(官僚改革)今国会で必ず「官僚改革」の結果を出そう
報道が伝えるところによれば、民主党の岡田克也幹事長は今日午前のテレビ番組で、公務員制度改革関連法案について「できればこの国会でまとめたい。政府案や中川秀直自民党元幹事長(が独自にまとめた)案のいいところを取って、一定の合意に達するのがベストだ」と述べ、与党との修正協議に応じる考えを示したそうである(時事通信)。霞が関改革に向けた建設的な動きであり、歓迎したい。
ただ、岡田幹事長は「与党にその気があるのかはかなり疑問だ。そこはよく確かめなければいけない」とも語ったとされるが、与党の本気度に、心配は無用である。
下記のコラムで田中秀征氏は、「現在、官僚改革を挙げる政治勢力は三つに分かれている。(1)中川秀直元幹事長ら自民党内の改革派、(2)江田憲司氏、渡辺喜美氏らの無所属グループ、そして(3)民主党である」としたうえで、「公正に見て、官僚改革についての政治的影響力では、民主党が他を圧倒しているが、本気度の点では、(1)と(2)のグループに大きく後れを取っている印象を受ける」という。
自民党には今日現在、少なくとも126名の改革グループが中心となって「官僚改革」を推進しており、「官僚改革」についていえば、自民党は「改革推進政党」としての原点回帰がはじまろうとしている。
田中秀征氏は「改革三派は、これから改革内容を激しく競えばよい」という。正論である。国民が望んでいるのは建設的な「改革競争」であって、選挙パフォーマンスの罵り合いではない。党利党略を超えて、大いに「官僚改革」を競い合い、今国会で必ず「官僚改革」の結果を出そう。(6月25日記)
(参照記事)2009年6月25日のnikkei BPnetの「田中秀征の一言啓上」「民主党が問われる“官僚改革”への本気度」
(http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090624/162584/?P=3)
“官僚改革”という総選挙の最重要争点は、今まで大きな波(経済危機、新型インフルエンザ、北朝鮮問題など)によって陰に隠れがちであった。
だが、総選挙が先延ばしされたこともあって、このところ重要課題として再浮上してきている。
官僚改革の焦点は幹部公務員の更迭
現在、官僚改革を挙げる政治勢力は三つに分かれている。(1)中川秀直元幹事長ら自民党内の改革派、(2)江田憲司氏、渡辺喜美氏らの無所属グループ、そして(3)民主党である。
これら改革三派は、未だ連携するに至っていないが、問題意識はかなり共通している。
官僚改革は、政治の“土俵”の問題。そこでどんな相撲を取るかは全く別である。外交・安保などの基本政策で一致しなければ、官僚改革で政治勢力として統合されることは難しい。
改革三派は、これから改革内容を激しく競えばよい。そして、それで一致するところがあれば超党派で連携して改革の実現を図ればよい。
現在、官僚改革の焦点は、政治が幹部公務員の更迭をできるようにする点にある。「脱官僚」を旗印とする江田氏、渡辺氏らはもちろんのこと、この点で改革三派は足並みを揃えている。
日経新聞(6月19日付朝刊)によれば、中川秀直氏は、自らまとめた「幹部公務員法案」を今国会に提出するよう党に申し入れた。議員立法での成立を期すため自民党所属国会議員125名の署名を添えたという。
トーンダウンした印象の菅代表代行
同法票の柱は、国会公務員幹部を任命権者の判断で降格できるようにするところ。言わば政治主導の大前提だが、今までそうなっていなかったことに驚く人は多いだろう。
一方、鳩山由紀夫代表ら民主党幹部は、かねてから政権交代のとき、まずは「事務次官に辞表を提出してもらう」と明言してきている。
ところが、英国視察から帰った菅直人代表代行は毎日新聞のインタビューで(19日付朝刊)で、「機械的に辞表を出させるのは国家公務員法の関係で難しい」と語り、トーンダウンした印象を受けさせる。そればかりか、「政治家と官僚の役割は違うことを理解してもらい、新しいビジネスモデルにおける協力関係を作りたい」と、麻生太郎首相と同じようなことを言っている。一体どうしたのか。
また、鳩山代表は、政権運営構想について、「自分が中心で作る」と表明しているという(同出インタビュー)。要するに、菅氏には任せないということだ。
霞が関官僚は実にしたたかだ。おそらく、政権交代すれば、「鳩山首相」に事務次官の辞表をとりまとめて提出するだろう。鳩山氏の顔を立て、その代り、その後の人事を思うようにするに違いない。
もしも、そんな経過になれば、「鳩山政権」は急失速しかねないだろう。
民主党は法改正に本気を示せ
鳩山代表がもしも本気で官僚改革に挑戦するつもりなら、まずこの問題での態度を明確に打ち出す必要がある。「自発的辞表提出」のようなあいまいな対応を避けるなら、中川氏らのように「法改正」の本筋を進む必要がある。
この法改正には、憲法に抵触するという見解もあるらしい。だが、民意が反映されない政治こそ重大な憲法違反ではないか。
公正に見て、官僚改革についての政治的影響力では、民主党が他を圧倒しているが、本気度の点では、(1)と(2)のグループに大きく後れを取っている印象を受ける。
民主党は、総選挙前に「法改正」を断行する決意を示し、その法案内容を提示してほしい。そして、選挙後の特別国会において、最初に審議・成立させるスケジュールも明確にすべきである。
菅氏のライフワークともいうべきこの問題で彼が態度を軟化させているのは、おそらく党内外に対する政治的配慮によるものかも知れない。しかし、もうその段階ではないと私は考えている。今こそ菅氏の出番ではないか。
ただ、岡田幹事長は「与党にその気があるのかはかなり疑問だ。そこはよく確かめなければいけない」とも語ったとされるが、与党の本気度に、心配は無用である。
下記のコラムで田中秀征氏は、「現在、官僚改革を挙げる政治勢力は三つに分かれている。(1)中川秀直元幹事長ら自民党内の改革派、(2)江田憲司氏、渡辺喜美氏らの無所属グループ、そして(3)民主党である」としたうえで、「公正に見て、官僚改革についての政治的影響力では、民主党が他を圧倒しているが、本気度の点では、(1)と(2)のグループに大きく後れを取っている印象を受ける」という。
自民党には今日現在、少なくとも126名の改革グループが中心となって「官僚改革」を推進しており、「官僚改革」についていえば、自民党は「改革推進政党」としての原点回帰がはじまろうとしている。
田中秀征氏は「改革三派は、これから改革内容を激しく競えばよい」という。正論である。国民が望んでいるのは建設的な「改革競争」であって、選挙パフォーマンスの罵り合いではない。党利党略を超えて、大いに「官僚改革」を競い合い、今国会で必ず「官僚改革」の結果を出そう。(6月25日記)
(参照記事)2009年6月25日のnikkei BPnetの「田中秀征の一言啓上」「民主党が問われる“官僚改革”への本気度」
(http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090624/162584/?P=3)
“官僚改革”という総選挙の最重要争点は、今まで大きな波(経済危機、新型インフルエンザ、北朝鮮問題など)によって陰に隠れがちであった。
だが、総選挙が先延ばしされたこともあって、このところ重要課題として再浮上してきている。
官僚改革の焦点は幹部公務員の更迭
現在、官僚改革を挙げる政治勢力は三つに分かれている。(1)中川秀直元幹事長ら自民党内の改革派、(2)江田憲司氏、渡辺喜美氏らの無所属グループ、そして(3)民主党である。
これら改革三派は、未だ連携するに至っていないが、問題意識はかなり共通している。
官僚改革は、政治の“土俵”の問題。そこでどんな相撲を取るかは全く別である。外交・安保などの基本政策で一致しなければ、官僚改革で政治勢力として統合されることは難しい。
改革三派は、これから改革内容を激しく競えばよい。そして、それで一致するところがあれば超党派で連携して改革の実現を図ればよい。
現在、官僚改革の焦点は、政治が幹部公務員の更迭をできるようにする点にある。「脱官僚」を旗印とする江田氏、渡辺氏らはもちろんのこと、この点で改革三派は足並みを揃えている。
日経新聞(6月19日付朝刊)によれば、中川秀直氏は、自らまとめた「幹部公務員法案」を今国会に提出するよう党に申し入れた。議員立法での成立を期すため自民党所属国会議員125名の署名を添えたという。
トーンダウンした印象の菅代表代行
同法票の柱は、国会公務員幹部を任命権者の判断で降格できるようにするところ。言わば政治主導の大前提だが、今までそうなっていなかったことに驚く人は多いだろう。
一方、鳩山由紀夫代表ら民主党幹部は、かねてから政権交代のとき、まずは「事務次官に辞表を提出してもらう」と明言してきている。
ところが、英国視察から帰った菅直人代表代行は毎日新聞のインタビューで(19日付朝刊)で、「機械的に辞表を出させるのは国家公務員法の関係で難しい」と語り、トーンダウンした印象を受けさせる。そればかりか、「政治家と官僚の役割は違うことを理解してもらい、新しいビジネスモデルにおける協力関係を作りたい」と、麻生太郎首相と同じようなことを言っている。一体どうしたのか。
また、鳩山代表は、政権運営構想について、「自分が中心で作る」と表明しているという(同出インタビュー)。要するに、菅氏には任せないということだ。
霞が関官僚は実にしたたかだ。おそらく、政権交代すれば、「鳩山首相」に事務次官の辞表をとりまとめて提出するだろう。鳩山氏の顔を立て、その代り、その後の人事を思うようにするに違いない。
もしも、そんな経過になれば、「鳩山政権」は急失速しかねないだろう。
民主党は法改正に本気を示せ
鳩山代表がもしも本気で官僚改革に挑戦するつもりなら、まずこの問題での態度を明確に打ち出す必要がある。「自発的辞表提出」のようなあいまいな対応を避けるなら、中川氏らのように「法改正」の本筋を進む必要がある。
この法改正には、憲法に抵触するという見解もあるらしい。だが、民意が反映されない政治こそ重大な憲法違反ではないか。
公正に見て、官僚改革についての政治的影響力では、民主党が他を圧倒しているが、本気度の点では、(1)と(2)のグループに大きく後れを取っている印象を受ける。
民主党は、総選挙前に「法改正」を断行する決意を示し、その法案内容を提示してほしい。そして、選挙後の特別国会において、最初に審議・成立させるスケジュールも明確にすべきである。
菅氏のライフワークともいうべきこの問題で彼が態度を軟化させているのは、おそらく党内外に対する政治的配慮によるものかも知れない。しかし、もうその段階ではないと私は考えている。今こそ菅氏の出番ではないか。