていく。
 求められる理念は「フェア、シェア、ケア(公正、分かち合い、助け合い)」だと考えます。具体的に例示すれば、フェアはまさに公務員制度改革でしょう。シェアは正規・非正規といった働き方をなくし、労働価値を同じく評価する。ケアは、税金と社会保険料を合わせた「生活安心保障個人口座」をつくる。そういう政策へと具現化させていきたい。


 渡辺 民主党政権は再分配には非常に熱心な政府ですが、「成長なくして分配なし」でなければいけません。どうやって稼ぐかが決定的に欠落していると、デフレの袋小路のなかで、縮小均衡路線に入っていってしまう。
 日本が進むべき方向性は、エコ、アジア、サイエンスでしょう。サイエンスは、ナノテク、IT、バイオといった世界です。鳩山政権もCO2削減25%という大風呂敷は広げましたが、達成に至るメッセージがまるでない。だから、前向きの投資をしようという気にまったくならないわけです。
 太陽光パネルは日本が世界一だったのが、見る見るうちにドイツに抜かれてしまったのも、その理由は国家戦略がなかったからです。所管が経済産業省で、インセンティブの税制は財務省主税局。官邸がグリップを握らないから、まるでちぐはぐで、インセンティブがなくなった途端に抜かれてしまった。いま、日本のハイブリッドカー技術は世界一ですが、世界の流れは明らかに電気自動車に向かっている。部品はエンジン搭載車とはまるで違ってくるわけで、新しい産業と見たほうがいい。しかし、その方向へと早めにインセンティブをシフトさせるようなメリハリもまったくありません。どうやって新産業を育てるかの戦略が、全然ないわけです。
 アジアの成長力を取り込むという戦略をもてば、まだまだ日本が落ちぶれることはないはずです。日本はお宝をもちながら、まったく生かし切れていません。たとえば宅配便やコンビニなどといった日本のきめ細やかなサービス産業は、もうミクロ的にはアジアに出ていっていますが、もっと後押しする国家戦略があってもいいのではないでしょうか。たとえば、日本でつくられた安心安全な農産物を使った安全なお総菜がアジアのコンビニで人気を博すようなことを実現させるためにどうすればいいか。日本のソフトパワーを十分に生かす戦略が求められます。
 アジアではまだ、インフラが不足しています。日本の交通インフラ、電力インフラ、水インフラ、世界一の技術があります。しかし、たとえば水でいえば、ヨーロッパ勢は水メジャーと呼べるような企業がグローバルに進出してきていますが、日本では各省の縦割りで、農林水産省も、国土交通省も、経済産業省も、厚生労働省もバラバラにやっています。まるでちぐはぐで国家戦略がないのです。日本は、水道の漏水率は世界一低いし、浸透膜の技術も世界一なのですから、大都市の水道局を民営化すれば、いくらでも海外に進出できるかもしれない。しかし、そういう発想がまったくありません。

◇「維新開国」をめざす政治家による政界再編へ◇

 中川 私はいま、「みんなで竜馬をやろうじゃないか」を新しいスローガンにしています。意味がいくつかあります。年末に『坂の上の雲』が放送され、新年から『龍馬伝』も始まりましたが、あの時代には、「この小さな国を何とか近代化し発展させて、そのなかで自分も役割を果たしたい」という燃えるような気持ちを社会の皆が共有していました。当時、そうした方向へ国をうまくもっていけなかったのが中国や韓国でした。それは牢固たる官僚制があったために、既得権益のしがらみで動きが遅かった面があると思うのです。しかし、いまはどうでしょうか。むしろあのころとは逆に、中国や韓国のほうが進取の精神をもち、日本が後れを取ってはいないでしょうか。日本はいまの官僚制を、どうしても壊さなくてはいけません。
 2番目の意味は、まさに「みんなで」ということ。つまり、もう縦割りではだめなのです。いまの政治の中央集権、上意下達的な指揮命令系統では、この時代の変化は絶対に乗り切れません。組織や肩書で人を判断するのも足枷です。とくに次の時代を肌で感じる若い人たちの価値観を生かし、対等な協力関係で大いにコラボレーションしていくような社会にしていこうということです。
 そして最後は、新しい二大政党の在り方をつくっていけるか。この自民党を本当にどれだけ解体し、出直していけるか。ここでも「みんなで竜馬」をやらなければいけないのです。私は渡辺さんが自民党を離党された直後、「あなたが戻ってきてリーダーになれるような自民党に変わらなければいけない」といったことがあります。三国志や春秋戦国時代などのエピソードを見ていても、やはり政治の8割は「タイミング」であるように思います。そのタイミングは来ているのです、絶対に。しかし、それをどう具体化し、どういう政治構造にしていくか。それを国民との対話のなかで決めていかなければなりません。


 渡辺 いまの民主党と自民党は、分配を競い合っている気がします。これは政権を取っているほうが強いに決まっています。いま、民主党の小沢幹事長が陳情処理を党で一元管理するようなことをやっています。これは昔の共産圏のやり方にそっくりです。要するに、政府や地方自治体よりも、もっと権限のある人が「党中央」にいるということですから(笑)。さらに、その仕組みを使って、自民党の支持基盤をオセロゲームのように完全にひっくり返すことを考えているのでしょう。天下りネットワークも含め、自民党時代に営々と築き上げた政官業のトライアングルを全部民主党がゲットしようという、じつにおぞましい戦略だと私は思います。しかもこれは、まるで昔の田中派のシステムそのものです。陳情処理の一元化とか、「一致団結箱弁当」みたいな政治文化とか、そういう自民党のかつてのDNAがバージョンアップして出てきたわけですから(笑)、これに自民党が、昔の自民党で対抗しようと思っても勝てるわけがありません。
 私の場合は、自民党に見切りをつけて新しい政党をつくったわけです。たとえば社会保障では、われわれは社会保障個人口座をつくり、個人のお好みメニューが可能になる、納税と社会保障制度が一体化したものにする方向を志向しています。これは中川先生が先ほどおっしゃった「フェア」のお考えと一致していると思います。また、「開国が必要」という方向性でも一致している。各省縄張りを廃止し、官邸主導型の体制をつくる点でも一致している。
「では、何で一緒にやらないのか」とよくいわれるのですが、私たちは自民党とは一緒にできません。いま自民党に必要なのは、新旧分離再生ではないでしょうか。このまま自民党が、社民党化して生き残る道はないわけではない。しかし、あの巨大な党本部と、借金を背負ってジリ貧になっては、うまくいくわけがありません。
 ですから、新旧分離再生で、1940年体制的な人たちは、それこそ民主党と一緒になってもらっていい。維新開国が必要だという人たちは、「新自民党」をつくって政界再編をやるのが正しいシナリオだと思います。

 中川 民主党も新旧分離が必要でしょう(笑)。

 渡辺 いずれするのではないでしょうか(笑)。民主党は、自民党を完膚なきまでにつぶしたあとは、おそらく純化路線が始まっていきますから、小沢さんの政治手法からしても、「一致団結北京ダック」組と「やはり維新開国が必要」組と、自然に分かれると思います。そのときこそ、「みんなの党」の出番です。

 中川 だいたい言い尽くしたんじゃないかな(笑)。