9月8日民主党政策ウォッチ(秘書ひしょ) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

9月8日民主党政策ウォッチ(秘書ひしょ)

■民主党政権で日本の財政は壊滅的状況にも-ワインバーグ氏
9月8日(ブルームバーグ):国際的なエコノミスト、カール・ワインバーグ氏は、日本の次期民主党政権が政府借り入れの急増と長期金利の上昇を招く恐れのある歳出・税務政策を支持する公算が大きいと指摘した。
  米調査会社ハイ・フリークエンシー・エコノミクス(HFE)のチーフエコノミストであるワインバーグ氏は電子メールを通じて質問に答え、衆院選での民主党の勝利により「日本の国家財政の不安定化につながる歳出計画と減税が実施されるだろう」との見通しを示した。
  ワインバーグ氏の意見は、鳩山由紀夫代表率いる民主党が、国債発行の増加を回避するとの公約を守り続けられないのではないかとの民間アナリストの懐疑的な見方を反映している。民主党はマニフェスト(政権公約)に掲げた子ども手当や公立高校の実質無償化などを優先させる方針を示している。
  ワインバーグ氏は「日本の財政が壊滅的破たんとなれば、現在の金融危機を上回る、世界経済がわれわれの時代で経験する最大の事件となるだろう」と説明。「世界的な信用収縮はまだ終息していないことから、今なお続いている危機を一段と悪化させ、長期化させることになる」と予想した。
  日本の債券市場では、民主党の勝利を投資家が懸念している兆候はほとんど見られない。7日の新発10年債の利回りは1.355%。衆院選の投開票が行われた8月30日の前は1.31%だった。

・政権公約
  民主党のマニフェストによると、同党の公約実現のためには2010年度(10年4月-11年3月)に7兆1000億円の財源が必要となる。その額は年々膨らみ、13年度(13年4月-14年3月)には16兆8000億円に達する見通しだ。
  エコノミストは、景気悪化で税収が落ち込むなか、既に国内総生産(GDP)の2倍近くまで膨れ上がった公的債務を一段と増やすことなく公約を果たすのは難しいだろうと指摘する。
  三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストは「民主党の政策は恒久的な財源を必要とするものが多く、景気の低迷で税収不足も続いている」とした上で、「民主党がマニフェストでうたっている政策をするとなると、国債発行増を経て、いずれは消費税を上げざるを得なくなる」と述べた。
  与謝野馨財務相は8月4日、民主党の政権公約について、消費税率を25%以上に引き上げることが必要になるとの見方を示した。鳩山代表は消費税を向こう4年間は引き上げないと発言している。

・歳出拡大は常軌を逸している
  武藤氏は、民主党が10年度は国債発行の増加を回避できても、11年度(11年4月-12年3月)には回避できなくなる可能性があると指摘。「いくら100年に1度の景気後退になっているといっても、この財政状態で、歳出拡大するのは常軌を逸している」と強調した。
  ワインバーグ氏は日本国債のイールドカーブ(利回り曲線)について、傾斜が「最終的には垂直に近くなる」と予想。日本の長短期債のスプレッド(利回り格差)は現在、比較的小さく、イールドカーブはフラット化(平坦化)している。
 2年債と10年債のスプレッドは1.12ポイントと、米国債の同スプレッド(2.51ポイント)、ドイツ国債(2.16ポイント)を下回っている。
  しかし一部のアナリストは、消費者物価の低下と弱い経済成長により、日本国債の利回りは低水準にとどまるとみている。
  DIAMアセットマネジメントの山崎信人エグゼクティブファンドマネジャーは「民主党が実際無駄をどれだけ省けるか分からないし、財政の不透明感もものすごくある」と述べる一方で、「しかしデフレの状況と景気回復がゆっくりしたものにしかならないので、金利上昇を抑えている。その構図は、今後も変わらないだろう」と分析した。

(秘書の眼)民主党は立党以来、マクロ経済政策を語ったことはありません。今回の衆院選でも語っていません。マクロ経済政策は選挙で票にならないというリアリズムなのでしょう。さまざまなミクロの政策の「合成の誤謬」が起こるリスクがあります。さまざまなミクロの政策が「参院選勝利」という戦略で統合されるか、「財政再建」という戦略で統合されるとき、市場の反乱がおきるリスクがあります。その点で下記の記事にあるような民主党のマクロ経済政策軽視のスタンスは、とても気になるところです。マクロ経済政策を軽視するということは、結果的に、市場の暴走に身をゆだねるという究極の市場原理主義になるように思うのですが。円高と金利高を放置して弱い者は去れ、ということになるのではないでしょうか?

■経財相任命なし!? 内閣府やきもき『マクロ戦略必要』
(9月5日 東京新聞)
 民主党への政権移行を控えて官房長官が内定するなど閣僚メンバーが取りざたされる中、国全体のマクロ経済戦略を練る経済財政担当相については話題に上っておらず、内閣府の経済財政担当部局が気をもんでいる。同党は選挙前に「マクロ戦略がない」と指摘されただけに、内閣府は焦燥感を募らせており、「経財相は必要だ」として任命を要望する考えだ。 
 「新政権の閣僚メンバーがいろいろと話題に上っているのに、経財相については任命するのかどうかも含めてまったく聞こえてこない」。内閣府幹部はこう危機感を募らせ「民主党は数々の政策を掲げているが、国全体の経済をどこに向かわせるのかというマクロ的な考え方が不明確。国内外に分かりやすく説明する担当大臣は必要だ」と力説する。
 別の幹部も「こういう微妙な経済情勢だから、経財相を置かないということはないだろう」と期待を寄せるが、「任命するよう要望はしなければいけない」と語る。
 経済財政担当相は、内閣府の経済財政担当部局を率い、経済の先行きを分析して成長の目標を掲げ、政府の経済政策を取りまとめたり、財政健全化の目標を立てたりする。旧経済企画庁長官が担った職務で、二〇〇一年に経企庁が内閣府に統合されて以降は首相が必要と判断した場合に任命する「特命担当大臣」になったが、空席になったことはない。

(秘書の眼)民主党はマクロ戦略を放棄するのでしょうか?「経済財政一体改革」の思想を放棄するとして、何を根拠として財政当局とやりあうのでしょうか?政府は経済目標をかかげられないと自由放任に任せるとしたら、究極の市場原理主義ではないでしょうか。

【視点】家計・産業界に過大負担 温室効果ガス削減
(9月8日7時57分配信 産経新聞)
 民主党の鳩山由紀夫代表が表明した、麻生政権の目標を上回る温室効果ガス排出量の削減目標(中期目標)の実現には、かなりの無理がある。
 経済産業省によると、国内の削減努力のみで「1990(平成2)年比で8%」の削減を目指す自民党の目標でも1世帯あたりの経済負担は年7万7000円増。17ポイント多い民主党の目標達成では、経済負担が年36万円に増える。産業全体の活動量を減らす強制措置も必要で、年1億トンの粗鋼生産量が2割弱減少するという。「90年比で25%減」の温室効果ガス排出削減の方法について、鳩山代表は国内の努力だけで取り組むのか、海外からの排出枠取得を含むのかなど具体策に言及しなかった。
 温室効果ガス削減に意欲的な途上国支援策をまとめるとはいえ、主要排出国の中国などを引き込む枠組み作りは簡単ではない。「まず先進国が大幅削減を」と主張する途上国に取り組みを促す実効性が伴わなければ「地球温暖化対策に意欲的」な姿勢を印象づけたいだけに終わるからだ。次期首相の発言としては、現実味に欠けている。
 民主党には、自然エネルギーに今後10年間で1500億ドル(約15兆円)を投資し、500万人の雇用創出を掲げるオバマ政権を例に「プラス効果を見落としている」と指摘する向きも少なくない。
 反発の声を強める産業界に鳩山代表は「(削減の)リード役を務めることがプラスになる」と理解を求めたが、政府が温室効果ガス排出量の上限(キャップ)を企業に割り当て過不足分を取引する国内排出量取引制度や地球温暖化対策税など、民主党の政策には不透明な部分がある。産業界と国民の納得する説明をしなければ、鳩山政権への懐疑論に発展しかねない。

(秘書の眼)昨日もボスがトゥデイズアイに書いてましたが「20年までに温暖化ガスを(90年比)25%削減する』と、現政権よりも野心的な目標を掲げながら、足元では、ガソリンの値下げ(揮発油税などの暫定税率廃止)や高速道路無料化など二酸化炭素(CO²)を増やす政策が並ぶ」。これは衆院選勝利を戦略目標としたことからくる「合成の誤謬」の典型ではないでしょうか。