(“故人献金”問題)率先して説明を。所得税控除の説明書返還は必要最低条件。 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(“故人献金”問題)率先して説明を。所得税控除の説明書返還は必要最低条件。

報道によれば、鳩山首相の“故人献金”問題について、東京地検が捜査に着手したとのことである。

この問題について、読売新聞社説は結論で、「さらに重大な問題は、総務省が6月末、架空の個人献金者について交付した所得税控除の証明書を返還するよう指導したのに、首相の団体が応じていないことだ。証明書が使われていれば脱税だ。首相が役所の指導を無視するようでは、政府に対する信頼は維持できない。首相は早急に証明書を返還させるべきだ」と指摘しているが、極めて重大な指摘である。

虚偽記載だけでも亡くなられた方の尊厳とご遺族の思いを踏みにじる大変な問題であると思うが、さらに、税にからむ何らかの重大な問題があるのだろうか。この疑惑については、これから国会で予算や税について議論していく上で、絶対に払しょくしておかなければならない。

疑惑払しょくのために、鳩山首相は誠実に説明する責任がある。首相の説明に「納得できない」が69%もある事実は重たい。内閣支持率70%超の大半が「納得できない」としていることを意味する。

政治への信頼にかかわる重大な問題である。マスコミや自民党にいわれてからやるのではなく、鳩山首相自ら率先して、69%の国民が納得のいく説明をしていただきたい。その際、所得税控除の説明書の返還は必要最低条件であろう。(10月4日記)


(参照記事)読売新聞社説「架空個人献金」「首相は改めて説明すべきだ」

「鳩山首相の“故人献金”問題の発覚から既に3カ月以上が経過している。『調査中』『弁護士に任せている』といった弁明は、もう通用しまい。総務省が公表した政治資金収支報告書で、鳩山首相の資金管理団体が、2008年の個人献金者69人のうち55人の寄付計406万円が実際にはなかったと削除していたことが判明した。その分は首相個人の貸付金と訂正した。

首相は6月末、05~08年の団体の個人献金で延べ193人、2177万円分の虚偽記載があったと発表していた。団体の会計を担当していた公設秘書が『独断で』行ったとして、秘書を解任した。だが、首相の従来の説明には多くの疑問がある。首相は、国民の信頼を回復するため、『政治とカネ』の問題から逃げずに正面から向き合わなければならない。

年間5万円以下の個人献金については、個人名を記載する必要がない。08年の団体のこうした匿名献金は2668万円にも上る。だが、報告書には匿名分の訂正はない。本当にそうなのか。偽装が発覚しやすい実名分に、故人の名前まで使って架空献金を計上していたのに、内訳が分からない匿名分に虚偽記載が一切ないのは不自然ではないか。

04年以前の架空献金の有無も明確でない。また、首相は否定しているが、架空献金の原資がすべて首相本人の資金なのかどうか。首相の元秘書が、首相の資金を別人からの個人献金と偽って報告した動機もよく分からない。首相は『個人献金が少ないので、それが分かったら大変だと思ったのではないか』と説明したが、到底納得できるものではない。

政治資金収支報告書の虚偽記載は明確な政治資金規正法違反であり、重大な犯罪だ。鳩山首相は資金管理団体の代表であり、監督責任は免れない。東京地検も捜査に着手している。

読売新聞が9月中旬の鳩山内閣発足直後に実施した世論調査でも首相の説明が「納得できない」とする回答が69%に上っている。首相は、一連の疑問に対し、きちんと説明する責任がある。

さらに重大な問題は、総務省が6月末、架空の個人献金者について交付した所得税控除の証明書を返還するよう指導したのに、首相の団体が応じていないことだ。証明書が使われていれば脱税だ。首相が役所の指導を無視するようでは、政府に対する信頼は維持できない。首相は早急に証明書を返還させるべきだ」