(アジア共同体構想)鳩山首相には言葉の重みをしっかりと自覚していただきたい | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(アジア共同体構想)鳩山首相には言葉の重みをしっかりと自覚していただきたい


産経新聞主張の結語である「アジア外交で日本が指導力を発揮する前提となるのは同盟を通じた日米の連携と協力があってこそである。首相と外相はこのことを肝に銘じてもらいたい」は、正論である。

鳩山首相は、10日の日中韓首脳会談の冒頭で「今まで、ややもすると米国に依存し過ぎていた。日米同盟は重要だが、アジアの一国としてアジアをもっと重視する政策を作り上げていきたい。その先に東アジア共同体を構想していきたい」と発言した。首相は「米国を外すつもりはない」と弁明しているようだが、岡田外相は「日中韓、東南アジア諸国連合、インド、豪、ニュージーランドで考えたい」として、米国抜きを明言している。

民主党は、インド洋での海上自衛隊の給油活動の停止、普天間の県外移転という、日米同盟基軸を崩す政権公約を持って総選挙を戦い、政権交代をしている。その上での米国抜きの「東アジア共同体構想」である。鳩山連立政権は日本をどこにもっていこうとしているのだろうか。

鳩山首相の一つひとつの発言には、国益・国運がかかっている。国内世論は、鳩山首相の言葉の言い換えに寛容である。だが、国際社会では一国の指導者が一度言葉にしたことを事実として作用し、反作用が起こり、歴史が作られていく。首相としての言葉の重みをしっかりと自覚していただきたい。(10月11日記)

(参照記事)産経新聞主張「日中韓首脳会談」「米国抜きの共同体は危険」

「鳩山由紀夫首相と温家宝中国首相、李明博韓国大統領の日中韓首脳会議が北京で開かれ、北朝鮮の6カ国協議早期復帰と再開へ向けた協力で一致し、東アジア共同体構想の検討などを盛り込んだ共同声明を発表した。鳩山首相は2日間に日韓、日中首脳会議もこなし、就任後初のアジア訪問外交を締めくくった。

北朝鮮の核・ミサイル廃棄や拉致問題の解決を促す日中韓の協力体制強化は当然であり、歓迎できる。だが、首相の東アジア共同体構想には米国や中国の位置づけなど懸念される点が多い。日米同盟関係を危険にさらさないように、首相は明確で首尾一貫した説明を果たす責務がある。

北朝鮮問題では温首相が先の訪朝結果を報告した。これを受けて米国が検討中の北朝協議や日朝、南北の2国間協議再開の展望も踏まえて、日中韓の連携を深めることを確認した。ただ、北に軟化の兆しが見えるにせよ、協議復帰に条件を付ける可能性もある。6カ国協議再開の道は平坦ではない。各国は『無条件復帰するまで国連制裁を着実に進める』という方針を今後も堅持すべきであり、3首脳がこの点を強調しなかったのは残念だ。

さらに心配なのは東アジア共同体構想だ。首相は先月、ニューヨークでの日中首脳会談や国連総会演説で構想をぶち上げたが、この間に行われたオバマ米大統領との会談では構想の説明を避けた。このため米側では『日本がアジア諸国と協力を深めるのは賛成だが、米国を排除するような地域枠組みは有益といえない』(米高官)との苦言や警戒の声が出ている。

首相は『米国を除外するつもりはない』(首相就任会見)というが、岡田克也外相は『日中韓、東南アジア諸国連合、インド、豪、ニュージーランドで考えたい』と『米国抜き』を明言し、両者の説明はちぐはぐだ。日中韓首脳会議後の会見で、首相が『今まで米国に依存しすぎていた』と語ったことにも大きな違和感を受ける。

首相は欧州連合(EU)型の共同体を描いているとの見方もあるが、その場合には政治・社会体制も異なる中国をどう位置付けるかの説明をすべきだろう。アジア外交で日本が指導力を発揮する前提となるのは同盟を通じた日米の連携を協力があってこそである。首相と外相はこのことを肝に銘じてもらいたい」