8月14日お昼前のニュースクリップ~世界に逆行?道路「国有化」「官営化」~(秘書ひしょ) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

8月14日お昼前のニュースクリップ~世界に逆行?道路「国有化」「官営化」~(秘書ひしょ)

■西日本高速道路会長CEO 石田孝 “逆走”する自・民の高速道料金論争
(2009/8/14 フジサンケイビジネスアイ)

 □民営化の税金節約効果、評価を  

 高速道路で乗用車などの逆走は重大事故に直結する。「100%の安全」を目指す西日本高速道路は、カーナビのGPS(衛星利用測位システム)や地図機能で逆走を検知し、画像と音声などでドライバーに注意を呼びかけるシステム開発に取り組んでおり、2011年の実用化を目標に開発を進めている。

 全国の高速道路の逆走は年間1000件程度と推定され、西日本高速が管理する約3300キロの範囲では年平均400件程度の逆走が報告されている。注目されるのは、逆走事故を起こしたドライバーの47.7%が65歳以上だったことだ。高速道路で事故を起こしたドライバーで65歳以上が4.8%だったのと比べると、実に10倍だ。認知能力や反射神経が少しずつ鈍ってきたのが原因と推察されるが、高齢者の免許保有者が増加する客観情勢を考えると、高速道路の逆走対策は待ったなしといえる。

 ◆先進国は有料化の流れ

 もう一つ、今どうしても気になる高速道路の“逆走”がある。それは自・公政権が2年間で5000億円という税金を投入して、高速道路の土日祝日「1000円乗り放題」を始めたことだ。高速道路を利用しない人にまで負担を強いる不公平感はもちろんだが、世界の先進国では高速道路の整備・維持管理の財源を確保するため有料道路化の潮流にあるのだ。

 高齢化が進む先進諸国では、社会保障により多くのお金を使わなければいけない時代となり、高速道路の維持管理費を税金でまかなえなくなってきている。かつてフリーウエーとして無料だったアメリカの高速道路(インターステートなど)は06年に6.7%が有料となり、道路料金収入が年間約7000億円規模にのぼっている。

 ドイツでも4年前、国内全域で高速道路(アウトバーン)を通行する大型トラックから1キロ当たり12~20円を取る有料システムを導入した。道路料金収入は年間約4000億円程度となり、道路の維持管理費に一定の支えとなっている。高速道路の有料比率はイタリアで82%、フランスで76%と西欧では高まっている。

 ◆「自由」「公正」の原点に

 このように、世界の潮流は高速道路に税金を投入しなくなっている。にもかかわらず、年金や医療などが十分とはいえない日本で2年間の限定とはいえ、年間2500億円を投入している。民主党がマニフェストで掲げる高速道路の原則無料化となれば、税金投入は年間2兆円(道路3社の料金収入見合い)になるとみられる。道路特別会計が残っていれば、ガソリン税など車の利用者からの負担を活用することになって整合性が取れた。だが、一般財源から高速道路を利用しない人を含めた幅広い国民の税金から投入するのでは、受益者負担(権利と義務)の原則が壊れる。

 さらに、民主党の構想では、無料化後に高速道路会社は業務分野ごとに再編することも検討されている。西日本高速だけで年間1500億円を使って道路を維持管理しているが、道路収入のない民間会社がメンテナンスの仕事をするには税金を引き出すしかない。そうなると民間会社とは呼べず、官営化と言わざるを得ない。旧道路公団時代でも道路料金収入から維持管理費を捻出(ねんしゅつ)していたのだから、さらに過去の時代にさかのぼることになる。

 4年前に旧道路公団を分割民営化させて高速道路会社が誕生したが、民営化でサービスエリアやパーキングエリアなどの公衆便所がデパート並みに清潔なトイレに変わった。旧道路公団時代に国から投入されていた年間3000億円の税金が要らなくなり、法人税も払っているのだから、民営化効果として4年間で1兆数千億円も国の税金を節約している実績を評価してもいいのではないか。今こそ、高速道路料金が「上限1000円」か「原則無料」かの表面的な論争ではなく、自由で公正な民主主義の原点とは何かを議論する機会にしてほしい。

【プロフィル】石田孝(いしだ・たかし)1966年神戸製鋼所入社。取締役、専務執行役員都市環境カンパニー執行副社長を経て、コベルコ建機社長。2005年10月から現職。06年6月から西日本高速道路サービス・ホールディングス会長CEO兼務。66歳。福岡県出身。


(秘書メモ)世界の有料化の潮流。民営化効果としての1兆数千億円の節税効果。PAなどのトイレの改善。
民主党の道路「国有化」「官営化」政策は、世界に逆行か?



(BY鉄の男)