経済の現状を再確認しておきましょう | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

経済の現状を再確認しておきましょう

経済卿です!私は常々、国民は、市場原理主義批判、上げ潮批判、財政再建至上主義、バラマキを乗り越える政策の登場を待っている、とかんじています。

デフレの原因となる40兆円の需要不足を直視し、政府と中央銀行が一体となってデフレに立ち向かう。
中長期的な財政再建へのコミットメントを作る
成長戦略を作る
持続的な社会保障制度を確立する

このポリシーミックスこそ「上げ潮政策」なんじゃないでしょうか。

昨日、ボスの講演で、

努力する人が報われる社会、
今日より明日が良くなる社会、
将来世代にとって明るい社会

を作るという決意が語られていました。

来年、いよいよ、新しい「坂の上の雲」の方向をさし示すときが。

そこで、経済の現状を数字でおさらいしておきましょう。

(1)輸出の回復が設備投資に結びつかず

7-9月GDPは一次続報の前期比+1.2%から+0.3%(年率では+4.8%から1.3%)へ下方修正。
 → 最大の下方修正の要因は設備投資です。
 →設備投資は前期比+1.6%から▲2.8%とプラスからマイナスへの修正。
 →設備投資だけでGDPの下方修正の約3分の2が説明可能です。

現在、景気は麻生政権の経済対策と輸出の回復でリバウンド局面。
 →今回の統計で輸出回復⇒設備投資増の好循環まだ期待できないということが明確になりました。

10月のコア機械受注(船舶・電力除く民需)は前月比▲4.5%、通信業からの通信機受注を除いたベースで見ると、前月比+3.7%と3ヶ月連続で増加。
 →先行き設備投資の下げ止まりの兆しはある。

(2)デフレの深刻化を示す日銀短観

大企業・製造業の業況判断DIは▲24と9月の▲33から9ポイント改善。
  →市場の事前予想は▲27であったので、ポジティブサプライズ。
  →政策による押し上げ、輸出の回復を背景として自動車、電気機械、鉄鋼、非鉄金属などの業況判断   が著しく改善。

一方、大企業・非製造業の業況判断DIは▲22と改善幅はわずか2ポイントにとどまった。
  →リース、対個人サービス、飲食・宿泊などは悪化、小売は前回比1ポイント改善と、設備投資、個   人消費など内需の弱さが際立った。
  →先行きに関しては、大企業では改善を見込むが、中堅・中小企業は悪化を見込む。

経常利益について、上期は大幅な上方修正となったが、下期の見通しは下方修正となっている。
  →販売価格、仕入れ価格とも下落しているが、販売価格の下落が大きく、需要不足に伴うデフレの中   で、収益が圧迫されている様子がうかがわれる。

設備投資計画は全規模・全産業ベースで下方修正。
  →とりわけ大企業での設備投資の削減幅が大きくなっている
  →景気はリバウンド局面だが、デフレ環境が続けば、投資採算に合わない。国内の成長戦略も見えな   いままでは投資を控えるのは合理的な判断です。

なお、下期の想定為替レートは一ドル91.16円で現在の水準より円安を想定。

全体として、政策需要、輸出に支えられた景気のリバウンドの中で、デフレが経済を蝕んでいる姿を描写した内容であった。

(3)デフレで、マインドの悪化

11月の景気ウォッチャー調査は、現状判断DIは前月差▲7ポイントと2000年1月の統計開始以来最大の下落幅を記録。小売、飲食、サービスなど家計動向DIでの下落大きい。
  →エコポイントやエコカー減税などに関する前向きの評価が薄まり、逆に値下げ競争の激化を思わせ   る記述が増加しており、政策需要の鈍化と、デフレの深刻化を裏づけ。
  →冬のボーナスの削減の影響を懸念する記述もあり。

(4)米国経済ダウンサイドリスクの低減を示唆?

米国の11月の非農業部門雇用者数は前月比▲1.1万人減と、10月の▲11.1万人減からマイナス幅縮小。失業率は10.2%から10.0%へ低下。
   →先行指標の人材派遣業の雇用が反転増加したこと、マクロ賃金(時間当たり賃金×総労働投入時    間)が持ち直し始めた、ことなどから、雇用調整終了間近と市場は評価。

11月小売売上は前月比+1.3%とポジティブサプライズ。コア(自動車、ガソリン、建設資材を除く)も同+0.5%と4ヶ月連続の増加となった。
   →自動車販売は年率-▲25%と落ち込んでいるが、自動車以外の消費の増加がカバー。
   →雇用の下げ止まり等とあいまって景気悪化にブレーキか?

11月製造業ISM指標で、生産の先行指標である新規受注は上昇(58.5→60.3)。今後の鉱工業生産が増加基調にあることを示唆。

中古住宅販売の先行指標である、契約済み住宅販売件数は、10月に年率114万戸(前月比+3.7%)と住宅市場に明るい材料も。

一方、11月非製造業ISMの悪化(50.6→48.7)は予想を大幅に上回っている。2009 年7―9 月のオフィス空室率は14.0%(CB Richard Ellis 調査)と上昇に歯止めがかかっていない。S&L 危機を含む不動産不況期のピーク92 年10-12 月の17.6%を上回るかどうかに注目。

米国指標はまだら模様。雇用環境が改善し始めたとしてもそのペースは緩やかであろう。

以上、元祖・上げ潮派・経済卿でした!