6日の朝刊を深読みする(支持母体との関係等) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

6日の朝刊を深読みする(支持母体との関係等)

■民主イズム 対話置き去り「公約堅持
(11月6日読売新聞)
・・・民主党がマニフェストを掲げて戦った国政選挙は今回で5回目。いずれも、ごく少数の議員が「トップダウン」で策定しており、作成に携わった経験がある同党スタッフはこう告白する。「マニフェスト作りはいつも一部議員による突貫工事で、各候補者が政策の理解をしないまま選挙に臨むおかしな事態になっている
一方英国の政治情勢に詳しい藤森克彦・みずほ情報総研主席研究員によると、民主党が「マニフェスト選挙」のお手本とする英国の労働党は、トップダウンとは異なる対話方式」で策定しているという。
まず党の幹部が中心になって政策の課題を選んだ後、党の「政策委員会」が地方支部や業界団体から意見を聞き、マニフェストの原案を作成。その上で党幹部や地方の支部、支持団体の労働組合が意見を出し合い、最後に党大会で決定する過程をたどる。1997年に労働党が政権交代を果たした時のマニフェストは9割以上の党員が賛成した。
・・・民主党の支持母体・連合の元会長、笹森清氏はこう注文を付ける。「世の中には、連合をはじめ様々な意見を抱えた組織や団体が無数にある。与党になった以上、そうした意見を吸い上げる窓口をきちんと設け、政策を作り上げた後も、国民への説明責任があることを自覚すべきだ」

(獅子16)これからはマニフェスト策定にあたり、どれだけ草の根市民が参加しているかを競う段階に入りましたね。

■連合を特別扱い 官邸・省庁直通で陳情受付
(11月6日2時6分配信 産経新聞)
 政府・民主党は5日、同党最大の支持団体、日本労働組合総連合会(連合)からの陳情については特別扱いとして鳩山由紀夫首相ら官邸首脳や各省庁への直通ルートでも受け付ける方針を固めた。2日の党役員会で国会議員や地方組織、自治体、業界団体の陳情に関し小沢一郎幹事長率いる幹事長室への窓口一本化を決めたばかり。しかし、連合にかぎっては幹事長室のほか、鳩山首相、平野博文官房長官、各省庁の政務官の3ルートでの陳情も認めて優遇する。

 関係者によると、政府は5日までに連合と傘下の産業別労働組合(産別)が省庁政務官を通じて政策要請を行うことを容認した。連合を別格扱いするのは、「衆院選で全面支援を受けた」(政府関係者)ため。

 連合の陳情のうち、政策課題に関するものは政府側の3ルートで受け付け、法案の修正、選挙態勢の要請や、連合と党のトラブル処理など政策課題以外は幹事長室ルートで受け付ける。幹事長室ルート以外の政府3ルートが確保され、特に各省の政務官ルートで個別の省庁向けの陳情を通せるようになるため、労組側は「スムーズな政策実現ができる」(産別労組幹部)と歓迎している。

 幹事長室ルートの窓口となる高嶋良充筆頭副幹事長や政府3ルートの窓口の平野氏はそれぞれ連合内有力産別の自治労、電機連合の組織内議員だ。連合内からは「融通がきくはずだ」(産別労組)との期待感が高まっている。

 ただ、連合は他団体よりも優遇されることについて「以前からあった政と労の協議の場が少し充実しただけで、特別扱いされていると国民に思われたくない」(連合関係者)と複雑な心境も吐露している。

 一方、自民党政権下で年数回実施されてきた首相と連合会長によるトップ会談(政労会見)も、存続することになった。従来の政労会見は政府側が連合の意見を形式的に聞き置くだけに終わる場合も多かった。今後は、政策課題についてより具体的に突っ込んだ協議を行う。来月初旬にも鳩山首相と古賀伸明会長が会談する。

 野党時代に民主党政調会長と連合が行ってきた定期協議は、政調組織の廃止に伴い廃止する。代わりに平野氏、松野頼久、松井孝治両官房副長官ら政府側と、連合の南雲弘行事務局長ら幹部による「政府・連合定期協議」を創設する。

(獅子16)直接ルートの優遇のある団体と、民主党県連・幹事長室を通さなければならない団体に選別されるのか。基準は選挙への貢献?鳩山首相の提唱する「新しい公共」の観点からは、この選挙への貢献による選別(「選好」?)はどうなのか。

■<日本航空>年金支給額のモデルケース 月額最大48万円
(11月6日2時30分配信 毎日新聞)
 経営危機に陥った日本航空の年金の支給額がモデルケースで月額最大48万円と、同業の全日本空輸の同31万円を大幅に上回っていることが5日、政府の内部資料で分かった。日航は官民共同出資の「企業再生支援機構」の管理下に入り、公的資金投入を含めた資本増強などによる再建を目指しているが、手厚い年金支給を受けたまま公的資金を投入することに対しては国民の反発も強く、年金減額への圧力が強まりそうだ。

 日航の年金支給額が最大の48万円(うち5万円は本人が掛け金を負担)になるのは、退職金1700万円を選択した場合で、内訳は企業年金が25万円、国民年金・厚生年金が計23万円だった。退職金を最大の3650万円受け取った場合は、年金は公的年金の月額計23万円のみとなる。

 日航の企業年金には現役約1万6000人、OB約8500人が加入しており、年金・退職金債務の積み立て不足が3042億円発生している。

 公的資金投入の前提として、日航は給付引き下げを目指すが、確定給付企業年金法の施行規則では全受給者の3分の2以上の同意が必要で、OBらの説得は難航するとみられる。政府は年金を削減できる特別立法を検討しているが、憲法に保障された財産権を侵すとの見方もあり、ハードルは高い。【大場伸也】

(獅子16)民主党・社民党の政権だからこそ、支持母体の労組を説得して、国民目線で問題解決を。

■新政権の課題 超競争社会スウェーデンに学ぶ 市場原理と高福祉両立
(11月6日読売新聞・湯元健治・日本総研理事)
・・・(スウェーデンの)企業の社会保障負担は、支払い賃金の31.4%と極めて高いが、日本のような通勤手当、扶養手当などの福利厚生費や年功賃金はない。国家が手厚い安全網と社会保障を提供するので、企業は裸の賃金を支払うだけで済む。
・・・意外と知られていないが、スウェーデンは倒産も解雇も当たり前に生じる厳しい資本主義競争社会の顔も併せ持つ。病気で休めば2週間後から賃金カット、仕事がなくなれば即解雇となる。健康保険組合もなければブルーカラーには退職金もない。企業に対する反故や補助金などの支援策は最低限で、競争原理がフルに働いている。
 それでは、雇用や国民生活の安定はいかに保たれているのか。キーワードは「連帯賃金政策」と「積極的労働政策」の2つだ。
 「連帯賃金政策」とは同一職種なら同一賃金が支払われる仕組みで、職種、性別、正規・非正規、企業規模による賃金の格差は小さい。その反面、賃金支払い能力の乏しい低生産性企業は淘汰される。その場合の失業増大に対応するのが「積極的労働政策」だ。・・・
 スウェーデンは働くことが重視される社会である。・・・地方所得税は給与だけでなく、年金、失業給付、育児手当などからも源泉徴収される。しかし、税は国民が受けとる受益の対価と認識されており、逆進性の議論は全くない。社会保障もリスクに対する備えと位置付けられており、すべての国民が働く意思を示して積極的に労働市場に参加しない限り、最低限の給付しか得られない設計になっている。このように、スウェーデンは、市場経済原理を福祉国家の中にうまく取り込んだ独自の経済モデルを確立している。

(獅子16)戦後日本は社会コストの支払いを企業に依存することで税負担を低く抑えてきた面がある。各種手当や年功序列賃金もその一環だろう。スウェーデン型社会をめざすなら、正規・非正規の格差を本気でなくすのか。年功序列体制をフラットにすることに組合は協力するのか。最低賃金引き上げならば、低生産性企業淘汰の問題にどう対処するのか。市場原理、競争原理、経済合理性を否定する民主党に、「市場経済原理を福祉国家の中にうまく取り込んだ独自の経済モデル」はできるのか。ただの「官の復権」だけに終わるのではないか。スウェーデンをはるかに上回る1億2千万人規模で福祉国家を支えるには「中抜き」されないようにするには地方分権しかないのではないか。さすがバイキングの末裔ともいうべき、リスクに立ち向かうスウェーデンの国民性のもとだから高福祉と競争原理が共存しているのかもしれない。リスクを嫌う日本の国民性のもとの高福祉路線で競争原理との共存はどのように可能なのか?ボスが提唱する「小さな政府・大きな社会」の鍵の一つはここにある!

■議員立法制限の民主 肝炎法案「生みの苦しみ」
(11月6日読売新聞)
議員立法を宣言した民主党が、例外扱いで肝炎対策基本法案を議員立法で今国会に提出しようとしている。・・・ただ、政策調査会などを廃止した影響で、法案の提出予定者らは党内手続きに手間取っている。基本法案は、新たな議員立法のモデルケースとなるだけに、「生みの苦しみ」が続いているようだ。
…肝炎対策基本法案をめぐっては自民党も法案提出を目指している。自民党安と民主党案とでは、肝炎感染をめぐり、国の責任をどこまで明確化するかが焦点となりそうだが、民主党は政策責任者が不在で、誰が野党との協議に責任を持つのかなども決まっていない。・・・

(獅子16)与野党協議の責任は、国会の委員会の現場でとればいいじゃないですか。民主党も委員会レベルでは党議拘束を外すと報道されています。ならば与野党協議は現場の委員でしょう。新人議員も国民代表。現場でフラットにやれば新人議員の活躍の場もでてきます。