(政局)我々のなすべきこと | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(政局)我々のなすべきこと

以下の産経新聞・主張の見方に賛同する。

「投票結果は、麻生政権を信任しないと都民が判断を下したと受け止めざるを得ない。首相は自民党総裁として、この敗北の現実を直視すべきである」

「問題は、首相がいかなる政策で国民の信を問おうとしているかである。解散権を自ら行使したいという首相は『選挙前の総裁交代は姑息だ』と『麻生降ろし』の動きをけん制しているが、首相のメンツの問題ではないだろう。日本をどうするかという国家像がいまだに明確に提起されていないために、首相の指導者としての資質が問われ、国民が失望感を抱いている。それが今回の審判で一段と鮮明になったといえる」

我々のなすべきことは以下の2点である。

第一に、静岡、千葉、東京、奈良等、全国で示された民意をどう受け止めるのかの総括が必要であるということである。麻生総裁は自民党再生をどのようにするとお考えなのか、両院議員総会で明確にすべきである。そして、全議員で徹底的に議論し、党再生の方向性を示すべきである。

第二に、日本をどうするかという国家像をマニフェストの形で明示することである。

この2つをしないままでの「首相のメンツ解散」は、「覇道」である。(7月13日記)


(参照記事)産経新聞主張「東京都議選」「首相は敗北責任直視を」「政権担う能力は検証不十分」

「注目の東京都議会議員選挙は民主党が大幅に議席を増やし、都議会第一党に躍進した。自民・公明の与党は過半数を割り込んだ。自民党も大きく議席を減らした。麻生太郎首相は『都議選はあくまでも地方の選挙だ』と敗北の責任を否定したが、麻生政権の存続の是非が都議選の大きな争点だったことは間違いない。

投票結果は、麻生政権を信任しないと都民が判断を下したと受け止めざるを得ない。首相は自民党総裁として、この敗北の現実を直視すべきである。しかし、首相は都議選結果とは関係なく、自ら衆院を解散する意向だという。自民党内では『首相の下で衆院選は戦えない』と、総裁選の前倒しを求める動きが強まっている。野党は内閣不信任案を提出しようとしている。

問題は、首相がいかなる政策で国民の信を問おうとしているかである。解散権を自ら行使したいという首相は『選挙前の総裁交代は姑息だ』と『麻生降ろし』の動きをけん制しているが、首相のメンツの問題ではないだろう。日本をどうするかという国家像がいまだに明確に提起されていないために、首相の指導者としての資質が問われ、国民が失望感を抱いている。それが今回の審判で一段と鮮明になったといえる。

民主党は大型地方選での連勝をさらに重ねることで、政権交代に向けた勢いを裏付けた。選挙直前になって公認、推薦候補を増やす対応もみせたが、候補者や政策に対する評価を超えて、民主党に吹く風の強さが示された。投票率は前回を10ポイント以上も上回った。都議選への関心の高さが民主党に有利に働いたと考えられる。

だが、その風は民主党を積極的に支持しているというよりは、自民党への落胆によるものだろう。麻生首相自身が示せないように、政権政党としてこの国をどのような方向に持っていくのかという大方針を、自民党が描ききれていないことが問題だ。

4年前の『郵政解散』では、小泉純一郎首相(当時)がとった構造改革路線を象徴する郵政民営化の是非が問われ、与党は衆院再議決が可能な3分の2の勢力を得た。今回、自民党はそうした争点を掲げていない。政権交代の有無という、民主党にとって有利な土俵に一緒に上がってしまう状況を招いているといえるだろう。

『小泉後』の自公連立政権は、改革路線を継承するとしながらも、改革の痛みへの配慮などの名目で修正を加えてきた。平成19年の参院選大敗や昨年の米国発の金融危機を経て、そうした傾向は強まり、小泉改革を批判する民主党との差異は見えにくくなった。

有権者の自民党離れを加速した一因は、政権運営に行き詰まった首相が相次いでその座を投げ出したことなどだ。参院選大敗で生じた国会のねじれ現象は、国政の混乱、停滞を招いた。一義的には民主党に責任があるが、閉塞感を自民党は打破できなかった。

執行部は選挙戦のさなか、知名度のある東国原英夫・宮崎県知事に衆院選出馬を要請した。同知事を総裁候補として扱うか、求めに応じて地方分権に関する公約を変更するかといった政党の根幹にかかわる点をめぐり、条件闘争が演じられた。自民党への支持を回復するためとはいえ、右往左往ぶりを見せつけた。

都議会で民主党が大きく議席を伸ばしたことで、新銀行東京の経営再建や築地市場の移転問題の行方が今後、注目される。新銀行東京の存続、築地市場の移転のいずれについても民主党は慎重な立場をとってきたからだ。自民、公明両党に支えられてきた石原慎太郎知事の都政運営は制約される。

一方、民主党の課題も大きい。政権を担えるかどうかの検証は不十分だ。鳩山由紀夫代表の政治資金問題は、多くの偽装がなぜ行われたのかなどの疑惑を日々深めている。説明責任を果たすべきだ。衆院選前に決着をつけておかなければ、国民との間で政権運営に関する約束はできまい。

どちらが真の政権政党にふさわしいかは、今回どの程度問われたのだろうか。都議選での政策論争で政権交代の意味は十分に論じられていない。日米同盟を損なうような民主党の外交・安保政策の検証も足りない。自民、民主両党などはマニフェスト(政権公約)を通じて、さらに国民に対して選択肢を明示する必要がある」