(総裁選)自民党再生とは新しいビジョンと優先順位を語れる人物が総裁になること | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(総裁選)自民党再生とは新しいビジョンと優先順位を語れる人物が総裁になること

帯野久美子さんが指摘している「4年前の選挙結果は、古い自民党への怒りにほかならなかった」「前回選挙と基本的な構図は変わっていないことになる。自民党はこの4年間何をしてきたのか?」との指摘は正論である。

今回衆院選の民主党の大勝、自民党の大敗の原因を、同じく「古い自民党」への怒りである。

民意はそれでも自民党が、新しい自民党に新生し、復活することを期待している。産経・FNNの同調査で、「自民党はいずれ与党の座に復帰すると思う」が68・1%もあるからだ。総裁選で問われるべきは、この民意に応え、4年前の約束の原点に回帰し、古い自民党を壊し、新しい自民党に新生・復活させることである。

民主党は来年の参議院選挙での単独過半数をとるため、愚直にマニフェストの実現をめざしてくるだろう。自民党支持者の中には「どうせ現状とそれほど変わらない」ということで民主党に投票した方も少なくないが、民主党は独自の優先順位で予算執行停止・予算組み替えをしてくるだろう。それは来年の参院選に勝つことが民主党の最高の目的だからだ。予算執行があり、景気や今後の日本経済にかなりの悪影響を与えるであろう。

子ども手当などのために、予算執行停止を色々な分野でやっていく。それが彼らの政策の優先順位の考え方だ。

民主党は、これまでの既得権益の拒否権を一旦ゼロベースに戻して、もう一度権力構造を再編しようとしているようにみえる。

しかし、民主党にみえないのは、その権力構造のベースとなる理念・ビジョンだ。次の選挙に勝つ、万年与党の自民党を干す、ということ以外のビジョンがみえない。結局、民主党は選挙に勝ちたい、長期政権化したいことを優先順位で予算の組み替えを行うのだろう。そのために、さまざまな予算執行停止があるだろう。

これに対して、下野した自民党は、「古い自民党」として既得権益の拒否権行使の党でいくのか。

私は、自民党独自のビジョンとそれに基づく優先順位を国民に示すことが下野した自民等の天命だと思う。自民党が政権に返り咲くときとは、われわれのビジョンと優先順位が多数の国民に共有され、実現段階にはいったときだ。自民党再生とは新しいビジョンと優先順位を語れる人物が総裁になることだと思う。既得権益の拒否権の連合体としての古い自民党に、明日はない。(9月12日記)


(参照記事)産経新聞「紙面批評」帯野久美子・インターアクト・ジャパン社長の「新生自民党の誕生に期待」

「紙面批評の執筆を始めてから4年半。思い立って、これまで書いた原稿を読んでみた。締めて35本。中身のまずさは脇におき、4年半の時の流れに、感じるところが多くある。最も心に残っているのは、平成17年9月の衆院選当日の紙面批評だ。選挙に勝利した後、小泉純一郎氏が、どう自民党を立て直していくのか、その検証を産経に委ねている(「『世直し選挙』後の検証必要」)。

実はこの記事は、バクチだった。原稿の締め切りは、掲載3日前の朝と決まっている。従って選挙当日に、開票結果をにらんだ原稿を書くには勇気がいった。それを支えたのが、一貫した産経の報道姿勢だった。他紙が小泉惨敗を予見する中、産経だけが小泉改革を支持していた。

ちなみに、その際に引用した同年8月18日付正論では、初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏が、小泉支持の真実は『郵政民営化』ではなく、『公約の履行や、利権構造の改革への期待にある』ことを指摘。これは『郵政解散』ではなく『世直し解散』だとした。つまり、4年前の選挙結果は、古い自民党への怒りにほかならなかった。

翻って今回の衆院選はどうだったか?民主党の圧勝は、各紙が予想していた通りだった。ただし、劇的な政権交代が実現したわりには、その後の報道は極めて暗い。5日付紙面批評で、学習院大学名誉教授の藤竹暁氏も、『日本が直面する新しい変化に対して、新聞は未来がもつ青空の一端を示せないでいる』と指摘している。なぜ「青空」が見えないのか?

ここで忘れてはならないのは、『政権交代』は単なる出発点にすぎないことだ。不安材料が多いのは当然の話で、それをあげつらうだけでは何も生まれてこない。それよりも、これほどまでに民主党が票を集めた原因について、いみじくも8日付産経の主張は、FNNとの合同世論調査から、『与党の政策や政治姿勢への批判』という答えが、5割以上あったと報じた。つまり前回選挙と基本的な構図は変わっていないことになる。自民党はこの4年間何をしてきたのか?

そこで今、産経にお願いしたいのは、新政権の不安材料でもなく、比例で復活したような『古い自民党』の行く末でもなく、『志ある』『若い』党員がいかに自民党を立て直していけるのか、『新生自民党』の誕生を促すような前向きな報道姿勢だ。その意味で、もう一度産経に『<政権交代選挙>後の検証』を委ねたいと思う」