(経済財政)国民には民主党の「成長、改革、財政健全化」政策を知った上で投票する権利がある | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(経済財政)国民には民主党の「成長、改革、財政健全化」政策を知った上で投票する権利がある

日経新聞社説の題にある「成長と改革抜きに語れぬ財政健全化」は正論である。

日経新聞社説がいうように「著しく悪化した日本の財政を立て直すことは、党派を問わず、将来世代に対する政治の重い責任である」。その責任を果たすためには、財政健全化のためには経済成長と制度改革が重要だという視点が不可欠なのである。

これは私が終始一貫して主張してきたことである。

増税だけで財政健全化はできない(経済成長なくして財政再建なし)。

同時に、歳出拡大に依存して経済成長を狙ってもいけない(改革なくして成長なし)。

報道によると民主党の岡田幹事長は昨日のテレビ番組で「小泉元総理大臣は、構造改革の結果、経済が良くなっていると強調していたが、輸出主導型の景気回復だった。新しいモデルを作る必要があるのに、自民党は反省が足りない」と語ったそうだが、岡田幹事長は事実認識が間違っている。

下記の数字をみて明らかな通り(実質GDPに占める内需と外需の内訳)、小泉政権期の中盤以降は内需主導の経済成長を実現しており、「改革なくして成長なし」を証明しているのである。

     実質GDP成長率  内需   外需
2001年    -0.8      -0.3     -0.5
2002年     1.1      0.4     0.7
2003年     2.1      1.3     0.8
2004年     2       1.5     0.5
2005年     2.3      1.8     0.5
2006年     2.3      1.5     0.8

輸出主導になったのは小泉政権の後のことである。小泉政権期のことを正しく評価できないから、民主党マニフェストには真の「成長戦略」と「規制改革」が不在なのだろう。

民主党の岡田幹事長は「内需と外需のバランスをとった経済成長路線にしなければ、国民生活は守れない」とテレビで語ったようだが、是非、選挙期間中に中長期の経済ビジョンをお出しいただきたい。

国民には、民主党の経済成長、制度改革、財政健全化の全体像を知った上で投票する権利がある。(8月16日記)


(参照記事)日経新聞社説「09衆院選、政策を問う」「成長と改革抜きに語れぬ財政健全化」

「著しく悪化した日本の財政を立て直すことは、党派を問わず、将来世代に対する政治の重い責任である。ところが、衆院選の政策論議をみる限り、自民党と民主党はその責任を果たそうとしているか疑問だ。十分な経済成長と大胆な制度改革がない限り、財政健全化は実現できない。この視点が徹底していない。

国と地方で日本政府の長期債務は国内総生産(GDP)の1・7倍にのぼる。長期金利が大幅に上昇すれば、多額の国債発行の利払い費が膨らみ、財政は一層苦しくなる。当面の景気対応とともに、中長期の財政健全化の道筋を示すことが、金融市場の信頼を保つ意味でも不可欠だ。

衆院選のマニフェスト(政権公約)は両党とも不十分な内容だ。自民党は現状の健全化目標を踏襲する。国・地方の基礎的財政収支の黒字化を今後10年以内に達成し、2020年代初めには債務残高の対GDP比率を安定的に下げる。11年度までに消費税率引き上げなど税制の抜本改革で法律上の措置を整え、経済好転後に遅れずに実施する。中期の数値目標や税制改革のメドを具体的に掲げたのはいいが、旧来の財政構造をどう変え、目標をどう達成するかの道筋が見えない。

民主党は子ども手当などの生活支援策を優先し、財源確保への予算の構造を根本的に見直す。公共事業や天下り法人への支出削減などで9兆円余りの無駄をなくす。財政健全化の目標は政権獲得後、10年度予算編成の時に示すという。4年間は消費税率を上げない。新たな発想で予算の組み替えに取り組むのは評価できるが、党内の抵抗を排して大胆に事業を削る決意はあるのか。財政健全化の目安も示さずに信を問うのも疑問がある。

数合わせの発想で財政健全化を進めるのは誤りだ。日本経済が成長しない限り、十分な税収は上がらない。自民党も民主党も成長戦略と言う言葉は掲げるが、経済を支える企業部門の供給力を高める規制改革などにはどちらも及び腰だ。支出膨張を抑えるには少子高齢化で給付が増える年金や医療といった社会保障の根本的な制度改革が不可欠だが、明確なビジョンはない。

目下は景気回復が最優先だ。国際的に表明した財政出動の規模を落とすべきではない。だが、その後の中期的な財政安定をどう達成するかについて、自民、民主両党はもっと真剣に構想を語るべきである」