30日午後の政策ウォッチ4(日銀・津村ダム)(秘書ひしょ) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

30日午後の政策ウォッチ4(日銀・津村ダム)(秘書ひしょ)

■日銀の「論理」では2勝1分か、「異例の措置」縮小で-政治に配慮も
10月30日(ブルームバーグ):日本銀行は30日、企業が運転資金を調達するために発行するコマーシャル・ペーパー(CP)と社債の買い入れ停止を決める半面、企業金融支援特別オペは来年3月末まで延長した。世界的な金融危機を受けた「異例の措置」縮小の背後には、3つの「固有の論理」がうかがえる。
  バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジストは、今回の政策決定について「信用緩和策として導入した経緯に照らすと、若干の齟齬(そご)がないとは言えない」と指摘。ただ、米欧の中央銀行では「来年前半には流動性の回収が大きな焦点となりそうだ。日銀内でもその流れに乗り遅れまいとする意見が優勢になったのだろう」と分析した。
  日銀は金融政策決定会合で、緊急避難的な市場安定化策として導入した時限措置のうち、CP・社債の買い入れを年末で終了する一方、特別オペは来年3月末まで延長した上で打ち切ると決めた。金融機関がオペで差し入れる民間企業債務などの担保に関する要件緩和措置は来年12月末まで延長。政策金利は0.1%で据え置いた。
  短期金融市場での金融調節による政策金利の上げ下げという通常の金融政策に対し、CPや社債、株式の買い入れなどは中央銀行としては「異例の措置」だと、白川方明総裁は導入時から説明してきた。
  こうした措置に伴う問題点として、日銀はこれまで①通貨の信認に関わる中銀のバランスシートの健全性、②財政政策とのすみ分け③市場機能の確保-という3点を指摘してきた。
            3つの副作用
  まず、日銀が金融機関に資金供給する場合、平常時は、信用リスクのない国債などの安全資産を買い入れるか担保に取る。CPや社債などの買い入れによって高格付けとはいえない資産が増えると、日銀のバランスシート上は「負債」に当たる日銀券(お札)、つまり円という通貨の信認が、裏づけとなる資産の劣化によって傷つきかねない。
  2つ目のこだわりは、特定の民間金融資産の買い入れは財政政策が担うのが適切ではないか、という主張だ。白川総裁は、例えば8月8日、上海での講演で「金融政策と財政政策の境界線」に言及。「企業債務などの個別リスクを負担する政策措置は、ミクロの資源配分に関わる財政政策の領域に近づくもの」と位置づけ、「中央銀行として異例の措置だ」と述べた。
  財務省は7日、日本政策金融公庫による「中堅・大企業向けの資金繰り対策等としての危機対応」でのCP買い取り額は9月末時点で3610億円だったと発表した。
        市場機能の正常化、あと一歩
  今回のCP・社債の買い入れ停止は①日銀のバランスシート問題と②財政政策とのすみ分け-という日銀ならではの論理に応じた措置だ。ただ、特別オペの打ち切り時期を明示しつつ3カ月間延長した決定は、政策によって市場機能を阻害すべきでないという3つ目の論点を、直ちに完全に解決するには至らなかった。
  白川総裁は14日の記者会見で、特別オペが企業や金融機関に及ぼす「資金繰りの安心感」は、既存の共通担保オペを上回る「効果の差」が2-3bp(1bp=0.01%)に縮小していると指摘。打ち切りに前向きな姿勢を示していた。
  特別オペは、民間企業債務を担保に3カ月物の資金を0.1%で無制限に貸し出す措置。3カ月の東京銀行間貸出金利(TIBOR)やユーロ円金利先物などの短期市場金利を低位安定させている面がある。しかし、同時にCP金利を市場実勢以下に著しく押し下げる副作用も生じ、国庫短期証券(TB)金利を下回る「官民逆転」現象も起きていた。
  日銀が特別オペを3カ月限定で延長した背景について、シティグループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは、自民党から民主党に政権交代しても「与党となれば、日銀への接し方は自ずと変わる」とともに、「日銀が政府の経済政策との整合性に一定の配慮をする点も変らない」と話した。
           方向が逆、安全網は必要
  一方、市場には、日銀が異例の措置を縮小したことについて、疑問視する声もある。三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは、内外の経済・金融情勢になお不透明感があり、消費者物価のマイナスが長期化する中で「廃止するのは政治や一般国民から見ると方向が逆だ」と指摘。利用の多寡ではなく、不測の事態に備えた「日銀による安全網があるということ自体に意義がある」と語る。
  CP・社債は主に大企業や中堅企業が利用しているが、鳩山由紀夫内閣の亀井静香金融・郵政担当相は6日の記者会見で、買い入れの停止について「日銀は時々、寝言を言う」とけん制。ロイター通信が14日に報じたインタビューでも「そういうことをしようとすること自体がおかしい」と述べていた。
  クレディ・スイス証券によると、高格付け社債はともかく、Baa格の社債のスプレッドは日銀のCP・社債買い入れ停止の観測が広がる中、足元で拡大傾向にある。白川浩道チーフエコノミストは「企業金融はなお厳しい状況にある」と見ている。

(秘書の眼)デフレに対する日銀の認識と対策は?鳩山連立政権はデフレ脱却のために日銀にどのような、国民からみて正しい方向性での政策協調を求めるのか?

■津付ダムに改めてゴーサイン
(10月30日朝日新聞)
 県大規模事業評価専門委員会(委員長=木村伸男・岩手大特任教授)は29日、住民団体などから反対の声が上がっていた県の津付(つづき)ダム(住田町)建設事業について、「事業を続けるとする県の評価は妥当と認められる」と答申することを決めた。政権交代で国のダム事業見直しが進む一方、以前から民主党系知事の岩手では、ダムに改めてゴーサインが出たかたちだ
 計画によると、津付ダムは住田町世田米で気仙川の支流、大股川につくる高さ約50メートルの重力式コンクリートダムで、19年度に完成予定。当初は貯水して工業用水とすることも目的としていたが、水の使い道がないことなどから、常に排水口を空けて水を流し、大雨の時だけ流量を調節する形式に変更された。こうした経緯から、住民からはダムではなく河川改修による治水対策を求める声が上がり、ダムと河川改修の併用案を採る県と対立していた。
 この日の委員会では「ダム併用案の方が優れている」と判断。「国の方針の見直しや環境への影響があった場合には再び評価を行う」などとしたうえで「事業の継続は妥当」とした。
 一方、県側が「漁業への影響などから工期が限られる」などとして、従来は66年度と試算していた気仙川水系での河川整備事業の終了年次を「2104年度」と変更したことから、委員から「ずさんだ」といった批判が出た。
 ダムに反対する「めぐみ豊かな気仙川と広田湾を守る地域住民の会」の吉田正洋・世話人代表は「県の計画は次々と変わっており、ずさんだ。今後も国などに見直しを求め働きかけを続けたい」。達増拓也知事は「専門家の知見と地元の理解に基づいて事業を粛々と進めたい」と話した。

■津付ダム 継続「妥当」
(10月30日読売新聞)
県大規模事業評価専門委が
 県が建設を進めている住田町の「津付ダム」の妥当性を評価してきた県大規模事業評価専門委員会(委員長=木村伸男・岩手大特任教授)は29日、事業の継続について、「妥当」とする答申をまとめた。一方で、政権交代によりダム建設事業の先行きが不透明になっていることを受け、今後も随時、委員会を開き再評価を実施する余地を残す付帯意見も付けた。来月10日に達増知事に答申する。
 同委は学者や公認会計士ら7人で構成される知事の諮問機関。津付ダムについては5年前にも事業評価を行い、その際も「事業継続が妥当」と結論づけた。今回は、5月から審議を続けてきた。
※津付ダム
 気仙川支流の大股川に建設される治水ダム。1981年度に事業着手し、本体工事は2014年度に着工予定。総事業費は141億円で河川改修工事を含めると334億円。国が半額を負担する。09年度末見込みの進捗(しんちょく)率は、30・7%。

(秘書の眼)このダムに関する「国の方針の見直し」はあるのでしょうか。