8月15日お昼のニュースクリップ~まとめて民主党政策ウォッチ~(秘書ひしょ) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

8月15日お昼のニュースクリップ~まとめて民主党政策ウォッチ~(秘書ひしょ)

■官僚たちの憂うつ:09衆院選前夜/中 事業・人事、駆け込み
(8月15日毎日新聞) 

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 「河野ショック」。国土交通省にはそう呼ばれるトラウマがある。自民党の実力者だった河野一郎氏が1962年に発足した第2次池田内閣の建設相で入閣した際、3人の警察官僚を旧建設省の官房長や道路局長などに迎え入れた一件だ。昇任の順番が狂ったり昇任できない幹部が出たりして省内に不満が募った。
 官僚は、政治家が人事の主導権を握ることを嫌う。しかし民主党は、省庁の幹部人事について「政治主導の制度をつくる」と主張している。国交省の幹部は「自民党の場合、大臣が人事に介入しても、党内の力のある政治家に相談できた。民主党には仕えた経験がないから、過去は参考にならない。そもそも相談する人がいない」と嘆く。
 新事務次官に谷口博昭氏(61)が就任した7月24日の国交省人事。次官と同期の幹部は退任するのが通例だが、同期の竹歳誠・国土交通審議官(59)は留任した。谷口次官が新政権と衝突して辞めた場合に備え、竹歳氏を温存した--異例の人事について、省内外にそんな観測が流れている。


(秘書メモ)この記事にもあるように、「官僚は、政治家が人事の主導権を握ることを嫌う」。なぜならば、官僚主導の根幹は何があっても政治が官僚人事に手をつけられないところにあるからです。
 そこで、ボスは、真に政治主導体制をつくるために先の国会で、「幹部公務員法案」の国会提出を図ったのです。民主党も、かつては、政権交代をしたら局長以上に辞表を出させるといっていましたが(今は撤回したようですね)、そのためにはボスが提唱している「幹部公務員法案」がなければできません。先の国会であの法案を与野党合意で成立させておかなければ、何党政権であれ、真の政治主導体制は困難なわけです。
 それぐらい、あの法案は政治主導にとって大事な法案でした(少なからぬマスコミはあの法案を単なる党内権力闘争の視点のみで扱いましたが、まったく本質は違います)。
 しかし、先の国会でも、民主党は党全体としては「幹部公務員法案」にとても消極的でした。そして、見る限り、民主党のマニフェストには「幹部公務員法案」の要素はどこにも明言されていません。マスコミが不十分として批判した麻生内閣がやろうとした「内閣人事局」の言葉すらありません。民主党は政権運営を優先するため、官僚人事に手をつける制度的仕組みにとても臆病になっているようにみえてしまいます。
 それでも、民主党もカッコ付の「政治主導」というポーズはとらなければならないでしょう。
 そんなことは可能なのでしょうか。
 たとえば、AやBという一部の役所と手を組んで、CやDという役所を、カッコ付の「政治主導」の人身御供とすることが考えられます。CやDの予算の一部を執行停止したり、CやDの幹部職にAやBからの進駐軍がいくかもしれません。いままでになかったことをやるのですから、確かに画期的でしょう。しかし、AやBという役所の権益が聖域として温存され、彼らのシナリオにのって長期政権化するというのは、政治主導なのでしょうか?官僚主導なのでしょうか?


■民主党、鳩山政権の「政権構想」示す
(14日17:02TBSNews)

 民主党は衆院選の政権公約=マニフェストで、政権を獲得した場合の鳩山政権の「政権構想」を初めて示しました。官僚主導から政治主導の政治への転換をどうはかるのか、その具体像を探りました。

 「官僚の、官僚による、官僚のための政治が、国民の皆さんに必ずしも幸せを与えきることができなかった」(民主党 鳩山由紀夫代表)

 マニフェストに掲げられた鳩山政権の構想。目玉となるのが、総理直属の「国家戦略局」の新設です。

 従来の経済財政諮問会議に代わり、マニフェストに明記された優先順位に従い予算編成の骨格作りを行うほか、外交政策でも基本的な方向性を打ち出します。

 「(国家戦略局では)国家の新しいビジョンの策定をする。単なる審議会のような形ではなく、大きな権限を有するようにしていきたい」(民主党 鳩山由紀夫代表・マニフェスト発表会見)

 トップは閣僚とし、党の政調会長に兼務させることで、政策決定のあり方を一元化します。

 政権構想の策定にあたり、民主党は6月に菅代表代行らをイギリスに派遣、政治主導の実情を視察しました。

 「最も私が印象に残ったことを申し上げますと、官僚の皆さんにとって、イギリスでは政治的中立性ということが極めて大きな厳密な原理原則になっている」(民主党 菅直人代表代行)

 官僚のあり方も大胆に変革する。各省の事務方トップが閣議の案件を事前に決める事務次官会議を廃止し、少数の閣僚が政策調整を行う閣僚委員会を設置。

 同時に官僚の政治的中立性を保つため、事務次官による定例会見は廃止したい意向です。

 また、事務次官会議をなくす代わりに、決定権のない協議機関として「事務次官懇談会」の設置を検討しています。

 「官僚は必ずしも民主党を支持する必要はない。政治的に中立であればいい。あとは、上司となる大臣の言うことだけには従って欲しい」(民主党幹部)

 鳩山代表は衆院選で勝利した場合、来月中旬までの政権発足を目指す意向です。同時に国家戦略局をスタートさせ今年度補正予算の組み換え作業に入るほか、外交では来月後半の国連総会などの機会にアメリカのオバマ大統領と初の首脳会談を行い、信頼関係を築きたいとしています。


(秘書メモ)上司である大臣の言うことを聞かないことが「官僚主導」の問題なんですね。それは人事権を政治家ではなく自分たち省庁の身内共同体がもっているからです。この観点から、民主党の菅さんが英国から帰ってきて、局長以上には一旦辞表を出させるという鳩山政権構想が撤回されたことが、政治主導の観点から注視しなければいけない動きでしたね。
 議院内閣制の英国も、政権と運命を共にするスタッフ群が政権中枢にいます。他方、英国の官僚は決して政治的な動きをしたりしないはず(英国で、根まわしのために議員会館に官僚が大量動員なんてありますか?)。そこの本質の違いをしっかりみないと。
 決まったことを執行する公務員は中立でいいと思います。しかし、大事なことを企画立案する人に中立はありえるのか、ということです。
 国家戦略局が政治主導の拠点になるかどうかのポイントは2つです。
 第一に、構成メンバーです。政権の戦略立案を担う現役官僚は「片道切符」で元の省庁に戻らずに政権と運命を共にする覚悟があるかどうか。政権が変われば「往復切符」で元の省庁に戻る人に「官僚は必ずしも民主党を支持する必要はない。政治的に中立であればいい。あとは、上司となる大臣の言うことだけには従って欲しい」と期待するのは無理だと思います。元の出身省庁に戻ることなく、公務に携わり続けるようことを保証することが問題の核心でしょう(その点で、公務員制度改革基本法が民主党の修正要求で、一括採用でなく元の省庁別採用になってしまったのはとても残念なことです)。
 第二に、課長クラスの実質的な企画立案の場・ラインで、そこを通さなければ何も決められないというコーナーストーンに国会議員がポジションをとれるかどうか(いま70人の与党議員が政府に参画していますがこれが100人になれば政治主導なのでしょうか。100人の政治家が政策の企画立案のラインとは関係のない「別室」に集められたのでは何の意味もないでしょう)。
 この2つが国家戦略局における政治主導の核心です。
 また、下から積み上げていく各省折衝の中で、事務次官会議だけが非公式な懇談会になれば政治主導なのでしょうか。各省折衝を下から積み上げていくというシステムに、政治家はどの段階でどうかかわるのでしょうか。そこが問題だと思います。



■年金機構 移行を凍結 民主検討 記録散逸を懸念
(2009年8月15日 東京新聞)

 民主党は十四日、衆院選で政権についた場合、二〇一〇年一月に予定される社会保険庁から日本年金機構への年金業務移行を凍結する方向で検討に入った。衆院選マニフェストで年金問題への取り組みを「五つの約束」の一つに掲げているが、年金業務を移行して社保庁を廃止すれば、年金記録の関係資料が散逸したり、組織改編で責任の所在が不明確になり、問題解決が遠のく可能性が高いと判断した。
 〇七年六月に成立した社保庁改革関連法は、社保庁廃止と業務移行による年金機構発足を一〇年四月一日までに行うと定め、政府は政令で発足日を一〇年一月一日に決めた。
 これに対し、民主党は「看板の掛け替えにすぎない」として、年金機構への移行に反対している。マニフェストは「社保庁は国税庁と統合して『歳入庁』とし、税と保険料を一体的に徴収する」と明記。マニフェストの基になる政策集も「社保庁を年金機構に移行させることによって年金記録問題がうやむやになる可能性がある」と指摘している。
 ただ、移行を全面的に中止するには法改正が必要となる。このため、当面は法改正せず、政令の見直しによって、年金機構の発足を現行法で定めたぎりぎりの一〇年四月まで先送りすることも検討している。
 最終的には、年金記録問題の解決に向けた作業の進ちょく状況を見極めた上で、法改正に踏み切るか、政令見直しにとどめるかを判断する。

■<政権選択>年金機構『凍結』 記録回復 解決は手探り
(2009年8月15日 東京新聞)

 民主党が社会保険庁から日本年金機構への移行凍結の検討に入ったのは、衆院選マニフェストに掲げる年金記録問題に最優先で取り組む態勢を整えるためだ。ただ、マニフェストで国民に約束した期限は二〇一一年度までの二年間。時間は限られている。 (後藤孝好)
 マニフェストは、年金記録問題解決を「国家プロジェクト」と位置付け「二年間、集中的に取り組む」と表明している。その二年間とは、各種年金制度を一元化して創設する新年金制度の設計を、一二年度に予定していることをにらんで設定したスケジュールだ。民主党はこの間に、二千億円かけ、延べ一万人以上を投入する人海戦術を展開する方針。
 記録訂正を求める人の救済範囲を広げるため、審査基準を大幅に緩める「年金記録回復促進法案」の早期成立を図るほか、訂正手続きを簡略化。紙台帳記録の全件照合や厚生年金記録の改ざん調査も実施する考えだ。
 だが、記録問題を全面解決させるめどが立っているわけではない。党幹部は「政府は年金問題の全容を明らかにしていないので、どんな対応が可能か、政権を取ってからでないと分からない部分もある」と手探り状態であることを認めている。
 加えて、来年一月発足予定の年金機構は、七月下旬に民間から採用する千七十八人を内定しており、追加募集も始めている。このため、移行凍結は雇用問題に発展する可能性もあり、民主党は採用内定者を非公務員の身分で年金記録問題への対応に充てることも検討している。


(秘書メモ)まさか、民主党が社会保険庁から日本年金機構への移行凍結の検討に入ったのは、社保庁職員の大部分が所属する労組(旧自治労国費協議会・・・民主党の支持母体)の国家公務員としての身分を守るため?目途のたたない人海戦術というのも、支持母体の国家公務員身分を守ることが目的だとしたら・・・また、過去の不祥事を起こした問題職員の扱いも、今後注目しなければならないでしょう。




(BY鉄の男)