(民主党マニフェスト二転三転)なぜブレるのか | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(民主党マニフェスト二転三転)なぜブレるのか

7月27日、当初案発表時の、鳩山代表の「公約が実現できなければ政治家としての責任をとる」と発言した。その後の政権公約の二転三転はどういうことなのか。

民意は、05年の郵政総選挙での、小泉元総理の「郵政民営化」への命を捨てる覚悟を既に見ているのであり、それを基準にして、鳩山代表の「マニフェスト」への「命を捨てる覚悟」の有無を見ることであろう。

なぜ、ブレるのか。小泉総理にとっての郵政民営化のように自らの信念ではなく、選挙の票の足し算引き算で公約を考えるからではないか。だから選挙に不利だと思えば公約を引っ込めるのだろう。

自らの信念なしに、どうやって政治主導の政治が実現できるのか。「官僚主導を政治主導に」との「マニフェスト」の核心が、守れないのではないか。

昨日の世論調査でみたように、選挙後の政界再編に6割の民意が期待しているということは、「マニフェスト」への「命を捨てる覚悟」がない鳩山代表のことも織り込み済みなのかもしれない。選挙後に、「変革の党」として自民党が再生できるかどうか、そこに日本の命運がかかっている。(8月12日記)


(参照記事)産経新聞「民主マニフェスト二転三転」「政権担当に不安」

「民主党は11日、衆院選マニフェスト(政権公約)の確定版を発表したが、7月27日にきれいに製本した上で配布した当初案に、わずか2週間で手直しに手直しを重ねるというドタバタぶりだった。政府・与党や業界の批判を受け、政党の命ともいえるマニフェストを安易に修正したことで、民主党の政権担当能力に不安を残す結果となった。

直嶋正行政調会長は11日夕の記者会見で、『先日発表したマニフェストの内容変更ではなく、さらに理解していただくためだ。政策や考え方は一切変えていない』と語り、確定版での修正はあくまでも政策の明確化が目的だと強調した。

しかし、当初案が日米自由貿易協定(FTA)について、『締結する』と掲げていた表現を『交渉を促進する』に弱めたのは明らかな内容変更だ。『部会→政調審議会→総務会』と積み上げ方式で意思決定を行う自民党と違い、民主党では『次の内閣」(NC)大臣をトップとする部門会議に強い裁量がある。FTA推進の立場の外交部門と、自由貿易に慎重な農水部門との調整が機能しなかったのが混乱の理由だった。

世界最大の農産物輸出国である米国とFTAを結んだ場合、関税撤廃で国内農業は大打撃を受ける。政府・与党や農業団体は当初案の中に『日米FTA』の文字をめざとく見つけ、『日本の農業が破綻する』などと民主党に集中砲火を浴びせかけた。党内でも新潟や長野など農業県選出議員が猛反発し、修正に追い込まれたのが実情だ。

『この間、出したのは正式なマニフェストではない。正式なマニフェストは公示日からしか配れない』。民主党の鳩山由紀夫代表がマニフェストを発表した2日後の7月29日、自らの会見を否定するかのような発言に、党内からも驚きの声が漏れた。地方分権に関し、『協議機関の法制化』を求める橋下徹大阪府知事の批判を放っておくわけにはいかないとの判断が働いたようだ。これを機に、なりふり構わぬマニフェストの見直しが始まった。

だが、農業戸別所得補償とFTAをセットで考えてきた小沢一郎代表代行は8日、『ためにする議論だ』と文言修正に否定的な考えを示し、岡田克也幹事長も10日、『4年以内の締結を目指す』と表明した。マニフェストに修正を加えることで逆に、党の目玉としてきた農政に関し、幹部同士が『あさっての方向』(中堅)を向いている実態が浮き彫りになった。

一方、経済成長戦略を入れたのは与党の批判をかわす狙いがある。ただ、成長戦略の数値目標や財政再建策は盛り込みを見送った。『公約が実現できなければ政治家としての責任をとる』。鳩山代表は7月27日、当初案発表のための記者会見でこう決意を示したが、衆院選公示を前に肝心の公約自体が変わってしまった」。