9月20日朝の民主党政権政策ウォッチ(秘書ひしょ) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

9月20日朝の民主党政権政策ウォッチ(秘書ひしょ)

■【新・民主党解剖(5)】したたか財務省 さっそく小沢シフト
(9月19日 23:59  産経新聞)
 ■官僚コントロール
 平成21年度補正予算の一部執行停止方針を決めた18日の閣議。閣僚の一人が「削減だけが表に出ると、経済にマイナスだ」と慎重論を唱えたが、藤井裕久財務相は「削った予算をもっと経済効果があるものに振り向ける。だから削減ではない」と一喝。それ以上の異論は出なかった。
 組閣前、鳩山由紀夫首相は亀井静香郵政改革・金融相(国民新党代表)からこんな忠告を受けていた。
 「財務官僚にこっちを向かせないといけない。財務官僚が『カネがない』と言ったら記者はこぞってそう書く。そうしたら政府は負ける。官僚にそっぽを向かれたら政権は動かない」
 「脱官僚」を掲げて民主党は衆院選に大勝したが、選挙で掲げた政策を実現するには、国の財布を握る財務省とうまくやる必要がある。そう考えた首相は財務省を掌握するため、同省大物OBを大臣に起用する政権絵図を頭に描いた。そして白羽の矢を立てたのが旧大蔵省出身で、細川、羽田両内閣で蔵相を務めた党最高顧問、藤井氏だった。
 首相は7月、政界引退を表明していた藤井氏に会い、「(議員)バッジを付けておく意味もある」と説得し、引退を撤回させた。藤井氏も「自由人となるつもりだった自分を衆院単独比例名簿に載せるということはそういうこと(財務相起用)だ」と受け止めた。
 ■面従腹背?
 新政権発足に先立つ今月7日、政権初の予算となる平成22年度予算編成をめぐり、直嶋正行政調会長(当時)と財務省の丹呉泰健事務次官が国会内で会談した。
 丹呉氏「できるだけ早く新政権としての考え方を示していただかないと(年内編成は)日程的に苦しくなります」
 直嶋氏「かなり考え方が違うよね」
 タイムスケジュールを掲げ、予算編成基準を早く出すように促す丹呉氏。牽制する直嶋氏。予算に関する主導権をめぐる心理戦はこの時点から始まっていた。
 「君は小泉純一郎元首相の秘書官だったね。職務命令で務めただけならいい。だが、小泉構造改革を支持してやったのならば次官を辞めてくれ」
 組閣前、藤井氏はあいさつに訪れた丹呉氏にこう迫った。丹呉氏は「職責を務めただけで(小泉構造改革の是非は)関係ありません」とかわした。
 財務官僚は、ときの権力中枢と密接な関係を築くことに長けている。ある官庁の元幹部は20年近く前のある光景を今も鮮明に覚えている。
 上司の急な呼び出しを受け、深夜に都内のホテルの一室に入ると、待っていたのは当時は自民党幹部の小沢一郎民主党幹事長だった。
 「野党対策で、おたくの省の予算を1000億円削ることになった。明日までに案を持って来てくれ」
 小沢氏の背後では、顔見知りの大蔵(現財務)官僚たちがワインを片手に談笑していた。この幹部は役所に飛んで帰ると翌朝までに削減案をまとめた。
 ■小沢シフト
 政権与党の経験がない民主党にあって、小沢氏は財務省を熟知する数少ない議員の一人だ。自民党を飛び出して樹立した細川連立政権で、小沢氏は大蔵省の斎藤次郎事務次官(当時)と組み、武村正義官房長官(同)の頭越しに税率7%の「国民福祉税」構想を推進した。小沢氏は当時、連立8党派の一つにすぎない新生党の代表幹事だったが、大蔵省は「真の権力者」を的確に見抜いていたのだ。
 財務省は今夏の人事で、竹下内閣で小沢官房副長官の秘書官を務めた香川俊介前主計局次長を経済対策を扱う総括審議官に起用、政権交代前から万全の「小沢シフト」を敷いた。
 こんなエピソードもある。7月初旬、民主党の幹部会合。「子ども手当」の実施時期をめぐり、当初案通り平成24年度実施を主張する岡田克也幹事長(当時)と、来夏の参院選を考慮し、一年前倒しを求める鳩山代表らの間で議論は平行線をたどった。
 だが、最後は小沢氏の一言でケリが付いた。「財源は、政権を取ったら出てくるもんだ」。この言葉の裏側には、財務省を手兵にできるという自信があるとみるべきだろう。
 鳩山政権は、新設する首相直属の「国家戦略局」で予算の骨格を決める方針だが、予算編成権を手放したくない財務省は「骨抜き」に動く公算が大きい。財務省をどう手なずけ、政治主導を実現するのか。間合いを間違えば、「脱官僚」が看板倒れに終わりかねない。     =おわり
     ◇
 この連載は阿比留瑠比、赤地真志帆、加納宏幸、比護義則、酒井充、宮下日出男、小田博士が担当しました。

(秘書の眼)小沢シフトと財務省シフトがパラレルに。記事の最後にある国家戦略局骨抜きについてはすでに進行しているみたいですね。以下の記事参照。

■首相の指導力不安視も
(9月20日読売新聞)
・・・(鳩山、小沢、菅各氏の)トロイカに、早くもきしみが生じている。典型は、党政調会が突然廃止され、菅氏の政調会長兼務がなくなったことだ。
・・・(15日)夜、小沢氏は連合の高木剛会長らと都内のホテルで会った。高木氏が「政調会長は菅さんが兼務すると言われているが」と尋ねると、小沢氏は「そんなことはあり得ない。政調の会議をやるたびに副総理が出てくるのか」と否定。「菅と鳩山がだいぶ言い合いをしていたな」と続けた。
 政調廃止は、新政権での菅氏の影響力低下につながりかねない。菅氏は政調会長を兼務することで、政策全般の責任者となり、政調職員もスタッフとして使えると考えたからだ。
 菅氏周辺は「小沢―鳩山ラインが菅外しを狙っている」と疑心暗鬼になっている。菅氏自身も、首相とうまく連絡が取れないことに、いらだちを見せている。・・・

(秘書の眼)国家戦略局は党政調会のパワーをバックにする、という構想がスタートから頓挫してたんですね。

■補正予算見直し 財務省主導 国家戦略室は「開店休業」
(9月20日 読売新聞)

・・・菅国家戦略相は「戦略的な観点に関することにはかかわっていきたい」と予算編成をリードする意欲を示すものの、まだスタッフさえ決まっていない。戦略室長に任命された古川元久内閣府副大臣は「本格始動は来年から」と語る。
・・・藤井財務相は「長期的な視点は菅さんに主導権を持って頂く」と就任以来、戦略室を配慮する発言を繰り返している・だが、財務省内では「公共事業の削減率をどうするかなど数字の話をトップダウンで下ろしてくれば黙っていない」といった声ももれる。
・・・・(補正予算の)一連の見直しは「首相指示」という政治主導の形をとりながら実質的には財務相が取り仕切る。「開店休業」の戦略室を横目に見ながら、まずは財務省が主導する予算作業が始まった。

(秘書の眼)「本格始動は来年から」ということは、来年度予算は財務省主導、国家戦略局は「再来年度予算」編成から、ということですね。菅さんは経財相も兼務していて、経財相には100人を超えるスタッフがいるのだから、とりあえず、活用すればよかったと思うのですが・・・。小泉改革のシンボルだから使いたくない、ということなんでしょうが、小泉首相の秘書官だった丹呉財務次官だって鳩山政権で仕事されているのですから、経財相のスタッフも使いこなしてはいかがでしょう。

■長妻厚労相 最低限の安全網作る
(9月20日読売新聞)
-全員が7万円以上受け取れる「最低保障年金」を創設すると、国民年金に加入する自営業者らの保険料が増える可能性がある。
「保険料は上がるが、老後には必ず戻ってくるし、現行より多くの給付が得られることになる。こうした点で理解を得ていく」
―社民党は(子供)手当の支給額は1万円と主張し、国民新党は所得制限を設けると唱えているが、どう調整するのか。
「我々は所得制限を設けないということで選挙を戦った。基本的には我々の考えで進めていく」

(秘書の眼)今度は政権党ですから、来年の参院選では、「負担」について正直に語ってください。所得制限については、連立与党がいう「所得制限を設ける」ほうが正論ではないでしょうか。国会での論戦ポイントになってきますね。

■環境税、来年度導入目指す 環境相
(9月18日14:24日経新聞)
 小沢鋭仁環境相は18日の閣議後の記者会見で、石油や石炭など化石燃料の利用に課税して二酸化炭素(CO2)排出を抑える地球温暖化対策税(環境税)について、今秋の税制改正議論で具体化し、来年度からの導入を目指す意向を示した。近く藤井裕久財務相や直嶋正行経済産業相らと協議する方針だ。
 環境税について民主党はマニフェスト(政権公約)で「導入を検討する」と明記していた。小沢環境相は「マニフェストで掲げた期間は次の衆院選までだが、最初(の議論)は今年の秋以降の税制改正から始まる。当然、それに向けて対応していかなければいけない」と述べた。税率など具体的な制度設計を直嶋経産相らと話し合う方針も明らかにした。

(秘書の眼)今日の新聞記事に小沢鋭仁環境相が「化石燃料の利用に課税する環境税の導入を11年度に目指す方針を強調」と書いていたので、調べたところ、たしかに来年度から環境税めざすと記者会見でいっていたのですね。参院選挙目当てに来年引き下げて、再来年増税という選挙第一主義ではなく、参院選で堂々と増税をいうのは結構なことです。