(経済財政運営)鳩山連立政権が経済財政の中長期ビジョンを誠実に語るべきとき | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(経済財政運営)鳩山連立政権が経済財政の中長期ビジョンを誠実に語るべきとき

日経新聞記事は、「公約に盛り込んだ新政策は鳩山政権の売り物。財源を確保できなければ事業を先送りするか、国債を増発するか。いずれにしてもかなり厳しい選択を迫られる。景気の先行き不安も財源づくりの足かせになりうる。藤井裕久財務相は追加景気対策について『選択肢のひとつ』としており、仮にこれに財源を奪われれば公約実現はままならない」としている。

主要先進国での日本株の独り負けである。政権交代したが、鳩山政権の経済運営に市場が疑念を持ちだしたからであろう。マクロ経済政策がなく、成長戦略がなく、財政再建戦略がなく、あるのは、子ども手当や高速道路無料化である。

6月時点で約40兆円に達する需要不足と、8月にマイナス2.4%と過去最悪の下げ幅となった消費者物価指数を前に、子ども手当や高速道路無料化で、どうやって景気回復を軌道に乗せられるのか、鳩山連立政権が経済財政の中長期ビジョンを誠実に語るべきときではないか。日本経済が底割れしたら、国民生活も底割れする。鳩山連立政権はそこに対する危機感が薄いように感じられる。(10月3日記)


(参照記事)日経新聞「補正凍結、政治主導なるか」「攻防『あと1兆円』」「執行停止の事業、来週決定」「公約実現、早くも壁」「必要財源7・1兆円、景気に影響懸念も」

「各省庁が提出した2009年度補正予算の削減の合計は2兆円にとどまった。鳩山政権は目標とする3兆円の財源確保に向けて公共事業等のもう一段の切り込みを目指す。無駄の洗い出しを仕切る仙谷由人行政刷新担当相も2日、来週中に執行停止の事業を決定する方針を表明。今後の政と官の攻防は、10年度予算に盛り込む子ども手当などの政策を左右するだけに、民主党が掲げる政治主導の試金石になる。

『これが最後だと認識していたが、1日の閣議で<まだ最終とは限らない。深堀りすることもある>と指示が出た』。原口一博総務相は2日、政府が見直し案の公表を見送った背景を記者団に説明した。

民主党は衆院選マニフェスト(政権公約)で、子ども手当や暫定税率撤廃などの重要政策の実施を公約していた。10年度予算では約7・1兆円の財源が必要で、補正予算見直しにより財源に充てる3兆円超をひねり出す。

2日段階で固まった削減額は2兆円超にすぎない。財務省内では当初から『2兆円台は出る』との声があり、官僚側も想定していた水準だ。問題はここから。既に民間企業と契約を結んだり、地方自治体に交付を決定済みのものは、政治判断を迫られる。

担当するのは行政刷新会議だ。古川元久内閣府副大臣は2日のテレビ朝日番組で『かなり(各省庁の)基準がバラバラだ。行刷会議と各省庁の政務3役が議論して削っていく』と一段の切り込みに意欲を示した。協議の相手は各省庁の閣僚と副大臣、政務官の『政務3役』。官僚を排した政治主導の協議となる。

『100%ムダという事業はない』。山井和則厚生労働政務官は記者会見で、見直しの難しさに触れた。厚労省が示した削減額は4000億円強だが、さらなる積み上げを目指すなら、医療や介護に手をつけざるを得ない。医療機関や介護施設など団体との調整もあり、削減は簡単ではない。

1000億円前後を確保した総務相は『かなり色々な目配りをして、議論に議論を重ねた数字だ』とする一方で『さらなる指示があれば従う』と、積み増しに努力する姿勢も示した。

経済産業省の政務3役は先月下旬、執行停止の候補を洗い出すため、茨城県つくば市の産業技術総合研究所などを視察。だが、直嶋正行経産相は『経産省の事業は全くいらないものはない』と感想を漏らした。経産省幹部は『政務3役はうちの政策に理解を示してくれている。予算は見れば見るほど切りにくくなる』と語った。

行刷会議の前には官僚だけでなく、こうした政務3役も立ちはだかる。09年度補正予算での財源確保が少なければ、10年度予算に回せる額も減る。ある厚労官僚は『閣僚たちはこの2週間で、財源の制約を肌身で学んだはずだ』と政治主導で進む補正予算の見直しを冷やかに眺める。

『09年度補正予算削減で3兆円超』+『10年度予算編成でのムダ根絶』=7・1兆円。子ども手当創設など必要額が7兆円を超す『公約』を実現するために動き出した今回の財源ねん出策。手始めに補正予算の一部凍結で3兆円超を目指しているものの、ゴールは遠い。

見直し対象となっている09年度補正予算は前政権が景気対策を掲げて組んだ。雇用対策や環境関連政策なども含まれ、現政権の公約との兼ね合いから削減しにくいものもある。『これ以上の絞り込みは極めて困難』との声もある。公約に盛り込んだ新政策は鳩山政権の売り物。財源を確保できなければ事業を先送りするか、国債を増発するか。いずれにしてもかなり厳しい選択を迫られる。

景気の先行き不安も財源づくりの足かせになりうる。藤井裕久財務相は追加景気対策について『選択肢のひとつ』としており、仮にこれに財源を奪われれば公約実現はままならない。

今回の補正予算見直しとほぼ同時進行で、政府は来年度予算の概算要求をつくり直す。『公共事業の削減』が焦点となりそうだが、ここでも景気への影響を懸念する声があがる可能性が高い。

公約実現に必要な財源は11年度以降さらに膨らみ、13年度には年16・8兆円が要る。『今年度の補正予算カットで財源の一部を賄える来年度と違い11年度以降の財源探しはかなり厳しい』(財務官僚)。政治主導の予算づくりに険しい道のりが続く」。