午前の民主党動向ニュース(幹事長・首相・政策決定) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

午前の民主党動向ニュース(幹事長・首相・政策決定)

秘書です。年賀状、もう書きましたか。

■選挙・組織・忠臣 小沢式、登用3原則
(12月27日08:12日経新聞)
 民主党の小沢一郎幹事長は来年度予算編成を終えた翌日の26日、兵庫県尼崎市で党所属議員のパーティーに出席し、来年の参院選対策を進めた。名実ともに鳩山由紀夫内閣を主導する小沢氏が重視するのは選挙と国会。政権交代から100日がたち、小沢氏の党内での人材活用をみると「選挙に強い」など、3つの原則が浮かび上がる。
 「福田さんもそれで当選したんだから」。小沢氏は15日、長妻昭厚生労働相に電話をかけ、強い口調で肝炎対策の予算確保を要請した。衆院長崎2区で自民党の久間章生元防衛相を破った新人、福田衣里子氏のことだ。結局、肝炎対策は予算案で「満額回答」となった。

(獅子16)民主党の国民生活第一は、選挙第一。だから、選挙を仕切る幹事長第一。

ここで、10月1日の産経新聞より、小沢幹事長の政治資金「傾斜配分方式」を学習しましょう。

(参考)平成20年 政治資金報告書 小沢氏、カネで着々基盤固め
(10月1日 07:54 産経新聞)

 民主党の小沢一郎幹事長の党内掌握は、カネを通じても行われていた。平成18年の代表就任以降、系列議員や新人候補に集中的に資金を投入。小沢氏とともに「トロイカ体制」を組む当時の鳩山幹事長、菅直人代表代行(現国家戦略担当相)らにも手厚く配分、旧自由党の政治団体に自身を支持する民主党内グループ「一新会」を支援させるなどして基盤を固めている。総務省が30日公表した20年政治資金収支報告書(中央分)などからは“小沢支配”確立への道筋が浮かび上がる。(肩書は当時)

鳩山・菅氏にも

 小沢氏は18年4月、メール問題で辞任した前原誠司前代表(現国交相)の後継に就任。就任以後、党本部から多額の資金を受けたのは、代表選で争ったものの、トロイカの一員となった菅氏で922万円。側近の山岡賢次、中井洽両氏にもそれぞれ162万円、170万円が供給された。

 資金の「傾斜配分」が強まったのは、参院選があった19年から。菅氏は計1億2394万円、鳩山氏は計9933万円をそれぞれ受領。両氏は衆院補選や参院選に出馬した系列候補の支援に充てた。一方、小沢氏に距離を置く岡田克也副代表(現外相)への支出は支部活動費などを除けば58万円だった。

 19年参院選での勝利前後からは、次の衆院選をにらみ自民党の大物に挑戦する候補者を中心に資金投入が開始された。

大物食いに布石

 「ここを民主対自民の象徴区にする」。自民党の森喜朗元首相と戦う田中美絵子氏を公認する前の19年6月、石川2区に計4千万円を支給し、後に田中氏の猛追で話題となる“大物食い”への布石を打った。

 麻生太郎首相が早期の衆院解散・総選挙をちらつかせた20年秋、小沢氏は「臨戦態勢」を敷き、範囲を拡大。全国を回り一新会メンバーや、同会入りが期待される新人候補への資金投入を本格化した。


 衆院福岡7区に古賀誠自民党選対委員長の対抗馬として擁立した古賀氏の元秘書、野田国義氏には9月から12月までの間、計5千万円を、福岡2区で山崎拓元自民党副総裁と戦う稲富修二氏には10月、計2千万円を供与した。

不可解な訂正

 これに先立つ20年3月、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の会計責任者、大久保隆規秘書(21年に西松建設巨額献金事件で起訴)は、18年に「一新会」に寄付した1702万円について報告書から削除。出所は小沢氏の関係政治団体で、小沢氏が率いた旧自由党の政治資金団体だった「改革国民会議」に変更された。

 小沢事務所は「寄付と同額を同会議から陸山会に補填(ほてん)してもらう予定だったが、複数団体経由の寄付は法の趣旨に沿わないと考え流れを明確にした」と説明する。

 西松建設事件では、同社の献金がダミーとされる政治団体名義で陸山会などに入ったことが発覚している。不可解な訂正に“陸山会隠し”の思惑があった可能性も否定できない。20年7月にはさらに同会議側から一新会に500万円が提供されている。

 擁立した古賀氏の元秘書、野田国義氏には9月から12月までの間、計5千万円を、福岡2区で山崎拓元自民党副総裁と戦う稲富修二氏には10月、計2千万円を供与した。

潤沢な政治資金

 小沢氏自身の政治団体や関係政治団体の保有資産は、20年分も繰越金と不動産だけで計28億円を超え、相変わらずの富裕ぶりだ。

 19年分では30億円を超えていたものが若干目減りしたのは、陸山会が小沢氏が会長を務める「財団法人ジョン万次郎ホイットフィールド記念国際草の根交流センター」に1億1千万円の土地・建物を無償提供したためとみられる。

 改革国民会議の繰越金は10億5679万円、小沢氏が代表幹事を務めた旧新生党の政治団体だった「改革フォーラム21」の繰越金は6億9003万円に上り、両団体の代表にはともに小沢氏側近の平野貞夫元参院議員が就いている。

ただ、小沢氏が19年7月の時点で「面倒だから処分する」と明言していた陸山会の不動産処理は進まず、都内の一等地などに計約9億円以上の不動産資産を保有したままだ。陸山会は20年中に、不動産を買うために小沢氏から借り入れたお金のうち455万円と、利子21万円も支払っている。

 収支報告書によると、未処分の不動産の使途は小沢氏の秘書の住居や事務所とされている。

■新生・自由党:解党時に公金含む資金移動 検察「小沢氏の財布」 政治団体の役割指摘
(12月27日 毎日新聞)
 政党の解散に伴い巨額の資金を自らの支配下に置く小沢一郎民主党幹事長の  「錬金術」  が明らかになった。その額は22億円を超え、政党交付金など多額の公金も含まれる。資金を移した小沢氏の二つの政治団体のうち 「改革国民会議」 については、18日にあった西松建設違法献金事件を巡る小沢氏の公設第1秘書の初公判で、検察側が  「小沢氏の財布」  と指摘していた。【政治資金問題取材班】
  「改革国民会議の資金について、小沢議員から会計責任者に指示して、随時、小沢議員の関連政治団体へ資金移動がなされており、改革国民会議も小沢議員の財布の一つに過ぎなかった」。 18日の初公判で検察側は、99~01年に小沢氏の事務所で経理事務を担当した元秘書がそう供述した調書を読み上げた。
 改革国民会議は94年に設立され、小沢氏が代表幹事や党首を務めた新生党、新進党、自由党のいずれでも、党が運営する「政治資金団体」だった。だが、西松事件での検察側の冒頭陳述によると、 同会議はゼネコン業界が小沢氏側に寄付する際の窓口を果たしていた。 
 とりわけ西松は、独自に小沢氏側に多額の献金を行うため、95~02年に毎年数百万円から1500万円を同会議に寄付。党の活動資金に充てられることもあった一方で「小沢氏の資金管理団体『陸山会』に送金されたこともあった」とする、小沢氏の別の元秘書の供述調書も読み上げられた。この元秘書は91~00年に小沢氏の私設秘書を務めていた。
 自由党解党に伴い03年に一般の政治団体に変更した同会議に移された資金は13億円余。08年の政治資金収支報告書を見ると10億円以上を09年に繰り越し、小沢氏の「金庫」としての役割を果たしているようにみえる。
 小沢氏を巡っては、陸山会による04年の土地購入を同年の収支報告書に記載せず原資も不明などとして、当時の事務担当者で小沢氏の私設秘書だった民主党の石川知裕衆院議員=北海道11区=らが政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で東京地検特捜部に刑事告発されている。また同年、小沢氏側のプール金とみられる約5億円が小沢氏関係の五つの政治団体を経由して陸山会に移されながら、収支報告書に不記載だったことが判明している。

(獅子16)今朝の読売新聞1面の企画記事「民主イズム」でも自由党解党時のおカネの流れのことを記事にしています。なお、民主党幹事長だった鳩山さんは、09年3月28日、山口市で街頭演説し、小沢一郎代表の多額の政治献金を疑問視する声があることについて「小沢氏は普通の政治家ができない、外国との草の根の交流事業を行っている。だからお金がかかっている。怪しいところにお金を使っているのではないかという疑いを持たれているかもしれないが、そんなことは一切ない」と強調した。鳩山氏は交流事業の例として、小沢氏が自民党時代から続けている中国との民間交流事業 「長城計画」や、幕末に渡米したジョン万次郎を記念した日米交流などを挙げています(当日の時事通信報道より)。

■読む政治:厚労相「主役」果たせず
(12月27日毎日新聞)
 「うだうだ言わんと、総理の意思だから決めてほしい」
 10年度の予算編成が大詰めを迎えていた23日午前、平野博文官房長官は首相官邸に藤井裕久財務相と長妻昭厚生労働相を呼び、強い口調で迫った。
 10年度の診療報酬改定は財源難から減額を迫る財務省と、医師不足対策として増額を求める厚労省の折衝が暗礁に乗り上げていた。平野氏の前で0・31%増を主張する長妻氏に、藤井氏も0%増まで降りたものの、それ以上は譲らなかった。
 業を煮やした平野氏は「藤井さんはオレが説得する」と長妻氏を退室させた。「0・19%増で」。平野氏の提示に、藤井氏は最後、10年ぶりとなるプラス改定を受け入れた。
 「医療崩壊現場の切実な声が届いた」。晴れやかに語った長妻氏だが、マニフェストの修正に批判が集まる中、診療報酬増も撤回するなら政権が持たないと判断した、官邸側のおぜん立てに乗ったのが実情だ。また増額の裏には、来年の参院選をにらんだ民主党の政治的思惑もちらつく。
 「民主党の政策には、うなずける点も多いと思っていました」
 10月14日、国会内に民主党の輿石東参院議員会長を訪ねた日本歯科医師会の大久保満男会長と、その政治団体、日本歯科医師連盟の堤直文会長は、輿石氏にそう語りかけた。
 2人は10月7日には党本部に小沢一郎幹事長を訪れ、共ににこやかに写真に納まっている。この時期の医療団体の訪問は、たとえ表敬でも診療報酬増の陳情含みというのが暗黙の了解事項だ

 日歯連は長年、組織代表を自民党から国会に送り出してきたが、政権交代直後、既に自民党からの参院選出馬を決めていた組織内候補の擁立をやめ、民主党支持を鮮明にした。一方、焦った日本医師会は従来の自民党支持方針を白紙に戻したものの、自民現職の組織代表を推す方針までは変えられずにいる
 民主党の政府への重点要望18項目には診療報酬増も盛り込まれ、主導した小沢氏はわざわざ歯科増額の重要性を明記した。終わってみると、報酬の伸びは医科1・74%に対し、歯科2・09%。近年は両者同率で、差をつけるのは異例のことだ
 「カネで日医をけん制する政治判断など、政局が不得手な長妻氏にはできない」
 民主党内には、そんな見方が広がる。
      ◇
 鳩山政権発足100日目の24日、子ども手当の財源問題が決着し、前夜には診療報酬も片づいた。いずれも厚労省の重要政策だ。それなのに、長妻氏が意思決定に深く関与した跡はうかがえない。
 ◇子ども手当 「首相頼み」実らず
 ◇党の言う通りにしないといけないのか、国会答弁で説明責任を果たすのは私じゃないか
 クリスマスイブの24日午後、長妻昭厚生労働相は厚労省10階の大臣室にこもり、全国市長会長の森民夫・新潟県長岡市長や全国町村会長の山本文男・福岡県添田町長らへの電話に追われていた。
 「何とかご理解いただけませんか」。中学3年生までの子どもへ一律2万6000円(10年度は半額)を支給する子ども手当には、土壇場で地方負担が残った。そのことを釈明する長妻氏に森氏らは冷淡で、全国知事会長の麻生渡・福岡県知事はこの日、電話に出なかった。
 年末の予算編成過程で、政権内は子ども手当を巡って百家争鳴となった。民主党はマニフェストで、所得制限を設けず、財源は全額国費と約束し、長妻氏もそう語ってきた。にもかかわらず、財政難から所得制限の導入と、地方にも財源を求める構想が急きょ浮上したためだ。
 17日早朝、長妻氏は厚労省幹部に「党の言う通りにしないといけないのか」と戸惑いを見せた。前夜、民主党の小沢一郎幹事長は、政府に子ども手当への所得制限を明記した要望を突きつけていた。長妻氏は省の幹部会で「内閣が決める話だ。国会答弁で説明責任を果たすのは私じゃないか」と悔しさをにじませ、昼には記者団に「所得制限を設けないのが制度の理念だ」と語った。長妻氏なりの、小沢氏への精いっぱいの反論だった。
 結局、所得制限は21日夜、すったもんだの末、鳩山由紀夫首相の判断で見送りが決まり、結論は診療報酬同様、長妻氏の主張通りとなる。それでも、長妻氏には党幹部らに意見表明する場さえ与えられなかった。首相が判断を示した直後、長妻氏は記者団に「第一報をたった今、お聞きした。どういう考えか確認しないと……」と漏らしている。
 厚労省単独ではらちがあかない地方負担の問題も、長妻氏に重くのしかかった。地方は児童手当に約5700億円を投じている。財務省からこの地方負担分を子ども手当に回す案が伝わり、原口一博総務相は「地域主権担当を返上する。やってられない」と猛反発していた。
 困り果てた長妻氏が頼ったのは、鳩山首相だった。
 長妻氏は10月、生活保護の母子加算復活を狙って首相公邸に乗り込み、直談判した首相から「年内」の約束を取り付けた。首相はその際、「何かあればいつでも来てください」と伝えていた。党内に基盤のない長妻氏には、首相が貴重な厚労行政への理解者と映った。
 ところが、長妻氏の「困った時の首相頼み」には、政府内にも「ルール違反だ」との批判がわき起こる。12月9日朝、長妻氏はインドネシア訪問直前の首相を訪ね、子ども手当の全額国庫負担を求めたが、首相は「菅(直人副総理兼国家戦略担当相)さんが担当している。そこで調整を」とつれなかった。
 その菅氏と、藤井裕久財務相、原口総務相、長妻厚労相の4大臣は23日、今の児童手当の枠組みを残し、子ども手当を上乗せする奇策に合意した。地方に引き続き負担をさせるための苦肉の策だが、11年度以降の地方負担がどうなるかはハッキリさせていない。
 原口氏はライオンの頭とヤギの胴体などを持つギリシャ神話の生物に例え、「これはキメラ案だ」と吐き捨てた。神奈川県の松沢成文知事は「子ども手当は予算化しない」と反発を強めており、年明けには波乱の第2幕が開く気配も漂う。
 ◇年金改革 得意分野も試行錯誤
 不慣れな政策に頭を痛める長妻氏にとり、閉塞(へいそく)感を打ち破れるのは得意の年金だ。
 長妻氏は低年金・無年金の人への対策として、国民年金改革の検討を始めた。今の制度は未納分の保険料を2年しかさかのぼって払えないが、これを10年に延長しようとしている。国民年金は25年間納めなければ受給権が生じない。10年間の事後納付を認めることで「25年」に満たない人を救済できるなどのメリットがある。とはいえ、年金分野も多くは試行錯誤が続く。
 長妻氏は年金記録を消された人の救済策として、納付の証拠がなくとも本人の申し立てで記録を回復させる法律の必要性を唱えてきた。厚労相に就任するや法案化に着手し、原案を作り上げた。
 だが、社会保険労務士から誤裁定(不正受給)を懸念する声が寄せられ、長妻氏も「誤裁定はイヤだな」と、断念に傾いた。
 旧式の手書き記録とオンライン記録の照合も、10、11年度で集中的に進めるとした構想はずれ込みそうだ。長妻氏が職員を怒鳴り上げて概算要求に計上させた照合費用は、財務省の手で要求の半額に近い427億円に圧縮された。
 民主党は12年度から年金制度を一元化し、税による最低保障年金を設ける制度改正に着手すると公約している。しかし、増税を封印する政権の下、財源問題一つとっても容易ではない。
 政権交代後、厚労省の栄畑潤年金局長は長妻氏に「年金制度改正に向け、有識者会議を発足させましょうか」と打診した。しかし、長妻氏は「イヤ、君らが水面下で勉強しておいてくれ」と答えるにとどめたという。
     ◇
 佐藤丈一、塙和也が担当しました。

(獅子16)この記事の見立てによると、診療報酬の伸びが「医科1・74%・歯科2・09%」になった背景は「選挙」。日本中の団体が民主党支持になるまでこんなことが続くのでしょうか。

■【検証・鳩山予算】(下)見掛け倒しの政治主導
2009.12.27 00:55 産経新聞
記者会見する鳩山由紀夫首相(左)。右側に菅直人副総理らが厳しい表情で並ぶ=25日午後、東京・首相官邸(松本健吾撮影)
 18日夕、東京・霞が関の合同庁舎。副総理・国家戦略担当相の菅直人の執務室に財務相の藤井裕久や総務相の原口一博が顔をそろえた。議題はたばこ税や揮発油税などの暫定税率。予算編成の大前提となる税制改正の最終調整だった。
 「あらあらのコンセンサスができた」。原口は自信ありげに語ったが、数時間後に事態は暗転する。
   「“偉い人”と調整ができていない」(財務省関係者)。  副総理を含む重要閣僚3人が決めた案でさえ、民主党幹事長の小沢一郎の“了解”を得るまでは固まらないというのだ。
 2日後の首相官邸。「せっかく日曜に出てきたのに…」と与党関係者がため息をついた。国民新党政調会長の下地幹郎、社民党政審会長の阿部知子ら連立3党幹部が、財務省幹部らと国債発行の上限などを協議したが、結論は先送り。小沢の意向を踏まえ税制改正の結論を出すまで、歳入額の見通しを出せないからだ。
 政権発足後の一連の予算編成では、国民新党代表を務める郵政改革・金融相、亀井静香の動きに翻弄される場面も目立った。緊急経済対策が想定以上に膨張したのも、亀井が手厚い地方対策を主張したためだ。
 亀井は、来年度の予算編成でも「歳出95兆円、税外収入は15兆円を捻出(ねんしゆつ)すべきだ」と財政拡張を主張。「実現できなければ財務省主計局長はクビ」とまで言い放った。
 亀井も最後は矛を収めたが、政府全体が小沢や亀井ら一部実力者に振り回される構図は、各省庁の政務三役(閣僚・副大臣・政務官)中心に政策判断するという鳩山政権の「政治主導」が見かけ倒しだったことを如実に物語る。

そもそも首相の鳩山由紀夫が政務三役に政治主導を求めたのは、官僚から政治に予算策定の実権を取り戻すためだった。ただ「自らも査定大臣たれ」と閣僚らに命じた鳩山の路線が、現場で大きな混乱と戸惑いを招いたことも確かだ。
 国交省の公共事業は前年度予算比で12%も削られたが、ある幹部は「政務三役には何も言えない」と白旗を上げる。八ツ場(やんば)ダムの建設中止などマニフェスト(政権公約)関連の施策をこなす国交相の前原誠司らに官僚は従うだけ。「データをそろえて報告はできる。ただ、意見すればクビにされるかもしれない」。省内には厭戦(えんせん)気分も漂った。
 「今、もっとも心を砕いているのは大臣と次官を会わせないこと」。ある経済官庁の政務三役は、政治主導を実現するには、大臣と事務方トップのラインを絶ちきることと言い放つ。
  「偉い人の意思表示がないと動かない。この政権は役人に取材しても無駄」。 政務三役の予算折衝が加速した12月初旬、記者に囲まれた経済官庁幹部がつぶやいた。政治折衝を見守るしかない無力さがにじむ。
 それでも、政務三役を取り込んだ官庁もある。11月19日、財務省会見室に、副大臣の野田佳彦が主計官を伴い現れた。野田と主計官は、診療報酬の減額(結果は増額)など大物案件の査定方針を説明したが、「宣戦布告」に驚いたのは他省庁。自公政権では財務省が査定方針を公表することなどまず考えられなかった
行政刷新会議の事業仕分けでは、主計官が査定方針を説明。藤井は「人でも資料でもすべて協力しろ」と幹部らに指示した。予算編成の素人の政治家に恩を売り、したたかに実権を確保した経済産業省政務官の近藤洋介は「財務省も小さくなった」と皮肉るが、藤井は「財務省は一体なんだよ」とどこ吹く風だ。
   ■  ■  ■
 「政治主導の徹底で、既存の枠組みにとらわれぬ思い切った予算の増額や削減ができた」。鳩山は25日の会見で成果ばかりを強調したが、政治主導の迷走が招いた混乱など負の側面には目をつぶっている。
 首相は、骨抜きが鮮明になったマニフェストの工程表について「何らかの修正が必要」と語り、参院選前に見直す考えを示した。だが、泥縄的な対応では「帳尻合わせで歳出項目を圧迫する苦しい調整が来年以降も続く」(第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト)とみられる。
 これで国民の信頼を得られるのか。教訓を生かせなければ、政権基盤は大きく揺らぐことになる。 (敬称略)

(獅子16)偉い人の意思決定・必殺仕分け人の活躍・財務省主導を「三位一体」ととらえることで、この政権の意思決定プロセスが解明できると思います。

(参考)財務省主導払しょくできず=鳩山首相
 鳩山由紀夫首相は26日、アール・エフ・ラジオ日本の番組収録で、政権のこれまでの歩みを振り返り、「財務省主導という部分を百パーセント払しょくできたかどうかは反省しなければならないところもある」と述べ、2010年度予算編成などでの政治主導の徹底は不十分だったとの認識を示した。
 首相は「財務省の思いに対して、自分たちの思いが百パーセント実現できたかどうかということには、百点をまだあげられる状況にはない」と語った。(2009/12/26-19:20時事通信)

■【日曜経済講座】論説委員・岩崎慶市 政権の存在意義を問う
12月27日7時56分配信 産経新聞

 ■破綻した政策決定過程と公約

 ≪どこでだれが何を?≫

 鳩山由紀夫政権の政策決定プロセスの混乱を以前に書いたが、それが来年度の予算編成で破綻(はたん)に至った。政権公約も同様である。だが、この破綻は十分に予見可能だっただけに、国民に対する責任は重い。政権の存在意義自体が問われるのではないか。

 鳩山政権の理念は官僚主導を脱却した政治主導である。それを実行するための統治手法として導入したのが、英国を参考にした政策決定プロセスの内閣一元化で、その司令塔として国家戦略室が創設された。

 この戦略室はもちろん、各省庁には副大臣や政務官として大量の議員が送り込まれた。従来の与党税調と政府税調を廃止して設けた新政府税調もこれらの議員で構成された。つまり、すべての政策決定はこの体制で行うとし、与党や官僚の介入排除を目指したのだった。

 ところが、肝心の司令塔が来年度予算編成の基本方針さえまともに示せず、混乱が始まったのである。個別事業の無駄を削減する行政刷新会議の事業仕分けに、国家戦略にかかわるテーマや制度問題が持ち込まれて混乱したのも、多くは戦略室の機能不全に起因する。

 しかも、3兆円を目標とした無駄削減額は公益法人の基金返還などを含めても2兆円に届かず、現実の予算削減規模は7千億円弱にとどまった。いかに政権の見通しが甘かったかであり、その影響は後の予算編成にも尾を引いた。

 混乱はこれだけではない。というより、閣内外を問わず従来のどの政権にも見られなかった好き勝手な発言が相次ぎ、どこでだれが何を決定しているのか分からなくなった。それは子ども手当の所得制限や高速道路無料化などの政権公約だけでなくあらゆる分野に及んだ。

 ≪暫定税率でとどめ刺す≫

 とどめを刺したのは揮発油税などの暫定税率問題だ。民主党はその廃止を目玉公約の一つとして夏の総選挙を戦い勝利した。いや、昨年春には期限切れとなった暫定税率の維持を目指す福田康夫政権の法案を参院で否決、一時的にガソリン価格を引き下げる混乱劇まで演じた。

 つまり、暫定税率廃止は鳩山政権にとって特別な意味をもつのだが、結局は新税に衣替えして暫定税率を維持した。温暖化ガス削減で異常ともいえる高い目標を設定したこととの整合性の問題だけでなく、何といっても予算編成に支障が出るためだ。

 暫定税率の税収は地方を含めて2・5兆円に上る。公約ではこの減税財源を予算の無駄削減などで確保するとしていたから、歳出・歳入両面への影響額は倍になる。廃止という曲芸まがいの政策など現実には通用するはずもなかったのだ。

 しかも、暫定税率の維持を実質的に決めたのは、小沢一郎民主党幹事長である。結論を出せずに右往左往していた鳩山首相にとって、維持を求めた小沢氏の要望は“助け舟”になった形だが、その瞬間に政策決定の内閣一元化も破綻したわけだ

 ≪すべて予想された結果≫

 もっとも、こうした事態は当初からすべて予想されたことだ。英国の統治システムは与党執行部がすべて入閣し具体的政策は内閣委員会が策定する。特に予算編成は与党も一切口を差し挟めない。

 ところが、鳩山政権では最高実力者といわれる小沢氏が入閣せず二重権力構造が指摘されていた。内閣一元化ではなく“小沢一元化”と揶揄(やゆ)される所以(ゆえん)である。行政刷新会議にしろ、いまだに戦略室との位置づけや役割が不明確なままだ。

 財源の裏付けがなかった政権公約の破綻も予想通りといえる。子ども手当だけは来年度に半額実施する財源2・7兆円の半分を所得税の配偶者控除・扶養控除の廃止でまかなうという裏付けを示していたが、これも達成できなかった。

 こうして公約の大半の財源は特別会計の積立金など、いわゆる“埋蔵金”に依存した。だが、例えば財政投融資特別会計の積立金にしろ、財投債の安定償還に備えたもので埋蔵金ではない。しかも、これらの財源を使えるのは一回限りであり、もう頼ることはできない。

 鳩山首相は来年度の国債発行を前政権の発行水準44兆円にとどめたことで、公約と財政規律を守ったとしているが、そうではない。前政権の発行額は第1次補正予算で巨額な景気対策を実施した結果であり、公約自体が水増しされた数字なのだ。

 破綻すべくして破綻した鳩山政権の政策決定プロセスと政権公約とは一体、何だったのかこのままではそれこそ財政までが破綻する。国民は甘い約束と見通しに惑わされず、しっかり監視することだ

(獅子16)民主党は選挙に勝つことがすべてに優先する戦略です。国益や財政健全化よりも優先しています。だから「戦略室」よりも「幹事長室」が偉いことになる。そして、選挙では個別の「甘い約束」をして、選挙に勝ったら「公約は変えてもいい」という世論に甘えて、また、次の選挙を勝つことを優先する。その間に、国益や財政健全化はどうなるのか?来年の参院選にも民主党は、「公約は変えてもいい」といってもらえることを前提に「甘い約束」のオンパレードをしてくることでしょう。これはメディアや民意に対する「挑戦」だと思います。

■「鳩山首相、おかしいよ」 偽装献金…国民疑問…聴取受けないの?
12月27日7時56分配信 産経新聞
 「やっぱり鳩山さん、おかしいよ」-。鳩山由紀夫首相の元公設秘書2人が政治資金規正法違反罪で在宅・略式起訴された偽装献金事件で、国民から「これでいいのか」と疑問の声が上がっている。自らは東京地検特捜部に上申書を出すだけで不起訴処分となった鳩山首相。24日の記者会見では、実母(87)から受けた巨額の資金提供も、元秘書の虚偽記載も「知らなかった」の一点張りだった。事件をめぐる素朴な疑問と街の声、鳩山首相の会見での釈明を振り返ると…やっぱり、おかしい!?

 ≪なぜ上申書だけ≫

 一連の問題で、自らも政治資金規正法違反罪で告発を受けた鳩山首相。特捜部へ上申書を提出したが、検事から直接、事情聴取を受けることはなかった。

 東京都新宿区の会社員、高石仁志さん(41)は首相だから聴取を受けなくて済むのか。東京地検にはしっかり仕事をしてほしいと不満を漏らす。

 「政治家は大して責任を問われないというパターンが決まっているようで釈然としない」。こう話す中野区の会社員、浅尾慎一さん(50)は「部下が刑事責任を問われても、上司は文書を出して許されるのは不公平だ」とばっさり。

 こうした疑問に、鳩山首相は24日の会見で「捜査に全面的に協力し、弁護士からの助言も受け、検察に対して説明文を任意で提出した」と答えるばかりだ。

 ≪母親にまで責任≫

 平成14年以降、実母から提供された資金は12億6千万円に上った。“脱税”に近いと批判を浴びても「知らなかった」との主張を崩さない鳩山首相にも疑問が集まる。

 高松市の会社員、浅井寛子さん(33)は「そんな大金をもらって『知らない』なんて。それで市民感覚が分かるのか? すべて周りのせいにして、自分の母親にまで責任をなすりつけている」と手厳しい。

 東京都大田区の主婦、武藤富子さん(75)は「何も言わずに、かわいい息子にお金を渡していたって? 鳩山さんのお母さんみたいな親がいたらいいわね」と皮肉たっぷりだ。

 一方、鳩山首相は「不自然だといわれても、事実は事実として正直に話している」と、開き直ったような説明をしてみせた。

 ≪本当に秘書任せ?≫

 政治資金は秘書に任せきりで、約4億円の偽装献金についても、自分は関与していないと強調する鳩山首相。「そんな大金を本当に秘書任せにしていたのか」と首をひねる国民は多い。

 西東京市のサービス業、添田由夫さん(56)は「国政は小沢一郎幹事長に任せ、金のことは秘書に任せきり? 私も会社で部下がいたが、巨額の金を任せきりにして上司が『分からない』なんてあり得ない」と腹立たしげだ。

 神奈川県大和市の主婦、山口優子さん(31)も「自分の金をどう使っていたのか知らないとはおかしい」と疑問を呈し、「鳩山政権は国の予算に無駄がないか事業仕分けしたのに、自分の金は仕分けしていなかったのか」と皮肉った。

 これに対し、鳩山首相は「なぜもっとスタッフとコミュニケーションをとらなかったのか、事情を把握する努力を怠ってしまったのか、猛省している。ずさんではないかとの批判はその通り」。あくまで「秘書任せだった」との主張は変わらない。

 ≪辞めないの?≫

 野党時代、「秘書の罪は政治家の罪」と自民党側を糾弾した鳩山首相。多くの人がだったら今、辞めるべきだと批判した。

 当初は鳩山首相に期待したという東京都港区の主婦、和田しずかさん(72)はいざ自分の立場になると、言い逃れをして甘い。落胆した」。練馬区の会社員、高木麻衣子さん(29)も「結局、今まで不正が発覚した政治家と同じで、秘書のせいにした。トカゲの尻尾(しっぽ)のように秘書を切り捨てるのはひどい」と失望感を隠さない。

 批判に対し、会見で「過去の発言に対して否定するつもりはない」と言い切った鳩山首相。一方で、「私腹を肥やした、不正な利得を得たという思いは一切ない」「政策遂行に期待をしている国民に対する責任を放棄してしまう」と辞任は明確に否定している。

(獅子16)民主党新人議員さんたちは一番民意に近いと思いますが、首相の偽装献金問題をどう思っているんでしょうか。不思議なのは彼らが時局のテーマで一切メディアの登場しないことです。訪中の件も、普天間の件も、首相の偽装献金、幹事長の献金問題・・・、政権党たる民主党新人議員の声が一切聞こえてきません。これでは「新人議員は次の選挙の勝つことが仕事」という古い永田町の論理を全国的に認めていることになりませんか。国民代表たる彼らの声、聞きたいです。北京で「握手」した新人議員はその後の政治問題をどう考え、首相の偽装献金・脱税的行為について、今、何を考えているのでしょうか。