(政策決定の一元化)「政局の党」だからこそ幹事長の力が強くなる | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(政策決定の一元化)「政局の党」だからこそ幹事長の力が強くなる


民主党は「政局の党」であって「政策の党」ではない。「政局の党」だからこそ「政策決定の内閣一元化」は難しいのではないか。「政局の党」だからこそ幹事長の力が強くなるのではないか。

民主党は、国民のための政治をするのか、来年の参院選で民主党が単独過半数をとるための政治をやるのか、そこが焦点である。

しかし、もしも、民主党が「来年の参院選で民主党が単独過半数をとるための政治」をやるならば、「そんなことで来年の参院選に勝てるのか」と選挙責任者である幹事長に一喝されて全ての結論がでる政治になっていくのではないだろうか。

私はこのトゥデイズアイで一貫して民主党に「政局の党」ではなく「政策の党」になるように求めてきたところである。しかし、民主党は「政局の党」だからこそ政権をとれたというのが事実であり、「政局の党」としての衆院選大勝が民主党の成功体験である。

だから、今後も民主党は「政策の党」ではなく「政局の党」であり続けるだろう。全ては参院選勝利のためである。それゆえ、民主党政権が「政策決定の内閣一元化」をできるとは思えない。民主党の参院選勝利第一主義・政局第一主義こそ、選挙責任者である幹事長の権力を増幅させるのである。(9月5日記)

(参照記事)日経新聞社説「民主党は政策決定の一元化を貫け」

「民主党の幹事長に小沢一郎代表代行の就任が決まった。衆院選の圧勝で巨大化した党をまとめる手腕を期待しての起用だが、党内には権力集中への警戒感もくすぶる。党が選挙で公約した『政策決定の内閣一元化』という方針に沿って、透明性の高い党運営を実現してほしい。

鳩山由紀夫代表は小沢氏を幹事長に据える理由について『党務と政府の意思決定を両輪としてしっかり回さないといけない』と説明した。新政権の官房長官には平野博文役員室長を充てる人事も内定した。

小沢氏は今回の政権交代の立役者であり、来年夏の参院選に向けて引き続き選挙の責任者を務める。自民党と対峙する国会運営の司令塔役も果たすことになる。民主党の政権担当能力への不安も残る中で、自民党幹事長や閣僚として政権運営にかかわった経験は貴重といえるだろう。

半面、小沢氏には独断専行で水面下の根回しを好む古いタイプの政治家という批判がついてまわった。1993年発足した細川連立政権では、公明党の市川雄一書記長との「一・一ライン」で与党代表者会議を取り仕切り、首相官邸との二重権力が政権崩壊を早めたといわれた。

自民党への対抗勢力を結集した新進党では、94年の結党で中心的な役割を果たしながら約3年で解党を宣言して周囲を驚かせた。『剛腕』『壊し屋』の異名をとり、評価がこれほど分かれる政治家も珍しい。

民主党内では小沢氏の幹事長起用を受けて、人事や重要問題をめぐる発言力がさらに増大するとの見方が強い。しかし小沢氏が院政を敷き、政策決定過程が不透明になれば、細川政権の二の舞である。

民主党は衆院選のマニフェスト(政権公約)の柱として、首相直属の「国家戦略局」などを新設し、内閣の下での一元的な政策決定を実現すると約束した。党側との二重権力が生じれば公約に反し、行政システムの改革も大きく後退する。

社民、国民新両党は連立政権樹立に向けた民主党との調整で、政府と与党との協議機関を新設するよう求めているが、政策決定にかかわるなら、党幹部が閣内に入って発言するのが筋だ。与党協議機関は政策決定の一元化をゆがめる恐れがある。

小沢氏は与党の最重要ポストに就く以上、記者会見を定期的に開くなどして党運営の透明度を高める努力をしてほしい。西松建設からの巨額献金で公設秘書が起訴された事件も、今後の裁判の進展に応じてさらに説明責任を果たす必要がある」