9月21日鳩山政権政策ウォッチ(マクロ経済運営司令塔の不在)(秘書ひしょ) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

9月21日鳩山政権政策ウォッチ(マクロ経済運営司令塔の不在)(秘書ひしょ)

■鳩山政権、マクロ経済運営「司令塔」どこに 菅氏は国家戦略に軸
(9月20日 18:56 日本経済新聞)
 鳩山由紀夫新政権のマクロ経済政策運営の「司令塔」が見えにくくなっている。菅直人副総理が経済財政担当相を兼ねるが、予算の基本方針を決める国家戦略室の仕事が中心になるとの見方が多い。景気実態の把握や経済対策の取りまとめに支障が生じるようなら、日本経済の先行きに暗雲が垂れこめる。市場からも「景気への目配りが足りない」との声が出ている。
 菅氏は19日午後、内閣府の幹部と首相官邸で会い、国内経済情勢について意見交換した。菅氏は官僚との接触を制限しており、新政権の発足後初めての会合となった。
 ただ林芳正前経財相との引き継ぎはしていない。「国内景気は警戒を緩める段階にない」との景気判断を示したのは、就任3日目の18日になってからだった。

(秘書の眼)民主党は立党以来、一度もマクロ経済のビジョンを出したことがありません。マクロ経済政策がないということは、実は「市場にお任せ」の究極の市場原理主義ということです。「円高指向・金利高指向」などもその表れでしょう。「市場にお任せ」的市場原理主義と「何かおきたら全部税金投入」的社会主義のミックスこそが「鳩山ノミクス」。この合成の誤謬から起きる悲劇を防ぐのがマクロ経済の司令塔。しかし、それを国家戦略局が代替する。とても「国家社会主義」的手法ですね。

■菅副総理 複数年度予算を表明 “政治主導”後退の可能性
(9月20日 21:04 産経新聞)
 菅直人副総理・国家戦略担当相は20日のNHKの番組で、平成22年度の予算編成に関連し、複数年度予算の導入を検討する考えを表明した。すでに藤井裕久財務相と調整に入っており、早ければ10月上旬にも来年度予算に関する閣僚委員会に原案を提示する。「年度末に予算を使い切ろうとする」(菅氏)という現在の単年度予算が、“無駄遣い”の元凶になっているとみているためだ。ただ、数年先の税収見積もりが難しいといった制度面の問題に加え、かえって各省庁の裁量の範囲が広がり、新政権の掲げる“政治主導”が後退する懸念もある。
 「英国は3年ぐらいのめどをたてて、最終的には単年度に落としていく複数年度の予算をやっている。こういう基本的な枠組みをまず考えたい」
 菅氏は20日、英国方式の本格的な複数年度予算に意欲を示した。
 政府高官も同日、各省の概算要求に基づき積み上げてきた従来の予算編成方式を改め、税収見積もりなどを踏まえて全体の予算規模を先に決め、その中で重点政策に優先的に配分していく考えを示した。
 日本は現在、憲法第86条で「内閣は毎年度の予算を作成」と規定され、単年度主義を採用している。年度ごとに国会での議決を経ることで財政状況をチェックし、透明性を確保するとの思想に基づくものだ。
 これに対し、英国では3年間の財政運営目標を策定。年度ごとに議会の議決を得る必要はあるが、各省庁は歳出上限の範囲内で柔軟に予算を各年度に配分できるようになっている。
日本で複数年度予算を編成するには憲法の改正が必要になるため、当面は中期計画を策定し、その計画に基づいて各年度の予算を編成する方法などを検討するとみられる。
 複数年度予算は、新政権が掲げる無駄根絶が狙いで、それによって浮いた財源を子ども手当やガソリン税などの暫定税率の廃止など重点政策に充当することを打ち出している。
 ただ、日本の現行制度でも、余った予算を次年度に持ち越す「繰越明許費」があり、平成21年度予算には4兆5108億円が繰り入れられている。また単年度主義の例外措置として、原則5年間の支出を定める「継続費」「国庫債務負担行為」があり、長期にわたる防衛省の潜水艦建造や医療機器のリース契約などで認められている。
 このため、財務省では「民主党が想定する制度がよく分からない」(主計局)と困惑気味だ。
 さらに財務省は「2、3年先の税収を見通すのは難しい」(同)と指摘する。昨年度のように世界同時不況で税収が大きく落ち込んだ場合、大規模な公共事業などは予算の執行ができなくなり、景気をさらに冷え込ませる懸念がある。予算規模の縮小を回避しようとすれば、国債の大幅な増発を迫られる。
 無駄根絶につながるか疑問視する声もある。日本総合研究所の湯元健治理事は「各省庁の裁量が大きくなるので、政策の達成度などを評価する制度が必要」と忠告する。
 菅氏は20日の番組で、政策の達成度合いを数年後に検証する仕組みの導入に意欲を表明した。菅氏が担当する「国家戦略局」の役割も含め、新政権の“脱官僚依存”が試されそうだ。(赤地真志帆、会田聡)

(秘書の眼)ムダをなくすことはいいことです。しかし、複数年予算をくむということは、マクロ経済の見通しが不可欠。そして、民主党が数年後に間違いなく打ち出してくるであろう「増税」を前倒ししていわなければつじつまがあわないかもしれませんよ。来年の参院選を増税で戦う覚悟はありますか。

■菅戦略相、経済情勢「楽観してない」 補正見直しは景気動向次第
(9月21日日経新聞)
 菅直人国家戦略担当相は20日のNHK番組で、麻生政権がつくった2009年度補正予算の見直しに関して「公共的な支出を、どんどんこの段階で削減していくと一方的に言うことはない。景気、雇用の動向をしっかり見据える」と述べ、景気への影響に配慮する姿勢を示した。足元の経済情勢については「決して楽観していない。場合によっては短期的な対応が必要になることもある」と指摘した。
 一方、藤井裕久財務相は同番組で補正予算を巡って「無駄なものは若干経済に影響があっても切らなければならない。国民生活に直結した予算に資源を振り替える」と強調した。
 今後、追加の経済対策を実施する可能性については「経済情勢がどうなるかによってはあり得る」と指摘。財源については「補正予算を浮かした部分を使うことはあり得る」と語った。

(秘書の眼)補正予算を語るなら、その根拠となるマクロ経済運営を語ってください。民主党は日本経済をどうしようとしているのか数字で示してください。立党以来語ったことのない中長期の経済財政ビジョンなしに政権運営もマクロ経済運営をやるのですか。そのとき、政権運営は「選挙勝利」だけがすべての政策の唯一の調整の合理的基準になってしまうでしょう。