26日夕方の政策ウォッチ3(所信表明演説コメントー3)(秘書ひしょ) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

26日夕方の政策ウォッチ3(所信表明演説コメントー3)(秘書ひしょ)

■鳩山首相所信表明演説
(2009/10/26-14:39時事通信)

 【3・「居場所と出番」のある社会、「支え合って生きていく日本」】
 (人の笑顔がわが喜び)
・・・障害を持った方たちも、あるいは高齢者も、難病の患者さんも、人間は、人に評価され、感謝され、必要とされてこそ幸せを感じるということを、この逸話は物語っているのではないでしょうか。
 私が尊敬するアインシュタイン博士も、次のように述べています。
 「人は他人のために存在する。何よりもまず、その人の笑顔や喜びがそのまま自分の幸せである人たちのために。そして、共感というきずなで結ばれている無数にいる見知らぬ人たちのために」。

(秘書の眼)鳩山首相はこの前に「人間の究極の幸せは四つです。愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること。働くことによって愛以外の三つの幸せが得られるのです」という住職の言葉を引用しています。これは勤労の重要性を指摘しています。 ここの部分の哲学は、与野党で大いに国会で質の高い議論をしていただきたいものです。たとえば、福祉の就労支援型への転換というのも、こういう哲学にかかわる問題です。

 (地域の「きずな」)
 ここ10年余り、日本の地域は急速に疲弊しつつあります。経済的な意味での疲弊や格差の拡大だけでなく、これまで日本の社会を支えてきた地域の「きずな」が、今やずたずたに切り裂かれつつあるのです。しかし、昔を懐かしんでいるだけでは地域社会を再生することはできません。
 かつての「誰もが誰もを知っている」という地縁・血縁型の地域共同体は、もはや失われつつあります。そこで、次に私たちが目指すべきは、単純に昔ながらの共同体に戻るのではない、新しい共同体の在り方です。スポーツや芸術文化活動、子育て、介護などのボランティア活動、環境保護運動、地域防災、そしてインターネットでのつながりなどを活用して、「誰かが誰かを知っている」という信頼の市民ネットワークを編み直すことです。「あのおじいさんは、一見偏屈そうだけど、ボランティアになると笑顔がすてきなんだ」とか「あのブラジル人は、無口だけど、ホントは優しくて子どもにサッカー教えるのもうまいんだよ」とかいった、それぞれの価値を共有することでつながっていく、新しい「きずな」をつくりたいと考えています。

(秘書の眼)「新しい共同体の在り方」を是非、国会で論戦しましょう。鳩山首相の「新しい共同体」観において、いきなりボランティアになっていることが気になるところです。雇用・就業機会はどうなるのでしょうか。引用された住職は「人間の究極の幸せは四つです。愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること。働くことによって愛以外の三つの幸せが得られるのです」とおっしゃっていますが、「働くこと」は新しい共同体ではどういう位置づけなのでしょうか。生業をしている民間人、民間のコミュニティビジネスは排除されているのでしょうか。これは郵政民営化に反対する民主党が「民が担う公」において、企業を含むのかどうか、哲学問題でもあります。企業は悪なのか。それとも社会の担い手になりうるのか。また、「スポーツや芸術文化活動、子育て、介護などのボランティア活動、環境保護運動、地域防災」はあくまで無償のボランティアですか。これらは地域において生業として成立するのでしょうか。その場合、給与はどこから出てくるのでしょうか。そして、地方公務員はどうなるのでしょうか。

 (「新しい公共」)
 働くこと、生活の糧を得ることは容易なことではありません。しかし、同時に、働くことによって人を支え、人の役に立つことは、人間にとって大きな喜びとなります。
 私が目指したいのは、人と人が支え合い、役に立ち合う「新しい公共」の概念です。「新しい公共」とは、人を支えるという役割を、「官」といわれる人たちだけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などに地域でかかわっておられる方々一人一人にも参加していただき、それを社会全体として応援しようという新しい価値観です。
 国民生活の現場において、実は政治の役割は、それほど大きくないのかもしれません。政治ができることは、市民の皆さんやNPOが活発な活動を始めたときに、それを邪魔するような余分な規制、役所の仕事と予算を増やすためだけの規制を取り払うことだけかもしれません。しかし、そうやって市民やNPOの活動を側面から支援していくことこそが、21世紀の政治の役割だと私は考えています。
 新たな国づくりは、決して誰かに与えられるものではありません。政治や行政が予算を増やしさえすれば、すべての問題が解決するというものでもありません。国民一人一人が「自立と共生」の理念をはぐくみ発展させてこそ、社会の「きずな」を再生し、人と人との信頼関係を取り戻すことができるのです。

(秘書の眼)この「新しい公共」概念も、国会論戦の焦点にすべきテーマです。鳩山首相は、民が公共を担うときはボランティア=無償を前提としているのでしょうか。他方で、官が公共の担うときには税金から給料が出る。それで「新しい公共」が成りたちますか。「新しい公共」のもとのコストはどう賄われるのでしょうか。そして、「新しい公共」の意思決定はどのようにするのでしょうか。民が支える公共を支えるための寄付税制(税額控除方式)を国・地方税に導入しなければならないはず。当然、財政当局は反対します。どうしますか?政治が縮小するとともに、地方における官も縮小するのでしょうか。

 私は、国、地方、そして国民が一体となり、すべての人々が互いの存在をかけがえのないものだと感じあえる日本を実現するために、また、一人一人が「居場所と出番」を見いだすことのできる「支え合って生きていく日本」を実現するために、その先頭に立って、全力で取り組んでまいります。

(秘書の眼)こういう視点はとてもいいですね。与野党が競争すべきでしょうね。ところで、ある地域から選出された国民代表である民主党1回生議員の永田町・霞が関の「居場所と出番」はいかがでしょう?地域の「かけがえのない」代表です。