8月12日夕方のニュースクリップ+読書感想~まとめて民主党の政策ウオッチ~(秘書ひしょ) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

8月12日夕方のニュースクリップ+読書感想~まとめて民主党の政策ウオッチ~(秘書ひしょ)

■政権 第一部前夜② 官僚たちの「Xデー」
(8月12日 日本経済新聞)

「始まったようだな」。大臣秘書官も務めた経済官庁の幹部が声をひそめる。
 民主党は首相直属の「国家戦略局」を置くとマニフェスト(政権公約)に書いた。最近若手議員が、事務局入りの候補となる主な官庁の局長や審議官級について意見を聞きに来た。「各省のエースを10人集めれば相当なことができます」と答えた。
官民でつくる国家戦略局は予算や社会保障などの重要な政策を政治家の主導で一元的にきめる。情報集めや伝達を担う事務局のトップの候補の一人として、財務省総括審議官の香川俊介(52)の名が挙がる。香川は前民主党代表の小沢一郎(67)が竹下内閣で官房副長官をしていた時の秘書官。「戦略局が実力のある、ダイヤモンドのような組織になるなら、香川を送り込んでもいい」と財務省幹部は言い切る。・・・


(秘書メモ)民主党のいう「政治主導」って、一体、何?みなさん、内閣人事局で自民党内で大論争していたことおぼえてますか。民主党のマニフェストからは内閣人事局の話が抜けてますね。幹部人事を掌握しないでどうやって「政治主導」をやるんでしょうか。



■民主政権なら郵政3社株売却は凍結へ-国民新からは上場撤回論も浮上
8月12日(ブルームバーグ)

衆院選の結果、民主党を中心とする野党に政権が交代した場合、日本郵政グループ3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)の株式上場は、当分の間、凍結される。国民新党からは上場自体の撤回論も浮上、300兆円超の資産を持つ世界有数の金融機関の株式公開として海外からも注目されてきた郵政民営化は大きな方針転換を余儀なくされそうだ。
  民主党の直嶋正行政調会長は12日、ブルームバーグ・ニュースの取材に対し、日本郵政などの株式上場を凍結する法案を秋の臨時国会か来年の通常国会に提出する方針を表明。日本郵政が今年度の事業計画に明記しているゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式の2011年度までの上場について「凍結法案の影響以前に、郵政の経営の実情、経済情勢から見て無理だ」との認識を明らかにした。
  民主党は次期衆院選で単独過半数を獲得しても、参院では過半数に届かない。両院で多数派を占め安定的な政権運営を図るためには国民新、社民などとの連立政権の樹立が課題となる。特に前回の衆院選で郵政民営化反対派が結成し、今もその抜本的な見直しを訴える国民新党に一定の配慮をする必要がでてくる。
  国民新党の亀井静香代表代行は7日のインタビューで、日本郵政グループの経営形態について「持ち株会社ではなくて全体を一つの会社にすればいい」と述べ、日本郵政と4事業会社に分かれている同グループを再統合させたい考えを明らかにした。
  株式について亀井氏は「かつての日本航空(JAL)みたいに政府が全株保有しているという形を取ればいい。上場はあり得ない」と売却方針の撤回を求めた。
売却凍結は前向きでない
  みずほ証券の飯塚尚己シニアエコノミストは、「株式売却凍結がただちに投資家マインドに影響を及ぼすことになるかどうかは不透明だが中長期的には海外からは前向きにとらえられる要素ではない、ポジティブな動きとは思われないだろう」と語った。
  日本郵政グループは持ち株会社の日本郵政に、郵便局、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の4社による「4分社化」体制で07年に発足した。
  郵政民営化法は第7条で、①政府が保有する日本郵政の株式の発行済株式総数に占める割合を「できるだけ早期に減ずる」、その割合は常に3分の1超とする②日本郵政が保有するゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式は移行期間である07年10月1日から17年9月30日までに全て処分-することを規定。日本郵政は、自らが保有するゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式について2010-11年度から売却を開始する計画だ。
  自民党の細田博之幹事長は11日のインタビューで、野党側の郵政株式売却凍結方針について「株を売らないと郵政民営化の精神が失われる」と批判、同法の既定通り売却していく考えを強調した。
凍結法案
  国民新党の亀井氏は、郵政民営化見直しについて①秋の臨時国会に郵政株式売却凍結法案を提出②その後、ただちに日本郵政グループの経営形態見直しに着手し、来年の通常国会に関連法案提出-との作業日程を描いている。
  このうち、凍結法案は民主党もマニフェスト(政権公約)で「可及的速やかに成立させる」と明記しているが、経営形態に関しては「4分社化の見直し」と「郵便局における郵政3事業の一体的サービス提供を保障」すると訴えたものの、具体案は示していない。
  民主党の直嶋氏は、経営形態見直しについて「いろんな議論が出ているが、あまりこれと決めずにやりたい。まず選挙に勝ってからだ」と述べ衆院選後に検討を本格化させる方針。検討の日程についても「そんなに長い時間をかけないでやりたいが内容次第だ。あまりスケジュールを先に作って、これに合せてというのではない」と語った。
株式上場
  株式売却をいつまで凍結するのか。凍結法案は「別に法律で定める日までの間」としており、期限は決めていない。亀井氏は凍結は「無期限」との認識で、上場自体も「あり得ない」と断言しているが、民主党の大塚耕平政調副会長は「まずは次の衆院選までの4年間だが、未来永劫(えいごう)、上場させないということではない」(7月15日のインタビュー)と温度差をみせる。
  ただ、大塚氏も「今の郵政グループのガバナンスでは上場企業の体を成していない。上場しない選択肢もあり得る」と国民新党の方針に民主党が合意する可能性も否定していない。
  自民党の細田氏は野党内にあるこうした株式上場方針撤回論について「非常に悪質だと世界に向かって言わなくてはいけない」とけん制。株式売却問題に象徴される郵政民営化は「大きな争点だ。われわれは民営化路線を堅持する」と衆院選で野党側に議論を挑む考えだ。


(秘書メモ)民主党は政調幹部の同一人物が「まずは次の衆院選までの4年間だが、未来永劫(えいごう)、上場させないということではない」「今の郵政グループのガバナンスでは上場企業の体を成していない。上場しない選択肢もあり得る」といっています。郵政民営化反対派と賛成派の両方の支持を得るという選挙最優先からきているのでしょうが、「いろんな議論が出ているが、あまりこれと決めずにやりたい。まず選挙に勝ってからだ」はひどすぎるのではないでしょうか。民主党は正直に郵政民営化反対と言いきればいいのではないですか?


ーーー以下、月刊誌の読書感想ーーーー


■霞が関「ナチス」化への暴走
(「VOICE」8月号 渡部昇一・上智大学名誉教授vs竹中平蔵・慶應義塾大学教授)

渡部 ・・・役人が一番好きなものこそ国家社会主義なのです。本物の社会主義になると「党」が威張りだしますが、国家社会主義は官僚に頼るわけですから。

竹中 やはり中途半端なガバナンスが一番危ないのです。いま郵政民根以下反対派が目論んでいるのは、中途半端な民営化です。自由はあるけれど、政府からの厳しいチェックもない。そうなるとやりたい放題です。・・・統制経済的な動きは、ガバナンスの空白地帯を生む可能性がある。これが非常に危険です。社会主義には曲がりなりにも社会主義なりのガバナンスがあり、資本主義には資本主義なりのガバナンスがある。もっとも恐ろしいのはその中間で、それぞれの悪いところだけが映し出されています。

・・・

竹中 ・・政府は巨大な権限をもっていますが、第一に民間に比べチェックがいい加減です。社会保険庁を見ればおわかりのとおりです。たしかにノルウェーやスウェーデン、フィンランドなどは「大きな政府」で非常にうまくやっている。しかし、その理由は人口規模が小さいからです。日本のように人口1億人以上の国家では、政府はすべてを見渡すことができません。人口1億人以上の大国が「大きな政府」でいったら大変なことになります。

渡部 チェックが甘いからグリーンピアやかんぽの宿などをつくり、しかも官僚的だからサービスが悪い。あんなものを、そもそもつくる必要がなかった。
 よく「郵政民営化はアメリカの思惑だ」などという人うがいますが、まったく違います。私は20ン年以上前、ある会合で小泉さんのお話を聞く機会がありましたが、その当時から小泉さんは、一晩中「郵貯をなくさなければ、官僚の天下りや跋扈は断ち切れない」の一本槍でした。当時、小泉さんは陣笠級の議員で、アメリカが的を絞って接触してくるような人ではなかった。私はそれを聞いていますから、小泉首相は自らの信念で、戦後一貫して自己増殖してきた霞が関にメスを入れようとしたのだと信じられます(笑)。


(秘書メモ)資本主義のガバナンスも、社会主義のガバナンスもない、国家社会主義・・・。万一、民主党政権になると、日本はそんな道をすすむのでしょうか。




■超大国が消え去る世界
(「VOICE」8月号 日高義樹・ハドソン研究所首席研究員)

ワシントンの政治消息筋の話を総合すると、オバマ大統領はこれまでアメリカが一方的に日本を守ってきた日米安保条約を空洞化しようとしている。その最大の理由は、日本が急速に反米になりつつあると思っているからである。・・・「反米的な日本を、なぜアメリカが一方的に守らなければならないのか」こういった会話が、オバマ大統領の周辺で交わされているというが、この声はまたオバマ大統領を支持するアメリカ国民の声でもある。


(秘書メモ)90年代のクリントン政権時代、安全保障上の利益よりも経済的利益を優先するといってみたり、どこどこは日米安保の対象外といって騒ぎになった時期がありますね。反米をとなえても米国は必ず日本を守ってくれる、という冷戦時代の感覚のまま、気分的反米で政治をやるのは本当に危険な時代が来ているのではないでしょうか。


(BY鉄の男)