(民主党の道路国営化)40兆円を再度、国の債務に戻し、税金で賄うということ | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(民主党の道路国営化)40兆円を再度、国の債務に戻し、税金で賄うということ

民主党のマニフェストの「2010年度からの段階的原則無料化」とは、高速道路の国有化が前提である。

今日の東京に「2012年にも国有化」「民主が高速無料化工程表」との記事が載っている。

「民主党は衆院選で政権を獲得した場合に、マニフェストに掲げた『高速道路原則無料化』を着実に実現するための工程表の概要を固めた。同党関係者が13日までに明らかにした。それによると、道路公団民営化に伴い2005年に独立行政法人として発足した『日本高速道路保有・債務返済機構』を12年4月にも廃止し、全高速道路を国有化。これに合わせて首都高速、阪神高速など一部路線を除いて無料化する。保有・返済機構が旧日本道路公団から引き継いだ約37兆円などの債務のうち、08年度末現在で約31兆円ある未返済分は国が継承。低利の長期国債の順次借り換え、60年間で償還する。債務をそのまま国の借金にする構想に『受益者負担の原則に反する』との批判が出るのは必至だ・・」

道路公団の民営化を国営化に戻す。これは「官僚主導を政治主導に」、「脱官僚」とのマニフェストのベクトルに逆行する。

2005年の道路公団民営化によって、国の債務から37兆円を切り離し、独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」に引き継がせ、それを旧道路公団を民営化した高速6社が同機構から道路を借りて通行料収入からリース料を支払い、債務返済に回している。東日本、中日本、西日本の3社で年2兆円の料金収入があり、維持管理費0・4兆円を除いた1・6兆円を借金返済に回し、あと41年で計40兆円を完済することになっている。

高速道路の無料化とは、民から官へ、である。40兆円を再度、国の債務に戻し、税金で賄うというのである。国民1人当たり、新たに30万円以上の税負担を強いることになる。

民主党のマニフェストの目玉である「高速道路原則無料化」とは、高速道路の国有化、民営化高速6社の国営化、国民1人当たり30万円以上の税負担と同義である。それでも高速道路を無料化しますかと、国民に信を問うべきではないか。(8月14日記)


(参照記事)日経新聞社説「09衆院選、政策を問う」「多くの疑問がある高速道路の無料化案」

「このお盆期間に車で帰省した人は例年よりもかなり多いようだ。地震により被害で東名高速の静岡県内の一部区間が今も通行止めになっているが、上限1000円という格安な通行料金が効いている。

これは3月から政府が始めた高速道路の通行料金引き下げの一環である。上限1000円をお盆期間に限って平日にも広げた。民主党はマニフェスト(政権公約)で、高速料金を2010年度から段階的に原則無料化する方針を掲げている。

欧米に比べて割高な高速道路の通行料が無料になれば物流コストや移動費が下がり、一定の経済効果があるだろう。料金所がいらなくなるのでインターチェンジも増やしやすくなる。一方で、30兆円を超す巨額な債務の返済は本当に可能なのかなど疑問点が多い。

高速道路は現在、独立行政法人の日本高速道路保有・債務返済機構が資産を保有し、建設費などの負債も管理している。旧道路公団を民営化した高速6社が同機構から道路を借りて通行料収入からリース料を支払い、債務返済に回している。

同機構が抱える債務残高は08年度末で約34兆5000億円に上る。料金を無料にすれば、この借金の返済に加えて維持管理や修繕費、計画中の道路の建設費もすべて税金でまかない、将来世代にツケをまわすことになる。同党は年間1兆3000億円の財源で可能と試算するが、維持管理などの経費は含んでおらず、極めてあいまいな数字だ。

長期にわたる債務の返済計画や今後の高速道路の建設計画も併せて示さなければ、責任ある政策とはいえない。無料化で車の交通量とガソリン消費が増えれば、地球温暖化対策に逆行するという指摘もある。

発足後4年近くたつ民営化会社も立ち行かなくなる。引き続き各社が管理業務にあたる場合、収入の大半が公費となり、コスト意識が働かない旧公団時代に戻りかねない。現在の民営化は国の関与が強すぎる中途半端な形だ。それでもサービスエリアの魅力向上や建築コストの削減で各社は成果をあげている。

値下げは本来、各社の経営努力で実施するのが筋だ。少なくとも維持管理の費用は通行料でまかなわないと受益者負担の原則から外れる。自民党にも注文したい。現在の値下げはあくまで景気対策の一環である。この政策について同党は公約でふれていないが、2年間の時限措置という原則を守るべきである」