(民から官への民主党)何をもって社会主義的というのか | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(民から官への民主党)何をもって社会主義的というのか

鳩山首相は今日の参議院本会議での代表質問での自民党議員の質問に対する答弁で、「何をもって社会主義的というのか全く理解できない」と反論され、日本郵政幹部への官僚OBを起用した人事が「政治主導のわたりあっせん」との指摘に対しては、「適材適所」と反論されている。

何をもって社会主義的というのか。私なりに指摘させていただきたい。

第一に、「官から民へ」への流れを「民から官へ」と逆流させ、日本郵政の幹部を民間人から官僚OBに交替させ、官僚OBを「適材適所」とするその鳩山首相の方針が「社会主義的」なのである。

鳩山首相は「官から民へ」が政治主導の要諦であることがおわかりにならないようだ。「民から官へ」に逆流させれば官僚主導になる。

昨日、最終責任を負うのが政治主導だということをおっしゃっていた。そういう考え方は、「官僚依存のはじまり」である。そして、あらゆる重要政策の判断を先送りし、マクロ経済の指標を出すことを拒否して、どのように最終責任を負おうというのか。

民主党は、マニフェストに最終責任を負うというかもしれない。しかし、民主党マニフェストの一丁目一番地の「脱官僚・天下り根絶」が、日本郵政幹部人事ですでに反故にされ、首相自ら大蔵官僚OBの起用を「適材適所」などと開き直っているようでは、マニフェストは守らなくてもいい、ということになるだろう。

天下り根絶についても、今回の日本郵政副社長人事を前例としての基準になれば、今後はほとんどの天下り・あっせんが復活することになるだろう。

第二に、所得制限もなければ二子以上への優遇策もない、政策目的が不明確の「子ども手当」である。これはお子さんがいる家庭を、事実上、「公務員化」していることにならないか。

第三に、それでもなお、民主党内や閣内から、「今回の日本郵政の人事はおかしい」というような正論が出てこないのはなぜか。与党の党内民主主義はどうなってしまったのか。市民感覚に近かったはずのみなさんは、いま、鳩山首相への「拍手と歓呼」以外の個人の意見は何も聞こえてない。民主党は「社会主義政党的」といわざるをえない。(10月29日記)


(参照記事)東京新聞社説「郵政新体制」「民営化見直し誰のため」

「旧大蔵事務次官、斎藤次郎氏が日本郵政社長に就任した。元財務官僚も副社長に名を連ね、郵政事業に対する財務省の影響力が格段に強まった。鳩山政権の郵政民営化見直しはだれのためか。

亀井静香郵政改革担当相は郵政事業を国営に戻すことはないと公言してきた。だが、株式上場の凍結、郵便・貯金・保険業法の一体的利用、銀行法と保険業法の適用除外などの閣議決定の実態は限りなき国営であり、民営とは名ばかりにすぎない。

しかも新体制は官頼み。経営トップの斎藤氏に加え財務省(旧大蔵省)出身で前内閣官房副長官補の坂篤郎氏も序列二番の副社長に就いた。政府税制調査会長を務め財務省に近いとされる石弘光・元一橋大学長も社外取締役。『財務省支配』が構築されてしまったかに見える。

民営化の目的は郵貯と簡保の投資先を不採算事業を多く抱える官から民へと切り替えることにあった。高金利での運用が可能になり景気浮揚の役割も担える。しかし、鳩山内閣の郵政改革の基本方針は『銀行法、保険業法に代わる新たな規制を検討』としており、民営化からわずか2年でその制約が解かれる。郵貯と簡保の300兆円に上る総資産は財務官僚の管理下に置かれ、再び公益法人など不採算部門に投資されかねない。

概算要求が95兆円超に膨らんだ来年度予算編成は大幅に削らないと歳入の半分以上を借金に頼らざるをえない。郵貯資金の出し手と引き受け手の双方を実質的に牛耳る財務省主導で、国債購入が上積みされる可能性もあろう。

民営化見直しは国民のための利便性向上が柱だ。全国2万4千の郵便局がより多くの利益を生み出してネットワークを維持しサービスに努める必要がある。そのためには郵便配達のついでに貯金に出し入れ業務などで手数料を稼いだり、物品の販売・配達などの事業多角化による収益増大の自助努力が何より求められる。収益を上げられなかったら税金頼みの支援策が浮上し、国民には利便性向上や一体サービスどころか、そのツケを回される事態を招きかねない。

今回の新体制人事や民営化見直しは亀井氏主導で進められているとされ、鳩山首相の意思が伝わってこない。首相は郵政改革を担当相に丸投げしたのか。国民が政権を委ねたのは民主党であり、国民新党ではない。それを忘れるべきでない」