5日の朝刊を読む(政権と民主党の動向ウォッチ) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

5日の朝刊を読む(政権と民主党の動向ウォッチ)

■人事官に官僚OB、「天下り」巡り与野党論戦
(11月5日2時1分配信 読売新聞)
 衆院予算委員会は4日、公務員の「天下り」を巡り、与野党が論戦を繰り広げた。

 元大蔵次官の斎藤次郎氏の日本郵政社長就任に続き、政府が同日、人事院総裁含みで人事官に江利川毅・前厚生労働次官を充てる同意人事案を国会に提起したことに野党側が一斉に反発。鳩山首相は官僚が省庁のあっせんで再就職することが「天下り」であると定義し、一連の人事は問題ないと主張するなど「脱・官僚依存」から現実路線に軌道修正を図っている。・・・

(獅子16)これは読売新聞1面のトップ記事。昨日の衆院予算委員会で明らかになった「天下り」問題についての鳩山連立政権の「路線修正」はたしかにトップ記事にふさわしいものでした。この同じ読売1面の企画記事の「民主イズム」の最後に、斎藤次郎元大蔵省次官の日本郵政社長人事の情報をつかんでいなかったとされる財務省の1人がこうつぶやいた、としています。「政権に近づきすぎて『民主党系』見られたら、やがて冷や飯を食わされるかもしれない。斎藤氏の復活も迷惑なぐだいだ」。いまの「政治主導」という名の財務省依存はあまりにも目にみえやすく、とても財務省が仕掛けたとも思えず、たしかに迷惑でしょう。同記事によれば、民主党幹部は「平野官房長官や松野頼三副長官の口癖は今や『財務省とはけんかしない』だ」そうで、刷新会議事務局に5名、国家戦略室に2人の現役財務官僚を送り込み、10月23日に閣議決定した「予算編成改革の方針」も国家戦略室の財務省出身スタッフが作った原案にそってまとめたもの、とされています。政治リスクと直結しはじめていますね。こんなことにならないように、政治リスクを共有するのは政治任用スタッフに限定すべきであり、多くの行政官には中立的な環境で仕事をしていただこうというのがボスが準備してきた「幹部公務員法案」の趣旨。いまの鳩山連立政権のやり方では、組織全体に政治リスクがかかってしまう・・・。90年代の歴史は繰り返さないほうがいい、だから、政権交代前に「幹部公務員法」を成立させておくべきだった。ところで、読売11面の「民主イズム」では、あのエズラ・ボーゲルさんが「『脱官僚』は方針転換を」・「民主党は遅かれ早かれ、霞が関の力を使うことになるだろう」といっていますが、ボーゲルさん、心配ご無用、もう方針転換をしています。

■予算削減効果は不透明=財務省依存の懸念も-事業仕分け
(11月4日-21:45時事通信)
 行政刷新会議による2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」の作業が本格化してきた。300程度の対象事業をリストアップした民主党国会議員らのワーキンググループ(WG)は、これを210程度に絞り込み、11日から仕分けに入る。ただ、過去最大の95兆円規模まで膨らんだ概算要求額をどこまで圧縮できるかは不透明だ。
 仕分け対象としては、独立行政法人向けの支出や国際協力機構(JICA)の諸経費、政府開発援助(ODA)、国政選挙の啓発費用などが挙がっている。
 仕分け作業はまず、11日から17日まで週末を挟んで5日間、さらに24日から4日間、いずれも東京・市谷の国立印刷局の体育館で行われる。財務省による「密室」での予算査定とは異なり、作業の様子は公開され、インターネットでも中継される。
 仙谷由人行政刷新担当相は、3兆円以上の削減を目標に掲げている。ただ、仕分け対象となるのは事業全体の1割程度にすぎず、仙谷氏は4日の記者会見で「その他の90%は財務省が仕分けの結果を見て各省庁との査定作業に入っていく」と語った。
 診療報酬や地方交付税交付金といった金額の大きい予算項目に切り込むかどうかも、「政治的な問題だ」(関係者)とされ、方向性は出ていない。WG統括役の枝野幸男民主党元政調会長は「金額はわれわれの仕事ではない」と強調するが、仕分けが順調に進まなければ、財務省の査定頼みとなりかねない。

(獅子16)政治主導でやれば「20兆円」のムダはすぐにでてくる、というのが民主党の主張だったはず。ところが「金額はわれわれの仕事ではない」と。9割の事業は財務省の査定にまかせる、と。では、刷新会議はどんな「政治マタ―」をやるのか、下記の記事をみてみましょう。

■学力テスト再削減へ 行政刷新会議、事業仕分けの対象に
(11月5日2時0分配信 産経新聞)
 政府が、鳩山政権発足に伴って大幅に縮小された全国学力テストの予算のさらなる削減を検討していることが分かった。予算の無駄を洗い出す行政刷新会議はすでに文部科学省から事前ヒアリングを実施しており、事業仕分けの対象を確定する中に学力テストも含める見通しだ。学力テストの縮小は民主党マニフェスト(政権公約)にないため、支持団体で削減を求めている日本教職員組合(日教組)の意向を踏まえた措置とみられる。・・・

(獅子16)学力テストについては地方の首長は存続論も強いはず。日教組の意向、ですか?

■民主新人、質問主意書提出も撤回 党幹部の意向で
(11月5日1時43分配信 産経新聞)
 衆院予算委員会に所属する民主党の新人議員が、鳩山内閣に3本の質問主意書を提出したが、政府・与党一体」を理由に問題視する同党幹部の意向などを受け、撤回したことが4日、明らかになった。

 この新人議員は8月の総選挙で初当選した元外務官僚の緒方林太郎衆院議員(福岡9区)で、関係者によると質問主意書は2日に提出、4日に撤回された。内容は、議員の世襲制限の合憲性▽外国人参政権と憲法の関係▽日本が締結した平和条約-だった。

 質問主意書は、国会法で定められた国会議員の権利で、質問の機会が少ない野党や無所属議員が政府の見解を質すために利用することが多い。答弁書は閣議決定が必要で「行政停滞の原因」との指摘もある。

 民主党幹部は「与党なのだから政務三役に質問すればいい」(国対関係筋)と問題視。4日の国対会合で「主意書を出すなとは言わないが国対幹部に相談するように」と指導した。

 緒方氏は産経新聞の取材に「答弁が必ず返ってくる便利な制度なので細かい法解釈について政府の見解を知りたかった。与党議員が行うことになじまないのなら仕方がない」と話した。

(獅子16)新聞で報道されているように、民主党人議員にあんまり出番がないようであるなら、遠慮しないで主意書を出してはいかが?

■衆院予算委:民主党、新人教育で大挙 開始遅れる
(11月5日毎日新聞)
 衆院予算委員会(鹿野道彦委員長)は4日午前の開始時間が約10分遅れた。民主党が新人議員を「教育」として傍聴に大量動員していることに、自民党など野党側が「威圧的だ」と反発したため。
 民主党国対は新人教育の一環として、1年生議員に交代制で傍聴を指示している。この日も、指導役の国対副委員長に連れられ、数十人が委員会室後方で立ち見で傍聴しようとした。これに野党側から退席を求める声が続出。委員会室は一時騒然とした。
 民主党の予算委理事らが自主的な退席を促し収拾を図ったが、午前9時から開始予定の予算委は約10分遅れとなった。【近藤大介】

(獅子16)大量動員、威圧、ヤジ・・・鳩山首相のいう「新しい公共」にふさわしくない色にそまっていくことは、決して、民主党新人議員に国民が期待したことではないでしょう。「同質化・独占・不透明」という「古い公共」的体質に、同化していくことのないよう、「多種多様性」を大事にしてください。みんな同じ顔にみえてくるようでは、「新しい公共」の担い手にはなれません。

■岡田外相 「政権公約と選挙中の発言はイコールではない」
11月5日0時26分配信 毎日新聞
 岡田克也外相は4日の衆院予算委員会で、米軍普天間飛行場の移設先について、鳩山由紀夫首相が先の衆院選中に「県外、できれば国外」などと発言したことに関し、「公約と選挙中の発言はイコールではない。公約というのはマニフェストだ」と語った。選挙中の政治家の発言を軽視したとも受け取れ、批判が出そうだ。・・・

(獅子16)それでは、テレビ討論や街頭演説では、マニフェスト以外のことは言わないでください。そして、下記の環境税にいつてはしっかりと参院選公約に入れてもらいましょう。

■「環境税」導入、暫定税率の廃止後に…環境相
(11月5日00時52分 読売新聞)
 小沢環境相は4日夜、都内で記者団の取材に応じ、来年度の税制改正で議論されている地球温暖化対策税(環境税)の創設時期について、来年4月にガソリン税などの暫定税率の廃止をまず実施して国民に減税を実感してもらった上で、一定期間後に導入すべきだという考えを示した。
 環境省の税制改正要望によると、環境税は、二酸化炭素の排出量に応じてガソリンや石炭などの化石燃料に課税し、エネルギー消費を抑えるとともに、温暖化対策などの費用にあてるもの。
 また、小沢環境相はガソリンの場合、暫定税率廃止後に新たな課税をした場合でも、現在の税額(1リットルあたり53・8円)より「高くなることは考えにくい」とも述べた。

(獅子16)つまり、参院選は「減税を実感」してもらって選挙するということで。「増税の実感」は選挙後にやってくる。では、参院選の公約に環境税の増税額を入れられますか?参院は任期6年です。環境税を6年以内に導入するならばどのような制度なのか入れる必要があります。今度は政権与党なのですから、しっかりとして制度設計を公約に盛り込むべきでしょう。公約に入れておかないと、演説でいくらお話になっても、公約ではないのですから。