(連合)連合の新体制への期待 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(連合)連合の新体制への期待

わが国最大の労働組合組織・日本労働組合総連合会(連合)の新体制が決まった。私も、
個別企業・産業や官庁の利益代弁から脱皮して、国民全体を視野に入れた活動をすることを、新体制に期待したい。

具体的には、官公労の反対を押し切って、国民の視点に立った公務員制度改革を、連合も支持・推進することである。

鳩山連立政権は、公務員の天下りを禁止する。では年功序列の給与体系はどうするのか。退職金制度はどうするのか。公務員天国が待っていて、そのツケを民間労働者の負担=増税で払うことになるのではないか。

デフレ下の増税をした場合、景気は二番底に向かっていくだろう。新規学卒者で正規雇用を希望しながら職を得られないかもしれないという不安が現実のものとなるリスクが高まるだろう。

連合は、公務員の終身雇用・年功序列賃金という、官僚と官公労共通の既得権益を守るための増税を、認めるのか、認めないのか。ここが「国民労組」になるかどうかの最大の焦点である。

民間労組出身者による新体制のもと、連合が「国民労組」として公務員制度改革の先頭に立つことを期待する。(10月10日記)


(参照記事)東京新聞社説「連合新体制」「『国民労組』へ脱皮急げ」

「わが国最大の労働組合組織・日本労働組合総連合会(連合)の新体制が決まった。結成20年目の今年は政権交代実現という画期的な年となった。国民の視点に立った活動を実行してもらいたい。

連合は定期大会最終日の9日、新会長に古賀伸明連合事務局長、新事務局長に南雲弘行電力総連会長ら新役員を選出して閉幕した。古賀会長は『労働組合の原点に立ち戻り運動の先頭に立ちたい』と語った。

8月末の総選挙で民主党を圧勝させ連立政権を樹立させたことは連合の政治力を格段に強めた。また鳩山政権の行政刷新会議に草野忠義基連合事務局長を送り込むなど、政権与党の一員としての存在感は今後も高まる見込みだ。是々非々の立場で臨むべきだろう。同時に、足元の諸課題に真剣に取り組んでもらいたい。

昨秋以降の世界不況と大量失業の出現、賃金の低迷と格差拡大、労働者全体の3分の1を占めるパートや派遣社員など非正規雇用の待遇改善、正社員に広がる長時間労働と過労死問題――。懸案すべてが連合の政策課題ではないが、どう取り組むのか責任ある行動が問われている。

最優先課題は雇用対策である。完全失業率が5%台後半、新規求人倍率も最低記録更新では『安心社会』とはいえない。雇用の安定があってこそ犯罪も自殺も減り社会は安定する。雇用維持と新事業開拓など広範な景気・雇用対策の実施を政府に求めるべきだ。

同時に個別企業・産業や官庁の利益大弁から脱皮して、国民全体を視野に入れた活動を進める。『温室効果ガス25%削減』は国際公約となったが国内の鉄鋼、電力、自動車産業などは実現困難と反発している。確かに高い目標だが、労組はそれを達成する技術開発や生活の工夫を経営側と国民に呼び掛けるべきではないか。

公務員制度改革は急務だ。人件費2割削減の達成には身を切る合理化が必至だが、連合としてきちんと対処することが重要だ。2008年の推定組織率は18・1%と雇用者の5人に1人にも届いていない。パート労働者の組織率も5%。非正規労働センターの活動を強化すべきだ。連合は1989年11月、総評や同盟など民間労働団体と官公労が統一して誕生した。『全労働者のために』が合言葉だが、加盟組合員数は当初の800万人から675万人へ減少した。労組の魅力を高めることも緊急課題だ」